動画形式の広告は、TikTok 以外の広告媒体でも配信できるので、他媒体で配信した経験がある方も多いかもしれません。しかし、TikTok 広告は縦型で再生されるという点で他媒体と大きく異なります。
TikTok 広告で成果を上げるためには、TikTok の媒体特性に合ったクリエイティブで配信することが大切だといえます。
私の経験でも、他の広告媒体で配信していた動画クリエイティブを TikTok 広告に流用したものより、TikTok に合うように作成したクリエイティブの方がいい成果で配信できた事例があります。
他の広告媒体で配信していた動画クリエイティブを TikTok でも使用した時の CPA は、約12,000円でしたが、TikTok に合うように縦型にしてテンポをアップさせた動画クリエイティブでは、およそ半分の約6,000円でコンバージョン獲得ができました。
コツを押さえれば、TikTok に合った広告クリエイティブの作成はそれほど難しくありません。今回の記事では、TikTok 広告の基本的な入稿規定から作成ポイントまで紹介します。
まずは TikTok 広告を通じて配信できる広告フォーマットを紹介します。TikTok 広告では大きく分けて3つの配信面があり、TikTok アプリ、動画共有アプリ BuzzVideo 、TikTok が運営するモバイル広告プラットホーム Pangle に広告配信ができます。
それぞれの広告フォーマットと対応する配信面は次のとおりです。
広告フォーマット\配信面 | TikTok | BuzzVideo | Pangle |
---|---|---|---|
9:16縦型動画 | ○ | ○ | ○ |
1:1スクエア動画 | ○ | ○ | ○ |
16:9横型動画 | ○ | ○ | ○ |
1200×626横長画像 | × | ○ | ○ |
640×640スクエア画像 | × | ○ | ○ |
720×1280縦型画像 | × | ○ | ○ |
カルーセル(スクエア・横長画像) | × | ○ | × |
プレイアブル広告 | × | × | ○ |
TikTok 広告といえば動画広告というイメージが強いかもしれませんが、実は TikTok 以外の配信面では画像も配信できます。とはいえ、全ての配信面に対応するためにも動画クリエイティブは必須で用意しましょう。
TikTok と BuzzVideo の配信面における、各広告フォーマットの表示のされ方は次の画像を参考にしてください。
Pangle はさまざまなアプリ内の広告枠に配信されます。大きく分けて次の4つの広告枠があります。
入稿した広告フォーマットに合った広告枠に配信されます。
それぞれの広告フォーマットに決められた入稿規定があります。また、配信面によっても入稿規定が異なる場合があります。
動画形式の広告の入稿規定は次のとおりです。BuzzVideo は9:16の広告枠がありませんが、9:16縦型動画を入稿した場合、自動的に1:1の広告枠に収まるように調整されて配信されます。
TikTok | BuzzVideo | Pangle | |
---|---|---|---|
アスペクト比 | 9:16/1:1/16:9 | 1:1/16:9 | 9:16/1:1/16:9 |
動画の長さ | 5~60秒(9〜15秒推奨) | 制限なし(5〜60秒推奨) | 5〜60秒(動画リワード広告は5~30秒) |
動画解像度(px ) | 540×960以上(9:16) 640×640以上(1:1) 960×540以上(16:9) | 制限なし ※推奨解像度は下記のとおり 720×1280以上(9:16) 640×640以上(1:1) 1280×720以上(16:9) | 制限なし ※推奨解像度は下記のとおり 720×1280以上(9:16) 640×640以上(1:1) 1280×720以上(16:9) |
ファイル形式 | mp4/mov/mpeg/3gp/avi | mp4/mov/mpeg/3gp/avi/gif | mp4/mov/mpeg/avi |
ビットレート | 516 kbps 以上 | ||
ファイルサイズ | 500 MB 以下 | ||
広告説明文 | 半角1~100字または全角1~50字 ※絵文字や特殊文字は使用不可 | ||
プロフィール画像 | アスペクト比:1:1 ファイル形式:jpg/jpeg/png ファイルサイズ:50 KB 以下 | ||
アプリ名・ブランド名 | アプリ名:半角4~40字または全角2~20字 ブランド名:半角2~20字または全角1~10字 |
画像形式の広告の入稿規定は下記のとおりです。画像広告フォーマットは TikTok では配信できません。画像を広告クリエイティブとして設定した場合、自動的に TikTok が配信対象外となります。
BuzzVideo | Pangle | |
---|---|---|
画像解像度(px ) | 制限なし ※推奨サイズは500 KB 以下 | 1280×628以上/640×640以上/720×1280以上 |
ファイル形式 | jpg/png | jpg/png |
ファイルサイズ | 制限なし ※推奨サイズは500 KB 以下 | 最大500 KB |
広告説明文 | 半角1~100字または全角1~50字※絵文字や特殊文字は使用不可 | |
アプリ名・ブランド名 | アプリ名:半角4~40字または全角2~20字 ブランド名:半角2~20字または全角1~10字 |
カルーセル広告は BuzzVideo のみで配信できる広告フォーマットです。複数枚の画像と、画像ごとに異なるテキストと URL を設定できます。設定した画像は横方向に並んで表示され、ユーザーがスライドすることで異なる画像を次々に表示できます。
設定項目 | 詳細 |
---|---|
画像枚数 | 2~10枚 |
ファイル形式 | jpg/png |
