運用型広告

10年教えてわかった、なぜコンバージョンしてるのに売上に繋がらないのか

講師を10年間務めていると「広告を出して問い合わせは発生しているけど、売上が上がらない」とよく相談を受けます。この記事を読んでくれている人の中にも以下のようなお悩みがあるのではないでしょうか?

  • 「コンバージョンは月に10回ほどあるけど、実際の成約は1件しかない」
  • 「コンバージョンはしているのに、期待するほどの売上が上がっていない」

今回の記事では、広告を出してコンバージョンは発生しているが、なぜか売上が上がっていないとお悩みの方に向けた記事です。コンバージョンを売上に繋げるための広告とサイト(ランディングページ)でできることを説明します。

まずはコンバージョン内訳の確認からスタート

コンバージョンには「問い合わせ」や「資料請求」、「メルマガ登録」などがありますが、まずは発生しているコンバージョンは何があるのかを整理しましょう。

もし問い合わせが成約に繋がりやすい傾向があれば、コンバージョンの中で問い合わせを増やすための施策をおこなうことで、成約数は今よりも増える可能性があります。

しかし、どのコンバージョンも成約に繋がっていない場合は、原因に合わせた改善が必要になってきます。     

コンバージョンが成約に繋がらない原因は3つ

コンバージョンはしているのに成約していない場合、原因は大きく分けて3つです。

  1. 成約まで時間がかかるお客様がコンバージョンしている
  2. コンバージョン後のプロセスに課題がある
  3. 顧客になりづらい人がコンバージョンしている

1.成約まで時間がかかるお客様がコンバージョンしている

コンバージョンが「資料請求」や「メルマガ登録」などの場合、コンバージョンした人はすぐに購入しない可能性があります。

資料請求やメルマガ登録をした人は、いまは情報が欲しいだけで、すぐに成約しない人かもしれません。

成約までに時間がかかる場合、今月に投資した広告費の売上は当月中には返ってこないこともよくあります。この場合、資料請求やメルマガ登録した人に合わせた情報提供を継続しておこない、時間をかけて成約に繋げることが大事です。

2.コンバージョン後のプロセスに課題がある

問い合わせや資料請求が発生した後に、企業側はコンバージョンした方に電話やメールをします。

ヒアリングをして、提案、そしてクロージングがあり、成約する流れが一般的です。しかしそのプロセスの中で、ヒアリング項目の設定や提案内容などに問題があり、成約していない可能性が考えられます。

すぐに成約する可能性がある人なのに取りこぼしているのは、もしかするとプロセスに原因があるかもしれません。この場合、成約までのプロセスの改善が必要なので、自社の体制や資料などの見直しをおすすめします。

3.条件的に成約しにくい人がコンバージョンしている

条件的に成約しにくい人として、サービス対象外の地域に住んでいる人がわかりやすい例だと思います。この場合、問い合わせや資料請求までのコンバージョンは発生するが、成約まではなかなか至らないこともあります。

条件的に成約しにくい人がコンバージョンしている場合は、広告とサイトの改善で、成約しない問題を解決できます。次から具体的な方法をお伝えします。

広告とサイトの改善で成約率をアップさせる方法

コンバージョンの内訳や、コンバージョンしている人の状況を確認したら、広告とサイトで改善できる点を見つけていきます。そのためにまずは、顧客にしたい人の傾向を考えて、顧客にしたい人が誰なのかを明確にしましょう。顧客にしたい人の傾向は、共通する欲求や悩み、所在地、性別、年齢、職業などから見つけていきます。

顧客に共通することや傾向が分からない場合は、既存顧客を参考にします。可能であれば、既存顧客にヒアリング(アンケート)をおこなうと良いでしょう。リアルな声が聞けて非常に参考になります。

また、まだ顧客になっていない人(見込み客)に、よく質問されることや問い合わせの内容も貴重な情報源なので、あわせて確認しましょう。

一例として、整理すると良い情報を挙げてみました。これらの情報をまずは集めてみると自然と共通項が出てくるはずです。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 職業や肩書
  • 商品・サービスが必要になった動機
  • 悩みと課題、求めること、期待すること
  • 興味、関心のありそうなこと

