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月間CV5件以下でも大丈夫!自動入札戦略「目標コンバージョン単価制」で成果を出すための3つのコツ

機械学習の自動入札の精度はここ数年で大きく向上し、今やリスティング広告で成果を出すためには自動入札の活用が必要不可欠となりつつあります。

特に、目標 CPA を達成しながらコンバージョン獲得を目指しているアカウントでは、「目標コンバージョン単価の自動入札」を活用することで、CPA を維持しながらコンバージョン数を増加できた事例が社内でも多くあります。

一方で、「コンバージョン数が少ないから自動入札で成果を出すのは難しそう」と、手動入札のまま運用を続けている人の話も耳にします。筆者自身一度は自動入札にチャレンジしたものの、手動入札の時よりも成果が悪化してしまい、手動入札に戻して配信を続けている広告アカウントを見たことがあります。

今回紹介する「目標コンバージョン単価の自動入札」で成果を出すには、30日間で一定数以上のコンバージョンを獲得できるかが重要です。ただし、コンバージョン数が少ないから成果が出ないわけではありません。

この記事では、コンバージョン数が少ないアカウントやキャンペーンでも、コンバージョン目的の自動入札で成果を出すためのポイントを事例をもとに解説します。これから自動入札にチャレンジする人は、ぜひ参考にしてください。

目標コンバージョン単価の自動入札とは

目標コンバージョン単価とは、コンバージョン1件あたりの費用で目標を置きつつ、その範囲内でのコンバージョン獲得を目指す自動入札です。

自動入札は入札戦略の種類によって最適化方法や重視するデータが異なりますが、目標コンバージョン単価の自動入札は、ユーザーの情報(デバイス・所在地・年齢性別・検索語句・サイトでの行動など)と、コンバージョンデータ(どのユーザーがコンバージョンしたか/しなかったか)をもとに入札単価が最適化される仕組みになっています。

そのため、コンバージョン数が多いほど機械学習が参考にできるデータが多くなり、最適化の精度が高くなります。従って、目標 CPA 通りにコンバージョン獲得できる可能性が高くなります。

以前は、Google 広告の目標コンバージョン単価の自動入札をうまく機能させるためには、過去30日でキャンペーン単位の30件以上のコンバージョン数が必要でした。

自動入札の精度がどんどん向上している現在でも、コンバージョン数の制限はなくなりましたが、コンバージョンデータが多いほど自動入札の精度が上がる仕組みに変わりはありません。

コンバージョン数が月5件以下でも、自動入札で成果は出る!

目標コンバージョン単価の自動入札におけるコンバージョン数の重要性を説明してきました。

しかし、「コンバージョン数が少ないと自動入札が使い物にならない」わけではありません。自動入札がうまく働く設定を心がければ、CPA を低く抑えながらコンバージョン数を増加でき、さらにその増えたコンバージョンをもとに最適化がより機能する好循環を作ることができます。

弊社運用のあるアカウントでは、1か月で獲得できるコンバージョン数が平均5件以下のキャンペーンがほとんどでした。中には、コンバージョンが月に1、2件発生するかどうかというキャンペーンもあります。このアカウントに目標コンバージョン単価の自動入札を導入したところ、CPA を大きく良化させながら、コンバージョン数を平均2.9倍まで増加できました。

キャンペーンCV数(導入前)CV数導入後CPA
A5件以下/月2.3倍-50%
B5件以下/月2.4倍-50%
C5件以下/月1.6倍-10%
D5件以下/月1.7倍-40%
E2件以下/月3.9倍-55%
F1件以下/月5.1倍-70%
G1件以下/月3倍-70%
平均獲得コンバージョン数が5件以下のキャンペーンに目標コンバージョン単価の自動入札を導入し、CPA が改善した事例

コンバージョン数が少ないアカウント・キャンペーンで自動入札運用を成功させる3つのポイント

コンバージョン数が少ないアカウント・キャンペーンでは、自動入札がうまく働く設定や入札調整が必要です。ここからは、先述のようなコンバージョン数が少ないアカウント・キャンペーンでも自動入札を使って成果を出すためのポイントを解説していきます。

  1. データが1か所に集まるキャンペーン構造にする
  2. 自動入札の推奨設定を導入する
  3. 最初は過去3か月の実績より高い CPA を設定し、1~2か月かけて最終の目標 CPA を目指す

