フレーズ一致は、指定したキーワードと同じ意味の検索語句に広告を配信するマッチタイプのことです。完全一致や部分一致より柔軟性がありながらも、コントロールがしやすく配信が広がりすぎないバランス型の設定と言えます。
初めての広告運用でマッチタイプに迷ったら、まずはフレーズ一致を使うのが無難です。意外とややこしくて、奥深い「フレーズ一致」の世界を広告初心者の方にもわかりやすく解説します。また、フレーズ一致の「類似パターン」や使用シーンについても紹介しています。
フレーズ一致とは、登録したキーワードと同じ意味の検索語句に広告を表示するマッチタイプ(登録するキーワードの表示範囲を決める設定)のことです。
例えば、フレーズ一致で「パソコン 教室」というキーワードを登録すると、完全一致の「パソコン 教室」だけでなく、似た意味の「パソコン 学びたい」や類義語の「PC スクール」などにも広告が配信されます。
フレーズ一致のほかにも完全一致と部分一致という2つのマッチタイプがあります。マッチタイプを登録する際にはキーワードに対して3つのうち必ず1つ設定します。広告の表示範囲は部分一致が最も広く、フレーズ一致が中間、完全一致は最も狭いです。
以下は「パソコン 教室」というキーワードをそれぞれのマッチタイプで登録したとき、キーワードと紐づいた広告がどのような検索語句で表示される可能性があるかを整理したものです。
マッチする検索語句 | 完全一致 | フレーズ一致 | 部分一致 |
---|---|---|---|
パソコン 教室 | 〇 | 〇 | 〇 |
教室 パソコン | 〇 | 〇 | 〇 |
PC スクール | 〇 | 〇 | 〇 |
近くの パソコン 教室 | ✖ | 〇 | 〇 |
パソコン 学びたい | ✖ | 〇 | 〇 |
使いやすい パソコン | ✖ | ✖ | 〇 |
エクセル オンライン学習 | ✖ | ✖ | 〇 |
この表を見ても分かるように、表示範囲は部分一致が最も広く、フレーズ一致が中間、完全一致が最も狭くなります。
また、フレーズ一致で登録したキーワードの多くは、キーワードと類似した検索語句で検索された場合にも配信されています。類似パターンは以下の6通りです。
類似パターン | キーワード | マッチする検索語句 |
---|---|---|
誤字、表記揺れ | “売上” | 売り上げ |
意味が同じで語順が異なる | “美味しい レストラン” | レストラン 美味しい |
助詞や接続詞の有無 | “東京 ホテル” | 東京のホテル |
一部語句の省略 | “子供用 おもちゃ” | 子供 おもちゃ |
類義語や言い換え | “自動車” | 車 |
検索意図が同じ | “無料素材 画像” | フリー素材 野球の画像 |
前述の通り、キーワードや検索語句にはフレーズ一致以外にも完全一致と部分一致という2つのマッチタイプがあります。
ここでは、フレーズ一致と完全一致、部分一致の3つのマッチタイプについて、機能と検索語句との関連性、配信ボリュームの3つで整理しました。
項目 | 完全一致 | フレーズ一致 | 部分一致 |
---|---|---|---|
機能 | 指定したキーワードと合致する意味または意図の検索語句に広告を表示する | 指定したキーワードを含む、意味合いが同じ検索語句に広告を表示する | 指定したキーワードに関連性のある検索語句に広告を表示する |
検索語句との関連性(精度) | 高 | 中 | 低 |
配信ボリューム | 少ない | 中間 | 多い |
この表を見ると、フレーズ一致は完全一致や部分一致の2つのマッチタイプと比べて、意味合いが同じ検索語句に広がる柔軟性があり、配信が広がりすぎずコントロールもしやすいバランス型のマッチタイプだと分かります。
実際にフレーズ一致が使われることが多いケースは以下の3つです。ぜひ参考にしてみてください。
配信開始時に予算が潤沢ではない場合は、獲得見込みが高い検索語句の目星をつけながらキーワードを設定する必要があります。
ただ、配信される前から獲得が見込める検索語句をすべて網羅し、完全一致で登録することは難しいです。そのため、意味合いが同じ検索語句まで拡張してくれるフレーズ一致で登録することが多いです。
絞り込みが強すぎず弱すぎないため、フレーズ一致と固有名詞は相性がよいです。
例えばユーザーは固有名詞単体で検索するだけでなく、他の語句と掛け合わせて検索することも多いです。フレーズ一致で登録しておくとその掛け合わせにも表示できるため、とても有効だといえます。
ただし、設定する固有名詞をユーザーが違う目的で検索していないかを確認しましょう。検索ボリュームが多い検索語句の場合、ターゲット外のユーザーに思いのほかクリックされて無駄な費用が発生する可能性があります。
店舗ビジネスや地域限定のサービスを展開している場合、フレーズ一致での登録がおすすめです。
