SEOプロフェッショナル、起業家、事業家、システム開発者と、様々な顔を持つ古澤氏に、SEOの現状、今どんな対策をすべきか、そして今後どうなっていくのかをお伺いしました。前編・中編・後編の3回に渡ってお届けします。(インタビュアー:滝井 秀典)
このインタビューは2019年2月におこないました。最新の SEO 情報は「【2022年】正しいSEO対策とは?SEOの基本施策5つをわかりやすく解説」をご覧ください。
SEO対策を独学で習得、2005年にアフィリエイターとして事業を開始し、高いパフォーマンスを紡ぎ出す。その後、SEOに関するコンサルティングなどを手掛けるセルフデザイン・ホールディングスを設立、2014年にFaber Companyと社名を変更、SEO領域だけでなく、サイト制作・改善の提案、リスティング広告運用代行業など、幅ひろい事業を行う。
これは「良い学術論文は他の論文に引用されるはず」という発想からきています。
例えば、僕が学者として何かについて論文を書いてたとすると、「古澤という学者の論文のこの部分は非常に優れているから、ここを引用してさらに深掘りした研究をしよう」というように、優れた論文はさらに優れた論文や研究に引用されるという発想です。
そこからヒントを得て、役に立つWeb ページは様々なWebページからリンクされるはずということで、たくさんリンクをもらっている人たちはPageRankが高くそうでない人たちは低いという、0から10までの数字で示される検索順位に最も影響する指標の一つとして、PageRankという概念が生まれました。
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しかし、当然手間がかかるので、そういうお話をしても実際に実行する方っていうのは1、2割でした。
「やっぱりビッグキーワードの方がかっこいいし、気持ちいいし、どーんとくるじゃん」ってことで、ほとんどの方はバックリンクによるSEO対策に傾倒していきましたね。
その一方で、僕らが実感するぐらいページ内の文字に対する評価がすごく高まったのが2014年でした。
具体的には、検索ユーザーの問題を解決するだけでなく、文章も分かりやすく、挿絵や画像、表組みなども入っていて、「読みやすい!わかりやすい!これだよ、これ!」って思ってもらえるようなページが、リンクがなくても上がってくるようになったのを特に感じました。
しかし、2016年には「過剰なコンテンツSEO」による社会問題も起こりましたね。
「過剰なコンテンツSEO」の問題が起きた頃のGoogleの脆弱性についてご説明したいんですが、例えば滝井さんが織田信長という人を語る時に、どんなキーワードが出てきますか。
何か一つのことについて語るときに必ずセットで出てくるであろう語彙群のことを、共起語って言うんですけど、やはり機械が判定するものなので、文字数が多くてちゃんと共起関係もあるとこのページはちゃんと語ってるなと判定してしまうんですよね。
つまり、ライターさんが社内や社外に何十人もいて、1日数十記事、1か月に何百記事っていう個人事業主や中小企業では考えられないようなスピードで記事をアップしていき、各ページの文字数も多く、共起語が入っているページがどんどん追加されていくのでGoogleが良いサイトだと判定してしまった。
これが当時のGoogleの脆弱性だったんですよね。
例えば、「肩こり 原因」と検索して引っかかってくるのが「肩こりの原因は幽霊がとりついたんじゃないか」と書かれたページだったり。
やはりライターの数が多ければ管理しきれないので、冗談みたいなことがホントに書いてあったりしました。お医者さんが見たら怒るような記事をたくさんあったんですよね。
それで、SNS上で怒る方がたくさん出てきて社会問題になりました。
柔道だけをやっている状態から総合格闘技、立ち技から寝技から関節技から、いろんな技を持ってないと勝てない競技になったイメージです。
具体的に言いますと、コンテンツも重要だけれども、サイトの中の設計としてカテゴリーの設計をして情報の整理をきちんとしなければいけないし、ユーザーも大半がスマートフォンなので、モバイル端末でも読みやすい。
では読みやすさは何かというと、わかりやすい日本語とやはり起承転結です。
さらには、普段スマートフォンでWebサイトを見ている時のことを思い出してほしいんですが、図表や図解、写真、表組み、こういうものがないと長い文章をスマートフォンで読むことができません。
