Yahoo!コマースアド（YCA）とは？メリットや掲載面、配信手順を丁寧に解説

Yahoo!コマースアド（Yahoo Commerce Ads：YCA）とは、Yahoo!ショッピングの TOP ページや商品ページ、注文完了ページなどに広告を配信できるディスプレイ広告です。Yahoo!ショッピング内での行動データ（訪問や購買履歴など）をもとにターゲティングできるのが特徴で、Yahoo!ディスプレイ広告（YDA）と同様のターゲティングやレポートが使えます。

この記事では、Yahoo!コマースアドの概要や Google ショッピング広告との違い、配信するメリットや配信時の注意点、配信方法を解説します。

Yahoo!コマースアドとは

Yahoo!コマースアド（Yahoo Commerce Ads：YCA）とは、Yahoo!ショッピングの TOP ページや商品ページ、注文完了ページなどに広告を配信できるディスプレイ広告です。画像や動画の入稿規定は Yahoo!ディスプレイ広告と同様で、最大15枚の画像を用いたレスポンシブ広告も配信できます。

参考：バナー（画像）-運用型｜Yahoo!広告ヘルプ
参考：レスポンシブ（動画）｜Yahoo!広告ヘルプ
参考：レスポンシブ（画像）における画像入稿時のご注意｜Yahoo!広告ヘルプ

ターゲティングは、Yahoo!ディスプレイ広告で使用できるもののうち「性別・年齢・地域」や「曜日・時間帯」、「デバイス」、「オーディエンスカテゴリー」、「サーチターゲティング」、「サイトリターゲティング」が設定できます。

また、Yahoo!コマースアド独自の機能として Yahoo!プレミアム会員へ向けた配信や、特定カテゴリに訪問したセグメントへの配信もできます。競合のストア ID を登録し、そこで購入したユーザーに向けて広告配信をおこなう「競合ストア購買セグメント」や、ユーザーの行動をビッグデータから学習し、購買を予測して広告を配信する「購買予兆モデル」などもあります。

機能を見ても分かる通り、EC サイトを運営している広告主向けの機能が多いのが Yahoo!コマースアドの特徴です。しかし、広告代理店経由でしか配信できないことや、ランディングページに自社サイトを設定できないこと、コンバージョン計測のためのタグ設置を Yahoo! へ依頼しなければならないことなど、配信のハードルがやや高いという懸念点もあります。

ストアを開設していない場合は、自社の商品がほかの事業者から出品されている場合に限り、配信が可能です。

広告の配信先

Yahoo!コマースアドは、Yahoo!ショッピング（PC やスマホのサイト、アプリ）の TOP ページや商品ページなどに広告が配信されます。具体的な掲載面は全部で以下の7つです。

• Yahoo!ショッピング トップページ
• Yahoo!ショッピング 商品ページ
• Yahoo!ショッピング 注文完了ページ
• Yahoo!ショッピング 注文履歴ページ
• Yahoo!ショッピング 検索ページ
• Yahoo!ショッピング ランキングページ
• Yahoo!ショッピング キャンペーンページ

参考：Yahoo! JAPAN コマースアドの広告掲載面と掲載画像サイズ追加のお知らせ｜Yahoo! 広告 エージェンシーポータル

広告の配信先を選ぶことはできませんが、「特定の商品詳細ページを見た人」や「特定の商品を購入した人」など、配信対象を指定することはできます。

Yahoo! コマースアドと Google ショッピング広告との違い

Google ショッピング広告と同様、Yahoo!コマースアドは Yahoo!ショッピング内に面に掲載される広告です。しかし設定手順など、Google ショッピング広告とは異なる点がいくつかあります。

	Yahoo!コマースアド	Google ショッピング広告
配信面	・Yahoo!ショッピング トップページ ・Yahoo!ショッピング 商品ページ ・Yahoo!ショッピング 注文完了 　ページ ・Yahoo!ショッピング 注文履歴 　ページ ・Yahoo!ショッピング 検索ページ ・Yahoo!ショッピング ランキング 　ページ ・Yahoo!ショッピング キャンペーン 　ページ	・Google 検索「すべて」タブ 　上部または右側 ・Google 検索「ショッピン 　グ」タブ ・Google 検索「画像」タブ ・Google 検索パートナー ・Google マップ
配信するための条件	Yahoo! に連絡し、Yahoo!コマースアドを配信できる機能を代理店アカウントに付与してもらう	広告アカウントを開設すれば 配信可能
コンバージョンタグの設置	Yahoo! へ設置を依頼	代理店や広告主だけで設定可能
リンク先	Yahoo! が運営または提携している サービスサイトのみ	自社サイトなど任意の URL

