TikTok を見ていると、有名なインフルエンサーが企業のサービスを紹介している投稿に「広告」のタグが付いているのを見たことがあると思います。Instagram や Twitter で第三者のオーガニック投稿を利用した配信方法がありますが、TikTok でも同様に、影響力のある第三者の投稿や過去に投稿された反響の良いオーガニック投稿を利用して広告を配信できます。
この記事では、TikTok の第三者投稿機能である「TikTok Spark Ads」について紹介します。配信時の注意点や配信に向いている商材も紹介するので、TikTok Spark Ads の配信を検討している方はぜひ参考にしてください。
TikTok Spark Ads とは、ユーザー(インフルエンサーやクリエイター、広告主など)が投稿した動画を、TikTok のタイムライン上に流れる広告(インフィード広告)の枠に配信できる広告フォーマットです。もちろん自社アカウント以外のインフルエンサーや一般ユーザーの投稿を使う際は、必ず投稿主に許可を取る必要があります。
動画の説明文(キャプション)と CTA をタップすると事前に設定しているページへ遷移し、プロフィール画像(アイコン)またはアカウント名のタップ、あるいは画面を左にスワイプすると、広告を配信しているアカウントのページに遷移します。
最低出稿金額は通常の TikTok 広告と同様に、キャンペーン単位で1日あたり5,000円、広告グループ単位では1日あたり2,000円です。
また TikTok Spark Ads では、投稿された動画、音源、投稿文をそのまま広告に利用することができます。通常、TikTok 広告の広告文は絵文字やハッシュタグを使うことができませんが、TikTok Spark Ads を利用した場合は、投稿文がそのまま反映されるため、絵文字やハッシュタグがついた状態で広告配信されます。
オーガニック投稿に近い状態で配信されるため、視聴完了率やエンゲージメント、コンバージョン率が通常の広告よりも良くなる傾向があります。
TikTok 公式のデータによると、TikTok Spark Ads は通常の広告と比べて動画視聴完了率が30%上昇、エンゲージメント率142%上昇、CVR43%上昇、CPM4%上昇と全体的に成果が良いと言われています。
Spark Adsを使用すると、動画視聴数・エンゲージメント率・CVR・CPMなどのキャンペーン結果が全体的に向上します(Spark Ads以外の広告との比較:動画視聴完了率 +30%・エンゲージメント率 +142%・CVR +43%・CPM −4%)。また、意図的でないクリック数を減らしてCVRを高めることもできます。
引用元:Spark Ads Overview | TikTok Ads Manager
TikTok Spark Ads では広告主以外(第三者)の動画も使えるので、今までとは違う切り口でアプローチしたいときや、自身では動画のアイデアが思い浮かばないときなどに活用してみるとよいでしょう。
TikTok Spark Ads を配信するメリットには下記の2つが挙げられます。
TikTok Spark Ads はオーガニック投稿を広告に利用できるため、TikTok クリエイターやインフルエンサーが作成したコンテンツを広告として利用できます。
TikTok クリエイターやインフルエンサーは消費者である一般のユーザーに近い立場です。そのため、自社で広告用に作成した動画とは異なり、ユーザー目線の切り口でアプローチできます。
また、TikTok はおすすめフィードに表示されると動画の再生回数が伸びるプラットフォームで、バズ動画を何度か生み出しているクリエイターの投稿を利用することで訴求力の強い、TikTok のプラットフォームに馴染んだ広告を配信できます。
ただし、TikTok Spark Ads でインフルエンサーの動画を広告に使用する場合、インフルエンサー側に承認作業や広告に利用する動画の共有などを依頼する必要があります。広告主だけでは広告を配信できないので注意しましょう。
通常、TikTok の運用型広告は、ターゲティング設定によってリーチするユーザー層やリーチ数をコントロールできます。オーガニック投稿を広告に利用する TikTok Spark Ads も、同様にターゲティング設定によるコントロールが可能です。
