こんにちは、小島です。
YouTube ショート、みなさんは普段よく見ていますか?自宅でくつろいでいるときや通勤時間などに見ることが多いと思います。
YouTube ショートは2021年7月のサービス開始から現在に至るまで、その勢いは増すばかりです。そんな YouTube ショートに広告の配信ができるので、広告運用者はしっかり押さえておく必要があると思います。
今回は簡単に広告出稿ができる「YouTube ショート」について記事をまとめました。この記事を読んで YouTube ショートへの広告出稿を考えてみてください。
目次
YouTube ショートは YouTube で見ることができる、最大60秒の画面比率9:16の縦型動画を指します。
この短尺の縦型動画は、TikTok の大流行をきっかけに世に広まりました。スマートフォンで見られることを前提とした画面比率と、スキマ時間にサクサク見られるよう簡単にスキップできる仕様が相まって、気軽に見られるものとして若年層を中心に一気に広まっていきました。
YouTube ショートは短尺の縦型動画としては後発のものでしたが、そもそも巨大なユーザー数を誇る YouTube のユーザーを取り込んだことで、2023年5月に前年比2倍以上の平均視聴回数になりました。
引用:YouTube、国内の月間視聴者7120万人 年齢層拡大 | 日本経済新聞
なお、ここで紹介した「短尺の縦型動画」のことを「ショート動画」という場合もありますが、今となっては YouTube ショートが有名になったため、「ショート動画」といった場合 YouTube ショートを指す場合が多いです。それだけ「YouTube ショート」は拡大を続けているのです。
YouTube ショートへの広告出稿は2022年5月より開始されていましたが、開始当初は YouTube ショートに限定した広告配信はできませんでした。
というのも、当初は動画キャンペーンや P-MAX などで一括して設定しており、YouTube ショートだけに配信面を絞れなかったのです。
参考:Google Marketing Live 2022 でのサービスに関する発表のまとめ | Google 広告ヘルプ
2023年12月に「動画リーチキャンペーン(VRC)」がアップデートされたことで、YouTube ショートに限定して広告を配信できるようになったのです。
参考:動画リーチ キャンペーンで新たに利用可能になったフォーマットを使って認知度を最大限に高めましょう | Google 広告ヘルプ
なお「YouTube ショート広告」という言葉は「YouTube ショートという配信面に広告を出稿すること」を指す言葉です。Google 広告の中に「YouTube ショート広告」というキャンペーンタイプなどがあるわけではないことは理解しておきましょう。
比較的新しいメディアである YouTube ショートに広告を配信する意義はどんなところにあるのでしょうか。
ここでは YouTube ショート広告の特徴を押さえながら、ビジネス面でのメリットをお伝えします。
YouTube ショートは動画が短く次々にスキップできるため、配信量を急激に伸ばせます。そのため YouTube ショートに広告を配信すると、一気に表示回数を伸ばすことができる場合があります。
投稿された動画をサクサク見ていく途中に広告が表示されるため、興味がないとすぐにスキップされてしまいます。逆に言えば多くの動画を見ていく中に広告が表示されるので、少しでも興味がある方には広告が届きやすい媒体だといえるでしょう。
YouTube ショートは通常の動画広告と比較して、動画をスキップしやすい作りになっています。
興味がなければすぐにスキップされるため、広告を不快に思っている方ならすぐスキップしてくれますし、興味があると最後まで見続けてくれる可能性もあるため、アクションにつながりやすいです。
TikTok が流行り出した当初、短尺縦長動画(ショート動画)は「若者特有のメディア」と位置付けられていました。
しかし YouTube ショートが出たのち、短尺縦長動画(ショート動画)は YouTube の既存ユーザーであった幅広い年齢層に広がりを見せています。
この表内ではヘビーユーザーはあくまで若年層であると分かりますが、ショート動画を見る目的がスキマ時間を埋める「暇つぶし」として使われている現状を見るに、今後さらに若年層以外の層に広がると予測できます。
YouTube ショートに広告を出す方法は主に2つあります。
