前編・中編・後編の3回に渡ってお届けしているFaber Company古澤氏とのSEO対談。中編となる今回は、コンテンツSEO成功のカギとなる2つの役割や、体制づくり、コスト感についてお話しいただきました。(インタビュアー:滝井 秀典)前編はこちら。
SEO対策を独学で習得、2005年にアフィリエイターとして事業を開始し、高いパフォーマンスを紡ぎ出す。その後、SEOに関するコンサルティングなどを手掛けるセルフデザイン・ホールディングスを設立、2014年にFaber Companyと社名を変更、SEO領域だけでなく、サイト制作・改善の提案、リスティング広告運用代行業など、幅ひろい事業を行う。
例えば、Googleがユーザー行動を見ているとすれば、ページを見たユーザーが「なんだこのコンテンツ」とSERPs(検索結果画面)に戻り、他のページで目的を達成してしまえば、前者は「このコンテンツはダメコンテンツだ」と評価されてしまうわけです。
じゃあ、中小企業でマーケティングや戦略が分かっていて、自社の強みや商品・サービスの良さが分かっているのって、主に社長ですよね。
その社長がコミットすることが大事です。成果が出るまで担当者を鼓舞したり、社長もミーティングに参加して知恵を絞るといったコミットメントが絶対必要なんですよね。なので、完全外注は難しいんです。
まず、「考える」という部分は社長とディレクターです。
社長はさっきお話ししたように、自社の強みや商品・サービスの良さを一番わかっているしお客さんとも一番触れてきているので、戦略みたいなのものは頭の中にあるはずなんですよね。ただ、そのイメージをSEOとしての実務に転換する人が必要なんです。
社長もSEOの世界観を勉強している暇ってないですから、社長が「こういうのが良いんじゃない」とか「ああいうのがいいんじゃない」って言ったことを、「それって、こういうことですよね」ってSEOの実務に変換する役割が必要になります。
この人を探す、育てるのが一番難しい。
こういった人が、社長の話を聞いて、「こういうページを作りましょう」とか「こういうコンテンツを作っていきます。よろしいでしょうか」と実務に変換してくれる体制が作れるといいですね。
さらには、集めた潜在ユーザーをどうやって購買ユーザーにステップアップさせていくのか?という設計も社長が一緒に考えないといけません。
まとめますと、今コンテンツSEOで成果を出そうと思ったら、社長の他にもう1人、専任ではないとしてもWeb担当者あるいはマーケティング担当者に任せることができることが第一条件ということでよろしいでしょうか。
ディレクターの方が「今週この施策をして、アクセスが何回あって、問い合わせが何件来ました」っていう報告を社長にする時間ですね。
ただ、文章を書くって大変じゃないですか。
なので、ディレクターの方が書ける可能性っていうのは低いと思うんですよ。そうすると、外注のライターさんが必要になりますよね。
このライターさんはもちろん知人がいれば知人がベストです。
その他に外注費やSEOの勉強のための投資、コンサルティングなども含めると月に50万円は超えるのかなという感覚ですか。
型が出来上がったと言いますか、SEO業者やフリーランスの方含めて、試行錯誤の段階は終わってます。
クラウドソーシング上にも「SEOライティング」っていう仕事が確立されてるんですよ。
1記事の文字数をそのくらいと仮定してもやはり2、3万円はかかりますね。
「結婚式 髪型」のようなクエリは画像が中心ですし、「ネクタイ 結び方」なら動画ですし、「ニューヨーク 時間」なら答え1行ですが、ここでは読み物コラムのイメージで話を進めます。
相場としては、加工物1点につき安いところだと2000円ぐらい、腕の良い方だと5,000円くらいですね。
僕が最近使っているのは、coconala(ココナラ)っていう在宅ワーカーさん探しができるサービスですね。こういうサービスをディレクターの方にはうまく使って欲しいですね。
基本的には、ランサーズやクラウドワークスのようなクラウドソーシングサービスです。
そういう市場になってますね。仕事を受ける方も発注する方もそこが指標になっているので、そこが一番熟れた部分ですね。
ただし、玉石混交なので選抜試験は欠かせません。
書く作業は「考える」という事でもあるので協創できる方が望ましいです。