Yahoo!コマースアドを配信するメリット

ここからは Yahoo!コマースアドを配信するメリットを2つ紹介します。

• Yahoo!ショッピングのデータを用いたターゲティングが可能
• Yahoo!ショッピングに出店していない場合でも広告が配信できる

Yahoo!ショッピングのデータを用いたターゲティングが可能

Yahoo!コマースアドでは、通常の運用型広告で使用できるターゲティングに加えて、Yahoo!ショッピングのデータを利用した独自のターゲティングが使えます。

Yahoo!ショッピングのデータとは、Yahoo!プレミアム会員のユーザーや競合ストアで購買行動をしたユーザー、特定の商品カテゴリを訪問したユーザーの、Yahoo!ショッピング内での行動や属性などを収集した情報です。収集した Yahoo!ショッピングのデータを用いて狙っている層にターゲティングできるのが、Yahoo!コマースアドの大きなメリットです。

以下は、Yahoo!コマースアドで利用可能なターゲティングを表で一覧化したものです。

区分	ターゲティング名	対象
Yahoo!ディスプレイ広告と同様に使えるターゲティング	性別・年齢・地域	特定の性別、年齢、所在地に該当するユーザー
	曜日・時間帯	特定の曜日や時間帯に配信
	デバイス	配信する特定のデバイス（PC・スマホ・タブレット）を使っているユーザー
	行動ターゲティング	特定の興味関心、購買意向、属性（家族構成や年収など）に該当するユーザー
	サーチターゲティング	指定したキーワードで検索したことのあるユーザー
	サイトリターゲティング	特定の Web サイトへ訪問したことのあるユーザー
Yahoo!コマースアド独自のターゲティング	Yahoo!プレミアム会員	Yahoo!プレミアム会員
	特定カテゴリの訪問セグメント	Yahoo!ショッピングで特定の商品カテゴリを閲覧したユーザー
	ストア新規/既存セグメント	自社ストアを新規で利用するユーザーまたは、既に利用したことのあるユーザー
	競合ストア購買セグメント	競合ストアを利用したことのあるユーザー
	ストアリターゲティング	自社ストアに訪問したことがあるユーザー
	購買予兆モデル	広告主が販売している商品と同じカテゴリの商品を購買したユーザーに類似したユーザー
	購買履歴	特定の商品を購買したことのあるユーザー
	広告閲覧履歴	広告が表示されたことのあるユーザー
	広告クリック履歴	広告をクリックしたことのあるユーザー
	商品詳細閲覧履歴	特定の商品詳細ページを閲覧したことのあるユーザー

Yahoo!ショッピングに出店していない場合でも配信ができる

Yahoo!コマースアドは、Yahoo!ショッピングに出店していなくても配信できる広告です。

Yahoo!ショッピングに出店すると、Yahoo!ショッピング内に自社ストアとしてネットショップを持ち、商品を販売できます。しかし、出店するためには「契約審査」と「開店審査」の2つを通過しなければいけません。

契約審査では会社情報や銀行口座情報、出店予定商材などを確認し、出店する企業や商品に問題がないかを審査します。契約審査を通過した後におこなわれる開店審査では、ストアデザインやカート設定などを確認し、開店するショップの設定に問題がないかが審査されます。

2つの審査が終わるまでに最大15営業日かかるため、Yahoo!ショッピングに出店していない場合は、商品を販売できるまでに時間と工数がかかります。

Yahoo!コマースアドは、自社の商品が販売代理店のストア内で出品されている場合、Yahoo!ショッピングに自社ストアがなくても商品が出品されていれば、広告代理店経由で広告配信ができます。

そのため、販売代理店や小売店に卸しているだけで、自社の EC サイトを持っていないメーカーでも、自社商品が Yahoo!ショッピングに出品されてさえいれば、出店手続きをすることなく広告を配信できます。

Yahoo!コマースアドを配信する際の注意点

Yahoo!コマースアドは、設定や配信手順において、検索広告やディスプレイ広告と異なる点が2つあります。配信準備をする前に注意点を理解し、スムーズに設定を進められるようにしましょう。

リンク先に設定できる URL が指定されている

Yahoo!コマースアドでリンク先として設定できる URL は、Yahoo!コマースサービスのドメインのみです。

Yahoo!ショッピングのドメイン（.shopping.yahoo.co.jp）や通販サイト「ロハコ」のドメイン（.lohaco.yahoo.co.jp）のように、Yahoo! が運営または提携しているサービスサイトにのみリンク先として設定できます。自社 EC サイトに遷移させるための設定ができないため注意しましょう。

リンク先に指定できるドメインは以下の9種類です。

サービス名	ドメイン
Yahoo!ショッピング	shopping.yahoo.co.jp／shopping.geocities.jp
ズバトク	toku.yahoo.co.jp
スタンプラリー	stamp.yahoo.co.jp
エールマーケット	yellmarket.yahoo.co.jp
ロハコ	lohaco.yahoo.co.jp
PayPay 銀行	bank.yahoo.co.jp
Softbank	softbank.jp
Y!モバイル	ymobile-store.yahoo.co.jp
LYP マイレージ	lypmileage.yahoo.co.jp

