Web マーケティングに携わる人にとって、押さえておきたい IT に関する基礎知識は様々ありますが、URL パラメータもそのひとつです。
特に広告運用者にとっては、Google アナリティクスで流入元を正確に把握できるようにするために URL パラメータ設定が必要になることが多いのではないでしょうか。
この記事では、URL パラメータに関する基礎知識と、Google アナリティクスでの分析に必要な URL パラメータの付け方を媒体別(Google 広告・Yahoo! 広告・Meta 広告・LINE 広告・X 広告)に解説します。
URL パラメータとは、URL に挿入する変数と値の組み合わせです。例えば、運用型広告のトラッキング、アクセス解析ツールでの流入元のトラッキング、Web サイトのコンテンツの絞り込みや並び替え、検索条件の指定などいろいろな用途で使われています。
下記の例では、URL の「?」以降がこれにあたります。
URL パラメータには、大きく分けてアクティブパラメータとパッシブパラメータの2種類があります。それぞれの特徴や例、用途は以下の表の通りです。
パラメータの種類 | 説明 | 例 | 用途 |
---|---|---|---|
アクティブパラメータ | Web ページ内に表示されるコンテンツを変化させるためのパラメータ。 | https://www.kwm.co.jp/ ?s=Google |
特定条件のコンテンツ絞り込みや並び替えに用いる |
パッシブ パラメータ |
主にユーザーの流入経路を判別するためのパラメータで、Web ページ上のコンテンツは変化しない | https://www.kwm.co.jp/ ?utm_source =twitter&utm_medium =social&utm_campaign =winter_sale |
流入経路の解析 (例:Google アナリティクス) |
アクティブパラメータは、Web ページ内に表示されるコンテンツを変化させるために付与されるパラメータのことです。
例えば、キーマケのブログの「記事を検索」で、「Google」と検索した場合、記事内に「Google」というキーワードを含む記事のみに絞り込まれた検索結果が表示されます。このとき、URL は「https://www.kwm.co.jp/?s=Google」となります。
このように、アクティブパラメータは、特定の条件を満たすコンテンツにのみ表示を絞り込んだり、並び順を変更したりするのに用いられます。
一方で、パッシブパラメータは、主にユーザーの流入経路を判別するために付与されるもので、Web ページ上のコンテンツは変化しません。これから解説する Google アナリティクスの UTM パラメータは、パッシブパラメータの一つです。
URL パラメータを設定しないで広告を配信しても、広告の管理画面上でクリック数や費用、コンバージョン数といった指標は確認できます。
しかし、URL パラメータを設定し、Google アナリティクス上で流入元を把握できる状態にしておくと、異なる広告媒体をまたいだ成果の確認や、広告管理画面上では分からないユーザー行動の分析が可能になります。
まず URL パラメータを設定することで「参照元/メディア」を正確に計測できます。
例えば、URL パラメータを使わずに広告を配信すると、広告経由だと判定されず、検索経由(organic)や SNS 経由(social)に含まれてしまうことがあります。これでは特定の広告媒体経由で流入したユーザーの動きを見たい場合に、正確な分析はできませんよね。
「?utm_source=facebook&utm_medium=cpc」といったパラメータを使うことで、より正確に広告経由の成果がわかるようになります。
なお、Google 広告ではデフォルトで「自動タグ設定」がオンになっているので、URLパラメータを使わなくても「参照元 / メディア」が「google / cpc」となり、Google 広告からの流入であることが分かるようになっています。
商材が高単価であったり、予算が少額の場合、1件のコンバージョンで成果が大きく変化してしまうため、広告管理画面上だけで成果を評価することが難しい場合があります。
そのような場合に、Google アナリティクス上のデータを利用して広告の評価をする場合があります。
例えば「エンゲージメント率」を他の流入経路と比較することで、どちらの流入経路で熱心に Web サイトを閲覧したセッションの割合がより多かったかがわかります。
特に商品や機能の数が多い商材の場合、この数値が高いほど、ユーザーの検討度が高いと考えられます。また著しく落ち込んでいるようであれば、ターゲティングにズレがあるのかもしれません。
このように広告管理画面上だけでは分析できないデータを Google アナリティクスで確認できるのです。
前述の通り、URL パラメータを設定しなければこのような数値を正確に測ることはできないので、広告配信をおこなう前に設定しておくと、いざ見たいと思ったときに便利です。
ではさっそく URL パラメータの設定をしていきましょう。
ここでは Google アナリティクスで Web サイトを分析する前提で、URL パラメータの基本の付け方と広告媒体別(Google 広告・Yahoo! 広告・Meta 広告・LINE 広告・X 広告)の付け方を細かく解説します。
まず Google アナリティクスで分析をおこなう際に設定すべき URL パラメータの要素を見ていきましょう。「任意」のものは省略して大丈夫です。
パラメータ名 | 説明 | 必須 /任意 |
パラメータ値の例 |
---|---|---|---|
utm_source | 参照元、どこから流入したか | 必須 | google、yahoo、facebook など |
utm_medium | メディア、参照元の一般的な分類 | 必須 | cpc、organic、social など |
utm_campaign | キャンペーン | 必須※ | 任意の文字を設定可能、kwm_remarketingなど |
utm_term | キーワード、広告管理画面で設定しているキーワード | 任意 | 設定しているキーワード |
