先日、個人経営の美容師さんから「今後、どうやってお客さんに来てもらえるようにすればいいか」と相談を受けました。
インターネットを使って集客することを考えているようで、Instagram や YouTube を使ったり、ブログを書いたり、ホームページを作ったり、今後取り組もうとされていることを伺いました。
美容院の場合は、SNS やブログは集客に使えるツールです。Google ビジネスプロフィールの設定もマストでしょう。ホットペッパービューティーのようなサービスや、看板やチラシなどのオフラインの施策にも力を入れることが大事です。
ただ、集客に広告を使うことは考えていなかったようです。興味はあるようですが、「広告は、最低でも月に数十万円必要だと思っていて、個人経営の立場からするとハードルが高い」と考えられていました。しかし、月に10万円以下からでも使える広告があります。それが、今回の記事で紹介する、Google や Yahoo!JAPAN の検索エンジンの検索結果に表示されるリスティング広告です。
Google や Yahoo! のリスティング広告には、最低出稿金額の制限がありません。そのため、個人事業主や零細企業でも始めやすくなっています。
この記事では、個人事業主や少数で店舗運営されている方に向けて、零細企業が5万円から10万円でリスティング広告をはじめるときにやるべき準備を紹介します。
個人事業主や零細企業には、予算と時間の2つの制約があるので、「選択と集中」をもとに戦略を考えていきます。
個人事業主や零細企業の場合、広告の予算が月に5万円から10万円以下であることが多いかと思います。月の予算が10万円であっても、1日あたりに使える費用は3,000円ほどです。
リスティング広告はクリック課金なので、クリックごとに費用が発生しますが、キーワードによっては1回あたりのクリックが500円以上になります。1日あたりの平均クリック単価が500円になると、1日あたり6回ほどのクリック分しか広告を出せません。
少ない予算を複数の商品・サービスに配分して広告を出すと、1つ1つの商品・サービスに対しての投資が中途半端になります。そのため、広告を出す対象の商品・サービスは1つだけ選択し、キーワードも絞り、予算を集中させましょう。
個人事業主が広告を出す場合、通常業務をしながら広告運用に取り組むことになります。零細企業の場合も、社長本人が広告運用することはよくあります。日々の忙しい中に広告運用の仕事が増えるので、時間の制約を考えて広告を出すことも重要です。
そこで考えたいのは、広告を出す対象の商品・サービスを1つにして、広告運用に割く時間を最小限にすることです。複数の事業をしている場合、広告を出す対象とする商品・サービスを複数にすることもできますが、まずは、どれか1つにしましょう。
広告で設定することが多くなるほど、広告配信後に見る対象の内容は多くなり、失敗につながる確率が高まってしまいます。リスティング広告についてこれから学び、実践する立場を考えても、広告を出す商品/サービスは絞るのがオススメです。
時間と予算の制約がある中でも「選択と集中」をし、1つの商品/サービスに絞って、リスティング広告の運用を開始すれば良いことがわかったかと思います。「では、さっそく広告運用開始!」と焦りは禁物です。まずは、これからお伝えする、10のことを準備してみてください。
まず初めに「広告の目的」を明確にすることからスタートしましょう。売上に繋げるために、広告を出す目的を明確にしましょう。
個人事業主や零細企業の方が広告を出す理由として多いのは、新規顧客を獲得して売上を増やすことです。この場合、広告の目的は、新規顧客の獲得に繋がるものが適しています。
例えば、とある美容院で、新規のお客様の7割が電話での問い合わせから予約に繋がるといったデータがあるとします。その場合、電話での問い合わせを増やすことを広告の目的にします。
目的の定め方は様々あります。物販の場合は、「購入」にしたり、商品を体験できる「サンプル請求」や「体験版ダウンロード」などが考えられます。
一方で美容院のようなサービス業の場合は、最終目的(散髪や施術など)の直前にあるものをリスティング広告を出す目的にしましょう。目的の定め方は以下の記事を参考にしてください。
10年教えて分かった、コンバージョンポイントの考え方(基礎編)最適な設定のために知っておきたい「4つの基準」とは?