1.データが1か所に集まるキャンペーン構造にする

コンバージョンデータが少ない場合、限られたデータで機械学習が十分に機能するキャンペーン構造を作る必要があります。

なるべく1つのキャンペーン・広告グループ・広告に、コンバージョン・クリックなどのデータがまとまる構造にすることで、機械学習がうまく働く環境にできます。

1-1.キャンペーン・広告グループをまとめる

キーワードごとに広告文やリンク先の出し分けをする必要がある場合や、キャンペーンや広告グループの仕様でどうしても分ける必要がある場合以外は、キャンペーン・広告グループは1つにまとめましょう。仕様上で分ける必要がある場合は例えば以下のようなケースです。

キャンペーン・広告グループを1つにまとめられない設定理由
地域設定地域はキャンペーン単位でしか設定できない各地域専用のランディングページがあるため、各地域に対して異なるリンク先を設定したい
ランディングページ設定Google 広告では、1つの広告グループに複数のドメインのランディングページを設定できないドメインが異なるランディングページを複数配信したい
キャンペーン・広告グループは1つにまとめられない設定の例

1-2.広告をまとめる

広告グループに入稿する広告も、できれば1つにまとめるのが望ましいです。広告カスタマイザ/アドカスタマイザーやキーワード単位の URL 設定を使用すると、広告を分けなければ設定できない場合でも解決できるものがあるので、検討してみてください。

1-2-1. 広告カスタマイザ/アドカスタマイザー

広告カスタマイザ/アドカスタマイザーとは、検索広告の見出しや説明文をキーワードに合わせて任意にカスタマイズできる機能です。

例えば、化粧水と美容液のスキンケアセットの広告を配信しているとします。「化粧水」というキーワードで検索された場合は「人気の化粧水セット」という見出しを、「美容液」というキーワードで検索された場合は「人気の美容液セット」という見出しを、それぞれの検索キーワードに合わせて表示できます。広告カスタマイザを活用すると、広告を1つにまとめつつキーワードに適した広告文を表示できます。

▼広告カスタマイザ/アドカスタマイザーの詳細はこちら
1-2-2.キーワード単位の URL 設定

検索広告では、配信するキーワードごとにランディングページを設定できます。広告文のランディングページ設定より、キーワードのランディングページ設定が優先されるため、広告文とキーワードに異なるランディングページが設定されている場合、キーワードのランディングページが配信されます。キーワード単位の URL 設定を活用すると、広告を1つにまとめつつキーワードごとのランディングページ出し分けができます。

2.自動入札の推奨設定を導入する

コンバージョン数が少ないアカウントに限った話ではありませんが、自動入札を導入する際は媒体が推奨する設定内容を確認しておきましょう。推奨設定を導入することで、自動入札が十分に力を発揮できるようになります。

コンバージョン数が多いアカウントでは、推奨設定でなくても自動入札がうまく機能することが多々ありますが、コンバージョン数が少ないアカウントでは、少しでも自動入札がうまく働く確率を高めるために推奨設定がより重要になります。Google が自動入札で推奨している設定は以下の通りです。

  • スマート クリエイティブ ソリューションを利用する
  • ラストクリックアトリビューション以外のモデルを導入する
  • キャンペーンに自社独自のオーディエンスリストを追加する

2-1.スマート クリエイティブ ソリューションを利用する

スマート クリエイティブ ソリューションとは、レスポンシブ検索広告、レスポンシブディスプレイ広告のことです。

スマート クリエイティブ ソリューションは見出し・説明文・画像の組み合わせのテストも機械学習がおこなっており、広告が最大限効果が見込まれる組み合わせに最適化されます。成果を最大限に高めるために、広告の有効性が最高評価の「非常に高い」になるよう設定しましょう。

Google管理画面(クリックで画像拡大)

2-2.ラストクリックアトリビューション以外のモデルを導入する

ラストクリック以外のモデルを使うことで、コンバージョンにつながった最後のキーワードに加え、コンバージョンまでに経由したキーワード(タッチポイント)の価値も評価できます。

例えば、「接点ベース」のアトリビューションモデルを使用すると、コンバージョンまでに経由した全てののキーワードにコンバージョン数が割り振られ、特に最初と最後のキーワードにより高い配分で割り振られます。

ラストクリック以外のモデルを自動入札に使用すると、自動入札がコンバージョンまでに経由したすべてのキーワードを自動的に評価し、特に効果が高いタッチポイントが優先されるようになります。

▼アトリビューションモデルの詳細はこちら

アトリビューションモデルとは?各モデルの特徴と迷ったときの選び方をわかりやすく解説

アトリビューションモデルとは、「どの広告 or どのキーワード」に「どの接点(メルマガや広告など)」に「どの程度」の貢献度を割り振るかを決めるルールのことです。6つのアトリビューションモデルの特徴や迷った時に選ぶ「ラストクリック」、その理由までをわかりやすくまとめました。

