動画広告が注目されるようになり、弊社ではお客様からの問い合わせが徐々に増えてきました。
「YouTube 広告って成果出るの?」
「YouTube 広告って認知に使えるの?」
このような質問をいただき、答えに困ったことはありませんか?
社内で YouTube 広告の配信事例が少なく、シミュレーションを作成しようにも参考にできるデータが少ない、もしくは無くて、どうしたら良いか分からないといったケースもあるかと思います。そんな時は、Google 広告のリーチプランナーを使いましょう。
この記事では、リーチプランナーで確認可能な指標やできること、そしてシミュレーションの作成方法も紹介します。動画広告を検討中の方や、動画広告の成果に関する問い合わせの対応にお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
Google 広告のリーチプランナーとは、YouTube や Google 動画パートナーのサイト、アプリに掲載する広告のリーチ数やフリークエンシー、費用(CPM:Cost Per Mille)などを算出できる無料ツールです。
リーチプランナーを活用することで、認知目的の YouTube 広告を配信してどれくらい見てもらえるか、どれくらい費用があれば良いかなどを把握することができます。
リーチプランナーで用いられるデータは、Google が収集し、週更新しているため、精度の高いシミュレーション作成に役立つデータになっています。
リーチ プランナーのデータは、Google のユニークリーチ測定手法に基づいて収集したデータをサードパーティが検証したもので、実際のリーチや入札単価との整合性が確保されています。常に利用可能な最新の情報を参照できるよう、リーチ プランナーは毎週更新されています。
引用元:リーチプランナー|Google 広告ヘルプ
リーチプランナーでは、YouTube 広告を配信した際の各指標(リーチやフリークエンシーなど)の推定値の算出が可能です。さらに地域やユーザー属性、デバイスなどを指定した場合の、リーチ数も確認できます。
リーチプランナーで確認できる指標は、「1回以上リーチできるターゲット」と「平均フリークエンシー」、「合計 CPM」、「TRPs(国勢調査)」、「国勢調査人口」があります。
上司やお客様へ提案する際に、動画広告を配信した過去事例が少なく、予算感やリーチ数が不透明ということもあるかもしれません。そんなときはリーチプランナーを使用すると良いでしょう。
リーチプランナーでは、動画広告に関する指標などを算出できますが、あくまでリーチ数の算出がメインになるので、コンバージョン数の予測値は算出できません。
また、リーチプランナーでは地域を選択し、リーチ数などを算出することが可能ですが、日本の場合は都道府県・市区町村単位などの選択はできません。
リーチプランナーでは、「サブエリア」という項目を用いることで、「中京」や「関西」、「関東」の地方区分を選択することは可能です。
都道府県単位でリーチ数を測りたい場合は、各都道府県が提供する人口に関するデータとフェルミ推定を用います。具体的な方法は記事の最後で説明します。
リーチプランナーで算出できる各指標について解説します。
「1回以上リーチできるターゲット」は、キャンペーンで定義した年齢、性別、地域別のユーザー(ターゲット ユーザー)のうち、作成したプランでリーチ可能と予測されるユーザーの数を表します。
また、「1回以上」の部分はプルダウン形式で選択ができ、最大で「10回以上リーチできるターゲット」を確認することが可能です。
「平均フリークエンシー」は、作成したプランの広告配信期間中に、1人のユーザーに対して広告が表示される平均回数の予測値です。
「合計 CPM(Cost Per Mille)」は、作成したプランのユーザー属性(年齢・性別)に含まれるユーザーだけでなく、作成したプランでリーチ可能な総ユーザーに対するインプレッション単価を示します。
合計 CPM はプルダウン形式で「オンターゲット インプレッション単価」という指標に切り替えることができます。
「オンターゲット インプレッション単価」は、作成したプランのユーザー層のインプレッションに対する CPM(インプレッション単価)です。
そのため、作成したプランでユーザー属性を選択している場合は「オンターゲット インプレッション単価」を選ぶようにしましょう。
ユーザー属性を選択していない、またはユーザー属性を選択しているが全てのユーザーへ配信した際の CPM が知りたい場合は「合計 CPM」を選ぶと良いでしょう。
「TRPs」は、プランでリーチ可能と予測されるターゲット視聴率(TRP)の合計値です。TRP は、「リーチできるターゲットの割合」×「平均フリークエンシー」で算出されます。
ヘルプにも記載がありますが、TRP はテレビ CM の指標として使われる GRP(延べ視聴率)とは違う計算方法で算出されています。GRP はその地域にいるすべてのユーザーに基づいて算出されますが、TRP は地域内のターゲットユーザーのみに基づいて算出されています。
そのため、地域内の特定の年齢層にだけ YouTube 広告を配信したい際に TRP を参照すると、GRP より精度の高いターゲットの視聴率が確認できます。
