ショッピング広告を利用する企業が増え続けるなかで、前までは成果が出ていたのに近頃下降気味であったり、始めてみたけど思うように購入に繋がらなかったり、といったことでお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回はショッピング広告でキーワード入札調整をおこなう方法と注意点、改善したいときに見直したいポイントを詳しく説明します。
キャンペーン構造を複雑にするため、Google の推奨の形ではありませんが、その点を留意して挑戦してみてください。
なお、ショッピング広告の基本についてはこちらの記事で解説をしています。
Googleショッピング広告とは?成功事例とフィード作成方法&運用で守りたい4つのポイント
Googleのショッピング広告とは、小売店のために用意された広告のメニューです。検索広告では伝えることのができない商品のビジュアルで、ユーザーへ対してリアリティのある訴求をすることができます。ショッピング広告でおすすめの商品やメリット・デメリットを含め解説していきます。
ショッピング広告ではキーワードごとの入札調整を手動でおこなうことはできません。予算が少ない場合、これがパフォーマンスの良化に繋がらない要因になっている可能性があります。
しかしアカウントやキャンペーン構造を工夫次第で、キーワードの入札をある程度調整することができます。
クリック課金制のため、クリックされページ遷移がされなければ費用は発生しませんが、表示がされれば誤ってクリックされる可能性もあります。
効率化を考えるのであれば、なるべく確度の高いキーワードでは高い掲載順位で、確度の低いキーワードでは掲載順位を抑えて配信をおこないたいですよね。
ここからは、キーワードによって確度を仮説し、意図的に入札調整をおこなう設定や運用方法、仕組みを紹介します。
ショッピング広告でキーワード入札調整をおこなうには、キャンペーンの構造を工夫する必要があります。
今回おこないたいことは「購入確度が高いキーワードの入札価格を上げること」と「購入確度の低いキーワードの入札価格を下げること」です。こちらが大前提になるので、しっかりおさえておきましょう。
ショッピング広告でキーワード入札調整を行うには、複数キャンペーンを作成し、キャンペーンの優先度と除外キーワードを設定します。
ここでは分かりやすいように、「定食」を例として説明していきます。
「定食」と検索するユーザーと「ハンバーグステーキ定食」と検索するユーザー、どちらの方が実際に来店して定食を注文してくれる確度が高いでしょうか。これは議論の余地なく後者の方が確度が高そうですよね。
「定食」一語での検索は、定食を食べたいという意図の検索だけではなく、どんな定食があるかメニューが知りたい、または定食という言葉の定義を知りたいなども考えられます。
また一口に「定食」といっても、その種類や価格はさまざまです。ユーザーが思い描く定食を取り扱っていないこともありえます。
しかし、ショッピング広告ではキーワードによるターゲティング設定も、入札調整もすることができないため、見込みが低い検索に対しても、高い額で入札を行ってしまう可能性があります。
キャンペーンの優先度を決めていないので、上限クリック単価が高い順にオークションがおこなわれます。
結果として、確度の低いキーワードであるのにも関わらず、一番上限クリック単価が高いキャンペーンで広告が表示されることになります。
キャンペーンの優先度を設定することでオークションがおこなわれる順番が変わり、上限クリック単価の低いキャンペーン「定食」で広告表示させることが可能になりました。
「ステーキ定食」で検索された場合には、除外キーワードによってキャンペーン「ステーキ」でのみ広告が表示されます。
最後に「ハンバーグステーキ定食」で検索されたケースですが、除外キーワードの設定によって上限クリック単価の一番高いキャンペーンでオークションに参加させることができました。
このように除外キーワードの設定とキャンペーン優先度を組み合わせて設定することで、運用面でキーワードごとに入札調整をすることができます。
キーワード入札調整をおこなう場合のキャンペーンの設定方法を具体的に説明いたします。通常のショッピング キャンペーンより複雑ですが、順を追っていけば難しいことはありません。
キーワード入札調整は2語以上の複合キーワードでの検索を想定して、そのカテゴリごとに分ける必要があります。
そのため検索語句からどのようなキーワードで検索されているか、またどのようなキーワードが購入に至っているかを確認しましょう。そのうえでどのように分けるのか、構造を考えていきましょう。
再度「定食」を例に考えていきましょう。検索語句を見て、検索数が多くまた購入に至っているキーワードが「ハンバーグステーキ定食」など、「ハンバーグ」と「ステーキ」を求めるユーザーが複数の要件をいれた検索だったとします。
その場合には、キャンペーン「ステーキ」、キャンペーン「ハンバーグ」、ステーキとハンバーグを組み合わせたキャンペーン「ステーキ&ハンバーグ」、その他のキーワードのためのキャンペーン「一般」の4つのキャンペーンを作成することになります。
このとき「ステーキ」と「ハンバーグ」で想定されるキーワードを書き出しておきましょう。ステーキであれは、「ヒレステーキ」「リブロースステーキ」やハンバーグであれば「チーズハンバーグ」「和風ハンバーグ」といったものが挙げられます。
