マーケティングの世界で働いていると広告や SNS で「リーチ」という言葉を見たり聞いたりした経験が必ずあると思います。
言葉の意味から情報が届く「範囲」や「大きさ」を示すものだと、なんとなく理解していても、正しく説明できるか不安だったり、指標としての良し悪しの判断ができなかったりする人もいるかと思います。その結果、リーチから課題を見いだし、適切なアクションを取ることもままならないなんてことも・・・。
この記事では、リーチの意味と混同されやすい「インプレッション」や「エンゲージメント」などとの違い、広告管理画面でのリーチ数の確認方法、広告を使ってリーチ数を増やすためにできることを紹介します。
リーチとは、目的や目標に対して届く範囲や広げられる距離を指します。Web マーケティングや Web 広告におけるリーチとは、コンテンツや広告に接触したユーザー数やその割合を指します。
例えば、「新製品の発売に伴い、より多くの人に広告配信して認知度を上げたい」という目的で広告配信をおこなう場合、想定リーチ数を成果目標として定めます。広告の成果指標としてリーチを使う場合、広告媒体ごとの定義を理解することが重要です。
リーチ以外にも、広告がユーザーにどの程度届いたか確認できる指標がいくつかあります。以下の指標は、特にリーチと間違いやすいためそれぞれについてしっかりと確認しておきましょう。
インプレッションは、広告や記事などのコンテンツが表示された総回数を指します。ユーザー数に関係なく広告やコンテンツが表示されるごとにカウントされるため、1人のユーザーに10回広告が表示された場合、インプレッションは10回、リーチは1となります。
Yahoo!広告では「インプレッション」、Google 広告では「表示回数」と広告管理画面上で表記されます。
フリークエンシーは、1人のユーザーに対して広告が表示された回数を表します。1人のユーザーに10回同じ広告が表示された場合、フリークエンシーは10、リーチは1となります。
エンゲージメントは、ユーザーが広告もしくは投稿に対しておこなったクリックやいいねなどのアクション数を指します。Twitter や Instagram などの SNS 媒体での投稿が、どの程度ユーザーに反応されたかを確認する際に使用されます。
エンゲージメントは、ユーザーが広告や投稿を見ただけでなく、コメントやいいねなどのアクションを起こしたことがわかる指標のため、発信した内容に対するユーザーの興味や関心度合いも計測できます。
1人のユーザーに広告や投稿が表示されても、いいねなどのアクションが何も無かった場合、エンゲージメントは0、リーチは1となります。
広告や投稿の表示ではなく、ユーザーのアクションの有無でカウントされる指標であることを理解しておきましょう。
PV(Page View) は、Web ページが閲覧された回数を表します。ここまで紹介した「リーチ」や「インプレッション」、「フリークエンシー」は広告の表示に対してカウントされるものの、PV は Web ページが閲覧回数がカウント対象となります。
広告の指標として使われることは少なく、一般的に自社の Web ページやオウンドメディアなどのアクセス数を解析する際に用いられます。
リーチの定義は広告媒体によって違いがあります。例えば、Google では同じユーザーが複数の端末で広告を見た場合でも同一リーチとして識別されますが、Yahoo! の場合は端末ごとにリーチがカウントされるため、リーチ=ユーザー数ではありません。
また、Twitter や LINE などの SNS 媒体もそれぞれリーチの定義に違いがあるため、成果の判断をする際に同じ基準で評価しないようにしましょう。以下は、媒体ごとのリーチの定義をまとめたものです。
広告媒体 | 定義 | 詳細 | 例 |
---|---|---|---|
広告が表示されたユーザーの総数(*1) | 広告が表示された端末が異なっていてもリーチ数は1(*3) | 1人のユーザーが PC とスマホで広告を見た場合、ユーザー数とリーチ数は1 | |
Yahoo! | 指定した期間内で、1回以上のビューアブルインプレッション(*2)が発生したユニークユーザーの人数(=端末数) | 端末ごとにカウントされるため、ユーザー数とは異なる可能性がある | 1人のユーザーが PC とスマホで広告を見た場合、ユーザー数は1、リーチ数は2 |
Meta(Facebook&Instagram) | 広告が画面に表示されたユーザーの数(=アカウント数) | 所有しているアカウントの数やアカウントセンターでの連携状況によってリーチ数が影響される | 1人のユーザーがFacebook と Instagram でそれぞれ広告を見た場合、Facebook アカウントと Instagram アカウントがアカウントセンターで連携されていればリーチは1、連携されていなければリーチは2 |
