運用型広告

サーバー移管時に広告はどうする?運用者が最低限知っておきたいこと

2008年からキーワードマーケティングに在籍し、15年以上広告運用に携わっている小島です。

長いお付き合いのお客様だと、広告運用はもちろん、それ以外の Web マーケティングやサイト制作などについても相談されることがあります。 その中でも、まれに相談されるのがサーバー移管時の広告運用についてです。このサーバー移管は、サーバー変更やサーバー移転などと言ったりもします。

最近では、SEO の観点から Core Web Vital の指標(LCP と FID、CLS)を気にして、レスポンスの速いサーバーへ変更するサイトもあります。LCP、FID、CLS はそれぞれ以下の指標を指します。

  • LCP(Largest Contentful Paint):最大視覚コンテンツの表示時間
  • FID(First Input Delay):初回入力までの遅延時間
  • CLS(Cumulative Layout Shift):累積レイアウトシフト数 

サーバー移管作業は専門家に任せたほうがよいですが、広告との連携については我々のような広告運用者がフォローする必要があります。この記事では、サーバー移管が決まったときに広告運用者がおこなうべきことと、サーバー移管について必要最低限知っておきたいことを解説します。

サーバー移管時、広告は「一定期間停止」が望ましい

はじめに、サーバー移管時は広告を一時停止することをおすすめします。なぜなら、サーバー移管時はページが正しく表示されない可能性があり、その状態のページにユーザーが訪問することで、ページの見づらさから信頼を得られなかったり、機会損失したりするリスクがあるからです。

サイトのトップページが正常に表示されていても、ユーザーが商品やサービスを購入・契約するためのフォームが動作しないこともあります。また、Web 広告に紐づけているランディングページが表示されない場合は、広告が審査落ちしてしまいます。広告が一度審査落ちすると、再審査の申請をしなければいけません。

このようにさまざまなリスクがあるので、サーバー移管時は必ず広告を一時停止しましょう。もちろん広告の配信を止めることでの機会損失も考えられますが、私はユーザーの信用や信頼を失うことが一番のリスクだと考えているので、一時停止することをおすすめします。

広告の停止と再開のタイミングは?

広告の停止と再開のタイミングですが、停止はサーバー移管作業の1時間前再開は変更作業をおこなう技術者と相談して決めるのがベターです。少なくとも、サイトが正常に表示されない可能性がある期間は、広告を停止するべきでしょう。

広告を停止するタイミングは「サーバー移管作業の1時間前」

広告を停止するタイミングは、サーバー移管作業の1時間前が目安です。サイトが突然閲覧できない状態になってしまうと、広告経由でサイトに訪れたユーザーが困ってしまうので、ある程度余裕をもって停止しましょう。

サーバー移管は主に、アクセスが少ない夜間におこなわれることが多いです。トラブルが発生しても、被害を最小限に抑えることができるためです。もし夜間にサーバー移管をおこなうのであれば、広告運用者もその時間帯に合わせて広告の配信を止められるよう準備しておきましょう。

広告を再開するタイミングは「サーバー移管作業者と要相談」

広告を再開するタイミングは、サーバー移管の作業者に相談して、サイトが正常に表示されない可能性がある期間が終了するころにしましょう。作業完了の連絡をもらい、サイトが安定して表示されるかを自分の目で確認してから、広告の配信を再開させるのが望ましいです。

自分で確認する際に押さえておきたいポイントは2つあります。1つ目はランディングページの内容が正しいか、2つ目はフォームが正しく動作するかです。

移管前のサーバー内でリダイレクト(サイトやページなどを新しい URL へ転送する)作業をおこなっている場合があるので、表示されるかだけでなく、ページの内容に変更がないかも確認しておきましょう。

2つ目に挙げた「フォームが正しく動作するか」は、フォームの仕様次第では確認が必要です。サイト内に html や CSS などを使ってフォームが埋め込まれている場合は、サーバー移管によってプログラムが以前と同じ動きをしないこともあるので、テストしたほうがよいでしょう。

実際にユーザーが使うフォームからテストメールを送って、移管前と同じように動くか確認しましょう。

ここまでくれば広告運用者としての責任は最低限果たせました。しかし、お客様のためを思うのならば、もう少し知識をつけておいてもよいかもしれません。

サーバー移管が確実に完了したことを確認する方法

広告の再開のためにサイトが正しく表示されているかを確認したと思いますが、実際はまだ移管が完了しておらず、変更前のサーバーの内容が表示されている可能性が残っています。そのため、サーバー移管が確実に完了したかを確認する方法をお伝えします。

