2008年からキーワードマーケティングに在籍し、以降10年以上広告運用に携わっている小島です。
店舗を作っても来店者がいなければ商品やサービスが売れないのと同じく、サイトに誰も来なければビジネスには全く意味のないものとなってしまいます。そのため、ネットビジネスにおいて Google や Yahoo!、Microsoft Bing などの検索エンジンは非常に重要です。
一般的にサイトへの流入経路として多いのは検索エンジン経由です。多くのユーザーに来訪してもらうには検索流入を意識した戦略を立てることが重要です。
最近は SNS からサイトへの流入も大きくなっていますが、SNS からの流入数は波が大きいです。堅実に来訪者数を確保するには、検索からの流入を増やすのがよいでしょう。
効率的にサイトへの流入を増やすには、キーワードを適切に選定することがとても重要です。選定するにあたって、対象のキーワードが月間で何回ぐらい検索されているのかを表した数値が「検索ボリューム」です。そこでこの記事では、検索ボリュームの調べ方や活用方法を解説します。
検索ボリュームとは Google や Yahoo!、Microsoft Bing などの検索エンジンで、特定のキーワードが一定の期間内に検索された回数です。ツールにもよりますが、大体は10単位の数字で表示され、10より細かい数字を確認することはできません。
上の画像は「リスティング広告」というキーワードの検索ボリュームを調べたもので、「22,200」という数字が月間の平均的な検索ボリュームを表しています。toB の領域であれば、検索ボリュームが10,000程度あればボリュームの大きいキーワードだといえます。
toC であれば大体100,000くらいを越えるものが大きいといえそうですが、業界や業種などにもよるうえ、検索ボリュームは検索されるタイミングによっても変動するので、一概には言い切れません。
検索ボリュームは Google キーワードプランナーなどのツールで調べることができます。ツールによっては過去の数値から将来の予測値を出してくれるものもあるので、用途に合わせて選択しましょう。
検索ボリュームが分かることによって、SEO やリスティング広告でどのキーワードを狙っていくべきかを知ることができます。
一般的に、SEO では検索ボリュームが大きいかどうか、自社と競合のコンテンツを比較した際に勝ち目があるかどうかといった判断軸で、どのキーワードを狙うか決めることが多いです。
リスティング広告の場合も同様で、基本的には検索ボリュームが多いキーワードから狙います。運用と並行して、コンバージョン率が高いキーワードや獲得単価が安いキーワードを探して、最適化していくとよいでしょう。
検索ボリュームは、Google キーワードプランナーなどのツールで調べることができます。初めてツールを使う方でも、調べたいキーワードを入力するだけで簡単に検索ボリュームを知ることができるので、ぜひ使ってみてください。
ここでは、代表的な5つのツールを紹介します。
Google キーワードプランナーは、Google 広告管理画面内にある無料のキーワード検索ツールです。Google キーワードプランナーを使うと、Google の検索エンジンにおける検索ボリュームの過去実績値や推定値がわかります。
ただし Google 広告のアカウントがないと使用できないので、まだ持っていない方はアカウント登録が必要です。また Google キーワードプランナーは無料で使用できますが、Google 広告に出稿していないとアバウトな検索ボリュームで表示されるため、注意が必要です。
もし詳細な数値を知りたい場合は、Google 広告を出稿する必要があります。
Google のキーワードプランナーは、Google 検索エンジンを利用した人のデータをもとに検索ボリュームを算出しています。そのため、Google 広告の出稿や Google 検索エンジンの SEO を検討する際に使うとよいでしょう。
Google 広告の中のデータから検索ボリュームを推定しているため、予測値以外にも「過去3ヶ月間の推移」や「前年比の推移」、「競合性」、「ページ上部に掲載された広告の入札単価(低額帯)」、「ページ上部に掲載された広告の入札単価(高額帯)」など、さまざまなデータを参照できます。
