「若者のテレビ離れ」という言葉をよく耳にするようになった今、注目を集めているのが動画メディアです。無料動画配信プラットフォームとして有名な YouTube をはじめ、AbemaTV、Amazon プライムビデオのようなサブスクリプション(定額制)サービスなど、さまざまなメディアが存在し、多くの方が使用しています。このような動画メディアが広がるとともに注目され、配信量が伸びているのが運用型の動画広告です。
画像のみを使用したバナー広告と比較して、動画広告は視覚だけでなく聴覚でも商品やサービスをアピールできる点から、よりリッチな広告であるといえます。今回はそんな動画プラットフォームの一つである「TVer」に広告を配信できる、TVer 広告をご紹介します。
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TVer 広告とは、テレビ番組の見逃し配信を無料で楽しめる動画サービス「TVer」に配信できる、6秒~60秒の動画広告です。 通常のテレビ CM のような形式の動画広告が流れること、広告はテレビ CM と同様にスキップできないことが特徴として挙げられます。
TVer 広告には、設定後に広告の配信を TVer 側にお任せする「フルマネージドプラン」と、CPM の調節が可能な「セルフサーブプラン」があります。
TVer 広告にはほかの動画広告とは異なる特徴があります。配信するかどうかを決める際に参考にしてください。
TVer 広告の一番の特徴は、動画の完全視聴率の高さです。テレビ CM と同様にスキップできないということもあり、広告動画の完全視聴率はどのデバイスでも95%以上になっているので、広告が表示されればほぼ最後まで視聴されると考えてよいでしょう。
TVer 広告は、テレビ CM のように自然なタイミングで広告が挿入されるため、ユーザーが予測できるタイミングで広告が挿入されることも、完全視聴率が高い要因の一つなのかもしれません。
ユーザーが TVer を利用する際、性別や年齢、興味のあるジャンルなどの情報を入力する必要があります。TVer 広告では、それらの情報を使った高精度のターゲティングが可能です。
設定できるセグメントには性別や1歳刻みの年齢をはじめ、都道府県、市区町村、興味のあるジャンルなどがあります。以下の表はそれらを一覧化したものです。
ターゲティング | 詳細 |
---|---|
性別 | 男性/女性/その他/回答しない |
年齢 | 1歳刻みで可能 |
興味関心+興味関心拡張 | ビジネス/経済、自動車、テクノロジー/ガジェット、ゲーム、ラグジュアリー、ショッピング/ファッション、ヘルスケア、美容、教育/子育て、旅行、映画、金融/ファイナンス、スポーツ/フィットネス、料理/グルメ、ペット、アート/芸術/音楽、環境/SDGs |
CTV 複数人視聴 | 可能 |
住所 | 都道府県、市区町村 |
ジャンル指定/除外 | ドラマ、バラエティ、アニメ、ヒーロー、報道/ドキュメンタリー、スポーツ、その他 |
サブジャンル指定/除外 | 恋愛、サスペンス、ヒューマン、医療、刑事、学園、青春、コメディ、スポーツ、ファミリー、ミステリー、ホラー、時代劇、ビジネス、ファンタジー/SF、旅行/街ブラ、トーク/スタジオバラエティ、お笑い/漫才/コント、生活情報、グルメ、クイズ、音楽、報道、ドキュメンタリー、キッズ、ゴルフ、釣り、サッカー、野球、ラグビー、eSports/ゲーム、格闘技、動物、健康、教養、VTR/ロケ番組 |
冒頭でも取り上げた「若者のテレビ離れ」ですが、近年はよりその傾向が顕著に表れているといえます。全国放送サービス接触動向調査2022によると、10代から20代のいわゆる「Z 世代」の若者のうち、50%近くが「一週間で一度もテレビを見ない」と回答しています。
TVer 広告では、このようなテレビを見ない層に対してもアプローチすることが可能です。また TVer は、パソコンやスマートフォンはもちろん、コネクテッドテレビによる利用も増えています。
コネクテッドテレビとは、インターネットに接続されているテレビのことです。通常のテレビと同様、複数人による大きな画面での視聴が期待されます。
TVer 広告は TVer アプリで配信される動画の間(ミッドロール)や、番組前(プレロール)、番組終了時(ポストロール)に配信されます。
テレビ CM と同じようなタイミングで挿入されることから、ユーザーにとってより自然でなじみ深く、受け入れられやすい形で配信されるといえます。