前述の通り4つのキャンペーンを作成します。キャンペーンの作成方法は通常のショッピングキャンペーンと同じです。
キャンペーンのサブタイプを「通常のショッピングキャンペーン」に設定すること、入札戦略を「個別クリック単価制」にすることを忘れないようにしてください。
キャンペーンごとにキャンペーンの優先順位を設定していきます。今回は同じ商品リストに対して複数のキャンペーンを作成するため、どの入札単価を優先させるかを決めておく必要があります。
もしこれをおこなわずに複数キャンペーンを動かすと、入札額が最も高いキャンペーンが優先され、複数設定している意味がなくなってしまいます。
設定方法ですが、一番入札単価を低く設定する「一般」の優先度を「高」に、「ステーキ」と「ハンバーグ」を「中」に、最も入札単価が高くなる「ハンバーグ&ステーキ」を「低」に設定します。
次に4つのキャンペーンに対して共有予算の設定をおこないます。それぞれのキャンペーンで各々の予算を設定することもできますが、どうしても「一般」のキャンペーンの配信量が多くなるので、その最適な割合が分かるまでは共有予算にしたほうが安心です。
共有予算は左の「ツール」から「予算と入札単価」を選択し、「共有予算」をクリックしましょう。
画面中部に青い「+」ボタンが表示されるため、クリックしましょう。下記のような画面が出てきたら、予算の名前を付け、先ほど作成した4つのキャンペーンを選択します。するとキャンペーン一覧の下に「キャンペーンあたりの平均額」が表示されます。内容を確認して画面左下の「保存」を押せば共有予算の設定が完了です。
次に除外キーワードの設定をおこないます。これはキャンペーン「一般」でステーキが含まれるキーワードでは配信がされないように調整するための設定です。
最初に作成した想定キーワードに沿って除外キーワードリストを作成していきます。除外キーワードリストは「ツール」から「共有ライブラリ」>「除外リスト」を選択します。
青い「+」をクリックし、想定される「ステーキ」のキーワードを設定します。
「ステーキ」と同じように「ハンバーグ」でも登録をおこないます。
最後に作成した除外キーワードリストを作成したキャンペーンに設定します。キャンペーン「ステーキ」では除外キーワードリスト「ハンバーグ」、キャンペーン「ハンバーグ」では除外キーワードリスト「ステーキ」、キャンペーン「一般」では除外キーワードリスト「ステーキ」と「ハンバーグ」の両方を紐づけます。
このようにすることで、登録したキーワードが含まれる場合は紐づけたキャンペーンで配信がされなくなります。ここまででキーワード入札調整をおこなうキャンペーン構造の設定は完了です。
キャンペーン設定が完了したら、入札調整をおこなっていきます。この時注意したいのは、入札単価の順番です。ステーキの例だと下記のように設定します。
「一般」<「ハンバーグ」or「ステーキ」≦「ステーキ」or「ハンバーグ」<「ステーキ×ハンバーグ」
この順で入札単価が高くなるように設定しましょう。「ハンバーグ」と「ステーキ」については「一般」より高く、「ステーキ×ハンバーグ」よりも低くなっていれば大丈夫です。
キーワード入札調整は設定が複雑で、運用も工数がかかります。しかしながらそれをおこない、キーワードの入札単価に差を付けることによるメリットも大きいです。
一番のメリットは購入確度が低いことが予測されるビッグキーワードなどでのクリック単価を抑えることができることです。
ビッグキーワードは検索ボリュームが大きく、表示回数が増える一方で、検索意図を絞ることが難しいため購入に至らないユーザーへの配信量も増えてしまいます。
予算が潤沢にある場合はこのキーワードでも入札をおこないたいですが、予算が限られている場合は入札を抑え、より確度が高いキーワードで配信を増やしたいです。ビッグキーワードでの配信を抑えた分、確度の高いキーワードでの表示を増やすことができます。
予算に限りがある場合、キャンペーンの予算設定に制限がかかることもしばしばあります。予算に制限がかかると、1日の途中で配信量が減ってしまい、時には深夜に広告が配信されないこともあります。
限られた予算の中で運用する際には、確度の高いキーワードではしっかり上位に表示させ、それ以外では抑えて配信をおこなうことで無駄と機会損失をなくしていくことが重要です。
このような設定は Google の最適化でもおこなわれますが、予算や購入件数が少ないと最適化するまでに時間がかかることもあります。そのようなときに、キーワード入札調整で手動で作業することで、パフォーマンスを安定させることができます。
弊社ではキーワード入札調整をおこなった結果、コンバージョン率が1.6倍になった事例もあります。
CPA | CVR | |
---|---|---|
施策前 | 4,635円 | 0.46% |
施策後 | 3,542円 | 0.74% |
成果に繋がった要因としては、コンバージョン率を改善することができたことがもっとも大きいです。ビッグキーワードでの配信を抑え、詳細な検索での配信に寄せることで、購入確度が高いユーザーにしっかりアプローチすることができ、その結果としてコンバージョン率が改善できました。
キーワード入札調整の構造は通常のショッピングキャンペーンよりも複雑です。そのためキーワード入札調整を始めるときや運用しているときには注意点が必要です。もし運用方法を間違えてしまうと、設定が意味のないものになってしまいます。