認知施策として広告配信をおこなうのであれば、リーチ数が多くなるように幅広いターゲティング設定を、獲得目的であればターゲットを狭め、広告を見て行動を起こすようなユーザーだけをターゲティング設定し配信することもできます。
TikTok Spark Ads を配信する際にはデメリットもあります。メリットだけでなくデメリットも理解することで、意図した配信結果に近づきます。
TikTok Spark Ads は、広告説明文と CTA をクリックすることでユーザーをランディングページに誘導できますが、投稿のプロフィール画像(アイコン)かアカウント名をタップ、または画面を左にスワイプすると、オーガニック投稿と同様に投稿主のプロフィールページに遷移します。
TikTok Spark Ads 以外の広告であれば、どこをクリックしてもランディングページに移動するため、ランディングページに流入させることを目的に配信する場合は、TikTok Spark Ads 以外の広告が適しています。
また、TikTok Spark Ads は CTA を設定しなくても配信できますが、確実にランディングページに遷移させたい場合は CTA を設置し、ユーザーからクリックされやすいようにしましょう。
広告主が投稿した動画を用いる場合でも、第三者が作成した投稿を利用する場合でも、広告に使用した動画(コンテンツ)は編集できません。
例えば投稿内のテキストを任意のものに変更したい場合や、音楽を変更したい場合でも、元々の投稿の内容のまま配信されます。そのため、動画(コンテンツ)内に意図しない内容(ほかのブランドの商品やサービス、著作権に引っかかる映り込みや音源など)が含まれていないかなどを事前に確認しておきましょう。
うっかりやってしまいがちな例として、自身では音を入れていなくても、店内の BGM が動画に入ってしまったり、アクセサリーや洋服にほかのブランドが明らかに映り込んでしまっていたりすることがあります。
TikTok Spark Ads を配信するには、投稿主の協力が必要です。動画使用の許可を得ることをはじめ、もし自社の商品やサービスを紹介している動画を使いたい場合は、投稿の作成を依頼する必要もあります。そのため通常の広告よりも準備に時間がかかる場合があります。
投稿を広告として利用するには投稿主側での作業も発生するため、計画的に依頼と準備をおこないましょう。
著作権に抵触している音源が投稿内で使用されている場合、広告としての配信はできません。商用利用が許可されている音源や TikTok 商用楽曲ライブラリの楽曲を使用すれば、著作権に抵触しません。
TikTok 商用楽曲ライブラリ以外の音楽を使用したい場合は、楽曲の商用許諾を取ったうえで、楽曲の使用が承諾されている旨を TikTok に確認してもらうことで使用できます。
TikTok Spark Ads は、商品を使っている様子やユーザー目線でのレビューが購入や契約の決め手になる商材が向いています。
例えば、過去半年間で配信された TikTok Spark Ads には、オンラインで学科試験の予行演習ができる自動車学校の広告や、筋トレグッズの使用感を解説する広告などがありました。
ユーザー目線で実際に体験したり評価したりしている様子を伝えることで、視聴しているユーザーに受け入れられやすく、説得力の強いコンテンツになり、成果に繋がりやすくなります。
ほかにも洋服などのアパレル商品やコスメなどは、実際に使用している様子や使用した感想が購入の決め手になる可能性が高いので、TikTok Spark Ads に向いています。
TikTok Spark Ads を配信するには、広告アカウントと TikTok アカウントを連携する必要があります。連携方法は2つあり、それぞれで手順が異なるため、手順を理解したうえで設定を進めましょう。
自社で所有するアカウントを使用する場合、TikTok アカウントがビジネスアカウントであり、かつ直接ログイン可能(ログイン ID とパスワードが手元にある状態)であることが必要です。もし TikTok アカウントが個人アカウントの場合は、ビジネスアカウントへ切り替えておきましょう。
アカウントを連携するには、まず広告マネージャー右上の「ユーザー設定」をクリックし、設定画面に移動します。
