変化が早い Web マーケティング業界ですが、検索エンジンの検索結果である SERPs もかなり変化の早いものであるといえます。リスティング広告の運用代行をしている弊社でも、気づいたらリスティング広告の表示が変わっていたという社内チャットを度々見かけます。
この記事では SERPs の概要から表示のされ方、構成要素と自社のサイトが表示されないときの対応方法までを解説します。SERPs について理解したい方はぜひ参考にしてください。
SERPs(Search Engine Result Pages)とは、検索エンジンでキーワードを検索したときに表示される検索結果画面のことです。
表示される項目は、検索キーワードにマッチしたサイト以外にも画像や動画、Google マップ、検索したキーワードに関連する質問や Google ビジネスプロフィールなど、多くの情報が表示されます。
各検索エンジンのアップデートによって、SERPs における各項目の表示形式や表示される情報が変化し続けている現在、自社の情報を SERPs の適切な場所に適切な形で表示させることが重要になりました。
そのため、SERPs について理解するだけでなく、どのような情報が SERPs のどの場所に掲載されるのが自社にとってベストかを明確にすることが、Web サイトの流入数を増加させるために必要だといえます。
SERPs の表示のされ方は大きく3つあります。それぞれ特徴があるため理解しておきましょう。
ユニバーサル検索は、ビデオ、ニュース、画像、地図、書籍といった Web ページ以外のコンテンツが表示される検索結果のことです。検索したユーザーが検索結果から必要な情報を正確に取得できるよう、Google が2007年に導入しました。
例えば「洋服 築地」と検索すると、築地にある洋服屋さんの場所が表示されます。
店舗ビジネスであれば、店舗の場所が表示されると集客につながる可能性があります。また、似顔絵やウェルカムボードなど絵に関する商品を提供しているサービスであれば、画像を表示させることで自社サイトにユーザーを集客できる可能性があります。
パーソナライズド検索は、ユーザーの検索履歴やクリックした検索結果から学習したデータをもとに、最も関連性が高いコンテンツを表示する検索結果のことです。過去の検索履歴や検索しているデバイス、ユーザーの所在地などをもとに、検索結果に表示されるサイトの順位や表示されるコンテンツが変動します。
例えば、PC とスマートフォンで「チャット」と検索した場合、PC の検索結果ではビジネスチャットツールのChatwork のページが2番目に表示されていますが、スマートフォンの検索結果では言葉の意味を調べるコトバンクのページが表示されています。
バーティカル検索は、検索結果の検索窓の下に表示される検索結果で、検索対象を任意のカテゴリに絞り込むことができます。物品を調べていると「ショッピング」が、芸能人やスポーツ選手など人物を調べていると「ニュース」が前に表示されやすくなるなど、検索するキーワードごとにカテゴリの表示順序が変わるのが特徴です。
以下の図のように「YouTube」と検索すると動画、ニュース、画像、ショッピングの順番で表示されますが、「Google Pixel 8」と検索するとショッピング、ニュース、画像、動画の順番でバーティカル検索が表示されます。
SERPs は、検索するキーワードや過去の履歴によって表示される情報や形式が変わることが理解できたと思います。検索する人のニーズに合わせて表示する項目が最適化されているため、SERPs を構成する要素はたくさんあります。ここからは、SERPs を構成するそれぞれの要素を紹介します。
広告枠は、検索したキーワードに関連した検索連動型広告やショッピング広告が表示される枠です。Google であれば、検索連動型広告かショッピング広告を配信することで、自社サイトの情報を広告枠に表示できます。
テキスト検索結果は、Web サイトのタイトルが表示されるタイトルリンク、Web サイトの概要が表示されるスニペット、同じドメインのページへのリンクが複数表示されるサイトリンクなどによって構成される要素です。
自社の情報をテキスト検索結果に表示させるには、Google にインデックス登録する必要があります。
インデックス登録には Google サーチコンソールを使用します。Google サーチコンソールは、Google 検索における Web サイトのパフォーマンスを確認したり分析できるツールです。
Google のクローラーを Web サイトに呼び込む URL 検査をおこなうか、Web サイトの内容が記載された XML サイトマップを送信する方法のどちらかでインデックス登録が可能となります。
ナレッジパネルは人や場所、組織、物事などを検索したときに表示される要素で、検索キーワードにまつわる概要を簡単に確認できるよう、Google がウェブ上のさまざまな情報を元にして自動で生成しています。
ナレッジパネルを表示させるには、Google ビジネスプロフィールへの登録が必要です。また、登録しただけで完了ではなく、情報を都度更新することも必要となります。
ナレッジパネルは自動で生成されますが、管理していないと誤った情報が自動で表示されてしまいます。そのため、Google ビジネスプロフィールのアカウントを作成して住所、電話番号、営業時間といった情報を入力し、変更があれば都度更新をおこないましょう。