たとえば、ターゲット ユーザーの10%に対して、フリークエンシー1で広告を表示した場合、TRP は10になります。TRP は、地域にいるすべてのユーザーではなくターゲット ユーザーのユーザーに基づいているため、GRP とは計算方法が異なります。
引用元:リーチプランナーについて|Google 広告 ヘルプ
「国勢調査」は、プランの目標を達成するために必要なターゲットの視聴率単価(CPP)です。CPP は、「費用総額」÷「ターゲット視聴率」で計算されます。
「国勢調査人口」は、国勢調査データに基づくターゲットのユーザー属性と地域に該当するユーザーの総数です。
国勢調査人口は、プルダウン形式で「インターネット人口」と「テレビ人口」、「YouTube 人口」の3つの指標に切り替えることができます。
国勢調査人口の指標 | 詳細 |
---|---|
インターネット人口 | ターゲットのユーザー属性と地域に該当し、かつ過去30日間にインターネットを利用したユーザーの総数 |
テレビ人口 | ターゲットのユーザー属性と地域に該当し、かつ過去30日間にテレビを視聴したユーザーの総数 |
YouTube 人口 | ターゲットのユーザー属性に該当し、かつ平均30日の期間中に YouTube で広告がリーチできるユーザーの総数※サブエリアやオーディエンスでは、人口は表示されない |
ここからは実際にリーチプランナーを使って、プランを作成する方法を画像付きで解説します。
もし、お客様や上司に「YouTube 広告で認知施策をやってみたい」と言われた際は、これから説明する手順に沿ってシミュレーションを作成してみてください。
まずリーチプランナーを使うための準備が必要です。Google 広告の管理画面でリーチプランナーをクリックします。
広告代理店の場合は Google の担当者がいる場合がありますが、今回は Google の担当者がいない想定で説明します。最初に「こちらからアクセスをリクエストしてください。」からフォームに遷移し、リーチプランナーの使用許可のリクエストを送ります。
リンクをクリックすると表示されるフォームに、必須項目(Required)であるメールアドレスと Google 広告のお客様 ID を入力し、最下部の同意するにチェックを入れて送信すると完了です。また、言語設定は「Japanese」を選択しておきましょう。
これでリーチプランナーを使用するための準備は完了です。リーチプランナーへのアクセスが承認されるとメールで通知が届きます。
Google 広告のヘルプには、リクエストフォームを送信することで、リーチプランナーが必ず使えるようになるわけではないと注意書きがあるので、あらかじめ留意しておきましょう。
ただし、リクエスト フォームを送信したことでリーチ プランナーへのアクセス権の付与が保証されるわけではありません。
引用元:リーチ プランナーについて|Google広告ヘルプ
リクエストフォームから情報を送信することでリーチプランナーへのアクセス権が承認され、Google からメールでお知らせが届きます。その後、リーチプランナーにアクセスすると画面が下記のような画面になります。
さっそく「+新しいプラン」から実際にプランを作成してみましょう。
新しいプランの作成から「地域と通貨」と「使用するチャネル」を選択します。地域は国単位のため「日本」を選択し、使用するチャネルに関しては今回は「YouTube」を選択します。
使用するチャネルを選択すると、下記のように「期間」と「ユーザー属性」、「サブエリア」の項目が表示されます。それぞれ条件に応じた設定をしましょう。サブエリアを選択すると、「中京」「関西」「関東」に絞り込んだメディアプランが表示されます。
日本の場合は、サブエリア単位でしか地域の区分指定ができません。
次に YouTube メディアプランの作成をします。メディアプランでは「オーディエンス」と「ラインナップ」、「プランの目標」、「広告設定」を入力します。それぞれ項目ごとに説明していきます。
まずオーディエンスでは、Google 広告であらかじめ定義されている興味や関心、ニーズ、行動パターンの中からターゲットにしたいものを選択します。
もし、アーティストのライブ情報を YouTube 広告で配信する場合は「購買意向の強いセグメント」の中にある「コンサート、音楽祭のチケット」などが適しているでしょう。
次にプランの目標を選択します。目標は「認知度」と「比較検討」の2種類があります。
リーチ数を目標とする場合は「認知度」を選択し、視聴回数を目標とする場合は「比較検討」を選ぶと良いでしょう。今回は認知目的の想定のため「認知度」を選択します。
最後に広告の設定は、下記2つのどちらかを選択します。
広告のフォーマットを自身で選びたい方は「独自のプロダクトを選択」を選択し、おすすめの広告フォーマットを知りたい方は「適切なプロダクト構成を見つけるためのヘルプを表示する」を選択すると良いでしょう。今回は「独自のプロダクト構成を選択」を選択します。
ここまで選択できたら下部の「予測を表示」をクリックすると、設定した情報に基づいたプランが表示されます。
リーチプランナーの基本的な使い方が理解できたら、次は特定の地域に絞ったシミュレーションの作成方法を習得してみましょう。そのためには、リーチプランナーと一緒に各都道府県が出しているデータを使い、フェルミ推定でシミュレーションを作成します。
