店舗を持って商品やサービスを販売している方が広告運用に携わっている場合、来店をコンバージョンの1つとして考えていることもあるかと思います。Google 広告では、広告を見たユーザーが実際に店舗に足を運んだかを計測する「来店コンバージョン」という機能があります。
来店コンバージョンを計測することで、広告の自動入札機能に必要なデータが増えます。そのため積極的に使っていきたい機能ではありますが、仕組みなどについて深く理解をしている方は少ないかと思います。そこで今回は、来店コンバージョンの概要や仕組み、利用条件、管理画面上での設定方法を説明します。設定方法は実際の管理画面のキャプチャを用いて説明するので、ぜひ参考にしてください。
来店コンバージョンとは、ユーザーのプライバシー保護をしたうえで、広告を見て店舗へ来店したユーザー数を計測する機能です。Google 広告の管理画面やレポートで表示される来店コンバージョンの計測値は、あくまで推定値になっています。
来店コンバージョンを計測するには、ユーザー側が Google アカウントにログインし、位置情報(ロケーション履歴)を有効にしている必要があります。ユーザーが広告を見て店舗に訪れると、位置情報と広告を見た履歴から来店コンバージョンとしてカウントされます。
店舗型ビジネスの場合は、Google 広告の管理画面上で計測できる数値が多くないので、来店コンバージョンを計測して自動入札で使えるデータを増やすことは重要です。
一つ一つの来店が自動入札の精度を高める材料になるので、可能であれば来店コンバージョンの設定をおこなっておくのがよいでしょう。
来店コンバージョンは6つの条件を満たすことで使用できます。以下は、Google 広告のヘルプに記載されている利用条件を表形式で分かりやすくまとめたものです。
利用条件 | 詳細 | |
---|---|---|
1 | 店舗が来店コンバージョンのレポート対象国であること | 来店コンバージョンは以下の27の国でのみ利用することができます。 オーストラリア/オーストリア/ベルギー/ブラジル/カナダ/チリ/デンマーク/フランス/ドイツ/インド/イタリア/日本/マレーシア/メキシコ/オランダ/ニュージーランド/ノルウェー/ポーランド/シンガポール/スペイン/スウェーデン/スイス/台湾/トルコ/アラブ首長国連邦/英国/米国 |
2 | 店舗がデリケートなカテゴリに属さないこと | ヘルスケアや宗教、性的なコンテンツ、子供に関連するビジネスはデリケートなカテゴリと判断されます。 |
3 | 重視する店舗のために広告で住所アセットかアフィリエイト住所アセットを使っていること | 重複している店舗と区別がつくよう、広告で住所アセットかアフィリエイトアセットを使用しましょう。 店舗拠点が多いほど、来店コンバージョンが取得できる可能性が高くなります。 |
4 | Google 広告で住所アセットまたはアフィリエイト住所アセットが有効になっていること | 以下の2点を確認しましょう。 ・Google 広告で、住所アセットまたはアフィリエイト住所アセットが有効になっていること ・キャンペーンまたは広告グループで、住所アセットやアフィリエイト住所アセットが無効になっていないこと |
5 | 広告のクリック数やインプレッション数、実店舗への来店数が十分にあること | クリック数やインプレッション数、実店舗への来店などのデータ量が必要です。 必要なデータ量は広告主ごとによって異なります。 |
6 | Google マイビジネスで住所アセットを使用している場合は、ビジネスプロフィールで店舗の所在地が設定されており、店舗のオーナー確認がされていること | 店舗の所在地でビジネスのプロフィールのセットアップが完了していて、かつすべての店舗でオーナー確認が完了していなければなりません。 |
来店コンバージョンのレポート対象国は「来店コンバージョンについて」で確認できます。
デリケートなカテゴリは、Google が定める「YMYL(Your Money or Your Life)」に該当するカテゴリのもので、お金や健康、体に関するものです。これらは来店コンバージョンの対象外になる可能性が高い業種です。
住所アセットまたはアフィリエイト住所アセット(旧:住所表示オプション)は、どちらかが設定されていれば問題ありません。Google マイビジネスで住所アセットを使用している場合は、ビジネスプロフィールと Google 広告が連携されていて、店舗の所在地を設定後に店舗オーナーによる確認が完了している必要があります。オーナー確認の方法については、「Google でオーナー確認を行う方法」を確認してください。詳細は次項の「来店コンバージョンの設定方法」で説明します。
「広告のクリック数やインプレッション数と実店舗への来店数が十分にあること」とありますが、「十分」がどの程度なのかは公表されていません。過去に筆者が運用したアカウントでは、月に50~60万の予算を使っていれば設定が可能だったので、参考値として捉えてください。
来店コンバージョンは、利用条件を満たしていれば自動的に設定されます。住所アセットまたはアフィリエイト住所アセットが設定されており、かつ Google 広告のキャンペーンで有効になっていることを確認しましょう。
Google マイビジネスで住所アセットを利用している場合は、ビジネスプロフィールと Google 広告を連携する必要があります。
住所アセット/アフィリエイト住所アセットを設定することで、広告を閲覧しているユーザーの近辺にある店舗を表示できます。
住所アセット/アフィリエイト住所アセットを設定するには、以下の2通りの方法があります。
自社店舗を構えて販売している場合は「住所アセット」を、自社店舗ではなく小売チェーン店などで販売を展開している場合は「アフィリエイト住所アセット」を利用します。