今回は、より簡単な「YouTube ショートだけに確実に広告を出す」方法について紹介したいと思います。
2つ目の方法については「動画アクション キャンペーン – Google 広告 ヘルプ」やこちらの記事をご覧ください。
YouTube ショートに絞って広告出稿が可能なのは「動画リーチキャンペーン」だけです。今回は、この動画リーチキャンペーンを使用して YouTube ショートに広告を出稿する方法を解説します。
なお、動画リーチキャンペーンは「より多くのユーザーにリーチ」するためのキャンペーンで、「リーチや認知度の向上」を目標しています。こちらについては以下の記事で紹介しているため、ぜひご覧ください。
▼ 動画リーチキャンペーンについての詳細はこちら
YouTube広告の種類を解説!7つのフォーマットと3つのキャンペーンの特徴と成果を出すコツ|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
YouTube 広告は広告配信の目的に合わせて以下の3種類のキャンペーンがあります。商品やサービスの認知拡大を目的にするなら動画リーチキャンペーン(VRC)、動画をしっかり視聴してもらい商品やサービス理解を目的にするなら動画視聴キャンペーン(VVC)、購入や申し込み獲得を目的にするなら動画アクションキャンペーン(VAC)を選択しましょう。
それでは、具体的に YouTube ショートへの動画広告出稿の方法を以下の手順で紹介します。
ステップ1:キャンペーンを作成する
ステップ2:広告グループを作成する
ステップ3:動画広告を作成する
まず Google 広告の管理画面に入り、「新しいキャンペーン」をクリックしましょう。
キャンペーン目標として「ブランド認知度と比較検討」をクリックします。
下に表示された画面で「動画」を選択しましょう。
下にあるキャンペーンのサブタイプは「動画のリーチ」を選択します。
下に表示された画面で「効率的なリーチ」をクリックし選択し、右下の「続行」をクリックしましょう。
次に表示される画面の「キャンペーン名」欄に任意のキャンペーン名を入力します。
「キャンペーン名」の下の「マルチフォーマット広告」で、YouTube ショート広告だけにチェックが入っている状態にします。
最初の状態では、インストリーム広告やインフィード広告にもチェックが入っていますので、それら2つのチェックボックスをクリックしてチェックを外しましょう。
入札戦略は「目標インプレッション単価」で固定されているので、その次の「予算と日程」の入力をおこないます。
予算と日程については以下の2通りの入力方法があります。
1. 期間中の予算の合計金額と期間を入力(キャンペーンの合計)
2. 1日の予算を入力(日別)
キャンペーン全体、指定した期間全体で使用する予算を入力し、出稿した期間も指定する方法です。
個人的な感覚で申し訳ないのですが、YouTube ショート広告はいきなり大きく表示されたり、逆にほとんど表示されなかったりと表示に波が出ることが多いです。ですので、期間全体の予算を設定して、日ごとの予算配分は Google 広告に任せた方が全体の表示回数は伸びると感じています。
「予算タイプと金額を指定してください」で「キャンペーンの合計」を選択し、キャンペーン全体または期間全体の予算を入力してください。
必要に応じて「開始日」を入力したうえで、終了日を入力しましょう。終了日は開始日からの期間で入力する方法と終了日を指定する方法のどちらかで入力します。
1日の予算を入力する方法は、通常の検索連動型での予算の入力方法と同じです。
「予算タイプと金額を指定してください」で「日別」を選択し、1日の予算金額を入力して、必要に応じて開始日と終了日を入力します。
次にネットワークを選択しましょう。「ネットワーク」の項目で、広告を出稿するネットワークを選択できます。
ただ、現時点において、初期状態のすべてにチェックが入っている状態でも「YouTube」に表示を限定した場合でも、大きな違いはなさそうです。
地域、言語については必要に応じて設定してください。関連動画、商品フィードはこのままで大丈夫です。
ページ下部にある「その他の設定」を開くと、下記の4つの設定項目が表示されます。
こちらもそのままで大丈夫ですが、夜の時間帯に表示したくないなどの場合は「広告のスケジュール」を入力しましょう。なお、フリークエンシーキャップについては基本的に設定しなくて大丈夫です。
