マーケティング

SWOT分析とは?目的とやり方、事業へ活かす5つのポイントを紹介

更新日:2023.08.24

キーワードマーケティングでは、コンサルティングサービスをおこなっており、お客様からよくマーケティングのフレームワークについての質問をされます。その中でも具体的な活用方法がわからないと言われるのが SWOT 分析です。

SWOT 分析は、企業を「強み」と「弱み」、「機会」と「脅威」の4つの要素で分析する手法です。企業の内部環境と企業を取り巻く外部環境の要素を分析することで、戦略を立てる際に役立ちます。

SWOT 分析はシンプルなフレームワークで、各項目の洗い出しはしやすいですが、活用においては注意すべきことがあります。この記事では、SWOT 分析の概要から実際のやり方、SWOT 分析のポイントと発展形のクロス SWOT までを解説します。

SWOT 分析とは?

SWOT 分析とは、企業に関わるさまざまな要素を、内部要因(強みと弱み)と外部要因(機会と脅威)に分けて分析するフレームワークです。それぞれの要素を整理して評価することで、戦略の策定や問題解決のヒントを得ることができます。SWOT は Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったものです。

SWOT 分析のイメージ

SWOT 分析の目的

SWOT 分析の目的は、企業を取り巻く外部環境を自社の内部環境と照らし合わせ、自社にとっての機会と脅威を分析し、戦略的な意思決定や問題解決に役立てることです。

SWOT 分析は、経営やマーケティング戦略の策定によく使われます。マーケティングを成功に導くには、自社を取り巻く外部環境から機会を見つけ出し、自社の強みをもって機会に対応することが重要だからです。

外部環境の脅威は自社の売上(利益)に影響する要因になるため、脅威をどう捉えて対応するかを考えなければなりません。SWOT 分析で自社の強みと弱みを明確にし、機会と脅威を把握して、経営やマーケティングの戦略を立てましょう。

SWOT 分析のやり方

SWOT 分析では、4つの項目を入力する前に SWOT 分析をおこなう目的を決めることが重要です。目的を決めることで SWOT 分析の方向性が定まるため、より具体的な分析をすることができ、結果として戦略を立てる際に有効なデータとして分析内容を活用することができます。

目的が決まったら、自社の内部要因である強みと弱み、自社を取り巻く外部環境にある機会と脅威をフレームワークに沿って入力します。入力したら情報と向き合い、今後何ができるかを考えましょう。ここから、実際にどのようなことを入力すればよいかや入力のポイントについて、例を用いて解説します。

「強み」は顧客から選ばれている理由をヒントに入力

組織の内部要素である強みには、技術力、機能、品質、立地、価格などがあります。強みは「顧客に選ばれている理由」から考えるとよいでしょう。

技術力が強みになるのは、効率的な生産プロセスを実現できる技術があるような場合です。機能が強みになるのは、自社製品に、他社製品にはない顧客ニーズを満たす機能がある場合といえるでしょう。

また、厳格な品質管理により製品の不良率が低い場合は品質が、顧客にとってアクセスしやすい場所に店舗がある場合は立地が強みになるかもしれません。他社よりも安価に商品を提供していれば、価格が強みになる可能性もあります。

例えば、顧客に選ばれている理由に「商品の使いやすさ」や「サポート体制」があれば強みに入力します。

強みは主観だけで考えないようにしましょう。自分たちの意見や感情だけではなく、客観的なデータや事実に基づいて判断し、決めることが大切です。顧客や競合他社の視点も考慮しましょう。

「弱み」は競合他社と比較して負けていることをヒントに入力

組織の内部要素である弱みは、「顧客ニーズに対応できていないこと」や「競合他社と比較して負けていること」から考えましょう。

弱みには、商品開発で必要な技術やスキルの不足、資金や人材などの不足があるほか、組織文化の問題が含まれることもあります。例えば、新しいアイディアの実現を妨げるような組織内の古い慣習も弱みになる可能性があるのです。

また、競合他社と比較して自社製品に技術的な遅れがある場合や、サービスの効率性の低さがある場合も弱みとして検討しましょう。

弱みも強みと同様に、顧客や競合他社の視点を考慮することが大事です。自分たちの主観だけで決めないようにしましょう。

「機会」はコントロールできない事象や市場環境をヒントに入力

強みと弱みを入力したら、続いて機会と脅威を入力しましょう。外部要素の機会に入力する対象は、経済や政治、社会、技術環境などの企業がコントロールできないマクロ環境に関することと、顧客、競合他社、供給業者などの市場環境に関することです。

マクロ環境には、PEST 分析のフレームワークが使えます。PEST 分析は Political(政治的)、Economic(経済的)、Social(社会的)、Technological(技術的)の4つの頭文字をとったもので、企業の戦略策定の際に用いられるフレームワークです。詳しくは「PEST 分析とは」をご覧ください。