「アフィリエイト住所アセット」の設定も「住所アセット」の設定と大きく変わりません。そのため、ここでは「住所アセット」の場合を例に説明します。なお、「アフィリエイト住所アセット」の詳細は Google 広告ヘルプの「アフィリエイト住所アセットについて」に詳しく記載されているので、こちらも参考にしてください。
まずは、Google 広告の管理画面で直接住所を入力する方法を紹介します。
Google 広告管理画面左側の「アセット」をクリックし、遷移した画面で「住所」を選択して「アセットを作成」をクリックします。
次に「キュレーション地域を選択する」を選択し、表示される国と店名から、店舗がある国と店舗名を選択しましょう。選択して「続行」をクリックすれば、設定は完了です。すごく簡単なので驚くかも知れませんが、これで完了です。
もし店名が探せない場合は Google に問い合わせるか、または次に説明する Google ビジネスプロフィールとの連動で住所アセットを設定しましょう。
住所アセットを Google ビジネスプロフィールと連動して設定する方法もあります。Google ビジネスプロフィールをクライアントが管理している場合は、連動のリクエストを承認してもらいましょう。Google ビジネスプロフィールの権限をクライアントに付与してもらい、運用担当者がすべての設定をおこなうことも可能です。
ただし、たくさんのビジネスを一つの Google ID にまとめると管理が複雑になるので、Google ビジネスプロフィールを管理している Google ID で Google 広告との連動リクエストを承認する方がシンプルでおすすめです。
それでは、広告管理画面から連動のリクエストを申請し、Google ビジネスプロフィール側で承認してもらう方法を説明します。
最初に Google 広告管理画面左側の「アセット」をクリックし、遷移した画面で「住所」を選択して「アセットを作成」をクリックします。
「ビジネスプロフィールマネージャアカウントを見つける」を選択すると、ビジネスプロフィールマネージャアカウントの一覧が表示されるので、Google ビジネスプロフィールを管理している Google ID が表示されているか確認しましょう。Google ID が表示されていることを確認できたら、ID がある列の右側に表示されている「選択」をクリックします。
その後、ビジネスプロフィールマネージャアカウントが間違いないかを確認し、「続行」をクリックします。
Google ビジネスプロフィールを管理している Google ID(Gmail アドレスなど)にメールが届きます。届いたメールの中に表示されている「こちら」をクリックして、リンクを承認します。
クライアントが Google ビジネスプロフィールを管理している場合には、メールが届くことを伝えて、承認作業をしてもらいましょう。
リンクの承認が完了すれば、住所アセットの設定は完了です。
住所アセットの設定が完了すると、しばらくして来店コンバージョンが表示されるようになります。表示されているかどうかを確認するには、管理画面の「コンバージョン」に「来店」が表示されているかを確認します。
確認する際は、管理画面の「ツールと設定」内の「コンバージョン」をクリックします。
コンバージョンの概要に「来店」が表示されていれば、来店コンバージョンが計測されています。
住所アセットが設定されているにも関わらず、いつまでも来店コンバージョンが計測されないのであれば、利用条件を満たしていない可能性があります。
利用条件を満たさないケースとしてよくあるのは「店舗がデリケートなカテゴリとみなされている」場合と、「すべての店舗のオーナー確認がビジネスプロフィールで完了」していない場合です。
店舗がデリケートなカテゴリとみなされている場合、改善は難しいでしょう。ビジネスプロフィールの設定が完了していない場合は、ビジネスプロフィールのオーナー確認も含めて設定を完了させてください。ビジネスプロフィールの設定については、以下の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。
ベテランが解説!広告運用者でも知っておきたいGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)の基本と広告での3つの活用術
Google ビジネスプロフィール(Google マイビジネス)とは、Google の検索結果に出てくる店舗や会社などの施設情報を無料で管理できるサービスです。Google 検索や Google マップの検索結果でのアピールや、レビュー(クチコミ)へ返信、「インサイト」からユーザー情報を分析できる点などのメリットがあるGoogle ビジネスプロフィールは、実店舗をもつ事業者にとって是非とも利用したいサービスです。
来店型ビジネスは、管理画面上で把握できるコンバージョンが少ない傾向にあります。来店コンバージョンが使用できれば、自動入札を使わない場合でも、実施した調整の効果を判断するための重要な判断材料となります。
ビジネスにおいて、情報やデータはとても重要です。競合が注目していない情報やデータを把握していれば、それだけでも過酷な競争の中で一歩リードできる可能性があります。
来店コンバージョンに限らず、広告運用担当者であれば、常に情報やデータを探し求める姿勢は非常に大切です。運用に使える情報やデータを日々たゆまず探し求めることは、経験として確実に蓄積されていきます。蓄積された経験はやがて運用効果の差となり、目に見える形で表れるのです。
管理画面の中だけでも、さまざまな情報やデータが眠っています。すべてを把握するのは非常に困難ですが、広告の効果をよりよいものにするためにも、常に情報やデータを探し求めていきましょう。
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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