ただし、Google キーワードプランナーは Google 広告のツールなので、Yahoo! や Microsoft Bing での検索ボリュームを精緻に確認したい場合には向いていません。しかし、市場のニーズが Google と Yahoo! や Microsoft Bing で大きく変わることはないので、参考値としては活用できるでしょう。
また、Microsoft 広告には「キーワードプランナー」と同様の機能がありますが、Yahoo! 広告にあった同様のツール「キーワードアドバイスツール」は2023年5月31日に提供を終了しています。
Ubersuggest(ウーバーサジェスト)は、キーワードの検索ボリュームや SEO 難易度、広告難易度のキーワード調査、競合サイトの流入キーワードなどを調査できるツールです。
取得できる検索ボリュームのデータは、基本的に Google キーワードプランナーと近しい数値で表示されます。
無料版と有料版があり、無料版の検索可能回数は1日3回となっています。有料版は3タイプあり、1番安いプランだと1日150回まで検索可能です。
パーソナル | ビジネス | エンタープライズ | |
---|---|---|---|
料金 | 2,999円 | 4,999円 | 9,999円 |
登録サイト数上限 | 1 | 7 | 15 |
ログインユーザー数 | 1 | 2 | 5 |
検索ボリュームの調査回数制限(日) | 150 | 300 | 900 |
無料版でも Google Chrome の拡張機能を利用すれば、1日40回まで検索ボリュームを調べることができるようになります。さらに、ブラウザの検索結果画面上で検索ボリュームや CPC を確認できるようになるので、おすすめの拡張機能です。
Ubersuggest の拡張機能は Google Chrome の拡張機能版なので、ほかのブラウザでは使えない点は注意が必要です。
以下の画像は、Google で「五条悟」を調べた際のものです。Ubersuggest(Chrome 拡張機能)を使うと、画像のように Google の検索結果の右側に検索ボリュームや CPC などが表示されます。
また、YouTube でも同様に検索ボリュームなどが表示されます。
表示される指標は Vol(検索ボリューム)、CPC(クリック単価)、SD(競合性)といった基本的なもの意外にも「SEO 分析」という情報も表示されます。検索ボリュームの数値は Google キーワードプランナー同様、100単位で表示されます。
ミエルカはコンテンツマーケティングに強い、有料の SEO ツールです。
人工知能が搭載されており、キーワードごとの検索ボリュームを調査する機能はもちろん、コンバージョンに近しいキーワードを予測する機能や、評価されやすいコンテンツ作成に欠かせない検索意図に基づいた重要トピックを一覧化する機能も備わっています。それ以外にも、レポート機能やタスク管理機能、ヒートマップ機能も完備されています。
コンテンツ作成の意思決定をするうえで必要な機能がたくさんあるため、検索ボリュームだけ知りたい場合には多機能なツールかもしれません。
ミエルカを使って検索ボリュームを調査するためには、「サジェスト抽出」という機能を使います。料金プランによって月間で使用できる回数が制限されています。プランは月間の PV 数やドメイン数などによって違いがあるようなので、公式ホームページを確認しましょう。
また、ミエルカでは検索ボリュームを1桁まで知ることができます。より精緻に検索ボリュームを知りたい方にはおすすめです。プランによっては競合サイトの流入キーワードの抽出も可能です。
ahrefs(エイチレフス)は、Ahrefs Pte.Ltd が開発している非常に高機能な SEO 分析ツールです。検索ボリュームをはじめ自社や競合の順位変動、ドメインランクなどの基本的な指標の確認以外にも、競合の被リンク数や検索結果上位のコンテンツの分析、SNS での反応状態などの調査が可能です。
ahrefsは原則有料です。料金プランは4種類で、月額12,500円から利用可能です。
ライト | スタンダード | アドバンス | エンター プライズ | |
---|---|---|---|---|
料金 | 12,500円~ | 25,000円~ | 50,000円~ | 125,000円~ |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
