滝井です。
今回は、検索(リスティング)広告向けランディングページの考え方と作り方を解説します。
ランディングページの完成度は、広告出稿の成果に大きく影響します。特にコンバージョン率は広告が与える影響よりも、ランディングページの質の影響の方がはるかに大きいと考えられます。
なぜなら、ユーザーは広告を見てクリックするだけでコンバージョンすることはなく、ランディングページで納得した上で行動するからです。
広告の役割は、確度の高い見込み客に対して、広告の品質を高めることによって、低いクリック単価でランディングページまで連れてくることです。品質スコアについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。
そこから購入や資料請求、問い合わせなどのコンバージョンをさせるのはランディングページの役割といえます。
そんな重要な役割を持ったランディングページですが、そもそもランディングページとは何かという定義をおさえておきましょう。
ランディングページの定義としては大きく分けて3つあります。それぞれ説明していきます。
まずは直訳での定義です。ランディングページ(landing page)は直訳すると、「着地/着陸ページ」という意味になります。
ここで大事なのは、着地するからには出発地や経由地が必ずあるということです。Webマーケティングでは、出発地や経由地によって、着地点の工夫の仕方を変える必要があります。
たとえば、検索広告をクリックするユーザーと SNS 広告をクリックするユーザーでは、置かれているシチュエーションが全く違います。どのような違いがあるかは後述します。
Google アナリティクス(以下、GA と表記)にはランディングページという項目がありますが、そこでの定義は、「ユーザーがお客様のサイトにアクセスする際、最初に表示したページです」と書かれています。
要するに、「最初に訪問されたページ」のことをランディングページと呼んでいるということなんですね。直訳の定義が「着地ページ」なので、これは言葉通りの意味では正しいといえるでしょう。
ただし、この意味でランディングページという言葉を使っている人は日本では少ないでしょう。
日本の Web マーケティング業界においては、ランディングページという言葉は上記のような意味ではなく、「コンバージョン獲得目的に特化したページ」といった文脈で語られることがほとんどです。
専門性が高く、購入や申し込み、無料お試し、資料請求、電話番号といったコンバージョンを促すボタンなどをファーストビュー(ページを開いた直後に見える上方の部分)に強く押し出し、そこで簡潔に強みなどのキャッチコピーを打ち出すことが多いのが特徴です。
ランディングページは、1枚もので縦長のページというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、必ずしもこのような形にする必要はありません。
サイト形式(トップページから複数ページにリンクがある構造のページ)のほうがランディングページとしてコンバージョン獲得の目的を達成しやすい場合も多々あります。
ここから先はランディングページを、この一般的な定義(=コンバージョン獲得目的に特化したページ)として解説します。
現在、ランディングページは様々な目的で作られるようになりました。メインでの使われ方がどのような成り立ちであるのかを理解すると、ランディングページの存在意義がわかり、深みをもったマーケティング施策に繋げられるでしょう。
ランディングページは大きく2種類の広告から流入があります。1つは検索広告、2つ目は SNS 広告です。みなさんも普段の生活でよく見るのではないでしょうか。
コンバージョンを獲得する目的でランディングページが作成される背景には、検索広告があることが多いです。
たとえば、法人向けに電気製品をとても幅広く扱う会社が、工場で使うような大型モーターや産業用ロボットなど様々な取扱いがある中で、「産業用カメラ」の売上を強化すべく、検索広告で「産業用 カメラ」というキーワードに広告投資する場合を考えてみましょう。
多くの場合、企業の公式サイトがあり、その中の1ページを広告からの着地ページとしています。