これらは広告とサイトの改善で使える情報ですが、すべて整理する必要はありません。傾向がないものもあります。

たとえば、弊社の広告運用代行事業の場合、男女どちらからも問い合わせがあるため、性別の傾向はありません。悩みは「コンバージョン率が低い」「CPA が高くなってきた」のような傾向があります。自社の商品やサービスを利用する顧客を具体的にするのが重要です。

いま配信している広告が、欲しい顧客にとって適したキーワードや広告文になっているか、コンバージョンは問題ないか、サイトで伝えていることが顧客の悩みや欲求に応える内容になっているかなどを確認しましょう。

情報の整理ができたら、広告とサイトの改善をおこなっていきます。今回はコンバージョンがあるのに売上が上がっていない状況なので、ターゲティング(キーワードと配信地域や性別など)と広告文、媒体や広告メニュー、サイト(ランディングページ)に絞って改善方法を紹介します。

ターゲティング(キーワード)

まずはターゲティングの中でもキーワードの改善を考えます。共通する情報からキーワードを絞ることができないかを検討します。

マッチタイプが部分一致の場合、関連ある検索でも広告が出るため、広告主の意図しない広告配信がされているかもしれません。マッチタイプをフレーズ一致に変えることも、絞るためにできるアクションのひとつです。

ただ、キーワードの場合、絞ると広告の表示が激減することもあるので注意してください。配信キーワードを絞った結果、全くコンバージョンしなくなるような、現在の問題よりも大きな問題になることもあります。

▼マッチタイプの考え方はこちら

【絞り込み部分一致が廃止】マッチタイプとは?目的別の使い分け方法を紹介

2021年6.7月にGoogle、Yahoo!どちらのも媒体で廃止になった絞り込み部分一致以外の3つのマッチタイプを丁寧に解説しました!登録キーワードと配信される語句の例も記載したので設定迷ったら参考にしてみてください。

ターゲティング(地域や性別、年齢)

次に、顧客にしたい人に共通してありそうなことに所在地、性別、年齢があれば、ターゲティング設定で絞ることを検討します。

たとえば、現在の顧客に「横浜市に住んでいる人が多い」という情報があれば、配信地域の設定で「横浜市」を設定します。同様に、性別また年齢に傾向があれば、さらに絞って配信できないかを検討しましょう。

絞ることも重要ですが、一方で初歩的なミスとして、配信地域の設定自体を忘れていて、サービス対象外の地域まで配信していたなんてこともありえます。自社のサービス対象地域と配信地域が一致しているかをこの機会に確認しておきましょう。

広告文

広告文には、買を決めるときに重視する要素となる購買決定要因(KBF:Key Buying Factor)を入れると効果的です。

購買決定要因として広告文に入れる言葉は、顧客にしたい人、広告を出して集客したい人となるターゲットをもとに決めるのが基本です。

ターゲットを決めるときは、市場にあるニーズを整理して同じニーズを持つかたまりに分類し、どこを標的(ターゲット)とするのかを決めます。

料金、プランや提供メニュー、サービス提供範囲などの購買決定要因は、業種ごとに異なるので、弊社が広告やランディングページ作成の際に使用している、以下の表を参考にしてみてください。

現在の広告に反映されていない悩み、欲求が複数あれば、それらに合わせて複数の広告を追加することも検討ください。     

媒体や広告メニュー

検索広告とディスプレイ広告を出している場合も絞ること前提に考えましょう。よく相談されるのが「検索広告でコンバージョンする人は成約するけど、Facebook 広告からコンバージョンする人は成約しにくい」のようなことです。

検索広告は、購買に向けて行動している人も多いので、ディスプレイ広告と比べると成約しやすく、売上に繋がりやすい傾向があります。なので成約率を上げたい場合は、予算を検索広告に集中させることもアクションプランとして考えられます。

サイト(ランディングページ)

サイトにはいろいろな情報が掲載されていますが、改善の際には、各情報が欲しい顧客が求める情報かを確認しましょう。サイト(ランディングページ)の改善でも購買決定要因(KBF)をもとに考えます。