ダッシュボード登録可能なサイト数 | 5 | 20 | 50 | 100 |
ランクトラッカー登録可能キーワード数 | 750 | 2000 | 5,000 | 10,000 |
無料の「Ahrefs ウェブマスターツール(AWT)」には検索ボリュームを調べる機能はついていないので、検索ボリュームを知りたい場合は有料版に申し込む必要があります。
ただし「Free Keyword Generator」を使用すれば、無料で検索ボリュームを調べられます。
Free Keyword Generator では Google だけではなく、Bing や YouTube、Amazon での検索ボリュームも調査可能です。
検索ボリュームのデータは独自に取得しているようで、100単位の数値で表示されます。
Free Keyword Generator のほかにも、競合性を調べる「Keyword Difficulty Checker」のような無料で使える便利なツールもあるので、目的に合わせて使い分けましょう。また、ahrefs は英語のインターフェースなので最初はとっつきにくいかもしれませんが、使いやすいツールなので、自身で使って慣れていくことをおすすめします。
aramakijake.jp は、検索ボリュームと自然検索の掲載順位順の流入予測に特化した無料のツールです。
ほかのツールと異なり、Yahoo! JAPAN での検索ボリュームも取得できるので、Google だけでなく Yahoo! の検索ボリューム対策も検討している方にはおすすめです。
無料で使用でき、回数制限もありませんが、検索ボリュームの値は「360,000」のような大まかな数値で表示されるので注意が必要です。とはいえ、いくつかのキーワードで Google キーワードプランナーと検索ボリューム数を比較しましたが、さほど差がない数値が出てきたので、数値自体は信頼できるといえるでしょう。
検索ボリュームが必要になるケースとしては、以下のようなものが考えられます。
いずれの場合でも重要なのは、検索ボリュームは主に比較材料として使用するという点です。期間で比較したり、キーワード間で比較したりといった使い方が有効です。
例えば、「リスティング広告」というキーワードを Google キーワードプランナーで調べた場合、以下の画像のような結果になります。このデータからを見ると、1年を通して、毎月比較的安定した検索ボリュームがあることが分かります。したがって SEO 対策、広告出稿のいずれの場合も、安定した流入数を確保するために対策する価値のあるキーワードだといえます。
次の図は、「リスティング広告」と「検索連動型広告」という二つのキーワードを、Google キーワードプランナーで比較した結果の画像です。
これをみると「リスティング広告」というキーワードの方が圧倒的に検索ボリュームが大きいことが分かります。この結果を受けて、検索ボリュームの大きい「リスティング 広告」というキーワードの対策にチャレンジするか、もしくはあえて検索ボリュームの小さい「検索 連動 型 広告」というキーワードから攻めていくかという判断をします。
検索ボリュームの小さいキーワードは他社が狙っていない可能性があるので、上位を狙いやすいという特徴があります。
現在の SEO の中心はコンテンツ対策です。そのため、検索しているユーザーが必要としている情報をサイト内で提供する必要があります。
どのようなキーワードの需要が大きいかを調べる際に、検索ボリュームが用いられます。
通常、検索連動型広告(リスティング広告)を出稿する際には、最初に表示回数やクリック数、コンバージョン数、平均クリック単価などの予測し、予算やキーワード選定などをします。
ここでは例として、「リスティング 広告」というキーワードの検索ボリュームを用いて予測をおこないます。なお、この予測は日本全国のユーザーを対象とし、広告費も潤沢に用意できるという前提があるものとします。
以下の画像を見ると、「リスティング 広告」の月間平均検索ボリュームは22,200とあるので、最大22,200回表示される可能性があるということになります。
競合性は「中」、入札単価が419円から1,508円の間のため、比較的競合が多いキーワードだと予測できます。
