2008年からキーワードマーケティングに在籍し、以降10年以上広告運用に携わっている小島です。
2024年10月1日、改正景品表示法が施行されました。広告運用担当者たるもの、大切なクライアントを守る意味でも、最低限の内容を知っておかなければと思っています。
15年以上にわたって広告運用を担当しており、広告の力を信じている身として、一部の広告が広告全体の価値を下げていることを残念に感じています。今回施行された改正景品表示法はそんな広告、ひいてはそれを出しているビジネスを取り締まる法律の一つだと思い、以前から興味を持っていました。
そこで、今回は「いち広告運用担当者」の視点から、景品表示法とその改正内容をまとめてみたいと思います。
目次
まずは、2024年10月に施行された改正景品表示法の概要を紹介します。
今回の改正で変わったポイントは以下の5つです。
1. 罰則規定の拡充 故意に優良誤認表示・有利誤認表示をおこなった場合にも、刑事罰が適用されるようになった。 ※刑事罰の対象は広告主だけでなく、広告代理店やアフィリエイターも含む。 2. 確約手続の導入 不当な表示をした企業が、自ら違反行為の改善を約束し、再発防止策を講じることで行政処分を回避できる「確約手続」が新設された。 3. 返金措置の弾力化 企業が消費者に返金をおこなう際の方法として、消費者の承諾を得ることを条件に、電子マネーやクオカードが認められた。 4. 課徴金制度の見直し 5. 消費者団体の開示要請権の導入 |
なお、それぞれの詳細な内容については後述する「2024年10月の改正内容を詳しく紹介」で一つずつ紹介するので、そちらをご覧ください。
景品表示法は、よく「景表法(けいひょうほう)」と略されることから「景品に関する法律だろう」と思われがちです。しかし正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」なので、単に景品に関する法律ではありません。
景品表示法は、一般消費者の利益を保護することを目的としています。過大な景品の提供を禁止しているのは確かなのですが、それだけに留まらず不当な広告を取り締まる機能もあわせ持っており、むしろそちらの方が我々広告に携わる人間にとっては重要だと思います。
一般消費者の利益を保護するために景品表示法が禁止している行為には、以下の2種類があります。
ここからはこれら2点のうち、特に広告代理店と関係の深い「不当表示の禁止」について詳しく解説していきます。
景品表示法が禁止している「不当表示」とは、一般消費者に商品やサービスの品質や価格について誤認を与えるような不当な表示行為を指しています。また誤認の内容によって、不当表示は以下の3種類に分類されます。
商品やサービスの品質を実際よりも著しく優れているように示す行為です。消費者が誤認することで不利益を被る可能性があるため、禁止されています。
以下、具体的な例をいくつか挙げておきます。
その他、以下のようなことも「優良誤認」に該当するとして、禁止されています。
なお、ここで紹介した「競合他社との比較」や「誇大なキャッチコピー」として最上級表現を用いた、いわゆる「No.1広告」についてもキーワードマーケティングで紹介しているので、あわせてご覧ください。
なぜNo.1広告が問題視されるのか?リスクと適切な訴求方法を考える|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
No.1表現そのものは一般的に認められた表現手法です。しかし近年、その根拠となる調査が No.1を作るために内容や対象を偏らせたものであったり、意図的なデータの抽出や操作をおこなったものであったりというケースが増えたことで、問題視されるようになりました。
商品やサービスの価格や取引条件が実際よりも有利であると誤解させる行為です。こちらも消費者が誤認し不利益を被る可能性があるため、禁止されています。
以下、具体的な例をいくつか挙げます。
また、特定の販売促進期間でのみ利用可能な割引コードについても、通常価格と割引後の価格を誤解なく表示する必要があります。
そのうえで、限定セールなどのオファーは適用条件や終了時期を明確に伝え、消費者に正確な情報を提供することが求められています。
「その他 誤認されるおそれのある表示」は、消費者庁が優良誤認表示、有利誤認表示のどちらでもないが、特に問題となりそうな表示を具体的に挙げたものです。