ローカルパックは、地名や場所に関する情報を含んだ検索をしたときに SERPs 上部に表示される、Google ビジネスプロフィールと Google マップで構成された要素です。
ローカルパックを表示させるには、Google ビジネスプロフィールの登録と MEO 対策が必要です。MEO は「Map Engine Optimization」の略称で、Google であれば Google マップでの表示を最適化することを指します。
MEO 対策の代表的な施策として、Google ビジネスプロフィール上の写真や動画の充実や口コミをと評価レビューの充実、口コミへの返信が挙げられます。
リッチリザルトはニュースや Q&A、質問、求人情報、映画の情報といった、SERPs に表示される30以上のコンテンツの総称です。例えば「上映中の映画」と検索すると、映画館のサイトだけではなく検索結果の上部に上映中の映画の名前、上映時間、メインビジュアルの画像が表示されます。
リッチリザルトを表示させるには、構造化データを使用して Google にページの意図を伝える必要があります。
構造化データを Google に伝える方法は以下の3つです。
1つ目に挙げた HTML での構造化マークアップは Web サイトのページソースに直接構造化データを記述する方法で、最も一般的な方法ですが、HTML の知識が必要です。
2つ目の構造化データマークアップ支援ツールはサーチコンソールとの連携が必要ですが、項目を選んでいくだけで HTML が生成され、構造化データのマークアップができます。
3つ目のデータハイライターもサーチコンソールとの連携が必要ですが、構造化データマークアップ支援ツールと違い、Web サイトのソースコードに構造化データの記述を入れずに Google にページの情報を伝えることができます。一方でサポートされている項目が限られているため、対応していない項目は前述した2つの方法いずれかで対応し、ソースコードに記述する必要があります。
アンサーボックスは検索されたキーワードに対する答えを検索結果の上部に表示する要素のことで、「SERPs とは」や「リスティング広告 クリック課金 定義」などの答えを探しているキーワードを検索すると表示されやすいです。
アンサーボックスを表示させるには、質問に対して答えとなるコンテンツを Web サイトに作ることが必要です。
例えば、「SERPs とは」というキーワードに対して自社サイトを表示させたいのであれば、SERPs について詳しく説明する記事を書くとよいでしょう。
Google for Jobs は検索されたキーワードにマッチする求人情報を表示する機能で、「Google しごと検索」とも呼ばれています。
Google for Jobs を表示させるには、2つ方法があります。
1つ目は、自社のウェブサイトに求人情報を掲載することです。しかし掲載するだけでは表示されないため、求人情報の HTML を編集して、構造化データを Google に伝える必要があります。
2つ目は Google for Jobs に対応している求人サービスに情報を載せてもらうことです。対応可否はサービスによって異なるため、求人掲載前に確認しておきましょう。
画像検索結果は、Web ページに埋め込まれている画像が表示される検索結果です。例えば「馬 画像」や「夜景」のように、画像を検索していると判断されやすいキーワードで表示される可能性が高くなります。
画像検索結果に表示されるようにするには、オリジナルの画像を使う、ページのテキストと関連性がある画像を使う、ファイル名を簡潔にして alt 属性を設定するなどさまざまな方法があります。
動画検索結果は、Web ページに埋め込まれている動画が表示される検索結果です。「天皇賞 レース映像」や「君たちはどう生きるか 予告編」のように、動画を検索していると判断されやすいキーワードで表示される可能性が高くなります。
動画検索結果に表示されるようにするには、動画ごとに専用のページを作成して動画がページ内で最も目立つコンテンツになるようにしたり、Google が Web ページ上の動画を簡単に識別できるよう、動画に HTML タグを設定するなどがあげられます。
探索機能は検索したキーワードに関連する検索をしやすくするために実装されている機能で、他のユーザーがよく検索しているキーワードが表示される関連検索グループと、検索したキーワードに関連する質問が表示される関連質問グループの2つが該当します。
探索機能に表示される情報は制御できませんが、ユーザーがどのような検索をしていて、どのような疑問を持っているかを理解できるため、Web サイトにどのようなページを作ればよいか検討するときに活用することをおすすめします。
SERPs の構成要素と、各構成要素に自社の情報を表示させる方法が理解できたと思いますが、もし表示させるための施策を実施したにもかかわらず自社サイトが SERPs に表示されない場合もあります。
ここからは、SERPs に自社のサイトが表示されないときの対応方法を4つ紹介します。