「パソコン 教室 池袋 駅に近い」や「パソコン 教室 池袋 料金」などの検索語句に”パソコン 教室 池袋”を登録するだけで、広告を配信したい場所に配信することができます。
どのマッチタイプを使うかで迷ったら、まずは優先度や状況を整理するようにしましょう。CV 数を増やしたい状況であれば「部分一致」を使います。多少検索語句が広がっても、配信ボリュームが増えることで CV 数の増加が見込めます。
一方で、CPA を抑えたい状況であれば「完全一致」または「フレーズ一致」を使います。設定したキーワードから、大きく外れることはないため、CPA を抑えやすくなります。
また、初心者の方は意味合いが同じ検索語句に広がる柔軟性がありながらも、コントロールがしやすく配信が広がりすぎないバランス型のフレーズ一致をまずは使うのが無難です。
ここではフレーズ一致でキーワードを登録する際の注意点として、以下の2つを解説します。
管理画面で実際にキーワードを登録する際、Google 広告では記号を使って登録します。フレーズ一致では二重引用符で囲むことで設定できます。
検索キーワードのタブで青い「+」ボタンをクリックすると、上記キーワードの追加画面が開きます。追加したいキーワードを二重引用符で囲み、保存をクリックすれば、フレーズ一致での登録が完了です。
Microsoft 広告も、キーワードの登録方法はGoogleと同様です。
実際の登録画面も Google ととても似ています。キーワードのタブで青い「+追加」ボタンをクリックすると、上記キーワードの追加画面が開きます。追加したいキーワードを二重引用符で囲み、保存をクリックすれば、フレーズ一致での登録が完了です。
一方で Yahoo! は二重引用符を使わずに、タブでマッチタイプを選択して登録します。
キーワードタブで青い「+キーワード追加」ボタンをクリックすると、上記キーワードの登録画面が開きます。登録したいキーワードを入力し、赤枠で部分一致をフレーズ一致に変更しましょう。
「キーワードを追加」をクリックすると、右に登録するキーワードが表示されます。最後に「作成」ボタンをクリックすれば登録が完了します。
いずれもキーワード登録ではもちろん、このあと紹介する除外キーワード登録でも使えるルールです。登録時に迷ってしまわないよう、覚えておきましょう!
除外キーワードは、特定の検索語句で広告を配信しないようにする機能です。
キーワード登録と同じく、除外キーワードに登録する際は完全一致やフレーズ一致、部分一致のマッチタイプの中から必ず1つ設定します。ただし、キーワード登録をするときと表示範囲のルールが異なります。
キーワード登録と同じく、設定したキーワードは 「パソコン 教室」をそれぞれのマッチタイプで除外キーワードに登録した場合の例をまとめたものが以下の表です。
マッチする検索語句 | 完全一致 | フレーズ一致 | 部分一致 |
---|---|---|---|
パソコン 教室 | × | × | × |
教室 パソコン | 〇 | 〇 | × |
PC スクール | 〇 | 〇 | 〇 |
近くの パソコン 教室 | 〇 | × | × |
パソコン 学びたい | 〇 | 〇 | 〇 |
使いやすい パソコン | 〇 | 〇 | 〇 |
エクセル オンライン学習 | 〇 | 〇 | 〇 |
表を見て分かるように、登録したキーワードが誤字脱字や似たキーワードにまで適用されることはありません。誤字脱字や表記ゆれでもクリックが多く発生している場合は、その検索語句も除外キーワードも登録する必要があります。
フレーズ一致でのキーワード除外は、登録した語順通りの語句が含まれている場合に除外されます。今回のケースであれば「パソコン 教室」とその前後に単語がある「近くの パソコン 教室」までは除外されますが、それ以外で除外されることはありません。
「教室 パソコン」といった語順の入れ替えがある場合でも除外をしたい場合には、部分一致を使うことで除外できます。ただし、実際には一気に複数登録ができるため、それぞれ語順まで考慮せず、”パソコン 教室”と”教室 パソコン” をフレーズ一致で登録します。
フレーズ一致だけでなく、完全一致と部分一致の違いから、除外キーワードでの表示範囲という基本の部分から少し応用的なものまで網羅的に説明をしてきました。
フレーズ一致は他の2つのマッチタイプと比べても、意味合いが同じ検索語句に広がる柔軟性がありながら、コントロールがしやすく、個人的にも好きなマッチタイプです。
ぜひフレーズ一致をマスターして、Web 広告での成果からビジネス全体の売上や利益に繋がることを願っています!
広告運用 コンサルタント
2023年入社。新卒で大手グループ会社の経理職を経験し、その後WEBマーケティング会社に転職。BtoBからBtoCまで幅広い業種、サービスの広告運用を担当。特に検索連動型広告が好き。趣味はコテンラジオを聴くこと、ランニング、ポケモンGO。
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