機会には、マクロ環境や市場環境要因の中で、今後自社にとってチャンスになることを入力します。例えば観光需要の高まりがチャンスなのであれば、機会に入力します。重要なのは、自社にとってチャンスになるかという視点です。一般的にはネガティブな要因であっても、自社から見たらチャンスになりうる場合は機会として考えます。

「脅威」は今後厳しくなりそうなことやリスクをヒントに入力

組織の外部要素である脅威も、機会と同様、マクロ環境や市場環境要因から今後の脅威・リスクになること、今後厳しい状況になることを入力します。例えば、技術進歩による競争激化などが挙げられます。

自社の経営資源や、提供している事業などの状況によって、同じ要素でも機会になるか脅威になるかは大きく変わります。技術の進化が機会になる企業もあれば、脅威になる企業もいるということです。

機会と脅威を考えるときは、短期的な視野にとらわれないようにしましょう。今後の展望も考慮し、中長期的な視点で考えることが大切です。

SWOT 分析のポイント

SWOT 分析の目的は、入力した強みと弱み、機会と脅威をバランスよく整理し、戦略立案に繋げることです。そのため、入力の際には以下の5つのポイントを抑えることが重要です。

  1. 経営資源に注目して強みを入力
  2. PESTELE と5F(ファイブフォース) 分析の要素から機会と脅威を入力
  3. 弱みと脅威の分類に迷うときは「自社で変えられるかそうでないか」で決める
  4. バランスよくピックアップする
  5. 戦略の策定に繋げる意識をもって、各要素を入力する

1. 経営資源に注目して強みを入力

経営資源は、企業が事業活動をおこなうために必要な資源です。経営資源に含まれるのは、人、モノ、カネ、情報、知的財産、時間、ブランドなどです。これらに注目し、自社の強みを明確にしましょう。経営資源で強みになるのは以下のようなことです。

  • 人は、経営者や従業員の経験、専門知識や技術
  • モノは、企業が提供する商品・サービスや設備・施設、原材料
  • カネは、企業の資本や資産、現金
  • 情報は、顧客データ、市場調査、競合情報、技術ノウハウなどの知識
  • 知的財産は、特許権、商標権、著作権
  • 時間は、生産時間や企画・開発にかかる時間
  • ブランドは、企業の知名度や評判、商品・サービスに対する認知度やイメージ

2. PESTLE と5F(ファイブフォース)分析の要素から機会と脅威を入力

PESTLE は PEST 分析の政治的、経済的、社会的、技術的な視点での分析に加え、Leagal(法的)と Environmental(環境的)を加えた6つの側面から環境変化を捉えて、機会や脅威が何であるかの予測に使えるフレームワークです。

6つの要素には、企業に影響を与える要因を洗い出し入力します。入力した各要素は、影響の強さや重要性を評価したうえで、戦略を立てたり改善するのに役立てます。

5F(ファイブフォース)は、業界内でどのような競争が繰り広げられるかを知るときに使えるフレームワークです。同業者、売り手、買い手、代替品、新規の5つで評価します。各要素が企業に与える要因を洗い出し、PESTLE と同様、影響の強さや重要性を評価し、戦略を立てたり改善するのに役立てます。

機会と脅威をより正確に把握するため、事前に PESTLE と 5F 分析をおこないましょう。PESTLE と 5F の分析結果から、組織にとっての機会と脅威を特定することができます。

3. 弱みと脅威の分類に迷うときは「自社で変えられるかそうでないか」で決める

情報を弱みと脅威のどちらに入力するかで迷った場合は、自社で変えられるかそうでないかを考えましょう。自社の能力で改善が可能な場合は弱みに入力します。外部要因や市場状況によって変えることが難しい場合は脅威に入力するとよいです。

例えば、弊社は広告運用代行サービスを提供していますが、弱みは広告運用の体制です。弊社は一気通貫ではなく分業制ですが、分業制の場合、PDCA サイクルが長くなったり、全体像を把握しづらくなるというデメリットがあります。

分業制にはメリットもありますが、デメリットを解消するため一気通貫にすることは自社の力でできることです。反対に、法律の改正のような外部要因は自社の力によって変えることができません。外部要因が影響する場合は、外部要因を受け入れて適応することが大切です。

4. バランスよくピックアップする

SWOT 分析では強みや機会だけに焦点を当てるのではなく、弱みや脅威も分析し、バランスよくピックアッアップすることが重要です。強みや機会だけに目を向けると、組織の課題を見落とす可能性があります。

例えば、弊社の広告運用代行サービスの強みは広告のアカウント構築と運用ですが、広告で成果を出すにはランディングページも必要です。このとき、ランディングページ制作や改善のサービスを提供していないと、それは弱みになります。弱みを放置すると問題が悪化し、脅威を無視すると予期せぬリスクに直面する可能性があるので注意しましょう。