該当するのは以下の7つで、2023年10月1日から景品表示法による規制の対象となったステルスマーケティングも含まれています。
参考:事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止法 ガイドブック | 消費者庁
なお、このステルスマーケティングについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
ステルスマーケティング(ステマ)とは?規制と事例から正しいプロモーション方法を知ろう|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
ステマ(ステルスマーケティング)とは、企業が一般消費者に対して広告であることを隠して商品やサービスの宣伝をおこなうことです。
不当表示をおこなうリスクはさまざまです。課徴金の支払い義務や刑事罰といったいわゆる行政処分はもちろん、ブランドイメージや企業の信頼性の低下に見舞われたり、消費者からのクレームや集団訴訟への対応に追われることもあります。
以下の表は、そうした不当表示をおこなった場合に生じる5つのリスクをまとめたものです。
リスク | 詳細 |
---|---|
課徴金の支払い | 優良誤認表示や有利誤認表示をおこなった場合、 売上額の3%を原則とする課徴金の納付命令が下される。 |
措置命令・改善への対応 | 不当表示が認められた場合、消費者庁から下記のような 措置命令を受ける場合がある。 |
刑事罰 | 措置命令に違反しなくても、優良誤認表示や有利誤認表示を おこなった場合、100万円以下の罰金が科される可能性がある。 |
消費者からのクレームや 集団訴訟への発展 |
不当表示により、消費者からのクレームや集団訴訟を受ける 可能性がある。 |
ブランドイメージや企業の 信頼性の低下、評判の悪化 |
不当表示によって社会からの信頼を失い、ブランドイメージが 低下する。 結果的に売上減少や顧客離れにつながる可能性も。 |
ここまでに紹介した「不当表示」の違反例を表にまとめたので、内容を改めて確認したい方はこちらをご覧ください。
違反の種類 | 違反例(一部) |
---|---|
優良誤認表示 | |
有利誤認表示 | |
その他 誤解される おそれのある表示 |
ここからは、いよいよ今回の改正について述べていきます。
冒頭でも紹介した通り、今回の改正景品表示法の主なポイントは以下の5点です。
このうち、「罰則規定の拡充」(直罰規定)がよく話題に上がりますが、この点についても触れていきます。
【この改正のポイント】
措置命令に違反した場合などに加え、故意に優良誤認表示や有利誤認表示をおこなった場合にも、刑事罰が適用されるようになった。
なお、直罰規定の対象は広告主だけでなく、広告代理店やアフィリエイターも含む。
改正以前の景品表示法では、以下のような場合に刑事告発がおこなわれる流れが一般的でした。
参考:不当景品類及び不当表示防止法 第六章 罰則|e-gov 法令検索
しかし、改正景品表示法では新たに条文が追加され、故意に優良誤認表示や有利誤認表示をおこなった場合に対しても、行政指導のステップを踏むことなく、直接的な刑事罰を適用できるようになりました。
第四十八条
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。一 自己の供給する商品又は役務の取引における当該商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者を誤認させるような表示をしたとき。
二 自己の供給する商品又は役務の取引における当該商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者を誤認させるような表示をしたとき。
不当景品類及び不当表示防止法 第六章 罰則|e-gov 法令検索
これにより、消費者に深刻な影響を与える違反には迅速かつ強力な抑止効果が期待されています。
ここで気になるのは「直罰規定は誰に対して適用されるのか」です。
通常、景品表示法は広告主である企業に対して適用されるため、直罰規定も企業に対して適用されることが多いです。ただし、以下のようなケースにおいては、広告代理店やアフィリエイターに対して直罰規定が適用される可能性があります。
この点からも、広告を直接作成する広告代理店やアフィリエイターもしっかりと景品表示法を守って業務をおこなう必要があります。