そういったことを考えながら本当にユーザーにとってわかりやすいページを作ることが重要です。
指名検索というのは、例えば私たちであれば「Faber Company」。あるいは私たちがご提供している「MIERUCA(ミエルカ)」というサービス名が世の中でどのくらい検索されているかという推移みたいなのをGoogleは見てますよね。
あとは評判言及やサイテーションなんて言い方をしますけど、私たちのWebサイトや会社が世の中でどういう評判を得ているか。
つまり、良いサービスを作っているのであれば良い評判が出るだろうということを見ていたりしますよね。
僕が総合格闘技と言ったのはまさにこういったイメージで、あらゆることがSEOの順位に影響していて、Googleがあらゆるシグナルを使ってWebサイトを評価している。そして、それが人間の判断に近い状態になってきているということなんですよね。
私たちのようにSEOをやっているプレイヤーが盛んに、今Googleはユーザー行動を見てるよって言い始めたのが2013年、2014年頃なんですよ。
ユーザー行動って何かと言うと要はスマートフォンでの行動だと考えてください。
PCよりもスマートフォンで検索して読むジャンルのほうが圧倒的に多くなっていますよね。
スマートフォンでページをちゃんと読んだか読んでないか、もっと言うと検索結果画面からそのページに移ったあとにすぐ戻ったかどうか。
もう少し丁寧に言えば、ユーザーが目的を達したか否か。
すぐに戻ったということは、検索目的を満たせていないから、戻ってまた検索結果画面で次のサイトをクリックするみたいなことが起きてるんだろうと、単純に考えるとそういうことが想像つくじゃないですか。
そういうユーザー行動をGoogleは評価し始めていると言われ始めたのが2013から2014年頃なんですよ。
「掃除機 壊れた」という検索クエリに対して、修理メーカーのページではなく、掃除機が本当に壊れてしまったかどうかをチェックできるWebサイトが上位表示されるようになった。
つまり、「壊れたから修理したい」ではなく「本当に壊れてしまったのかまずか確認したい」という検索ユーザーの微妙な意図を理解するようになったという。
その中でも、ハックしにくい、つまり攻略しにくい要素の最たるものの中に「指名検索」というのがあると思っています。
言ってみれば、ご指名が多いということはやっぱり一つ信用に足る何かを感じる部分が人間的にはありますよね。
指名が多いというのは、マッサージ師さんでも、スポーツクラブのインストラクターでも、キャバクラ嬢でもそうだと思うんですよ。
繰り返し指名するとすれば満足していると考えますよね。指名検索を繰り返しWebサイトに訪れるというのは一つの信用とか権威の表れなわけです。
ここ(対談場所)は赤坂なんですけれど、滝井さんが赤坂でラーメンを食べて帰りたいなっていう時にまず、「赤坂 ラーメン」と検索するじゃないですか。
色々なWebサイトを見ても結論が出なかったんで、最後に「赤坂 ラーメン 食べログ」って検索した時に、Googleは「そうか、『赤坂 ラーメン』という検索で最終的に指名検索をされる『食べログ』というサイトには権威があるんだね」と判断するわけなんです。
僕がある時データを持って行って、「この会社はテレビCMを流した後にGoogleトレンドで社名を調べてみると伸びているし、この同じ時に順位が伸びてますよね」という話をしたんです。
つまり、指名検索を伸ばすこととSEOには相関関係がありますよねという話をしたんですけど、「まぁ、関係あるかもしれないね」って話しか出てこないんですよね(笑)。
古澤さんは指名検索の伸びはお客様と向き合わないと実現しない指標とあげられてますけど、これはどういった意味なんですか。
キーワードプランナーツールで「古澤脱毛」の月間検索数を調べてみると「なし」って出るような状態から、その脱毛のターゲットである女性が「面白い!」って思ってくれるような企画、具体的にはモデルさんに脱毛について語ってもらったものなどを動画にしてSNSに流すみたいなことを続けていくと確実に指名検索って上がっていくんですよ。
「古澤脱毛」の月間検索数が「なし」だった状態から、半年から1年で大体100回くらいまで上がります。
