運用型広告

縦型動画広告が配信できる媒体を一挙に紹介!メリットと成果を出すコツもまとめました

写真や映像は横長という常識が、ここ数年で変わってきているように感じます。縦型動画を見ること、撮ること、シェアすることが増えてきている昨今、広告にもその波は押し寄せています。今回は、縦型動画広告とはどのようなものかと配信するメリット、配信できる媒体、縦型動画広告で成果を出すコツを紹介します。

縦型動画広告とは

縦型動画広告とは、YouTube ショートや TikTok、Instagram ストーリーズ・リールなどでフルスクリーンで表示される9:16の動画広告です。各媒体の機能に縦型動画が追加されたり、縦型動画に特化したプラットフォームが出てくるなど、近年注目されています。以下は主な縦型動画のリリース年表です。

  • 2016年8月:Instagram ストーリーズが全世界でリリース
  • 2016年9月:抖音(ドゥイン)*が中国でリリース
  • 2017年10月:TikTok が日本でリリース
  • 2020年8月:Instagram リールが全世界でリリース
  • 2020年9月:YouTube ショートがインドで初リリース
  • 2021年7月:YouTube ショートが日本でリリース
    *TikTok の中国での名称

また、2020年3月から日本では 5G が商用化され、Wi-fi 接続していない環境でも動画が止まることなく見やすくなりました。このような世間の流れもあり、縦型動画広告を含む動画広告への注目や投資が増えてきています。サイバーエージェントの調査によると、2022年の動画広告市場は5,601億円に到達し、2023年には7,209億円、2025年には10,524億円にのぼる見込みです。

画像引用元:サイバーエージェント、2022年国内動画広告の市場調査を実施|Cyber Agent

縦型動画広告の5つのメリット

縦型動画広告には、横型動画や画像を使った広告にはないメリットが5つあります。広告配信をする際はこの5つのメリットを意識しながらクリエイティブの作成をしたり、訴求内容を考えたりするのがいいでしょう。

  1. スマホの画面を独占し、没入感が出せる
  2. 縦型動画向けの配信面で効果が出やすい
  3. スマホを縦向きのまま動画を見てもらえ、サイト操作がしやすい
  4. UGC 風にすることでユーザーに受け入れられやすい
  5. 人物を大きく映せる

1. スマホの画面を独占し、没入感が出せる

縦型動画広告はスマホの画面いっぱいに表示されます。横型動画の広告や画像を使った広告は、縦型動画広告に比べスマホで見たときの占有率が低くなってしまいます。縦型動画広告であれば、自社広告以外のあらゆるコンテンツを排除できるため、広告だけを集中して見てもらえます。

広告において縦型動画を一役有名にした、株式会社 AOI Pro. が2016年4月に制作したミュージックビデオです。当時まだ新しかった縦型動画は「スマホがジャックされたようだ」と言われ、フランス・カンヌで行われた広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」のサイバー部門において銅賞(Bronze Lion)を受賞しています。

RUN and RUN / lyrical school 【MV for Smartphone】|YouTube

このミュージックビデオのように、縦型で作られた映画予告編もあります。こちらは2016年に制作され、現在では7年ほど経ちますが、今観ても斬新な映画予告編だと思います。

映画業界初!縦型映像のスマホジャック予告編が誕生!『キング・オブ・エジプト』予告編|YouTube

以上のように、縦型動画はフルスクリーンで表示されるため、うまく生かすと没入感のある動画広告になります。

2. 縦型動画向けの配信面で効果が出やすい

当たり前かもしれませんが、縦型動画向けの配信面で効果が出やすいのも利点です。TikTok や Instagram ストーリーズ、YouTube ショートなどには、縦型動画でなくても広告の配信はできますが、見やすくなく、効果もイマイチになる可能性があります。

TikTok 公式では、横型と比べ縦型に切り出した動画広告の方が、6秒視聴率が391%、エンゲージメント率が923%高くなったとの調査結果もあります。

画像引用元:「TikTok広告クリエイティブTips」公開 〜横型動画を縦型に編集することで、効果を最大化〜


通常の横長動画をそのまま配信してしまうと、動画が真ん中に小さく表示されるだけで見づらいため、クリック率などの反応が落ちると考えられます。

3. スマホを縦向きのまま動画を見てもらえ、サイト操作がしやすい

縦型動画広告はスマホを縦向きにしたまま動画視聴できるため、動画をクリックして遷移した先のサイトでも操作がしやすいのがメリットだといえます。

動画の視聴からサイト遷移、そのサイトでの商品やサービスの購入までが一貫しているので、ユーザーがすべて片手だけで操作でき、ストレスを感じづらくなります。

4. UGC 風にすることでユーザーに受け入れられやすい

UGC(User Generated Contents:ユーザー生成コンテンツ)は、情報サイトのレビューや口コミ、SNS 上での一般ユーザーのコンテンツ投稿を指します。縦型動画広告においては、このようなユーザーの投稿を模した広告クリエイティブが受け入れられやすい傾向があります。

動画編集ソフトなどを使ったプロクオリティの凝ったものよりも、SNS アプリに実装されている簡易的な編集しかしていない動画がユーザーからのアクションを得ていることも多くあります。

