マーケティング

オウンドメディアとは?期待できる効果とよくある7つの失敗要因

社会人になって6年。ずっとメディア畑で働いてきたので、SNS で繋がりのある人や昔の友人からメディア運営や記事執筆についての相談を受けることが多くなりました。

「マーケ担当になってオウンドメディア?をやってと言われたんだけど、なにすればいい?」
「うちの会社で記事書くことになったんだけどどうすればいいー?」

こんな相談に対して、本を紹介したり、自分が記事執筆で気をつけていることを話したりするのですが、心のなかでは「そもそも根本的に社内の体制やオウンドメディアの方向性は大丈夫なのかな?」と思っています。

そこで今回は、オウンドメディアの基礎から、期待できる効果と運営に際してのデメリット、最後によくある失敗とその対処方法を実体験に基づいて解説します。

トリプルメディアに含まれるオウンドメディアとは

オウンドメディアとは、英語で表記すると Owned media となり、自社で所有するメディアであれば全て含まれます。なので、コーポレートサイトやサービスページ、ブログ形式のサイトなどどれもがオウンドメディアです。

しかし、マーケティング分野でのオウンドメディアというと、ユーザーが役に立つ情報を定期的に発信するメディアとして話されることがほとんどです。多くの場合、ユーザーとの接点を作り、見込み顧客や潜在顧客とのコミュニケーションを取るのが目的となっています。

オウンドメディアの他に、お金を払って認知や集客を目的に運用するペイドメディア(Paid media)や、ユーザーが情報を発信するアーンドメディア(Earned media)があり、この3つをまとめてトリプルメディアと言います。

具体的にペイドメディアは、リスティング広告や記事広告など、アーンドメディアには口コミや SNS のユーザー投稿などがあります。3つのメディアを使い分け、うまく連携させることがメディア運営のコツです。

メディア\項目詳細
オウンドメディア自社が所有するメディア・ブログ
・サービスサイト
ペイドメディア費用を払って掲載するメディア・リスティング広告
・記事広告
アーンドメディアユーザー発信の情報のメディア・口コミ
・SNS のユーザー投稿

オウンドメディアがいつ頃から登場したのか気になったので、Google Trends で検索してみました。2010年の10月ごろから徐々に検索され、2016年6月が全盛期となっており、2020年9月に再度盛り上がりを見せているようでした。あわせて、アーンドメディアやペイドメディア、キュレーションメディアの検索数の変遷も掲載します。

Google Trends:オウンドメディア/アーンドメディア/ペイドメディア/キュレーションメディア

オウンドメディアの役割は主に5個

トリプルメディアの中でも、オウンドメディアは自社でコントロールできるメディアなので、コンテンツごとに役割を意図的に決められます。「今回の記事は、自社のブランディング(≒認知)を目的にしているから、自社独自の手法を取り入れつつ、ややポジショニングトークのような主張をしよう。」など狙いをもったコンテンツ作成が可能です。

オウンドメディアには、ブランディングを含む役割が大きく分けて5つあります。運営の前に一度役割を整理し、頭の片隅に入れておきましょう。

  • 商品・サービスで悩みの解消(=購入、契約)
  • ブランディング(≒認知)
  • 既存顧客との関係構築
  • 見込み顧客の創出
  • 採用

商品・サービスで悩みの解消(=購入、契約)

オウンドメディアに1番求める役割として、商品・サービスの購入に繋げることが挙げられるでしょう。むしろこれを目的にオウンドメディアを立ち上げる企業が多いと思います。しかし、購入や契約を露骨に出すコンテンツ(動画や記事など)はユーザーにウケが良くありません。

あくまで、ユーザーの悩みを解消するためのコンテンツを作り、その中で紹介する手段として自社の商品やサービスがフィットするなら紹介すべきです。オウンドメディアの役割は、ユーザーの悩みを解消することであるのを大前提として考えてもらい、このあとの記事も読んでもらえるとオウンドメディアの理解が深まると思います。

ブランディング(≒認知)

次に紹介するオウンドメディアの役割として、ブランディングが挙げられます。オウンドメディアで情報を発信することは、自社のビジョンやミッション、商品やサービスを介して作りたい世界観を認知してもらい、競合との違いを明確にするブランディングに貢献します。

ユーザーが求めている情報(=ニーズのあるテーマ)+αで自社独自の見解を織り交ぜて情報を発信することで、知りたいことと企業が伝えたいことを届けることができます。届ける情報が一貫性のあるもので、ユーザー自身が共感したり、新たな気付きがあったりすると、徐々に企業のイメージが刷り込まれていきます。その結果、「〇〇な企業といえば△△!」とユーザーが商品、サービスを探す時に想起されるようになります。