しかしコンバージョンをさせようにも、ページ内にコンテンツが足りなかったり、そのページだけを充足させるのは難しかったり、様々な制約があって広告の成果が出ないことが多いわけです。
そこで、「産業用 カメラ」というキーワードニーズには、「産業用カメラ」だけに特化したランディングページをつくれば、問い合わせなどのコンバージョン率も上がるだろうと考えるわけです。
企業や事業体は、規模が小さくても、ほとんどは多種多様なサービスを展開していることがほとんどで、公式サイト内のページではコンバージョンを生ませるだけの説得力にかけていることが多いです。
たとえば、弁護士という職種はとても業務範囲が広いのですが、債権回収や交通事故、法人顧問、離婚問題解決、相続問題解決など問題を抱えている人からすればあれもこれも問題を解決したいというわけではないでしょう。
解決したい問題があって検索するときは、必ず1つの問題があるときです。
人が解決したい問題は基本的に1つ、単品需要なのです。ランディングページは、単品需要に適応し、ページとしての専門性をもってコンバージョン率をあげるために作られるようになったといえるでしょう。
Facebook などの SNS の広告は、資料請求やホワイトペーパーダウンロードといった比較的ハードルの低いコンバージョンであるリード獲得に向いているといえます。
一例として漫画だけで作成されるランディングページは、SNS 広告に向いているケースがあります。以下は弊社の採用目的で過去に作成した漫画ランディングページの一例です。
検索広告とは違ってニーズがはっきりした状況でタイムラインを見ているわけではないので、興味関心をひき、わかりやすく伝えることが第一になるためです。
ただし、ここでも上記の単品需要は変わらず、商品サービスやテーマとする問題と解決手段は1つに絞ってランディングページを作成することが多いです。
検索広告や SNS 広告でのランディングページの成り立ちを理解したところで早速作成に移りたいところですが、ランディングページを作成する前に、考えておきたいポイントが3つあります。
ランディングページは広告を前提とすることが多いのですが、作成する前に「なんの広告を出すのか」を考えてから取り掛かる必要があります。どこから流入するのか、どこが出発地なのかということですね。
なぜなら、顧客になり得るユーザーというのは、広告クリックからランディングページの順番でクリエイティブを見ることになるからなんですね。
広告とランディングページが連動していなければ、ユーザーとのニーズがずれてしまうのは当然というわけです。
前述の「産業用 カメラ」の例ならば、実際にキーワードを検索し、現在どんなライバルが広告を出稿しているのか、オーガニック検索1位はどんなサイトかを考えて、そこと比較される前提で作成しなければ、コンバージョン率は上がりません。ユーザーは購入において失敗したくなく、比較が前提となっているからです。
次に重要になってくるのが、ターゲットと訴求ポイントをしっかりおさえることです。逆にいえば、ここが言語化されていれば、サイト制作会社さんやデザイナーがとても作成しやすくなるのです。
「誰に」「何を」を定義したいわけですね。
たとえば男性用ひげ脱毛であれば、「最近美容の必要性を感じている20代後半から40代までの男性」に対して、「痛い・高額なのではないかという不安を解消する」などを定義してあげるわけです。
ターゲット | 最近美容の必要性を感じている 20代後半から40代までの男性 |
訴求ポイント | 痛い・高額なのではないかという不安を解消する |
ランディングページを作成する際に最も重要なのが、コンバージョンポイントを何にするかという点です。これは出発点(広告種別)によっても変わります。
たとえば検索広告向けのランディングページならば、ニーズがはっきりしていて、場合によってはとても急いでいるケースがあります。
その場合、資料請求などのまどろっこしいものを置くよりも、もっと直接的な、問い合わせや見積依頼、フリーダイヤル番号などのコンバージョンポイントを設定し、目立たせたたほうがよいでしょう。