SERPs に自社サイトが表示されていないとサイトへの流入がなくなってしまうため、表示されないときの対処方法を理解して、必要があれば対応しましょう。
まず、本当に自社サイトやページが SERPs に表示されていないか確認しましょう。
単純にページに関連するキーワードで検索しても、掲載順位が低いだけで1ページ目以降に表示されていることもあるため、検索方法に工夫が必要です。
サイトが見つからない場合は「site:ドメイン名」で、ページが見つからない場合は「site:ページの URL」で検索してみましょう。
このように検索することで、検索結果を自社サイトやページに絞り込めるため、SERPs に自社サイトやページが表示されているかどうか確認しやすくなります。
この検索方法でも表示されない場合は、Google にインデックスされていない可能性があるため、まず Google のクローラーにクロールしてもらい、インデックスするところから始めましょう。
Google でページが表示されるまでの仕組みとして、Google のクローラーにページを発見してもらい、Google のデータベースにインデックスしてもらう必要があります。
クローラーは、Web 上に公開されているページを見つけるために検索エンジンに搭載されているロボットで、クローラーによって Web 上のページやテキスト、画像、動画などの情報が収集されています。
クローラーにサイトをクロールしてもらうには、サーチコンソールを使います。
サイトにページを追加したりページに変更を加えた場合であれば、サーチコンソールの URL 検査ツールを用いてクロールを促すことができます。
また、新規でサイトを立ち上げた場合は、ドメインをサーチコンソールに登録して XML サイトマップを送信するか、サーチコンソールの URL 検査から「インデックス登録をリクエスト」を実行しましょう。
クローラーは自動で Web を巡回しているため、待っていてもいずれクロールされてインデックスされる可能性はあります。しかし、変更したページや新規のサイトを早く表示したいのであれば、早くクロールしてもらうようサーチコンソールを使うとよいでしょう。
サイトをクロールしてもらっても自社サイトやページが SERPs に表示されていない場合は、表示させたいページ上に Google 検索の基本事項に沿っていない部分がある可能性を考えましょう。
Google 検索の基本事項は、技術要件、スパムに関するポリシー、主なベストプラクティスの3つです。そのうち技術要件とスパムに関するポリシーを守らないと SERPs にページが表示されない可能性があるため、確認しておきましょう。
技術要件は、ウェブページが Google 検索の検索結果に表示されるための最低限の要件のことです。多くのサイトは技術要件を満たしていますが、ログインを必要としたりクローラーを意図的にブロックしたりして、Google のクローラーである Googlebot がアクセスできないページ、クライアントエラーやサーバーエラーになるページはインデックスされません。
スパムに関するポリシーは、ユーザーの保護と検索結果の品質を高めることを目的に設けられています。また、Google にインデックスされるためには、Google 検索の全体的なポリシーとスパムに関するポリシーに準拠している必要があります。
検索エンジンのクローラーとユーザーとで異なるコンテンツを出し分けるクローキングや、第三者によってハッキングされたサイトの表示、検索結果ランキングを操作する目的でのキーワードの乱用といった行為はポリシー違反となり、SERPs に表示されなくなるため、おこなわないようにしましょう。
もし Google 検索の基本事項に沿っていない場合は、ページの修正が必要です。特に意図しないページのエラーは見落とされがちになるためチェックが必要です。
また、上位表示を意識するあまりキーワードを乱用したり、ユーザーをだますようなコンテンツを設置してしまうことは、結果的にページが表示されない原因を招き、利益を生みません。Google が提唱しているベストプラクティスにも記載されている「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツを作成する」ことを意識しましょう。
参考:Google 検索の基本事項(旧ウェブマスター向けガイドライン)| Google 検索セントラル
SERPs を理解することで、それぞれの検索に対してどのような情報がどのように表示されるかが分かります。
Web マーケティングに携わる人であれば、自社のページが表示される掲載位置は上の方が良いと考えることが多いと思います。
しかし、自社の情報をどのように表示させればユーザーにとって有益なものになり、自社の商品やサービスを愛してもらえるかを考えながら、コンテンツマーケティングや SEO 対策、MEO 対策などをおこなうことも大事だということを忘れないようにしたいですね。
マーケティング
2021年5月に広告事業部に中途入社。クライアントの広告運用やマネジメント、オウンドメディアの記事執筆などを約2年経験する。2023年9月よりマーケティング部へ異動。趣味はスマホゲーム、Vtuber、アニメ、競馬、お酒など。
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