キャンペーン設定をおこなう際に「スマートショッピングキャンペーン」を選択すると、手動での入札調整ができません。
キーワード入札調整を設定したい場合には「通常のショッピングキャンペーン」を選択しましょう。またすでにスマートショッピングキャンペーンで運用している場合には、新しくキャンペーンを作成しましょう。
キーワード入札調整をおこなうと、理論上 CPA はかけ合わせのキャンペーンが一番良くなります。しかし配信量が少なくなるため、タイミングによっては1カテゴリのものが良い場合もあるでしょう。
このような時に1カテゴリの入札額をかけ合わせの入札額より上げてはいけません。もし1カテゴリの方が入札額が高く設定すると、かけ合わせのキャンペーンで想定していたキーワードも1カテゴリのキャンペーンで拾ってしまいます。それでは購入確度の仮説が崩れてしまうので注意が必要です。
キーワード入札調整を導入し、運用していくと購入の傾向が見えてきます。理論上は「一般」がもっともコンバージョン率が低く、「かけ合わせ」がもっともコンバージョン率が高くなります。
もし数か月運用してもこの形にならない場合は、確度の仮説が間違っている可能性があります。検索語句を確認してどのようなキーワードで購入されているのか、今一度確認してみましょう。
たとえば定食の例の場合、「ステーキ」と「ハンバーグ」でかけ合わせてキャンペーンを作成しましたが、「生姜焼き」や「エビフライ」の方が効果的だったかもしれません。その際にはキャンペーンを同様の方法で増やして、対策をおこないましょう。
Google のショッピング広告の推奨はスマートショッピングキャンペーンです。また検索広告に関してもキャンペーンや広告グループを統一することが推奨されているため、今回紹介したキャンペーンを分散させるキーワード入札調整はおすすめされません。その点を念頭に置いた上で、導入を検討してください。
ショッピング広告の改善の際に見直すべきポイントは大きく分けて4つあります。この4つのポイントに対して適切なアプローチを取ることにより成果に繋がります。
ショッピング広告は掲載面の時点で他社の商品と比較がされます。そのため最初に目につく画像やタイトルで差別化ができなければ、ユーザーにサイト訪問してもらうことができません。
サイトに流入されなければ、費用も発生しませんが、購入されることもありません。まずはサイトに流入してもらうことを意識して、クリック率を指標にタイトルや画像の改善をおこないましょう。
タイトルでは最初の数文字で何の商品かがをがわかるようにすることがポイントです。画像も同様に何の商品か一目でわかるか、また競合商品と比較して目を引くものになっているかを確認しましょう。
掲載している商品の在庫状況はいかがでしょうか。色やサイズに在庫切れがある商品を掲載すると大きな無駄が発生します。
クリック率改善商品ページに送料や発送日などの必要な情報がなく、CVR を引き下げている可能性もあります。しかしほしいサイズや色の在庫がなければ、離脱率はほぼ100%です。
ショッピング広告に掲載している商品の在庫は十分整っているか、今一度確認してみましょう。
自然検索や店舗で人気の商品はショッピング広告でも購入されやすいと考えられます。そのような商品の配信量は減少していませんか?
ショッピング広告は検索広告とは異なり自社で出している広告が複数配信されることも多々あります。そんな中で特に売りたい人気商品の配信が他の商品よりも抑えられている可能性があります。
Google が他の商品の方がユーザーに求められていると判断したために、そのような状況になっているため、従った方が購入件数や流入数が増える可能性もあります。
しかし特定の商品を売りたい場合には、その商品の入札を引き上げる対応をおこなうことで、配信量を調整し改善につなげることができます。
ショッピング広告はキーワードの選定や商品ごとの配信量の出しわけなど、Google まかせの部分が大きいです。
そのため特に予算が少ない場合に、確度の高いキーワードでは配信を強め、低めのキーワードでは抑えるという調整が手動ではできなくなっています。
もし現状商材そのもののビックキーワードでの配信が大多数を占め、かつ効率的に獲得できていない場合にはそのキーワードを完全一致で除外設定してみても良いかもしれません。
キーワード入札調整は意図的に入札単価をある程度調整できるので、特に予算が限られているときには有効です。
一方で設定が複雑で手間がかかったり、Google が推奨している構造ではなかったりとデメリットもあります。そのため導入する際には慎重に検討する必要があります。ショッピング広告の成果が思うように出ない際には、デメリットを理解したうえでキーワード入札調整の設定をおこなってみるのも1つの手かもしれません。
広告運用 コンサルタント
2020年1月に広告運用コンサルタントとして入社。新卒で入社した不動産会社向けシステム会社で、気づいたらマーケティング担当になっていて、サイト運営や広告運用などいろいろ携わった元”なんでも屋のぼっちマーケター” 広告運用以外だとGoogleAnalyticsとZapierが好き。鈴木愛理とハロプロに支えられ、毎日楽しく広告運用してます。
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