購買決定要因をもとに、まずはランディングページのファーストビューを修正していきます。最初に表示される領域となるファーストビューの改善は非常に重要です。

ファーストビューのあとに掲載されている情報が、欲しい顧客にとって適した情報であっても、ファーストビューの内容がイマイチだと、そこで離脱される可能性があります。

欲しい顧客に共通している情報をもとに、ファーストビューに掲載するメッセージ(文章)の変更、追加を考えましょう。たとえば、弊社の広告運用代行事業の場合は、KBF の表でいうと「コンサルタント」が近いビジネスモデルです。

購買決定要因(KBF)「コンサルタント」

コンサルタントの購買決定要因には「数字を伴う実績紹介」があります。それをもとに考えると、ファーストビューに「CPA を30%以上改善した広告運用の実績が250社以上」のようなメッセージを入れることができます。

ファーストビュー以降に掲載する情報も、欲しい顧客に合わせて変えることを検討します。サイトに掲載する情報は、顧客の欲求や悩みをもとに決めるのが基本なので、欲求、悩みをもとに改善することを考えましょう。

たとえば、弊社の広告運用代行事業の場合、弊社の欲しい顧客「広告運用代行を検討されている方」は、成功事例やサービス範囲のような情報を求めていることが多いです。

そのため、「顧客事例」や「提供サービス内容」のような情報を掲載します。これらの情報をファーストビューに入れることも検討できますが、ファーストビューの領域には制限があるため、あれもこれもと情報を入れることはできません。欲しい顧客を起点に、優先順位を決めて情報を掲載することを考えましょう。

自社の成長にはコンバージョン数も大切

記事で紹介した広告やランディングページを改善し、欲しい顧客のための情報を掲載することは決して悪いことではありません。

ただ欲しい顧客に合わせた施策は、従来獲得できていた顧客を絞り込んでいる可能性があります。絞り込みすぎた結果、機会損失が起こってしまうということも十分考えられます。

広告とサイトだけで、理想とする欲しい顧客だけを集客するのは限界があります。欲しい顧客の情報を整理し、やれることをやったら、顧客の質にこだわりすぎない姿勢に切り替えることを考えましょう。

ビジネスの成長において欠かせないのは、マーケットシェアを高めることです。そのためにも、コンバージョンの数を増やすことは必要になります。広告のアクションは、質だけではなく数をとることを意識して取り組むことが大事なのです。

質にこだわり絞ると縮小するのは事実です。市場に需要がある中で、質にこだわり、欲しい顧客だけを取ることを意識した施策をすると、自社の成長を止める可能性があります。

絞る施策をした結果、顧客の多くはライバルに取られることになるかもしれません。そうなると、ライバルは自社よりも成長します。一方の自社の成長は止まり、最悪の場合、事業がつぶれる可能性もあるでしょう。

まずは、成約しない原因を追求することからはじめましょう

コンバージョンは獲得できているけど成約しないとき、まずは、成約しない原因を追求することからはじめましょう。そのうえで、広告やサイトでやれることがあれば対応します。

一方で、コンバージョンした人を成約につなげることは基本的に事業側で対応すべきことです。商品、サービスを開発したり、セールスの仕組みを改善したりするようなことが必要になります。

広告を通じて集客や販売するときは、広告の役割と目的を常に意識して、マーケティング活動とビジネスに取り組むことが大事です。

広告からサイト制作の悩みまで相談できるキーワードマーケティング研究会。広告アカウントの構築や広告運用、ページの改善、マーケティング全般の相談もできます。詳しくは以下のページをご覧ください。

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記事を書いた人

石川 優二
石川 優二

執行役員/インハウス支援室長

全国400社以上の研究会員の運用型広告・マーケティングコンサルティングを担当。養成講座では500人以上を教育。コンサル・講師・執筆業から、広告運用代行、ホームページ制作、システム開発まで担当。自社ビジネス成長のための製品開発、販売をする実践家でもある。自他ともに認める変わり者。徳島県出身。

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