自治体のプロモーションや音楽のフェスなど、特定の都道府県に YouTube 広告を配信したいときはこの方法がおすすめです。
筆者が長崎県出身ということもあり、長崎県に住んでいる人に向けて「YOSAKOI させぼ祭り」の告知動画を YouTube 広告で配信する場合を想定して、以下の流れでシミュレーションを作成します。
まずはリーチプランナーでリーチ数を算出します。仮の数値ではありますが、予算は50万円で設定します。
広告フォーマットは「スキップ可能なインストリーム」や「インフィード動画」、「バンパー」、「スキップ不可のインストリーム」、「アウトストリーム」、「マストヘッド」の6種類の中から選択します。
今回は手元にある動画素材がテレビ CM で使用している15秒以上のものと仮定して、動画素材が対応しているフォーマットの「スキップ可能なインストリーム(CPV)」を選択します。
情報を入力すると、指定した予算(50万円)の想定リーチ数が算出されます。今回の例の場合、日本に住む人の内97.5万人に1回以上リーチできそうです。
日本に住む人へのリーチ数が算出できたら、さらに長崎県に絞って配信する際のリーチ数を求めていきます。まずは、長崎県のホームページから、人口のデータを探して準備します。
統計人口のデータは、各都道府県の公式サイトで公開情報として掲載されている場合が多いので、それを用いると良いでしょう。
令和4年1月時点で長崎県の推計人口は1,284,787人なので、このデータを使用してシミュレーションします。
参考:毎月の推計人口|長崎県
リーチプランナーで算出した「日本に住む人へのリーチ数」と「推定人口データ」を参考にしたフェルミ推定を用いて、シミュレーション数値を算出します。
まず、「日本の人口」と「日本人で YouTube を使っている人口(YouTube 人口)」から、日本の人口の何%が YouTube ユーザーか算出します。算出した YouTube ユーザーの割合を「YouTube 人口の割合」とします。
「日本人で YouTube を使っている人口(YouTube 人口)」は、リーチプランナーの地域指定をもとに算出したデータなので、海外在住の日本人の YouTube のユーザーは含みません。
日本の人口 | 日本人で YouTube を使っている人口 | YouTube 人口の割合 |
---|---|---|
125,502,000 | 102,000,000 | 81.27% |
次に、算出した「YouTube 人口の割合」を「長崎県の人口」に掛け合わせて、「長崎県の YouTube 人口の割合(推定値)」を求めます。算出した長崎県の YouTube ユーザーの割合を「長崎県の YouTube 人口の割合」とします。
YouTube 人口の割合 | 長崎県の人口 | 長崎県の YouTube 人口(推定値) |
---|---|---|
81.27% | 1,284,787 | 1,044,193 |
最後に、長崎県の YouTube 人口の割合をリーチプランナーで算出した「1回以上リーチできるターゲット」で割ってあげることで、1回以上リーチできるユーザーの割合を算出します。
配信地域 | 予算 | 長崎県の人口 | 長崎県の YouTube 人口(推定値) | 1回以上リートできるターゲット | 1回以上リーチできるターゲットの割合 |
---|---|---|---|---|---|
長崎県 | ¥500,000 | 1,284,787 | 1,044,193 | 975,000 | 93.37% |
推定値ですが、予算50万円で長崎県の YouTube 人口の93.37%に1回以上リーチできるという結果になりました。
また、クライアントによってはリーチ数やリーチできる割合だけではなく、視聴率や視聴単価も知りたいという場合もあると思います。
リーチプランナーでは視聴率や視聴単価は出せないため、社内の類似事例を参考に視聴回数や視聴単価などを加えると良いでしょう。
ここまで説明してきたように、リーチプランナーを使うことで、想定している広告費に対してどれくらいのターゲットにリーチできるか把握することができます。
また、YouTube は2020年には外出自粛を機に利用が定着したことで月間6,500 万ユーザーを超えたというデータを発表していて、広告でリーチできるユーザーも増えていると思われます。
参考:月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍に|Think with Google
YouTube 広告は配信のハードルが高いと思われているかもしれませんが、データを使用することで、配信維持の予測が立てやすくなります。リーチプランナーを活用して、一度動画広告を配信してみてはいかがでしょうか。
マーケティング
2021年5月に広告事業部に中途入社。クライアントの広告運用やマネジメント、オウンドメディアの記事執筆などを約2年経験する。2023年9月よりマーケティング部へ異動。趣味はスマホゲーム、Vtuber、アニメ、競馬、お酒など。
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