ロジカルシンキングが好きで、学歴や職歴の中でレポートを書いてきたとか、小学校の読書感想文コンクールで入賞したとか、そういう方って一定数いますよね。
そういう方が近くにいる場合はまずその方を誘うべきです。
子育てでキャリアを離れてフリーでライターをやっている元新聞記者の女性の方とか、派遣にもそういう方ってたくさんいらっしゃいます。
時給2,000円で1日5時間来てもらったら1万円お支払いすることになるので、その方が2日、3日の稼働で1記事書いてくれるのであれば外注費としては1記事3万円ぐらいですよね。
お友達とか、社員の奥さんとか、まずはそういったところから当たってみるのがベストですよね。
まず、ただ執筆を外注してるだけだったり、ちょこちょこブログを書いているものの成果を感じられなかったりするような方に関しては、何からスタートしたらいいのかいいのでしょうか。
順位が上がれば成果につながるであろうキーワードで検索した時に、自社のサイトより上位にいるサイト、特に1位から3位辺りのサイトがどんなSEO対策をしているかってことを、SEOに土地勘のある人に全部紐解いてもらいます。
ライバルが何をやってるかが分かったうえで、それをどうやって越えるかっていう作戦を立てて、それを粛々と進めて行くっていうのが絶対一番早いです。
そして、調べてもらった結果、コンテンツじゃないっていうことも結構あるんですね。
例えば、静岡市の歯医者さんだったら「静岡市 歯科」とか、東京で言うと「渋谷 整体」とか調べるじゃないですか。
そうすると「ローカルパック」って呼び方をするんですけど、検索結果画面で地図と地図の下にお店のリストが3つ、4つくらい出ますよね。ローカル検索されるキーワードに関してはあそこがアクセス数を多く取っているはずなんですよ。
そういう登録って社長さんがやろうと思うと億劫になっちゃいますけど、若い社員さんならヘルプ見ながらパッとできちゃうんで、「Googleマイビジネスに登録しといて」ってお願いするといいですよね。
そして登録が終わったら情報を充実させていきます。営業時間などの文字情報を充実させてお店の写真をいっぱい載せるとかやってるとそれだけでローカルパックに表示される場合があるんですよ。
上位実現には距離要素が最も影響が大きいと言われていますがここでは割愛しますね。
実際、それだけで1日1、2件問い合わせ電話が増えたっていう事例もあるので、それはもうSEOによる成果ですよね。
コンテンツなんかいらないっていうケースもある。だからこそSEOに土地勘がある方に一度見てもらうのがベストなんですよ。
お客様からの質問やQ&Aサイトの内容を全部読み込んでいくと、自社の商品やサービスを利用する可能性のある方が悩んでいることがわかってきますよね。
その質問をグルーピングして答えるっていう、質問に対するアンサーが1つのコンテンツ記事になるので、それを一生懸命作ってアップしていくということが一番最初ですよね。
これがコンテンツSEOの入り口になるんですね。
その結果を見ながら、SEOの土地勘がある方と一緒にこのキーワードで順位を上げるためにもっと掘り下げて書いてみましょうとか、タイトルタグの言葉をちょっと変えてみましょうとかっていう改善作業が必要ですね。
なので、WordPressのようなCMS(コンテンツマネージメントシステム)を導入して、ブログの仕組みを使うこと自体は必要ですが、日記を書くわけではないです。
そこの言葉の意味は誤解して欲しくないですね。
僕は「語の感性」を短縮して「語感」って呼んでるんですが、語感のある方っているんですよ。
このキーワードは儲かるよねとか、このキーワードで検索する人ってこれが知りたいよねっていうことをかなりの精度で当てる方がいるんです。
そういう方ってどういうコンテンツを作るべきかってことが十分に想像できているし、機械的に関連語や共起語を入れようとしなくても良い文章が書けるんですよね。
そういう方は消費者として鋭い感性を絶対持っているはずだから、そういう方がいればツールを使わなくてもできます。
例えば、封筒の印刷している企業さんが封筒で困ってる人のためのコンテンツを作ろうと思っても、困ってねえよって話じゃないですか。
ただ、ひとつ可能性があるのはデザイン性のあるような商材ですよね。そういったものってそれ自体が作品なので。