TVer広告を配信するには、以下の3つの方法があります。
この記事では、「TVer に問い合わせをおこない、自社で運用する方法」を解説します。
ここからは TVer 広告の配信準備や運用方法を解説します。運用方法といっても、 TVer 広告は CPM を任意のタイミングで変更することや配信開始後にターゲットごとに入札調整をおこなうことができません。
動画素材の入稿が完了すれば、あとは配信終了日まで待つだけです。だからこそ、配信開始までの準備や初期設計が、ほかの媒体と比べてとても重要なものとなります。
TVer 広告は、入稿完了後に CPM の調整をおこなうことができません。そのためクリエイティブやターゲティングなど基本的な事項の初期設計に加えて、予算配分の計画を立てることも重要です。
たとえばターゲティングについて、全年齢に配信するが特に20代に多く配信したい場合、20代に向けた配信を強化できるよう、CPM や予算配分を前もって設定しておく必要があります。どのターゲットに対してどのくらいの強度で広告を配信したいのか、優先順位を明確にしたうえで、TVer 社に相談しつつ CPM を決めていきましょう。
ターゲティングや予算配分などの計画を立てたら、次は TVer 広告の配信開始に向けて、広告入稿などの準備を進めていきましょう。入稿作業が完了した後にできることは少ないため、広告の配信準備としてはこれが最後のステップになります。
TVer 広告を配信するには、まずは TVer に問い合わせをする必要があります。以下の公式サイトから問い合わせができるので、確認してみてください。
TVer 広告を配信したい旨を伝えると業態考査が入るので、担当者の案内に従い、広告主の会社名と会社のホームページを TVer 社に伝えましょう。このとき、TVer 社から配信開始までのスケジュールをもらっておくと安心です。
業態考査を通過すると、TVer 社から発注サイトのアカウントが発行されるので、発注用アカウントからログインし広告配信の設定をおこないましょう。
TVer 社から発注用アカウントが発行されたら、発注用アカウントと同時に配布されるマニュアルに沿ってアカウントの設定をおこないます。
まずはアカウントの初期設定として、ログイン設定(ユーザー ID やパスワード)と二段階認証をおこないましょう。アカウントの初期設定が完了すると、発注用アカウントにログインできるようになります。広告配信に向けた準備を進めるには、「新しいキャンペーンを追加」からキャンペーンの新規作成画面に移動します。
まずは広告主や URL、キャンペーン、配信セグメント、掲載期間などを入力します。設定した CPM や発注金額は後から変更できないので、しっかりと確認しながら進めましょう。また TVer 広告では、配信先をスマートフォンや PC のみに絞ったり、クリック URL の指定やコンパニオンアド(バナー)の追加もできます。
すべての内容を入力し「発注する」をクリックすれば、キャンペーンの作成は完了です。TVer 側での確認が入るので、完了するのを待ちましょう。完了すると「受理」というステータスになります。受理中の場合は設定した内容の編集ができないので注意しましょう。ただし、ステータスが「差戻し」や「仮保存」になっている場合は編集が可能です。
動画素材は発注用アカウントから入稿するのではなく、TVer 社の担当者にメールで共有します。TVer 社から共有される素材規定チェッカーをもとに、規定に沿った素材かどうかチェックしたうえで共有しましょう。
素材規定チェッカーは、動画素材をドラッグ&ドロップするだけで、ビデオサイズや CM 尺などが入稿規定に合っているかを確認できます。すべての結果が「OK」になるようにエンコードしましょう。
以下は TVer で配信できる動画のフォーマットを一覧にしてまとめたものです。スマートフォン・PC 用のハイレート、コネクテッドテレビ(CTV) 用のプレミアムレートの2種類があり、すべての媒体で配信をする場合は両方用意する必要があります。
項目 | ハイレート(SP/PC) | プレミアムレート(CTV) |
---|---|---|
CM尺 | 6秒~60秒の間で任意設定 | |
ファイル形式 | MP4(moov atom ; 先頭必須) | |
ブランド (ftyp) | mp42 または M4V | |
ビデオサイズ (pixel) | (W)1,280 ×(H)720 | (W)1,920 ×(H)1,080 |
映像アスペクト比 | 16:9 | |