LINE | クリエイティブを100%表示したユーザーにおけるユニークユーザー数 | 指定した期間内での新規リーチ数が推定値としてカウント | 同一アカウントで複数回広告を見た場合もリーチは1 |
タイムライン上に広告が表示されたユーザーの数(*4) | リーチ数は推定データ | 同じユーザーに広告が10回表示された場合、リーチ数は1 |
次に、広告管理画面でのリーチの確認方法を紹介します。各媒体ごとに手順が異なるためしっかりと確認しておきましょう。
Google でリーチを確認する手順は、管理画面の「表示項目」から「表示項目の変更」をクリックし、表示項目の一覧から「リーチの指標」内の「ユニークユーザー数」を選択すると、管理画面の項目にリーチの項目を追加できます。
ただ、リーチの指標はディスプレイキャンペーンと動画キャンペーンでのみ確認可能で、その他のキャンペーンでは確認できないので注意しましょう。
Yahoo!広告でリーチを確認するためにはレポートを作成する必要があります。
管理画面の「レポート」タブから「+レポート・テンプレート作成」をクリックすると、作成するレポートの種類が一覧で表示され、一番下の「リーチレポート」を選択すると「リーチ」を含んだレポートが作成できます。
Yahoo! についても Google 同様、ディスプレイ広告でのみリーチの確認が可能です。
Facebook 広告では、デフォルトの項目でリーチが確認できます。もし確認できない場合は、管理画面上の「列」から「パフォーマンス(デフォルト)」を選択すると確認できます。
Twitter 広告では、管理画面の「データ」をクリックし「データセット」にある「リーチとフリークエンシー」を選択すると管理画面にリーチ数が表示され確認できます。
LINE 広告では、管理画面の「表示項目」をクリックすると表示項目の一覧が表示されるため、その中の「リーチ」を選択すると管理画面にリーチ数が反映され確認できます。
一般的に広告を出す最終的な目的はコンバージョンですが、ここでは「新事業を立ち上げ認知度を上げたい」や「販促キャンペーンを実施するため多くのユーザーに広告を見てもらいたい」などリーチ数を増やしたい場合にできる3つのことを紹介します。
配信対象にする地域や年齢の幅を拡げると、ターゲットになるユーザー母数が多くなるためリーチが増える可能性があります。
現在の配信地域や年齢などの設定をベースに近しいターゲットへ徐々に拡大すると、全く関係ないユーザーへの配信リスクを抑えながらリーチを増やすことができます。
また、興味関心項目を設定し配信している場合には、設定する興味関心項目を追加することでも配信対象のユーザーが拡がり、リーチの増加が期待できます。
広告費を増やすことでリーチを増やせる可能性があります。しかし予算の範囲内でターゲットへリーチしきっている場合は、広告費を増やしてもリーチは増えません。
Facebook 広告ではキャンペーンの目的を「認知度」に設定する事で、多くのユーザーに表示されるよう最適化がかかりリーチを増やせる可能性があります。
また、Twitter 広告や LINE 広告ではリーチを目的としたキャンペーン(リーチキャンペーン/リーチを増やすことを目的としたキャンペーン)を作成でき、リーチが増えるよう最適化をかけながら配信できます。
ここまで紹介したように、リーチを正しく理解することで、どの範囲のユーザーに広告が届いているか把握でき、改善アクションに繋げやすくなります。しかし単純にリーチを増やすことが必ずしも良い成果に繋がるとは限りません。
例えば、認知度を上げたりブランドイメージを変えたい場合はリーチを増やしてより多くのユーザーに広告を表示させると効果的である一方、効率よくコンバージョンを増やしたい場合は、無暗にリーチを増やすとコンバージョン確度の低いユーザーにも広告を表示してしまう可能性があり逆効果です。
広告成果としてリーチを確認する場合は、ビジネスの目的に合わせて現在のリーチ数が適切かどうかを判断することが重要です。リーチをしっかりと理解し、正しい広告成果の分析と改善アクションに繋げましょう!
広告運用 コンサルタント
2020入社。大学でマーケティングを専攻→キーマケに入社し広告事業部に配属される。配属後2ヶ月で動画広告作成に携わる等、検索やディスプレイ広告以外も勉強中。趣味はギターと温泉。特に冬の露天風呂は至高。
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