広告代理店経由で Yahoo! で依頼しなければ配信できない

Yahoo!コマースアドを配信するためには、Yahoo! に配信希望の旨を連絡し、Yahoo! 側で手続きをしてもらう必要があります。

Yahoo!コマースアドは代理店アカウントでのみ配信が可能なため、配信したい場合は Yahoo! 広告の認定パートナー代理店に依頼が必要です。

また、代理店から Yahoo! に配信希望の連絡をしてから配信開始できるまで10営業日程度かかります。

書類の提出などは不要で、Yahoo! へ配信希望の連絡をすれば手続き完了ですが、検索広告やディスプレイ広告のように広告アカウント開設後すぐに配信できるわけではないため、配信したい場合はスケジュールに余裕を持って進めましょう。

Yahoo!コマースアドの配信手順

ここからは、Yahoo!コマースアドの配信手順を紹介します。

入稿などの準備は代理店でおこなう内容のため、メーカー企業などの広告主の方は、代理店に依頼したあとに、ここで紹介する手順を伝えるとスムーズかもしれません。

Yahoo! へ連絡してから入稿完了までの流れは以下になります。

1. Yahoo! へ連絡して、Yahoo! コマースアドの配信申請をおこなう
2. Yahoo! 側で広告管理画面に Yahoo! コマースアドの配信権限付与をおこなう
3. 広告管理画面で Yahoo! コマースアドが入稿可能になる（申請から約2営業日）
4. 広告を入稿
5. コンバージョン計測設定を Yahoo! に依頼する（任意）
6. Yahoo! 側でコンバージョンの計測設定が完了する（依頼から最大10営業日、任意）
7. 配信開始

コンバージョンの計測設定は任意の項目です。設定しなくても配信は開始できますが、広告の効果を正しく把握するため、特別な理由がなければ設定することをおすすめします。

Yahoo! への連絡

Yahoo! コマースアドを配信するには、まず Yahoo! に問い合わせをする必要があります。メーカー企業などの広告主の方は、代理店に Yahoo!コマースアドを配信したい旨を連絡すれば、代理店側で対応してくれます。その後、Yahoo! の媒体担当者によって Yahoo!コマースアドの配信審査がおこなわれます。

審査開始から約2営業日で広告管理画面に Yahoo!コマースアドのメニューが表示されるようになり、広告配信が可能となります。

もし媒体担当者が分からない場合は、広告アカウントの問い合わせ窓口から確認しましょう。問い合わせは広告管理画面右上の「ヘルプ」にある「チャットで質問」から可能です。

広告管理画面でキャンペーン作成

Yahoo! 広告管理画面に Yahoo!コマースアドのメニューが表示されたら、キャンペーンの入稿をおこないます。

「キャンペーン作成」をクリックし、キャンペーン目的で「コンバージョン」か「サイト誘導」を選択したときに、Yahoo!コマースアドの選択項目が表示されていれば入稿が可能です。

その後は、Yahoo!検索や Yahoo!ディスプレイでキャンペーンを作成するときと同様に、キャンペーン情報を入力します。

キャンペーン設定の必須項目を入力したら、次に広告グループの情報を入力します。

最後に、広告を作成すれば入稿完了です。

広告を作成する際は、画像もしくは動画を入稿する際の画像サイズにも規定があるため確認しておきましょう。

種類	推奨サイズ（ピクセル）	最小サイズ（ピクセル）
バナー（画像）	600×500	300×250
	1,456×180	728×90
	936×120	468×60
	320×1,200	160×600
	640×100	320×50
	640×200	320×100
レスポンシブ（動画）	640×360	640×360
レスポンシブ（画像）	1,200×628	1,200×628

Yahoo!コマースアドでは、Yahoo! のサービス内にタグを設置する必要があるため、コンバージョンの計測設定は Yahoo! に依頼が必要です。

Google タグマネージャーなどの外部ツールを用いた設定はできないため、広告管理画面で発行したコンバージョンタグの情報を Yahoo! に共有し、設定を依頼しましょう。

コンバージョン計測設定のために Yahoo! に共有する情報は、「Yahoo!コマースアドを配信する広告アカウントの ID」「コンバージョンタグの yahoo_ydn_conv_io」「コンバージョンタグの yahoo_ydn_conv_label」「計測対象商品名」の4つです。

Yahoo! にコンバージョン計測設定を依頼してから完了するまでは最大10営業日かかります。余裕を持って依頼しましょう。

Yahoo!コマースアドの仕様を理解し、広告運用の施策検討に役立てよう！

この記事で紹介した Yahoo!コマースアドは、Google ショッピング広告に比べて手順が複雑で、配信をしたことがない方にとってはハードルが高く思えるかもしれません。

しかし、Yahoo!ショッピング特有のターゲティングがあることや、自社 EC サイトを持っていない方でも簡単に配信ができることなど、メリットも多くあります。

Yahoo!コマースアドについて詳しく理解することで、お客様のビジネスに合った施策提案にも繋がり、広告成果を最大化できる可能性があります。

この記事を通して知った Yahoo!コマースアドを、今後の広告配信に役立てたいと思ってもらえれば幸いです。