【この改正のポイント】
不当な表示をした企業が、自ら違反行為の改善を約束し、再発防止策を講じることで行政処分を回避できる「確約手続」が新設された。
今回の改正景品表示法では、新たに「確約手続」という制度が導入されました。
これは、企業が不当な表示をおこなった場合、企業が自ら違反行為の改善を約束し、再発防止策を講じることで、公正取引委員会からの厳しい措置(行政処分)を回避できる仕組みです。企業自らが改善に取り組むことで、違反行為の早期解決を目指す狙いがあります。
具体的には以下のような流れで進行します。
1. 違反の指摘を受ける | 公正取引委員会から不当表示の改善を求められる。 |
2. 確約手続の申請と 確約計画の提出 | 確約手続の申請をおこない、申請から60日以内に違反行為を正すための具体的な再発防止策(確約計画)を提出する。 |
3. 計画の審査と承認 | 公正取引委員会による確約計画の審査を受ける。 ※内容が適切でない場合は却下される。(再審査なし) |
4. 確約手続の進行 | 確約計画にもとづき、速やかに表示内容を改訂し再発防止策を実行。 |
5. 確約手続の監視 | 公正取引委員会による一定期間のモニタリングがおこなわれる。 確約計画が確実におこなわれていることを確認できれば、行政処分はおこなわれない。 |
ただし、この「確約手続」はすべての企業に適用される訳ではありません。
消費者庁が公表している【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要には、以下の2つのケースのいずれかに該当する場合は確約手続の対象外になると記載されています。
1. 過去10年間に措置命令・課徴金納付命令が確定している(繰り返し違反)
2. 表示に根拠がないと認識しながら表示を用いるなど、悪質・重大な違反被疑行為をおこなった
また、企業が提出した確約計画が基準に適合しない場合には計画が却下され、通常手続きのフローに切り替えられたのち、措置命令や課徴金納付命令が出されます。
他方、確約措置の内容が違反被疑行為の一部にしか対応していないなど、確約措置が認定要件に適合しないと判断するときには、消費者庁は、景品表示法第 27 条第6項又は第 31 条第5項の規定により、確約認定申請を却下する。この場合、確約手続通知を行う前の調査を再開することとなる。
確約手続に関する運用基準|消費者庁
ほかにも、確約計画の承認後に計画通りの改善がおこなわれていない場合も、通常手続きへの切り替え対象です。こちらも措置命令や課徴金納付命令の対象となるため、企業は自ら出した確約計画を徹底して守り、実行していく必要があります。
【この改正のポイント】
企業が消費者に返金をおこなう際の方法として、消費者の承諾を得ることを条件に、電子マネーやクオカードが認められた。
そもそも「弾力化」とは、「ある程度の融通を効かせる」という意味です。つまり「返金措置の弾力化」は、企業が消費者に返金をおこなう際の返金方法を、より幅広くしたことを指します。
具体的には、消費者の承諾を得ることを条件に、電子マネーやクオカードによる返金を認めたといった内容となっています。
【この改正のポイント】
1. 課徴金の算出に「売上額の推計」が利用できるようになった
2. 違反行為を繰り返す企業への抑止力として「課徴金額の加算」が明記された
そもそも課徴金制度とは、不当な表示によって得られた利益を不正な利益とみなし、その一部を国庫に納めさせることを指します。
今回の改正では、この課徴金制度について以下のような変更が加えられました。
課徴金を算出する際、消費者庁は「課徴金調査」という調査をおこないますが、ここで必要とされるのが企業の持つ帳簿書類です。
しかし、これまでは企業が帳簿書類の一部をなくしてしまうなどの理由で、課徴金の計算に用いる「課徴金対象行為(違反行為)にかかる商品やサービスの売上額」が分からないといった問題が起きていました。
違反していた期間の売り上げが分からないと、課徴金の額を算出できない・・・。
状況確認に時間がかかるのは困るんだけどなあ。
こうした課徴金を科すまでのタイムラグを解消するため、以下の計算式で「帳簿書類がなく、事実の把握ができない期間の課徴金」を算出できる旨が新たに追加されました。
帳簿書類がなく、事実の把握ができない期間の課徴金
= 課徴金対象行為(違反行為)がおこなわれた期間の売上金額を日割りしたもの × 事実の把握ができない期間の日数