一般的な数値を例にすると、クリック率が5%程度、コンバージョン率が0.5%程度と想定できます。このようにうまくいった場合には、表示回数22,000、クリック数1,100、コンバージョン数6件ほどが獲得できると推測できます。
平均クリック単価は、通常入札単価より低くなりますので、およそ1,200円位と推測できます。このことから、広告費は推定したクリック数1,100に平均クリック単価1,200円をかけて、130万円程度と推測できます。
ここでの注意点は検索ボリュームの値をそのまま表示回数としないことです。検索ボリュームはあくまでも推測値であり、絶対的な値ではないということに留意する必要があります。
検索連動型広告を出稿する際に、地域やマッチタイプで絞り込んでターゲティングをおこなう場合は、それに合わせて検索ボリュームも変動することを考慮しましょう。
また、キーワードによっては出稿できる予算の上限があったり、媒体側で広告表示を絞ったりするキーワードもあります。キーワードとサイトの内容の関連性が低い場合には表示が抑えられたりする可能性もあります。
そういったキーワードや媒体ごとの特性を理解して、数値を予測をしなければなりません。特に、クライアントに予測を求められたときは慎重に予測すべきです。
「検索ボリュームを教えて」との依頼に、ツールから出てきた数値をそのままお知らせするのは止めましょう。クライアントが検索ボリュームを求めるときは、売上もしくは利益を予測したいと考えている場合が多いからです。
クライアントの興味関心は検索ボリュームそのものではなく、事業での売上や利益にどれだけ貢献するのかを知ることです。
単純に平均的なクリック率・コンバージョン率を掛けて、楽観的な数字を推測してしまうと、実際に広告運用が始まったあと、想定と違う結果が出た場合に問題になることもあります。
もし検索ボリュームを聞かれた場合には、その質問の意図を確認しましょう。そしてその意図が「売上もしくは利益の予測」であった場合は、サイトや市場・競合の状態などを考慮して、クリック率、コンバージョン率、平均クリック単価なども推測して、合わせて伝えましょう。
クリック率やコンバージョン率などを推測するには、相当な経験と知識が必要になります。個人差はあると思いますが、3年から5年程度の経験は必要ではないでしょうか。
広告代理店などでいろいろなアカウントの過去実績を見れる立場であれば、特定のキーワードや業種、市場や競合状態などから、必要なコンバージョンを獲得するにはどれぐらいの予算が必要か予測を立てて、実績と答え合わせをする訓練をするとよいでしょう。
自社の企業名やサービス名などの固有名詞の検索ボリュームは、その固有名詞の認知度を測るうえで有効なデータとなります。
自社の固有名詞の認知度が上がるのに連動して、会社や商品の認知度も上がっていくといえるため、それだけモノやサービスを売りやすくなります。また自社固有名詞に対して広告出稿すると、クリック単価は安くすむ傾向にあります。地名を含んだ自社名などの例外はありますが、自社固有名詞は自社のサイトを探して検索するキーワードであるため、キーワードとサイトの内容の関連性が高くなり、クリック単価も安くなりやすいのです。
こうした事情から、認知度のバロメータとして検索ボリュームを確認するケースは多いです。検索ボリュームが増えてくれば、それだけ認知が進んだといえます。
Google キーワードプランナーなら最大で過去4年の検索ボリュームの推移を見ることができるので、長期的な視点で過去と今を比較して、認知度がどう変化したかを把握できます。
そもそも正確な検索ボリュームが分かったとしても、その全てがビジネスに繋がる訳ではありません。
例えば、「冷蔵庫」というキーワードの検索ボリュームは月間約30万回です。しかし、約30万回の検索全てが「冷蔵庫が欲しい人」の検索ではありません。冷蔵庫が欲しい人以外に、「冷蔵庫を捨てたい人」や「冷蔵庫を貰いたい人」なども含まれています。
検索ボリュームは施策を検討するうえで非常に有用な指標ですが、利用する際は検索意図を考える必要があります。検索ボリュームの「向こう側」にある検索意図まで考慮して、ビジネスの結果に結び付くキーワードを選定するようにしましょう。
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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