逆に、弱みや脅威にばかり注目すると、チャンスを見逃す可能性があります。バランスよく全体を俯瞰し、現状の全体像を把握することが戦略的な判断に繋がります。

5. 戦略の策定に繋げる意識をもって、各要素を入力する

SWOT 分析は、あくまで現状を整理するためのフレームワークです。そのため、フレームワークに沿って各要素を入力して終わりにならないよう注意しましょう。入力し、整理した情報をもとに、強み・弱みと外部環境の機会・脅威を把握し、自社の戦略策定に活用することが大切です。

どんなフレームワークも、それを使う目的に繋がらなければ入力する意味がありません。

SWOT 分析の弱点を補うクロス SWOT 分析の活用

SWOT 分析で把握した弱点を補う手法として、クロス SWOT 分析があります。クロス SWOT 分析は SWOT 分析が発展したフレームワークで、内部要素と外部要素の分析から「今後どうするか」に関するアウトプットまでできるものです。現状を把握しただけで終わりになりがちな SWOT 分析の弱点を補えます。

クロス SWOT 分析とは

クロス SWOT 分析は、内部要素と外部要素を組み合わせて分析する手法です。通常の SWOT 分析では内部要素と外部要素を別々に分析しますが、クロス SWOT 分析では強みに機会と脅威を、弱みに機会と脅威を組み合わせて、新たな戦略や施策のアイデアに繋げます。

クロス SWOT 分析のイメージ

SWOT 分析の弱点を補い、施策のアイディアを膨らませられるのがクロス SWOT 分析のフレームワークです。SWOT 分析で出した強みと弱みを、それぞれ機会と脅威に組み合わせて、具体的な対策を考えます。以下は、弊社のインハウス支援事業での入力例です。

クロス SWOT 分析の入力例

クロス SWOT 分析から施策のアイデアを出す

「機会×強み」には、機会に対して自社の強みを活かしてできることは何かを入力します。機会が複数ある場合、機会のどれに対して強みを組み合わせた結果、どのようなことが期待できるかを考えましょう。

「機会×弱み」には、機会を活かすために弱みをどう改善するかを入力します。ここでは弱みを克服するためにできることを考えますが、経営資源で弱みの克服ができないときは、他社の経営資源を活用(業務提携、コラボなど)することも考えます。

「脅威×強み」では、脅威に対して強みでどう対応するかを入力します。脅威に対しては、他社は手を引く可能性があります。

「脅威×弱み」は、脅威に対して弱みをどうカバーするかを入力します。縮小や撤退も検討しますが、内製から外注にしたり、人員配置の見直しをしたり、業務の仕分けをしたりと、何ができるかを考えましょう。

弊社のインハウス支援事業の場合、外部環境の機会は「AI の技術進化」や「運用型広告の需要の高まり、新媒体の登場」で、脅威は「不安定な経済状況」や「運用型広告のサービスをはじめるマーケティングやブランディング支援企業が増加」となります。

内部環境の強みは「運用型広告の知識とノウハウを体系化する技術」と「マーケティング全般を支援、教育できる体制」で、弱みは「業務の属人化」と「ブランディング支援の実績」です。

機会の「AI の技術進化」は、「技術進化に対応できるように既存サービスを改善」ができることです。弊社の強みである運用型広告の知識とノウハウで対応できます。

機会に「運用型広告の需要の高まりや新媒体の登場」がありますが、弊社には弱みとして、インハウス支援事業を提供するのが私(石川)だけという「業務の属人化」の弱みがあります。この場合、私の工数を抑えることを考えたいですが、そこでできることの一つは「運用型広告を学習できるオンライン教育サービスをつくること」です。

脅威の「不安定な経済状況」に対応するために重要だと考えるのは、広告だけでなく、マーケティングを改善することです。弊社には強みに「マーケティング全般を支援、教育できる体制」があるため、「マーケティング戦略の策定を支援するサービスをつくる」ができることとして挙げられます。

脅威の「運用型広告のサービスをはじめるマーケティングやブランディング支援企業が増加」に対抗するために、弊社でもブランディング支援をおこないたいですが、弊社の弱みに「ブランディング支援の実績」があります。そこで考えたいのは「ブランディング支援に強い企業と連携して事業展開」することです。

SWOT 分析で企業の内外から現状を知り、自社のマーケティングに活かそう

SWOT 分析を通して把握した企業の内部(強みと弱み)および外部(機会と脅威)の要素は、マーケティング活動において重要なものとなります。

ただし、SWOT 分析は単なるツールであり、入力して終わりでは意味がありません。必要な情報を整理し、現状を把握したら、そこから「自社マーケティングにどう活かすか」を考えましょう。SWOT 分析の結果を自社の戦略に繋げることが大事です。

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お困りごとはまずはご相談ください。広告に限らず、認知やPRなど幅広い施策提案が可能です。

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