UGC 風の動画はありのままを映しており、悪意のある編集がされていないように感じるため、ユーザーは構えずに動画を見ることができます。

例えば、株式会社エイチ・アイ・エスによるタイアップ縦型動画は UGC 風の編集になっており、「友達のストーリー(Instagram ストーリーズ)見てるみたいな動画で楽しい」などの好意的なコメントで溢れています。

【指原フワ】ゥチらの夏休みハワイ旅、最高すぎ!!|YouTube

ちなみに自分の周りでは、SNS に動画をアップする際に、横長よりも縦長で投稿することが多いと感じています。Instagram のストーリーズやリール、TikTok などを見ても、友人の投稿は縦型動画が多いのではないでしょうか?そのため UGC 風の動画を作るときは横よりも縦で構成やストーリーを考えてみるとよいかもしれません。

5. 対象物を大きく映せる

縦型動画では、人物の全身やバストアップ、物撮りでも対象物を大きく映せます。広大な風景や大人数を撮影するには縦型動画は向いていませんが、1人2人を大きく見せたり、対象物の全体をなめるように撮る場合には最適です。

全身のコーディネートを見せたいアパレルブランドや高さのある商品などの場合は、特におすすめのフォーマットです。

縦型動画広告を配信できる広告メニュー

縦型動画広告を配信できる主要な広告メニューをまとめて紹介します。なお、Twitter 広告や Yahoo! ディスプレイ広告では、縦型動画は配信できないため注意しましょう。

TikTok 広告

縦型動画といえば、まず TikTok を思い浮かべる方も多いと思います。TikTok とは、2017年10月に日本でもリリースされた15秒や60秒、最大10分までの動画を投稿できる SNS です。TikTok でのバズをきっかけにヒットソングが生まれるほどに影響力があります。

代表的な楽曲として、TikTok 内で5億回を超えて視聴された「エジソン – 水曜日のカンパネラ」や、歌詞に合わせて投げキスや両手を頬に当てるポーズをするダンス動画で人気になった「可愛くてごめん feat. かぴ – HoneyWorks」などがあります。

TikTok 広告では、TikTok のフィードだけでなく Pangle などのパートナーにも表示できます。動画の尺は5秒から60秒まで設定できますが、媒体推奨は9秒から15秒になっています。年齢や性別などの属性から類似ターゲティング、興味関心まで幅広いターゲティングが利用可能です。縦型動画を作ったら必ず配信したい広告メニューです。

▼ TikTok のターゲティングについてはこちら

TikTok広告で使えるターゲティングを解説!最適化のコツは“絞りすぎないこと”

TikTok広告のターゲティングの特徴は、ユーザーが TikTok アプリ内で起こした行動にもとづいたターゲティングができることです。

Google 広告の YouTube ショート

2021年7月13日に、YouTube で縦型動画の新機能「YouTube ショート」がリリースされました。YouTube ショートは最大60秒のショート動画を投稿できる機能ですが、そのショートでも縦型動画広告を配信できます。

YouTube ショートの広告出稿は Google 広告の管理画面からおこないます。縦型動画を設定すると、YouTube ショートや YouTube の検索結果をはじめ、 YouTube 外の動画パートナー枠にも広告配信されます。TikTok と併せて、ぜひ配信したい広告メニューです。

Meta 広告のストーリーズ・リール

Meta 広告には Instagram と Facebook、Messenger が含まれます。その中で Instagram のストーリーズとリールは、縦型動画広告として特に押さえておきましょう。

2016年8月に Instagram の新機能として追加された「ストーリーズ」は、15秒から60秒の縦型ショート動画を投稿できるものです。スタンプやフィルター機能が多数あり、投稿から24時間で消える特徴があります。2017年3月から広告配信ができるようになりました。

Instagram ストーリーズ

「リール」は2020年8月に発表された機能で、ストーリーズと同様に縦型フルスクリーンの動画コンテンツです。自身で撮影した動画素材と Instagram で利用できる音源や AR フィルターなどを組み合わせた、最大15秒のショート動画です。

ストーリーズは投稿から24時間で消えますが、リールはフィード投稿と同様に残ります。リール面の広告は、リールを見ているときに、ユーザーの投稿の間に数回に1回表示されます。

LINE 広告の LINE VOOM

LINE VOOM(ブーム)は LINE アプリ内にできた新機能で、ユーザー一人一人に最適化されたショート動画が表示されます。Android アプリでは2021年11月25日、iOS では同年12月13日からスタートしています。

画像引用元:LINE広告の特長とは?配信面や費用、導入事例を総まとめ

LINE 広告で縦型動画を配信すると、LINE VOOM のほか LINE NEWS やパートナー枠にも表示されます。

Pinterest アド

2022年6月に発表された Pinterest アドでも縦型動画広告を配信できます。これまで紹介したものに比べるとリーチできるユーザー数は多くありませんが、ほかの広告メニューで縦型動画広告を配信しているのであれば Pinterest アドでも配信することをおすすめします。