10年講座の講師を務める執行役員の石川が「コンバージョンポイントを設定するための4つの基準」をお伝えします。広告運用が不慣れな方でも4つのポイントをおさえるだけで今よりも成果に近づくようになります。
問い合わせや資料請求などを目指して広告を出す場合、目標とする「顧客獲得単価」を必ず決めましょう。顧客獲得単価とは、広告を出した結果、問い合わせや資料請求1件あたりをいくらで獲得できたかを計る指標です。
なぜなら、目標とする獲得単価を決めれば、広告を出した結果から良し悪しが判断できるからです。
目標とする獲得単価は「目標 CPA」と呼ばれますが、目標 CPA は、物販でよくある「サイトで売上が発生するビジネス」と、サービス業のような「問い合わせや資料請求をしたのちに売上になるビジネス」で決める方法が異なります。それぞれで算出する方法を解説している記事があるので参考にしてください。
今さら聞けないCPA(顧客獲得単価)とは?目標CPAの決め方を丁寧に解説
CPA(顧客獲得単価)とは購入や問い合わせなどのコンバージョン1回を獲得する単価を指します。広告を出す時は、目的を決め、具体的な数値を目標として定め、そこからCPAを算出します。どうやって目標CPAを決めるのかまでを講師歴10年のベテランがお教えします。
予算は月あたり、もしくは1日あたりで決めることが多いです。必要な広告費に正解はありませんが、以下の方法を参考にリスティング広告に使う予算を決めてみると良いでしょう。
次に、セグメンテーションとターゲティングをおこない、集客したい人を明確にします。
まずは、顧客の属性や状態でセグメントします。美容院の場合、属性(年齢、性別、職業、住んでいる地域など)や状態(髪の長さなど)、目的(ハレの日用、普段用など)で分類します。
セグメント中でも、今回のリスティング広告で狙うセグメントを決めます。美容院であれば、「20代男性、ショートヘア、普段用」の方や「30代女性、ロングヘア、結婚式用」の方などで絞ります。このようにセグメントを選び出すことを「ターゲティング」といいます。
ターゲットを明確にしていくことで、予算と時間の制限を解消し、ランディングページや広告文の作成にも活かせます。
次にリスティング広告から流入する「ランディングページ」を用意しましょう。ランディングページに掲載する情報は、リスティング広告に掲載している情報と共通した、ターゲットの抱える悩みや求めることをもとに考えます。
ターゲットの抱える悩みや求めることをもとに、以下の5つをおさえてランディングページを作成すると良いでしょう。
基本をおさえるだけで格段に良くなる!検索広告向けランディングページ作成5つのコツ
検索広告で使用するランディングページ(LP)の作成には5つの守るべきコツがあります。10年間講座で教えてきた講師がポイントをわかりやすく解説します。まずは基本をおさえて作成し、コンバージョンを獲得できるランディングページを目指しましょう。
広告を配信するキーワードは、ユーザーが検索する語句をもとに決めるのが基本です。キーワードとして選ぶことが多いのは「商品/サービスを表す語句」です。
たとえば、世田谷区で男性向けの美容院を経営している場合、「美容院 世田谷」や「美容院 メンズ」のようなキーワードが検討できます。「美容院」も検討できますが、単一語句は、色々な悩みや欲求が考えられ、ユーザーを絞るのが難しくなります。
実際に Google の検索窓に自社のビジネス(業界)に関連する語句を入力すると、ユーザーが検索する語句がどんなものと一緒に検索されているかがわかります。
例えば「美容院」すると、入力した語句と一緒に検索されるキーワードが表示されます。「美容院 メンズ」は男性向けの美容院を検索している人が想像できますが、「美容院 初回荒らし」は、自社のビジネスのお客さんにならないであろう人の検索が予想されます。
表示されたキーワードと向き合い、お客さんになるであろう人がどんな検索をしそうかを考えてみましょう。
Google の検索エンジンに表示されるキーワードは、上記のように10個ほどです。さらに多く見たい場合は、無料で使える「ラッコキーワード」で確認してみてもいいでしょう。
リスティング広告の広告文は「見出し(タイトル)」と「説明文」を基本に構成されます。見出しは全角15文字で3つ、説明文は全角45文字で2つ入力できます。ユーザーがどんな悩みを抱え、何を求めているかを整理して、広告文を考えます。