キャンペーンの設定は以上です。
次に広告グループの作成をおこないます。
最初に「広告グループ名」欄に任意の広告グループ名を入力しましょう。
続いて、ターゲティングの設定です。これは広告グループごとに設定する必要があります。
まずは「オーディエンス」から入力します。通常のディスプレイキャンペーン同様、オーディエンスに関するターゲティングを設定していきましょう。
画面右側に表示されている「週あたりの予測データ」内の「表示回数」を目安にターゲティングを絞っていくのがおすすめです。
次の「オーディエンスの拡大」は閉じることでオフにできますが、そもそもリーチ拡大を狙った広告ですので、このままで構いません。絞りたい場合には右上の「^」をクリックして閉じてください。
「コンテンツ」の欄も、YouTube ショートに限定して配信をおこなうため、このままで大丈夫です。
広告グループの作成は以上です。
キャンペーン、広告グループを作成したら、いよいよ動画広告の作成です。今回は動画がすでに YouTube 上にアップロードされているケースと、動画がまだ YouTube 上にアップロードされていないケースの2パターンに分けて説明します。
まずは、動画がすでに YouTube 上にアップロードされているケースを説明します。
「動画を検索するか、YouTube の URL を貼り付けます」欄に、広告に使用する動画の YouTube の URL を入力しましょう。
次にランディングページの URL と表示 URL を入力します。
「行動を促すフレーズ」は設定することをおすすめします。「行動を促すフレーズ」のチェックボックスにチェックを入れると、フレーズを入力する欄が表示されますので、そこに入力しましょう。日本語で5文字しか入力できないので、表示される例から選択するのがおすすめです。
そして「広告見出し」や「長い広告見出し」、「説明文」と入力を進めます。「広告見出し」は15文字、「長い広告見出し」は45文字、「説明文」は45文字の入力が可能です。
YouTube ショート広告の場合は「説明文」が動画下部に表示されます。45文字入力可能ですが、メインは動画部分ですので、シンプルに短い方がおすすめです。
「広告の URL オプション」を開くとカスタムパラメータやモバイル用に別の最終ページ URL を入力できます。必要に応じて入力してください。
「コンパニオンバナー」については初期設定のままで大丈夫です。
最後に広告名を入力して広告の完成です。
次に、YouTube 上に広告に使用する動画がないケースについて説明します。
この場合は「動画広告を作成する」の右に表示されている「広告の作成(詳細)をスキップ」を選択しましょう。あとで「アセットライブラリ」で動画を作成して、後から動画広告を追加することが可能です。なお、アセットライブラリでの動画作成方法は後述します。
最後に「目標インプレッション単価」を入力して完了です。
2024年5月現在、目標インプレッション単価は、通常200円から500円程度で設定すれば大丈夫です。広告が設定されている場合、目標インプレッション単価を入力すると画面右側に数値の目安が表示されますので、それを見ながら金額を調整しましょう。
目標インプレッション単価の入力が完了したら、画面下部にある「キャンペーンの作成」をクリックして完了です。
YouTube 上に広告に使える動画がない場合にアセットライブラリで動画を作成する方法を紹介します。
「ツール」の中の「共有ライブラリ」をクリックします。
「共有ライブラリ」の中の「アセット ライブラリ」をクリックしましょう。
表示された画面にある「+新規」をクリックし、表示されるメニューで「動画」を選択します。メニュー一覧が出てくるので「+動画を作成」をクリックしましょう。
テンプレートが表示されますので、その中で縦長のものから良いと感じるものを選択しましょう。
多くのテンプレートが登録されていますので、上部にあるフィルタ部分の中で、「方向」で「業種」だけにチェックをいれると、縦長動画が表示されます。
縦長動画のみに絞り込んだテンプレート一覧は、以下のようになります。
選択したテンプレートでよければ「テンプレートを使用」をクリックしましょう。
テンプレートは「シーン」という複数のスライドで構成されています。各シーンに必要なロゴなどの画像を設定し、テキスト部分を埋めていきます。
シーンの切り替えは「ストーリーボード」で可能です。またフォントの色などは右側にあるメニューで変更できます。