Pinterest アドのイメージ

縦型動画で成果を出すコツ

ここからは縦型動画広告で成果を出すコツを紹介します。コンバージョン獲得においては、一眼レフなどの本格的なカメラは必要なく、スマートフォンのカメラで撮影した動画素材でも問題ないでしょう。

冒頭の一瞬で興味を引く

縦型動画は画面の占有率が高い分、スキップされやすいフォーマットです。したがって、短時間でユーザーの興味を引けるよう、冒頭3秒から6秒にユーザーの関心を集める訴求を入れるなどの工夫をしましょう。

例えば、EC 事業をおこなっている方の場合、冒頭から6秒までの間に商品のベネフィット(使用効果や強み、選ばれる理由など)をいれると、6秒以降にベネフィット訴求がある動画と比べて110.8%以上も CTR が高かったというデータがあります。

冒頭から6秒以内にベネフィット訴求をした動画とそれ以外の動画の CTR 比較
画像引用元:TikTok運⽤型広告クリエイティブTips〜EC業界〜|TikTok for business

きちんと縦型に切り出す

縦型動画広告を配信する場合、既存の横長動画をそのまま設定して上下の空きを画像素材で補填したり、1つの素材を上下に段積みして調整することは避けましょう。TikTok の公式ヘルプでは、同じ素材でも縦型に合わせて切り出したものが視聴率とエンゲージメント率どちらも最高になった事例が紹介されています。

画像引用元:「TikTok広告クリエイティブTips」公開 〜横型動画を縦型に編集することで、効果を最大化〜


完全に一から撮影し直す必要はありませんが、編集はし直したほうが、より高い効果が見込まれます。

動画内にテキストを入れる

動画とは別でテキストを設定できますが、動画の下部に小さくしか表示されないため、動画編集時にテキストを載せておきましょう。編集時のひと手間で成果に大きな差が出るので、労力を惜しまずにおこないたいポイントです。

画像引用元:「TikTok広告クリエイティブTips」公開 〜横型動画を縦型に編集することで、効果を最大化〜

セーフティゾーンにテキストなどを配置する

商品や人物の顔、テキストなどの重要情報は「セーフティゾーン」に配置するようにします。縦型動画では動画素材のうえにロゴやテキスト、CTA ボタンが重複表示されることがあります。それらの真下は動画が映らなくなるため注意が必要です。広告メニューごとにどれだけ空けておくべきかは異なるため、以下で確認してください。

広告メニュー空けておくべきエリア
TikTok上部13.125%と下部40%前後
YouTube ショート上部10%と下部25%
Instagram ストーリーズ上部14%と下部20%
Instagram リール上部14%と下部35%
LINE VOOM上下約13%ずつ
各媒体の縦型動画広告を出す際に空けて置くべきエリア

上記の中でも特にセーフティゾーンが小さい Instagram ストーリーズとリールは、余白をしっかりととっておくようにしましょう。動画制作時にテキストがはみ出したりしないように注意が必要です。

画像引用元:Metaビジネスヘルプセンター テキストオーバーレイとセーフゾーンについて

スマホに最適化したランディングページを用意する

縦型動画広告は主にスマホで閲覧されてタップされるので、スマホに最適な縦型のランディングページにしましょう。新しいページを制作する際は PC で確認することが多いですが、スマホ実機でも確認する必要があります。スクロールの操作性やボタンの押しやすさ、文字サイズが小さすぎないかなど、以下の記事を参考に確認しましょう。

▼ スマートフォン向けのランディングページ制作についてはこちら

スマートフォン向けのランディングページを制作する時に守りたい9つのチェックポイント

スマートフォン向けランディングページを作成するコツとして、ユーザーが知りたい情報を1ページにすべて掲載するということがあります。作成にお悩みの方は、スマートフォンユーザーやノウハウを理解し、スマートフォンに合わせて最適化することの重要性を学んでいくことから始めましょう。

無音は避ける

TikTok では自動音声でテキスト読み上げのナレーションを入れることもできます。オーガニック投稿でもよく使われているので、もし自社で BGM を用意できなかったり、地声を入れられなかったりする場合は、ナレーション機能を使ってみてもよいでしょう。

BGM を設定するときは、動画のストーリーに集中できる程度の音量になるようにしましょう。大きい音で設定すると、視聴をやめてしまう恐れがあります。

縦型動画広告はもっと重要になっていく

Web 広告において、縦型動画は一時的な流行りではなく、今後ますます多くなっていくフォーマットではないかと私は考えます。実際に自分の周りでも、Instagram のストーリーズや TikTok を使い始めている人が増えています。

Web 広告業界でも徐々に活用している企業が増えてきているので、この記事を参考に、今のうちに縦型動画広告を始めてライバルを一歩リードしていきましょう。

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記事を書いた人

瀬畑 輝
瀬畑 輝

広告事業部 マネージャー

2016年4月に新卒入社。入社10カ月で代表滝井直属の広告運用チームに異動。 入札調整や広告文作成から、サイト改善提案まで代表から直接指導を受ける。 toB/toC比率は半々で、アプリ広告も担当。特に好きな媒体はFacebook広告。 海外旅行が好きで、アメリカ横断経験あり。趣味は服映画ヨガアート猫もろもろ。

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