次に、ユーザー設定画面の「個人情報」タブから「TikTok アカウントを連携する」を選択します。このとき、連携する TikTok アカウントの ID とパスワードの入力が必要なので準備しておきましょう。
ID とパスワードを入力したらアカウントの連携は完了です。
アカウントの連携が完了したら、広告マネージャーで、先ほど連携した TikTok アカウント内にある投稿を用いた広告を作成しましょう。
広告の作成方法は TikTok Spark Ads 以外の広告を作成する手順と同じで、広告マネージャーから「広告」タブを選択し、「作成」をクリックします。
キャンペーンと広告セットの作成画面でそれぞれ必要な情報を記入したら、広告作成画面で「TikTok アカウントを使用して Spark Ads を配信」をオンにします。
オンにしたあと、「所有アカウントを使用」から「アカウント連携」で任意のアカウントと連携します。連携が完了すると、連携した TikTok アカウント内のオーガニック投稿を選べるようになります。
広告として配信したい投稿を選択後、「確認」ボタンを押せば広告作成は完了です。
TikTok Spark Ads を配信するためのもう1つの方法は「第三者の投稿を使用する」パターンです。第三者の投稿を使用する場合は、TikTok アカウントがビジネスアカウントである必要はありません。
TikTok Spark Ads 以外の広告を作成する方法と同じく、まずは広告マネージャーから「広告」タブを選択し、「作成」をクリックします。
キャンペーンと広告セットの作成画面でそれぞれ必要な情報を記入したら、広告作成画面で「TikTok アカウントを使用して Spark Ads を配信」をオンにします。
すぐ下にある「他の承認済みアカウントまたは投稿動画を使用」を選択し「+TikTok 上の投稿動画を承認」をクリックします。
「+TikTok 上の投稿動画を承認」をクリックすると、権限申請画面が表示され、動画のコード入力を求められます。
動画コードとは TikTok の動画に与えられているコードのことで、投稿者の TikTok アプリ上から取得可能です。
第三者の投稿を利用する場合は、クリエイターやインフルエンサーなどその動画の投稿者にコードの発行を依頼する必要があります。
動画の投稿者が動画コードを発行するには、まず TikTok プロフィールの設定画面から広告設定をオンに切り替えます。
次に、広告に利用したい動画の右下にある「…」ボタンをクリックし、「広告設定」から「広告使用承諾」をオンにします。「広告使用承諾」をオンにしたあと、動画の有効期間を選択すると動画コードを発行できます。
動画の有効期間は、動画を広告に利用できる期間で、承認作業をしたその日からカウントが始まります。そのため、第三者と依頼主(広告主)側で事前に連絡を取り合い、広告に利用する期間を決めておきましょう。
第三者から動画コードをもらったあとは、広告管理画面の「+TikTok 上の投稿動画を承認」をクリックした後に表示される権限申請画面で、動画コードを入力しましょう。動画コードを入力し「検索」を押すと、右側に対象の動画が表示されるので、間違いなければ「確認」を押して完了です。
ここまで紹介してきたように、TikTok Spark Ads を使うことで、影響力の強いクリエイターのコンテンツを利用して、ユーザーの関心を引きやすい形で自社の商品やサービスを宣伝できます。
一方で通常の広告とは違い、事前に理解しておくべき注意点も複数あるため、TikTok Spark Ads について理解を深め、広告の成果の最大化に適しているのかを見極めることが重要です。
TikTok Spark Ads を正しく理解し、自社の商品やサービスの宣伝に役立てましょう!
広告運用 コンサルタント
2020入社。大学でマーケティングを専攻→キーマケに入社し広告事業部に配属される。配属後2ヶ月で動画広告作成に携わる等、検索やディスプレイ広告以外も勉強中。趣味はギターと温泉。特に冬の露天風呂は至高。
あなたの広告アカウントを無料診断します
広告アカウント診断詳細なお見積りをご希望の方はこちら
お問い合わせ支援事例などをまとめたサービス紹介資料はこちら
サービス資料のダウンロードはこちら