これらの3つをしっかり定義するだけでも、ランディングページ作成が成功する確率は格段に上がりますので、ぜひ面倒くさがらずに取り組んでみてください。ここまでをまとめると以下の通りです。
ポイント | 詳細 |
---|---|
1.ランディングページの流入元をイメージする | ユーザーがどこから流入するかを考える 検索広告の場合は他のサイトとの比較が大前提なので、オーガニック検索1位のサイトを超えるようなページ作成をする |
2.ターゲットと訴求ポイントをおさえる | 誰に対して広告を出し、何を伝えるかを明確にする 商材:男性用ヒゲ脱毛 誰に:美容の必要性を感じる20代後半から40代までの男性 何を:痛い・高額なのではないかという不安を解消 |
3.コンバージョンポイントを明確に設定 | 急ぎの商材(水のトラブルや鍵の紛失など):フリーダイヤルなどのすぐに問い合わせのできるもの 検討が必要な商材(男性用ヒゲ脱毛など):問い合わせや見積依頼など |
上記を踏まえた上で、検索広告向けランディングページを作成するには5つのコツがあります。
この5つのコツをおさえれば必ず成果があげられると約束できるわけではないですが、コンバージョン率が基準以上となる確率は飛躍的に高くなるはずです。以下、スマホページを前提として解説します。
Google 、Yahoo! の検索広告は、コンバージョン獲得がとてもしやすい、ネット広告の代表的な存在ですが、その最大の特徴は「今すぐのお客さん」が存在する確率がとても高いという点にあります。
これは他のディスプレイ広告、SNS 広告、動画広告にはない特徴といえます。
今すぐのお客さんがどういう意味かというと、必要性が差し迫っていて急いでいたり、今すぐ問い合わせしたかったり、条件を満たせば今すぐお金を払いたいといったお客さんです。
検索広告は、検索ユーザーが自ら探している途中にタイミングよく現れる広告なので、悩みの解決をしてあげるという点で、需要と供給のマッチングが成り立ちやすい広告なんですね。
そういう意味で、まったくネット広告をしたことがない人でも、検索広告を出した初日からコンバージョン(=顧客獲得)ができることもよくあります。
そのため、検索広告向けランディングページ作成を考える上でもっとも重要なことは、「今すぐのお客さん」を絶対に逃さない設計をするということなのです。
今すぐ買いたいと差し迫ったニーズを持っているお客様なので、最優先で接客したりご案内するのは当然ですよね。
具体的には後述するファーストビュー(ページアクセス時に最初に見える範囲)、コンバージョンポイントへの案内の仕方などを工夫する必要があります。
検索広告向けランディングページでは、まずは「今すぐのお客さん」を絶対に逃さない設計思想、準備が必要になります。
ただし、最強の広告である検索広告といえど、一般名詞(非指名キーワード)のコンバージョン率はよくて数パーセント。90%以上の見込み客は反応せずに去っていってしまいます。
こういった「そのうちのお客さん」は、なぜコンバージョンしないかといえば、まだ必要性が差し迫っていなかったり、競合他社と比較中であったり、信用を疑っていたりと理由はさまざまです。
そのため必要性を喚起したり、競合他社との比較優位がわかる表を掲載したり、顧客事例などの信用してもらうコンテンツを用意する必要があります。
ここで大事なのは配置するコンテンツの順番です。ファーストビューと直下では「今すぐのお客さん」向けにコンテンツをつくり、それ以降の中盤以降、またはページ遷移させた後のコンテンツはすべて「そのうちのお客さん」向けに作成するという明確な思想が必要なのです。
ファーストビューは「今すぐのお客さん」のために作成します。要素は以下のようになります。
ヘッダーはさらに、ロゴとレスポインスデバイス(最大3つ)の要素に分けられます。
ロゴは必ず左に寄せて、レスポンスデバイスは右側に寄せます。ハンバーガーメニューを置く場合は右端に。レスポンスデバイスは問い合わせ、電話、地図へのリンクなどの「今すぐのお客さん」のためのボタンを設置します。
実はヘッダーがなくても反応は取れますし、ヘッダーのボタンというのはそれほどクリックされるわけではないのですが、「今すぐのお客さん」に対して、「販売サイトである」ことを明確に主張し、今すぐの問い合わせや購入希望がウェルカムであるという意思表示として必要なんですね。