utm_content | コンテンツ (画像名など、任意) |
任意 | banner1、bannerA |
また URL パラメータには作成時にいくつかルールがあります。
パラメータの値は基本的には任意で設定することができるので、後から分析したり他の方が見たりしても分かるようにしておきましょう。初めのうちは URL 生成ツール(Campaign URL Builder)を使用すると簡単かつミスが少なくなります。
必要な値をいれていくだけでパラメータを作成することができます。
URL 生成ツールの使い方がよく分からない方は「【画像で解説】キャンペーンURL生成ツールとは?使い方と間違いがちな3つの注意点」の記事も参考にしてみてください。
Google 広告と Yahoo! 広告は「広告」ごとだけではなく、「アカウント」「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」などさまざまな階層で、URL のオプションを使用して URL パラメータを設定することが可能です。
URL のオプションでは個別にパラメータを設定するのではなく、一括でパラメータを設定できるので、手間が減ると同時に設定ミスも防ぐことができます。
広告ごとではなくより大きな階層で設定をおこなうことで、アカウント構築の際の手間を減らすことができるだけではなく、広告を追加したときに付与し忘れる心配がなくなります。
また URL パラメータ部分だけ変更をおこないたい際に、広告の審査なしに実施できることもメリットです。
URL オプションには「トラッキングテンプレート」「カスタムパラメータ」があります。それぞれご紹介していきます。
トラッキングテンプレート(Yahoo! 広告の場合はトラッキング URL)は、トラッキング情報を入力する項目で、広告がクリックされると、入力した情報を基にランディング ページ URL が作成されます。
例えばトラッキングテンプレートで「{lpurl}?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=01」と設定して、広告での最終リンク先に「https://www.kwm.co.jp/」と入れると、広告をクリックした先の URL は「https://www.kwm.co.jp/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=01」となります。
トラッキングテンプレートはアカウント単位、キャンペーン単位など広告より上の階層でも使用できるため、広告ごとに設定するより工数を減らせます。さらに一括で設定できるので、設定漏れを防ぐことができます。
また分析をおこないたい情報に合わせて変数(ValueTrack パラメータ)を使用することができます。以下は代表的な変数をまとめたものです。
Google/Yahoo! 変数 |
表すもの | 例 |
---|---|---|
{lpurl} | ランディングページの URL | https://www.kwm.co.jp/ |
{keyword} | キーワード | リスティング広告 |
{matchtype} | 広告表示につながったマッチタイプ ・完全一致:「e」 ・フレーズ一致:「p」 ・部分一致:「b」 |
e,p,b |
{device} | 広告が表示されたデバイス ・m:スマートフォンとモバイル ・t:タブレット ・c:PC |
m,t,c |
{campaignid} | キャンペーンID | 123456 |
{adgroupid} | 広告グループID | 12345678901 |
{creative} | 広告固有のID (広告トラッキングID) |
1234567890123 |
たとえば設定しているキーワードを含めたい場合は{keyword}、加えてマッチタイプを含めたい場合には{matchtype}と設定します。
例)term に検索キーワードを入れたい場合
{lpurl}?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=01&utm_term={keyword}
→https://www.kwm.co.jp/?utm_source=yda&utm_medium=cpc&utm_campaign=01&utm_term=キーワード
URL パラメータに設定したい変数を任意で作成することができるのがカスタムパラメータです。アカウント以外の階層で Google 広告は最大8つ、Yahoo! 広告は最大3つ設定ができます。
例えばキャンペーンごとに分析をおこないたい場合、任意の文字列を設定することも可能ですが、変数を使用することも可能です。
{campaignid}がデフォルトで用意されているものの、こちらはキャンペーン ID なので一目でどのキャンペーンなのか判別することは難しいです。
その際にアカウント単位のトラッキングテンプレートで「{campaign_name}」と設定し、キャンペーン単位のカスタムパラメータで「{campaign_name} = remarketing」「{campaign_name} = interest」と設定をおこなうと、Google アナリティクスで確認した際に判断しやすくなりますなります。
このように任意の変数を設定したい際にカスタムパラメータを使用します。
URL のオプションはアカウント、キャンペーン、広告グループなど階層別に設定することが可能ですが、複数の階層で設定されている場合には、より低い階層の設定が優先されます。
「アカウント」での設定より「キャンペーン」、「キャンペーン」での設定より「広告グループ」が優先順位が高くなります。
Google 広告は「アカウント」「キャンペーン」「広告グループ」「広告」「アセット(サイトリンク)」「キーワード」の単位で URL パラメータを設定することができます。ここではキャンペーン単位で設定をおこなう方法をご紹介します。
まずキャンペーン一覧の画面を開き、URL パラメータを設定したいキャンペーンのキャンペーン名横にある歯車マークをクリックします。