景品表示法に違反した企業が違反行為を繰り返さないよう、今回の改正では新たに「課徴金額の加算」も明記されました。
これは、以下の1、2のどちらにも当てはまる企業の課徴金額を1.5倍加算するといったものです。
1. 違反行為から過去10年以内に、課徴金納付命令が確定している
2. 過去に課徴金納付命令を受けたにもかかわらず、課徴金対象行為に及んだ
参考:【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要|消費者庁
なお、この課徴金額の加算制度について、消費者庁は以下のように記載しています。この文面からも、企業に違反行為を繰り返させないために新設された制度だと分かりますね。
課徴金額の加算は、一度課徴金納付命令を受けてこれによる不利益等を認識しながら、その後に再び課徴金対象行為を行う者への抑止力を強化しようとするもの
【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要|消費者庁
【この改正のポイント】
1. 消費者保護の観点から「消費者団体の開示要請権」が新たに導入された。
2. 消費者団体から開示要請を受けた場合、企業は求められた情報を提供する義務が生じる。
改正景品表示法では、消費者保護を強化するために「消費者団体の開示要請権」が新たに導入されました。これは、不当表示などが疑われる場合に、消費者団体が企業に対して必要な情報の開示を求める権限です。
消費者団体は、企業が不当表示をおこなっている可能性がある場合、その企業に対して情報の開示を要請できます。開示要請できる情報には、表示の根拠や製品の成分や品質に関する情報などが含まれます。
開示要請を受けた企業は、正当な理由がない限り、求められた情報を速やかに提供する義務があります。情報の開示を拒否したり、虚偽の情報を提供した場合には、行政からの指導や、場合によっては制裁措置を受ける可能性があります。
ここまでに紹介した景品表示法の改正内容をより視覚的に理解できるよう、以下の表にまとめました。改正後の変化についておさらいしたい方は、ぜひこちらを確認してみてください。
改正内容 | 改正後の変化 |
---|---|
罰則規定の拡充 | 措置命令に違反した場合などに加え、故意に優良誤認表示・有利誤認表示をおこなった場合にも、刑事罰が適用されるようになった。 ※対象は広告主だけでなく、広告代理店やアフィリエイターも含む。 |
確約手続の導入 | 不当な表示をした企業が、自ら違反行為の改善を約束し、再発防止策を講じることで行政処分を回避できる「確約手続」が新設された。 |
返金措置の弾力化 | 企業が消費者に返金をおこなう際の方法として、消費者の承諾を得ることを条件に、電子マネーやクオカードが認められた。 |
課徴金制度の見直し | |
消費者団体の 開示要請権の導入 |
改正景品表示法の施行後である2024年11月13日、大正製薬が消費者庁から措置命令を受けています。
これはいわゆる「ステルスマーケティング規制」に抵触しているものであり、掲載していた期間も施行前のため、厳密には今回の改正に直接かかわる措置命令ではありません。ただ、今回の大正製薬のケースのように、今後しばらくは2024年10月の改正内容に絡んだ行政処分や指導が増えることが予測されます。
消費者庁は、本日、大正製薬株式会社に対し、同社が供給する「NMN taisho」と称するサプリメントに係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第3号(ステルスマーケティング告示)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
大正製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について|消費者庁
このような動きを受けて、企業が改正景品表示法を遵守する方向に動きだせば、ステルスマーケティングや不当表示といった広告手法はいずれ減っていくでしょう。しかし、それには多少の時間がかかると考えられます。
また、今回の大正製薬の事例と、広告の競合状態の激しさから、今後もいわゆる YMYL(Your Money or Your Life:金融や健康・安全にかかわるもの)の業種に対しては改正景品表示法の影響が大きく出るだろうとも考えられています。