以下の2つの方法がありますが、2の方法は新サーバーの設定を壊してしまったり、hosts ファイルを戻し忘れたりしてトラブルが発生する可能性もあるためおすすめしません。その危険性からサーバー移管の作業者も嫌がるので、知識がない場合はやめておきましょう。

  1. DNS サーバーに設定した A レコードの TTL 以上の時間が経過したかを確認
  2. サーバー移管前に、新サーバー内のサイトを確認

ここからは、1つ目に挙げた「DNS サーバーに設定した A レコードの TTL 以上の時間が経過したかを確認」する方法を紹介します。

DNS サーバーに設定した A レコードの TTL 以上の時間が経過したかを確認する方法

いきなり DNS や A レコード、TTL などの単語が出てきて驚いたかと思います。しかし、こういった専門用語を頭の片隅に少しでも入れておくだけで、サーバー移管をおこなう作業者とのコミュニケーションが取りやすくなります。余裕のある方は覚えておくとよいでしょう。

用語詳細
DNS(Domain Name System)ドメイン名と IP アドレスを紐づけて管理するシステム
DNS サーバーDNS を提供するサーバー
キャッシュ一度利用した(表示した)データを一時的に保持し、次回すばやく利用できるようにする機能
TTL(Time to Live)DNS サーバー内でドメイン名と IP アドレスの紐づけが残っている期間
A レコードドメイン名を IP アドレスに書き換えるレコード(データ/情報)
サーバー移管時に覚えておきたい用語

上記の用語をなんとなく理解したところで、本題の「DNS サーバーに設定した A レコードの TTL 以上の時間が経過したかを確認」に移っていきます。

ドメイン名と IP アドレスを紐づけて管理するシステム「DNS(Domain Name System)」のサーバー内で、紐づけが残っている期間(TTL)は0から2147483647までの秒数で表現されます。

例えば、TTL が3600であれば、3600秒=60分=1時間の間はドメイン名と IP アドレスの紐づけが残っている(保持されている)ことになります。1時間以上経過した場合はキャッシュが破棄されるので、それ以降にアクセスした場合は再度 DNS サーバーに情報を問い合わせる(アクセスする)ことになります。なお、この動作は世界中に複数ある DNS サーバー間で瞬時におこなわれます。

そのため、TTL が長く設定されていた場合は、元の DNS サーバーの情報を更新しても、ほかの DNS サーバーに古い情報が保持されているので、その古い情報が表示されてしまいます。

ここまで理解できたら、サーバー移管作業をおこなう作業者に「A レコードの TTL」を確認し、可能であれば作業前に短く設定してもらうことができないかを相談してみましょう。

TTL は理論上0から設定できるものの、実際はサーバー運営会社の指定した値から選ぶことが多く、その場合の最低値は3600で設定されていることが多いです。

サーバー移管時は広告運用者も自分にできることをしよう

本記事の DNS に関する記載などは、広告に関するものに絞って、さらにサーバーに関する知識がない方に向けて簡略化した説明になっています。

興味が湧いた方は、ぜひインターネットや各種サーバーの仕組みなどについて勉強してみてください。どんな知識も、広告を運用する際には必ずプラスになります。

ほかの方が担当している業務に口出しするのは、実際のところなかなか難しいです。サーバー移管時に「広告は停止しない」と広告主が方針を出しているのならば、それに従うしかないと思います。

ただ、そんな場合でも何らかの意見を述べておくのは、プロフェッショナルとしての責務ではないでしょうか。

サーバーやプログラミング、PC についての知識はもちろんのこと、会計や法律などさまざまなジャンルで専門家と話ができるくらい、もしくは専門家に質問ができるくらいに知識をつけておくと、運用担当者としての幅が広がってきます。その上で誠実に、謙虚な姿勢で自分の仕事に向き合うことが肝要だと私は思います。

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日々広告を運用している広告運用者がシミュレーションを作成し、商材に合った媒体や配信メニューをご提案します。運用開始後は、東京本社と九州佐賀支社の分業体制により、ミスのない安定した運用とすばやい施策立案・実行を可能としています。

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記事を書いた人

小島 元
小島 元

広告運用 コンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

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