本を出してる社長さんの名前で200回とか500回とかなので、100回っていうのはそのくらい凄いことなんですよ。
つまり結論としては、人の目に触れる数を多くする、露出の量を増やすことが大事だと思います。
大企業であればテレビCMができるんですが、僕ら(中小企業)はさっきお話ししたような企画を考えてみて「この企画誰がやってんだろう。面白いね」って思ってもらい、サイトに記載されている「古澤脱毛」って文字で検索してもらう。
それで一定の人が覚えて頭の中に入り、次から直接そこに行くといういうことで積み重ねていくものですね。
アメリカのSEO業界の人はブランドってよく言っています。ただ、1年仕事で100回しか上がらないから社長さんは嫌がります。
まずは検索によってその存在を見つけてもらうって事が大事なんです。
そういう意味で良質なコンテンツを作ることで色々なキーワードで上位掲載できていれば見つけてもらえる可能性はどんどん上がっているわけなんですよね。
そこで、こんな会社があるんだ、こんなサービスあるんだ、こんな商品があるんだって知ってもらうことが中小企業にとっての絶対的な入口になるわけです。
だから、「まず発見してもらう」ことが重要ですよね。
さらに、発見してもらった後に信頼たる会社だと思ってもらうためには、私たちが外で買い物する時と同じように、この店の店員さんって雰囲気いいし、言わんとしてることを教えてくれるし、押し売りしないし、よかったらまた来てくださいなんてチラシの1枚くらい渡してくれるし、じゃあ今買っちゃえばいいかなと思うようなことがあるわけじゃないですか。
それと同じことがWeb上でも起きていますよね。
僕は、信頼を醸成して買う気になってもらうっていうことができさえすれば、広告ではリーチできないお客さんを、広告で取れるのと同じくらいの人数取れると思っています。
リスティング広告を生業としている私からすると、何回クリックされてもタダということがどれだけ強いかってことですよね。
コンテンツマーケティングについては、流入数とか無料で集客できるみたいなことがフィーチャリングされていたと思うんですけど、今はそれ以上の価値があるということですよね。
さらに、コンテンツSEOに関しては、これまでは非常に人手が必要だったことがツールで簡単になったり、手法が確立されてきたということで、今から始めるのは逆にチャンスということですよね。
実際にコンテンツマーケティングを始めるための体制づくりやコストなど、より具体的な実例ついてお話しいただいた中編はこちら
【中編】2019年のSEOは総合格闘技! Faber Company古澤氏が語る、コンテンツSEO成功のカギとなる2つの役割とは
前編・中編・後編の3回に渡ってお届けしているFaber Company古澤氏とのSEO対談。中編となる今回は、コンテンツSEO成功のカギとなる2つの役割や、体制づくり、コスト感についてお話しいただきました。(インタビュアー:滝井 秀典)
人工知能(AI)の一分野である「自然言語処理」を応用し、検索ユーザーのニーズを抽出・分析、評価されやすいコンテンツづくりを的確に支援するWebマーケティングツール。クラウド上で「自社サイトの改善すべきページの抽出」「ライバルサイトとの差異の発掘」など、主にWebコンテンツ改善に活用できる機能が豊富。
株式会社Faber Companyが10年以上経験を積んだSEO・コンテンツマーケティングのノウハウをシステム化し、2015年3月に産学共同でリリースした。導入企業は1,200社以上にのぼる。
開発メンバーには、ウェブアナリストで当社CAO(Chief Analytics Officer)・小川卓に加え、国立大学豊橋技術科学大学情報・知能工学系の吉田光男助教、明治大学理工学部情報科学科・髙木友博教授ら、自然言語処理・人工知能の権威が加わる。ソフトウェア特許を申請中。
代表取締役社長
1989年生。愛知県名古屋市出身。2016年7月よりキーワードマーケティングに入社。ニアショア拠点である九州佐賀支社の立ち上げに携わり、広告運用のオペレーションセンターの立ち上げを成功させる。オウンドメディアを立ち上げ、年間350件以上のお問い合わせを生むメディアへと成長させる。2019年4月に取締役COOとして組織運営に参画、2024年3月より代表取締役社長に就任。
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