入力が完了したら、左下の「アップロードに進む」をクリックしましょう。
まずは「動画の名前」に任意の名前を入力します。
「チャンネルを選択する」で、もしビジネスの Youtube チャンネルを持っているのであれば「あなたのチャンネル」を、チャンネルを持っていない場合は「動画広告ストレージチャンネル」を選択してください。
「動画広告ストレージチャンネル」は動画広告専用に動画を置いておくチャンネルで、アセットライブラリが自動で作成されます。
ここまでの設定が完了したら「動画をアップロード」を押して動画作成は完了です。
ここまで動画リーチキャンペーンを使った YouTube ショート広告の設定方法を見てきました。
最後に、使用可能な動画の仕様と、動画作成時のポイントを紹介します。
一口に動画と言っても、さまざまな形式のものがあります。ここでは動画リーチキャンペーンでの YouTube ショート広告に使用可能な動画の仕様を表にまとめました。
項目 | 推奨 | 許容設定 |
---|---|---|
解像度 | 1,080 × 1,920 px(縦向き) | 720 × 1,280 px(縦向き) |
アスペクト比 | 9:16(縦向き) | 2:3(縦向き) |
形式 | .MPG (MPEG-2 または MPEG-4) |
.WMV、.AVI、.MOV および .FLV、 .MPEG-1、.MP4、.MPEGPS、 3GPP、WebM、DNxHR、ProRes、CineForm、HEVC(h265) |
ファイルサイズ | 256GB 上限 |
特別な理由がない限り、基本的に「推奨」の仕様で動画を作成した方がよいでしょう。
最適な動画の長さは6秒以上59秒以内です。伝えたい項目の多さによって長さを変化して作成しましょう。
一般的に、YouTube ショートの投稿で表示回数を伸ばすテクニックとして、できるだけ長め(59秒)の方がよいと言われています。これは平均視聴時間が長い方が評価が高くなるという仮説に基づいたものですが、この YouTube ショート広告に関しては、あまり関係ないと感じています。
動画には「セーフゾーン」という概念があります。これは動画の説明文などが表示されないエリアを指すもので、Google では以下の図のように決められています。
ただ、YouTube ショートの場合、下の500ピクセル程度のところに説明文などが固まっていますので、下部500ピクセルを除いた部分をセーフゾーンと考えてよいでしょう。
ただし、画面ぎりぎりで文字が切れそうなものは単純にみっともないので、特別な効果を狙う場合を除いて避けることをおすすめします。
なお、下部500ピクセルあたりには白い文字で説明文などが入りますので、白の背景など文字が読み取りにくい色は避けましょう。また動画の内容として重要な部分も下部500ピクセルを避けて配置するのがおすすめです。
YouTube ショートでは、さくさくとスワイプでスキップしながら自分の興味がある動画を見ていくスタイルになっています。
ですから、最初の1秒で「あっ」と興味を惹く必要があります。最初の1秒に命を込めるように動画を作ることを心がけましょう。
今回は YouTube ショート広告の特徴と作成手順、配信時のコツに触れました。また、YouTube ショート広告に使用する動画の作成方法についても併せて紹介しました。
YouTube ショートだけでなく、広告運用者であれば、画像や動画などについても常に興味を持ち、自分でも作れるようになっておくべきだと思います。
プロとしてデザインや動画作成の勉強や訓練を積んできた人にはクオリティの面で劣るとしても、拙いながらも叩き台としての画像や動画が作れると、画像や動画作成の専門家に依頼する際にも話が早く進みます。
広告の設定のみならず、その周辺についても「運用担当者の領域」として、興味を持ち技術をアップデートしていきましょう。
また、これは余談ですが、私自身も YouTube ショートに動画を自分でアップロードしています。
もしお時間がありましたら、こちらも併せてご覧ください。
https://www.youtube.com/shorts/zTpAiJp_oOE
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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