そういった作品と一緒にお客様が笑顔で喜んでいる写真を、お客様インタビューした記事と一緒にアップして、お客様のブログやTwitterにご厚意で紹介してもらい、自然な形でバックリンクを得るっていうのは良いですよね。
被リンクをもらうチャンスにもなりますし、れっきとしたコンテンツマーケティングですよね。
お客様の声であればどんな業種でもコンテンツは作れるし、自然にバックリンクも得ることができる。これはGoogleが問題視するようなSEO対策ではないですよね。
例えば、「地盤沈下 修正」なんて誰も言葉にできないですよね。 出てくるのは「家 傾き」とかなので、こういう言葉で検索される業界は絶対にやるべきです。
プロとしてアドバイスするってことでコンテンツにしやすいですし、潜在ユーザーとの接点を作れるうえに信頼醸成のチャンスまである。
なので、解決策が出てこないお悩みキーワードは非常にコンテンツSEOにマッチしてます。
カスタマージャーニーで想像すると「家が傾いてる」って情報収集の一番最初ですよね。
その後に検索以外でも少しずつ情報を得ていって情報の精度が上がっていき、そのどこかで信頼できるところに決めるので、今すぐ客に比べれば1/5や1/10ってことはありますね。
なので、リスティング広告のコンバージョン率で考えちゃいけないですね。
ただ、いくらクリックされてもタダなので、コスト計算としてはリスティング広告のようにコンバージョン率は出せないけど、リスティング広告みたいにお金はかからないという感じです。
「社長、やっと形になりましたね」ってのが4ヵ月目、そこからのブラッシュアップで3ヵ月ぐらいはかかるので半年はかかるんですよ。
そこから数が増えていって、電話が鳴ったねとか売上が上がったねって数字に表れるのが1年後ぐらいですかね。
「制作」はホームページの制作を業者に外注したい。「作成」は自分でホームページを作りたいっていう。
例えば、「靴磨き やり方」とか「エアコン 掃除 仕方」とかそういうキーワードってまさに8割くらいが自力市場なんですよね。
もちろん優先度は低いですけど、本当にそのキーワードで日本一になりたいんだったらそこも攻める必要がありますよね。
そういう記事を読んだ人の1、2割は、「こりゃープロには敵わんで。じゃぁここに頼もうぜ」って人が絶対現れるので、コンテンツの最後に「もしよかったらサンプルお取り寄せできますよ」とか「問い合わせしてください」とか「見積もりします」って書いておくと一定数はお客さんになるんですよね。
後編では、「2019年のSEOは総合格闘技」と語る古澤氏自身に迫ります。SEOの第一線で活躍し続ける先見性や経営者として鋭い洞察の根源についてお話いただきました。まさに総合格闘技的に、全方位に金言飛び交う後編はこちら!
人工知能(AI)の一分野である「自然言語処理」を応用し、検索ユーザーのニーズを抽出・分析、評価されやすいコンテンツづくりを的確に支援するWebマーケティングツール。クラウド上で「自社サイトの改善すべきページの抽出」「ライバルサイトとの差異の発掘」など、主にWebコンテンツ改善に活用できる機能が豊富。
株式会社Faber Companyが10年以上経験を積んだSEO・コンテンツマーケティングのノウハウをシステム化し、2015年3月に産学共同でリリースした。導入企業は1,200社以上にのぼる。
開発メンバーには、ウェブアナリストで当社CAO(Chief Analytics Officer)・小川卓に加え、国立大学豊橋技術科学大学情報・知能工学系の吉田光男助教、明治大学理工学部情報科学科・髙木友博教授ら、自然言語処理・人工知能の権威が加わる。ソフトウェア特許を申請中。
代表取締役社長
1989年生。愛知県名古屋市出身。2016年7月よりキーワードマーケティングに入社。ニアショア拠点である九州佐賀支社の立ち上げに携わり、広告運用のオペレーションセンターの立ち上げを成功させる。オウンドメディアを立ち上げ、年間350件以上のお問い合わせを生むメディアへと成長させる。2019年4月に取締役COOとして組織運営に参画、2024年3月より代表取締役社長に就任。
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