以上、景品表示法の改正のポイントをみてきました。これら改正点を考慮し、広告主である企業や広告出稿をおこなう広告代理店はどのようなことを見直し、対応していくべきでしょうか。
最後に、今回の景品表示法の改正について、広告主である企業と広告代理店それぞれが今後気を付けるべき点を紹介します。
広告主である企業は、以下の3点に留意する必要があります。
これまでに紹介した通り、改正景品表示法では規制が強化され、違反した場合の罰則も厳しくなりました。
今後、企業は自社の商品やサービスの広告内容が法令に適合しているかをよりいっそう慎重に確認し、適切な表示をおこなう必要があります。
今回の改正で直罰規定が導入されたことにより、 特に悪質な「優良誤認表示」や「有利誤認表示」に対しては100万円以下の罰金が科されるようになりました。こうした背景から、今後は広告内容の正確性を確保することが以前にも増して求められます。
具体的には広告の内容をチェックする専門チームの設置や、外部専門家との連携によるリスク管理などが必要となってくるでしょう。
「課徴金制度の見直し」のブロックでも紹介しましたが、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた企業の場合には、課徴金が1.5倍に増額されるペナルティが明記されました。
こうした背景から、もし過去に違反をおこなってしまった場合は、より念入りに再発防止策を講じ、確実に実行する必要があります。
広告出稿をおこなう広告代理店が考慮すべき点も、広告主とほぼ同様です。
法令遵守に向けた連携を強化し、広告の内容については改正法の内容を十分に考慮する必要があります。時と場合によっては、広告代理店側からクライアントに対して改正景品表示法への理解を促す必要もあるかもしれません。
その前提として、当然のことながら、代理店内部の広告運用担当者に対して改正景品表示法に関する教育をおこない、法令遵守の意識を高めることが必要となります。
「罰則規定の拡充」でも既に書きましたが、景品表示法が改正されたことで、以下のような場合には広告代理店に対して直罰規定が適用される可能性があります。
それ以前に、世間一般からは広告のプロフェッショナルとして当然の役割を期待されているため、広告代理店は広告主と同様の責任感をもって広告を作成していく必要があります。
広告主と同様の責任感を持って広告を作成する際に欠かせないのが、掲載する情報のファクトチェックです。
例えば、クライアントから提出された広告用のバナーに「年間1万本の販売実績」と書いてあった場合、少なくともメールなど文字の残る形で実績数を確認しておくことをおすすめします。
というのも、実際には年間1,000本しか販売実績がない場合、確認したという証拠がなければ「クライアントと共謀して嘘の記載をした」と疑われる可能性があるためです。
そもそも、マーケティングで言われる「差別化」を表現した文言も、使い方や表現によっては不当表示にあたる可能性があります。その部分のファクトチェックはできる限りおこないましょう。
正直なところ、この確認をすることによってクライアントに苦い顔をされる可能性はあります。しかし、クライアント内部でも再度確認する機会を設けることで、クライアントとともに法令遵守の姿勢と体制を作っていくことができるのではないでしょうか。
コンプライアンスが強力に求められる昨今、景品表示法に限らず法令を遵守していない企業活動が長く続くことは難しいです。目先の利益も重要ですが、それしか見ない企業は遅かれ早かれ社会から退場させられると私は思っています。
世の中「正しいこと」は視点により星の数ほどあります。ただ、人や企業は社会の中で生きているものです。だからこそ、社会活動をするうえで社会のルール、つまり法律を軽視する人や企業を、少なくとも私は信用できません。
大切なクライアントから「この広告を使ってくれ」と不当表示の入ったクリエイティブを渡された場合、私たち広告に携わるものはしっかりと拒否する必要があります。もちろん拒否の仕方は頭を使う必要がありますが、今回紹介した景品表示法を理由に拒否することが、結果的にクライアントを守ることに繋がると信じています。
この記事は、以下のページを参考にしました。 |
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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