検索語句は、ユーザーの疑問や質問を表しているので、広告文では「こたえ(答え/応え)」を返してあげると良いでしょう。広告文は、コンバージョンの成果を左右する重要な要素なので、なんとなくで広告文を作ると必ず失敗します。
弊社では、基本的に5つのステップに分けて広告文の作成をおこなっています。ステップを踏むことで、広告を配信する商品/サービスの理解や、ターゲットの悩みや求めることが明確になります。その結果、コンバージョンが獲得できる広告文の作成に繋がっています。
予算と人の少なさの制約を考えると、媒体は Google 広告か Yahoo! 広告に絞るのがオススメです。
どちらを選ぶかの優先について正解はありませんが、Google 広告は、導入されているターゲティング機能により性別や年齢を絞って広告を出すことができます。一方で Yahoo! 広告は、性別や年齢で絞って広告を出すことができません。
性別や年齢を絞って広告を出せるので、選択と集中の視点でどちらの媒体にするかで迷うときは、Google 広告からはじめると良いでしょう。
自社が広告配信を検討しているキーワードで、どんな会社が広告を配信しているかを確認して、競合となる会社を知っておきましょう。
リスティング広告は、表示された時に広告文で比較されるので、競合となる会社やその企業や商品/サービスの特徴を最低限の調査をしておくことは大事です。
特徴は、広告文はもちろんですが、広告をクリックしたあとに表示される最初の領域であるファーストビューで訴求していることが多いです。
検索結果に表示されるリスティング広告は、PC とスマホで表示される競合が異なることがあるので、PC だけではなく、スマホでも確認しましょう。
広告費の支払いは、クレジットカードや銀行振込でおこないます。
クレジットカードですが、Google 広告で使えるのは VISA、Mastercard、JCB、American Express で、Yahoo! 広告は VISA、Mastercard、American Express、JCB、Diners です。
支払いは銀行振込も可能です。銀行振込の場合、振り込みを忘れると広告の配信は停止されるので、注意しましょう。通常業務で忙しく、振り込みが遅れたり、滞ったりする可能性も考えられます。
そのため、支払いにはクレジットカードを利用するのがオススメです。月10万円以下の広告費であれば、利用限度額の心配は無用でしょう。
リスティング広告の準備は多くあり、大変かもしれません。しかし事前準備をしっかりすることで、広告が作りやすくなります。
これまで説明した通り、リスティング広告を配信する前の準備は多く、「広告を出すのには時間がかかりそう」と思った方もいることでしょう。
どれくらいの時間が必要かは人により変わりますが、30時間ほどは確保しておくと余裕を持った準備ができるでしょう。これから広告の仕事に取り組むとして、毎日2時間ほど確保できるとすると、広告を出せるのは2週間後以降になります。実際に広告を出したい日を決め、計画的に広告の準備に取り組むことが大事です。
準備が完璧であれば、目的やターゲットなどが定まっていることもあり、広告配信後のアクションもハッキリします。そのため、入念に準備が重要になります。きちんと計画を立て、効率的かつ効果的な広告運用をしましょう。
弊社では、この記事で説明したような広告の準備や計画から、広告運用の悩みまで相談できるキーワードマーケティング研究会があります。ランディングページの改善やマーケティング全般の悩みも相談できます。詳しくはこちらをご覧ください。
最新&実用的な運用型広告のノウハウを学び、実践する研究会です。相談、コンサルティングも対応。広告の問題やマーケティングの悩みを電話やZoomで相談できます。
執行役員/インハウス支援室長
全国400社以上の研究会員の運用型広告・マーケティングコンサルティングを担当。養成講座では500人以上を教育。コンサル・講師・執筆業から、広告運用代行、ホームページ制作、システム開発まで担当。自社ビジネス成長のための製品開発、販売をする実践家でもある。自他ともに認める変わり者。徳島県出身。
あなたの広告アカウントを無料診断します
広告アカウント診断詳細なお見積りをご希望の方はこちら
お問い合わせ支援事例などをまとめたサービス紹介資料はこちら
サービス資料のダウンロードはこちら