ヘッダーはお店でいえば看板のような存在なのです。なお、ヘッダーを固定せず、レスポンスデバイスを固定フッターとして置くパターンも現在は増えています。こちらでも問題はありません。
メインキャッチコピーは、大きなフォントで幅広い層に刺さる、簡潔なメッセージを設定します。
メインイメージは、その商材・商品がイメージできるものに。物販であればモノの画像ですが、オーダーメイドやサービス業の場合は、人が見えている写真や画像の方がよい場合もよくあります。
最後のサブキャッチコピーは、3個から5個くらい設定し、メインキャッチコピーよりも小さい字で配置します。
ファーストビュー直下には、ランディングページ全体の概要を書き、その下に最も「今すぐのお客さん」に取ってほしい行動を促すボタンを置きます。問い合わせや購入、見積依頼、予約などの比較的「重いコンバージョン」でも大丈夫です。
たとえば B to B(法人向け)のサービスなどでは、検索広告向けのランディングページなのに、「資料請求」といった「そのうちのお客さん」向けのボタンが目立っているケースがあります。
急いでいる「今すぐのお客さん」には、問い合わせや電話、お試しインストールなどの購入に近いボタンを目立たせたほうがいいわけなんですね。サービス業ではなく、「物」が主役のビジネスの場合は、商品一覧を表示するのがいいでしょう。
中盤以降は、すべて「そのうち客のお客さん」のためにコンテンツを用意します。
業種・商材によって異なる、お客さんの購入決定要因(KBF:Key buying factor)となる要素である、不安や不満を解消していくコンテンツを並べていきます。
KBF は以下のボタンからダウンロードできるので、参考にしてみてください。
上記「5つのコツ」をまとめると下記のようになります。
※スクロールさせて1ページで完結させなくても良く、必要に応じてページ遷移を促してユーザーが購入するために必要な情報を可能な限り届けることが重要です。
また、各要素はそれぞれ「超今すぐのお客様」「今すぐのお客様」「そのうちのお客様」に向けてコンテンツ割り振りになっています。
大事なのは順番と誰に向けたコンテンツ要素なのかを理解することです。下記はこれらを忠実に再現したランディングページの事例です。
ファーストビューの設計が完璧にできています。特にメインイメージ、メインキャッチコピー、サブキャッチコピーの質とデザインバランスが素晴らしいです。
メインイメージは、段ボール屋さんのビジネスの強みであるオーダーメイドを強調したものになっています。段ボールをオーダーで作成している工場のイメージを背景にしているのがポイントです。さらに、堅苦しいイメージを補うためにキャラクターでバランスを取っています。
メインキャッチコピー「オリジナルの段ボールをかんたんオーダーメイド」は、適度なフォントの大きさと太さで目に入りやすく、ユーザーがひと目で分かるようになっています。
サブキャッチコピーはこのランディングページの場合、6個もあるのですが、それぞれポイントをおさえた言葉がバランスよく配置されています。
これらがすべて、前述の KBF 表における、オーダーメードサービスの不安・不満の解消によくつながっています。「今すぐ客」がすぐにでも電話したくなるようなファーストビューの設計が実に上手くできている好例といえます。
この記事で解説した5つのコツを守り、ユーザーの不安・不満を解消できるようなランディングページを作成し、確実にコンバージョンが得られるようにしていきましょう。
代表取締役会長
2003年、Googleアドワーズが日本でサービスを開始した直後より、検索キーワード広告とランディングページの実践・研究を行い、その成功理論を書籍『1億稼ぐ検索キーワードの見つけ方』で発表、5万部以上のベストセラーとなる。 キーワードマーケティングでは、設立時から延べ千社以上のアカウントを診断およびコンサルティングしており、現在は上場会社や成長率の高いベンチャー企業に対する広告運用代理事業を拡大している。
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