映像ビットレート | 1,500kbps~2,100kbps | 2,500kbps~3,500kbps |
映像ビットレート区分 | 可変もしくは固定(固定推奨) | |
映像コーデック | H.264(MPEG4)High Profile Level 3.1, 3.2 | H.264(MPEG4)High Profile Level 4 |
映像フレームレート | 29.97fps | |
映像走査方式 | プログレッシブ | |
映像参照フレーム数 | 4以下 | |
音声タイプ | ステレオ(モノラルは疑似ステレオ) | |
音声コーデック | AAC-LC | |
音声ビットレート | 64kbps または 128kbps または 192kbps(192kbps推奨) | |
音声サンプリング周波数 | 44.1kHz または 48kHz(48kHzを推奨) | |
音声ピーク値 | -3dBFS 以下(民放連技術規準 T-032準拠) | |
音声平均ラウドネス値 | ターゲットラウドネス値 -24.0LKFS ±1dB(ただし、-28.0LKFS〜-25.0LKFSの素材も受け入れ可能) | |
総ファイルサイズ | 12MB以内(15秒素材:6MB推奨) | 18MB以内(15秒素材:9MB推奨) |
最新の情報は公式サイトの入稿規定を確認しましょう。
動画素材の入稿完了をもって配信準備は完了となります。あとは配信開始日に広告が配信されるのを待つのみです。フルマネージドプランの場合は運用側で CPM の調整などはできないので、そのまま配信終了まで見守ることになります。
TVer 広告のパフォーマンスレポートは、TVer Ads Platform と異なるツールからダウンロードできます。
表示回数やご利用金額、CPM、視聴数(25%、50%、100%)を、デイリー、キャンペーン、クリエイティブごとに確認できるほか、ファイルのダウンロードも可能です。
ここまでは、基本的に TVer 側にすべてお任せするフルマネージドプランについて解説しましたが、2023年4月から運用者が CPM を調整できるセルフサーブプランの提供が始まっています。
フルマネージドプランの場合は、広告の出稿に際して「最低出稿金額が50万円であること」という条件がありますが、セルフサーブプランの場合は最低出向金額の制限はなく、 CPM がオークション形式になったため、運用者による調整が可能になります。少額から始められるメリットもありますが、一方でフルマネージドプランと比較すると詳細なターゲティングができないというデメリットもあります。
たとえばフルマネージドプランの場合、ターゲティングの年齢設定は1歳刻みでできますが、セルフサーブプランの場合は5歳刻みになります。エリアの設定も、都道府県や市区町村まで設定できるフルマネージドプランに対し、セルフサーブプランでは都道府県単位のみです。
セルフサーブプランではバナーを設置できるコンパニオン広告や DMP も実装されていません。このようにフルマネージドプランと比較すると、セルフサーブプランはターゲティングや機能の一部が制限されているというデメリットがある一方、広告の配信を少額から試すことができるという大きなメリットもあります。TVer 広告が気になっている方は、まずはセルフサーブプランを検討してみるとよいでしょう。
動画広告を配信できる広告媒体やメニューはさまざまですが、民放テレビ番組の見逃し配信などで市民権を得ている TVer はサービス最大手の一つであり、そこに配信できる TVer 広告は配信するメリットが大きいといえます。媒体の特長を理解したうえで、広告配信を検討してもよいのではないでしょうか。
弊社でも、TVer 広告をはじめとする動画広告の運用はもちろん可能ですので、自社での運用が難しい場合はぜひご相談ください。
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広告運用 コンサルタント
2020年1月に広告運用コンサルタントとして入社。新卒で入社した不動産会社向けシステム会社で、気づいたらマーケティング担当になっていて、サイト運営や広告運用などいろいろ携わった元”なんでも屋のぼっちマーケター” 広告運用以外だとGoogleAnalyticsとZapierが好き。鈴木愛理とハロプロに支えられ、毎日楽しく広告運用してます。
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