2-3.キャンペーンに自社独自のオーディエンスリストを追加する

自社で収集したユーザーリスト(カスタマーマッチ、RLSA、類似ユーザーなど)があると、自動入札がオークション時に入札単価を調整する際の判断材料になります。利用できるデータが増えると、機械学習の精度があがるため、成果向上につながります。

目標コンバージョン単価制では、キャンペーンの過去の情報やオークション時のコンテキスト シグナルに基づいて、広告が掲載対象となるたびに最適な入札単価が自動的に算出されます。

引用元:「目標コンバージョン単価制」入札戦略について | Google広告ヘルプ

3.最初は過去3か月の実績より高い CPA を設定し、1~2か月かけて最終の目標 CPA を目指す

コンバージョン数が少ないアカウントの自動入札で、最初から手動入札時点よりも低い CPA 達成を目指すと、配信量が少なくなったり、CPA の目標達成ができないまま推移する可能性が高くなります。

配信実績よりも低い CPA を設定してしまうと、獲得できるコンバージョン数が少なくなり、自動入札導入前でも少なかった機械学習データがさらに少なくなり、成功データ量が不十分の状態が長く続いてしまいます。

最初は過去3か月の実績の CPA よりも+10%から+20%ほどで設定し、まずは設定した CPA を達成しながら安定的にコンバージョンが獲得できる状態を優先しましょう。

CPA が安定したら、目標 CPA を10%から20%ほど下げて再設定します。そして、また設定した CPA を安定的に達成できるまで様子を見ます。これを繰り返し、目標の CPA を目指していきます。

例えば、過去3か月の実績の CPA が3万円の場合、最初の目標 CPA は3万円から10%高い3万3,000円で設定します。3万3,000円を安定的に達成できたら、目標 CPA を3万3,000円から10%下げて2万9,700円で設定します。それも達成できたら2万9,700円からさらに10%下げる・・・と繰り返していきます。

キャンペーン開始目標 CPA(変化率)
直後~3万3,000円
~1カ月2万9,700円(-10%)
1~2ヶ月後2万6,730円(-10%)
キャンペーン開始直後から数カ月後の目標 CPA の遷移の例

コンバージョン数が多いアカウントやキャンペーンでは、1週間から2週間で目標 CPA に乗せることができますが、コンバージョン数が少ないアカウントではデータが溜まるまで時間をかける必要があります。

一度 CPA を変更したら、1週間から3週間は変更を加えずに CPA が達成できるまで様子を見ましょう。達成できたら CPA を下げるを繰り返し、1~2か月かけて最終の目標 CPA を目指していきます。

最初の調整で重要なのは、自動入札導入後の1週間から2週間で設定した CPA が達成できなかったり、手動入札のときより CPA が上がっても、焦って手動に戻したり CPA 設定を大きく下げたりしないことです。

自動入札の導入直後は、機械学習のデータ収集のために配信量が多くなったり CPA が高くなりやすい傾向があります。

導入直後にしっかりとデータを収集できれば、CPA 設定に合わせて CPA が徐々に下がっていくので、根気よく待ちましょう。

以下のデータは、自動入札を導入したキャンペーンの導入後5週間のデータです。このキャンペーンの手動入札時の平均 CPA は4万円~5万円ほどでしたが、自動入札を導入した直後の CPA は約8万円まで上昇しています。ただ、その後の2週間で CPA は6万円台、3万円台と下がっていき、5週目には2万円台まで良化しました。

期間(週目)CPA
1¥80,000
2¥63,000
3¥36,000
4¥32,000
5¥27,000
自動入札導入後、5週間の CPA の推移

3週間たっても CPA の良化傾向が見られない場合、自動入札がうまく機能していない可能性が高いです。広告文やキーワードの見直し、クエリチェックと除外キーワード登録、ランディングページのコンテンツの見直し等の検討をおすすめします。

コンバージョン数が少なくても工夫次第で自動入札はうまくいく!

コンバージョン数が少ないアカウントでも、データをできる限りまとめる工夫をすることで、自動入札で成果を出すことができます。自動入札がうまく機能すると、CPA の良化やコンバージョンの増加だけでなく、広告運用の手間の削減にも繋がります。ぜひチャレンジしてみてください。

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「わかりにくいこと」を「わかりやすく」をモットーに、すべての記事を実際に広告運用に関わるメンバー自身が執筆しています。ぜひ無料のメールマガジンに登録して更新情報を見逃さないようにしてください!

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記事を書いた人

志村
志村

広告事業部 マネージャー

2015年4月に新卒として入社。2019年にマネージャーに昇格。広告運用の仕事をメインに、現在はサイト改善提案やブログ執筆にも力を入れている。数値をもとにしたサイト改善提案が得意。趣味は動画を見ること、ゲームをすること。

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