キャンペーンの設定画面が開くので、最下部にある「その他の設定」をクリックしましょう。表示される項目の中に「キャンペーン URL のオプション」があるので、こちらを開き設定します。その際「?」の前に最終リンク先 URL の変数である「{lpurl}」を入れて、最終リンク先 URL が挿入されるようにしましょう。
完了したら設定している変数が意図通りになっているか「テスト」をクリックして確認し、保存をしたら完了です。
Yahoo! 検索広告も Google 広告と同様に「アカウント」「キャンペーン」「広告グループ」「広告」「広告表示アセット(クイックリンク)」「キーワード」に設定可能です。ここでもキャンペーン単位で設定をおこなう方法をご紹介します。
まず設定したいキャンペーンを選択し、「キャンペーン設定」を選択します。
画面上部の「編集」をクリックし、「その他」の中にある「URL オプション」の選択肢で「指定する」を選択し、任意の設定をおこないます。
Google 広告と同様、「?」の前に最終リンク先 URL の変数である「{lpurl}」を入れて、最終リンク先 URL が挿入されるようにしましょう。ここまで完了したら「編集内容を保存」して完了です。
Yahoo! ディスプレイ広告は、「アカウント」と「キャンペーン」、「広告グループ」、「広告」の単位で URL パラメータを設定することができます。ここでもキャンペーン単位で設定をおこなう方法を紹介します。
まず設定したいキャンペーンを選択し、「キャンペーン設定」を選択、「編集」をクリックします。
画面一番下の「URL オプション」の項目で「設定する」を選択し、任意の設定をおこないます。ここでも同様に、「?」の前に最終リンク先 URL の変数である「{lpurl}」を入れて、最終リンク先 URL が挿入されるようにしましょう。
完了したら設定している変数が意図通りになっているか「URL をテストする」をクリックして確認し、保存をしたら完了です。
Meta 広告は広告ごとに URL パラメータを設定する必要があります。設定は「ウェブサイトの URL」に直接記載する方法と「トラッキング」内の「URL パラメータ」を使用する方法があります。
どちらで設定をおこなっても問題はありませんが、広告追加の際に既存の広告を複製する可能性があるならば、「トラッキング」内の「URL パラメータ」を使用した方が設定忘れを防ぐことができるのでおすすめです。
Meta 広告の広告追加画面に「トラッキング」という欄があります。この「URL パラメーター」に任意の URL パラメータを入力します。この時「?」は自動で入力されるので、ここでの設定は不要です。
以下の画面では例として、「utm_source=meta&utm_medium=cpm」を URL パラメーターに入れています。
また「URL パラメーターを作成」を選択すると、先ほど紹介した Google の URL 生成ツールのようにパラメータを設定することも可能です。
任意の文字列だけではなく、キャンペーン ID や広告 ID などの変数を使用することも可能なので、Meta 広告の ID を変数として使用して分析をおこないたい場合には、こちらを使用してください。
LINE 広告も広告ごとに URL パラメータを設定する必要があります。Meta 広告のように URL パラメータ専用の入力箇所もないので、リンク先の設定と一緒におこなう必要があります。
URL パラメータは広告追加画面の「リンク先 URL」で設定をおこないます。
以下の画面では例として「https://www.kwm.co.jp/?utm_source=line&utm_medium=cpc&utm_campaign=remarketing」をリンク先URL(任意)の箇所に入力しています。
この際ランディングページに URL パラメータを設定した URL を入力することも可能ですが、審査で「否認」と判定される場合があるようです。
そのためランディングページには URL パラメータなしの URL を、リンク先URL には URL パラメータなしの URL を入力するのが安心です。
ランディングページ
ユーザーに表示したい URL を入力してください。計測用パラメータ付きURL を入力した場合、審査で「否認」と判定される場合があります。リンク先URL(任意)
引用元:広告を作成する|LINE for BUSINESS
計測ツールをお使いの場合は、計測用パラメータ付きURLを入力してください。
X(旧 Twitter)広告も、広告ごとに URL パラメータを設定する必要があります。LINE 広告同様、Meta 広告のように URL パラメータ専用の入力箇所もないので、リンク先の設定と一緒におこなう必要があります。
URL パラメータは、広告用ポストを作成する際に設定する「ウェブサイトの URL」に URL パラメータを含める形で設定します。
以下の画面では例として「https://www.kwm.co.jp/?utm_source=twitter&utm_medium=cpc」をウェブサイトの URL の箇所に入力しています。
URL パラメータは設定しなくても広告配信をおこなうことは可能です。しかし、広告管理画面だけでは分からない情報を取得して、分析するためには必要不可欠になってきます。
URL パラメータを間違えて設定してしまうと、Google アナリティクスなどで分析する際に、その間違った設定が優先されるため正しく分析ができません。なので、URL パラメータを設定するときは細心の注意を払い、正しく設定をおこない分析していきましょう。
広告運用 コンサルタント
2020年1月に広告運用コンサルタントとして入社。新卒で入社した不動産会社向けシステム会社で、気づいたらマーケティング担当になっていて、サイト運営や広告運用などいろいろ携わった元”なんでも屋のぼっちマーケター” 広告運用以外だとGoogleAnalyticsとZapierが好き。鈴木愛理とハロプロに支えられ、毎日楽しく広告運用してます。
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