画像サイズ(px ) | 640×640/1200×628 ※上記以外のサイズもアップロード可能。アップロード後に選択したサイズに調整される。 |
ファイルサイズ | 制限なし ※推奨サイズは500 KB 以下 |
テキスト | 半角12~40字または全角6~20字 ※絵文字は使用不可 |
TikTok 広告で成果向上を目指すなら、TikTok の特性に合わせた広告クリエイティブでの配信が重要です。TikTok 広告で配信する広告クリエイティブ作成のポイントを紹介します。
縦型以外の形式の広告フォーマットも配信可能とはいえ、やはり TikTok では縦型の広告の方が成果が出やすい傾向にあります。横長の動画素材しか持っていない場合でも、横長の動画をそのまま使うのではなく、上下にテキストを記載したスペースを追加したり、トリミングしたりすることで、縦型編集してクリエイティブを作成しましょう。
実際に、横長動画(動画上下の余白は黒く表示される)と比較して、縦型に切り出した動画は6秒視聴率が391%、エンゲージメント率が923%になり、上下の余白にテキストを入れて縦型形式にしたクリエイティブでは6秒視聴率が203%、エンゲージメント率が431%になったという事例が TikTok 公式から報告されています。
TikTok で流れる動画には、説明テキストやアイコンが動画上に表示されます。広告も動画と同じ形式で表示されます。
動画内に入れた文字や要素が説明テキストやアイコンに被ってしまうと、かなり見えづらくなります。説明テキストは動画の下の方に、アイコンは動画右端に表示されるため、この部分にはテキストなどを入れないようにしましょう。また、画面上部にも「フォロー中」「おすすめ」などの文字が表示されることに注意しましょう。
視認性の高いセーフティーゾーンにテキストや重要な要素が収まるように構成することが大切です。次の画像は TikTok 公式が公開している、TikTok のオーガニック投稿におけるセーフティーゾーンです。広告は、アクションを起こすためのボタンや説明文の長さによって、セーフティーゾーンがさらに狭くなることがあります。設定内容によりますが、画像内の赤枠が、広告における実質のセーフティーゾーンになることがあります。
動画広告の場合、音声での説明によって、商品やサービスの魅力を訴求することができますが、TikTok が常に音を出せる環境で使用されるとは限りません。電車内など音が出せない環境や、聞こえづらい環境で TikTok を見るユーザーがいる可能性もあります。
音声が出ない環境で表示されても広告のメッセージが伝えられるよう、言葉での説明が必要な広告は字幕をつけましょう。管理画面上で字幕を入れることができる機能もTikTok 広告にはあるので、別のツールを用意する必要もありません。
広告を入稿した後は、意図した通りに広告が表示されるか確認することをおすすめします。テキストやアイコンに被って、動画が見えにくくなっていないか、BGM は適切な音量になっているかなど、実際にユーザーに表示される環境と同じでないとわからないこともあります。
入稿した TikTok 広告のプレビューを、アプリ上で確認できます。
TikTok 広告管理画面の広告一覧画面から、プレビューを確認したい広告にマウスを置くと、広告名の下にメニューが表示されます。
1番右にある3つの点が並んでいるマークをクリックすると、さらにメニューが表示されます。そこから「プレビュー配信を設定」を選んでクリックします。表示された QR コードを TikTok アプリで読み取ると、アプリ上で広告のプレビューを確認できます。
TikTok アプリ側では「友達を見つける」から QR コード読み取り機能を使用して、広告管理画面に表示された QR コードを読み取ります。すると「スキャンが完了しました」という表示が出ます。
下にある「広告プレビュー」のボタンを押すと TikTok のフィードに戻るので、このフィード上で広告プレビューを確認します。ただしすぐには表示されないので、複数回上にスワイプをして動画を飛ばすとプレビューが表示されます。
静止画よりも多くの情報を届けられる動画広告は、情報の伝え方に工夫が必要です。1つの広告を作成する場合でも、BGM や効果音、エフェクトなどたくさんの要素があり、組み合わせ次第で無数のパターンを作成できてしまうからです。そのため、どんなクリエイティブを作成したらよいか悩んでしまうこともあります。
そんなときは、TikTok の「クリエイティブセンター」を活用しましょう。TikTok 上に投稿されている動画の事例を参考にできます。特に話題になっている動画や使用されている楽曲、ハッシュタグまで公開されています。
また、通常の TikTok の投稿だけでなく出稿されている広告の事例も確認できます。動画のどの秒数でクリックされているかを確認できるので、クリエイティブ作成の参考になるでしょう。
「縦型動画の素材がない」、「縦型動画の作成に慣れていない」という方も心配はいりません。横長動画から切り出したり、横長動画の上下の余白にテキストを入れたり、できることからクリエイティブを作成してみるのがよいでしょう。
BGM や字幕、エフェクトなどの要素を組み合わせると、また少し違ったパターンの広告クリエイティブを作成できます。いきなり完璧な広告クリエイティブを作成することは難しくても、まずはシンプルな動画を作ってみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
編集部
モットーは、分かりにくいを分かりやすく。Web広告の知識に長けた編集陣が、リスティング広告やSNS広告などの運用型広告の最新情報、Webマーケティングのノウハウを分かりやすく解説します。
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