既存顧客との関係構築

3つ目に紹介する役割として、既存顧客との関係構築が挙げられます。オウンドメディアで発信する情報は、自社に関係のあることがメインになるかと思います。既に商品やサービスを利用しているユーザーへ対して、使い方や困ったときに見てもらいたいコンテンツを用意しておくことで、信頼を得ることができます。

例えば、宿泊予約サイトで取ったホテルでのおすすめの過ごし方やホテル近くの美味しいごはん屋さん、お得に受けられるサービスが紹介されていたら、ユーザーとしては探す手間も省け嬉しくなるのではないでしょうか?

このように自社の商品やサービスに対して直接的に関係のない情報でも、ユーザーのためのコンテンツを用意しておくことで、信用が生まれ、信頼されることに繋がります。

見込み顧客の創出

既存顧客は既に商品やサービスを利用し、ある程度の信用を得ているので、オウンドメディアや他の手段でのアプローチは比較的しやすくなっているでしょう。

一方で、まだお客さんになっていない見込み顧客は、自社のことを分かってもらえていない、もしくは知ってもらえていないので中々苦戦するかと思います。

そこでオウンドメディアを通して、信頼してもらえるような情報を発信します。例えば、宿泊予約サイトであれば、ホテル1軒ごとにおすすめの過ごし方をまとめた記事をだしたり、実際に過ごしている様子の動画を用意したりするなど、ユーザーが利用する際に気になる情報を分かりやすくまとめてあげると、このサイトで予約してみようかなと思うはずです。

見込み顧客創出は難しそうに思えますが、ユーザーが知りたい情報を継続的に発信することで成果に繋がります。そのため、一時的に効果のあるペイドメディア(リスティング広告や記事広告など)よりも長い期間で情報を発信できるオウンドメディアの運営が効いてくるのです。

採用

最後に紹介する役割は、採用です。ここまで説明した役割とは少し毛並みが違うので、企業によっては採用メディアを分けて管理していることもあります。ここでは採用メディアとしてではなく、あくまでコーポレートサイトやサービスページ、ブログ形式のサイトなどが採用の役割を果たすという意味で話を進めていきます。

オウンドメディアを通して情報を発信することにより、読者のブランディングや商品、サービスの理解が深まります。オウンドメディアは、商品やサービスの利用者だけでなく、同じ業界で働く人が情報収集のために見ていたり、求職者が転職先探しで見ていたりするので、採用活動の役割も果たすのです。

ブランディングの項目でも説明した企業が発信する情報の一貫性や、雰囲気などが見られているので、その点を意識してコンテンツ作成に臨まなければいけません。

実際に弊社でも、Web マーケティングや広告運用の情報を発信しているこのブログを読んでいたという中途入社の社員が多くいます。これも定期的な更新、情報の質にこだわった結果だと思っています。

オウンドメディアとコンテンツマーケティングの関係性

5つの役割がある程度理解できたと思うので、よく一緒に議論されるコンテンツマーケティングについても説明したいと思います。コンテンツマーケティングは、オウンドメディアを含むマーケティング施策全体を指します。

オウンドメディア自体は、作ったコンテンツをストックしておく箱とイメージしておくと良いでしょう。ここでいうコンテンツとは、よくあるブログ記事や動画、事例(=顧客インタビュー)、ホワイトペーパー(お役立ち資料)のことを指します。

また、メルマガやセミナーもコンテンツとして捉えられますが、厳密に言うとオウンドメディアの箱には入ってはいません。正確には、オウンドメディアを介してセミナーに参加やメルマガに登録するという行動が起こるのです。

成功の鍵は「オウンドメディアに期待する効果とデメリットを理解すること」

「競合企業がやっているから」や、「テレビやセミナーで聞いたから」などの安直な理由と、勢いで始める前に、まずはオウンドメディアに期待する効果とデメリットを理解しましょう。それが成功へ1番の近道です。

ここからの説明はぜひ、メディア担当者以外の経営陣の皆さんや、実際に記事を書くライターの方にも読んでもらい、理解してもらいたい点です。

オウンドメディアへの理解があるとないとでは、社内の協力体制や仕組みづくりに大きな差が生まれると思います。

オウンドメディアに期待する効果

期待する効果(≒メリット)は、3つあります。しかしこの3つオウンドメディア運営の目的にしてはいけません。オウンドメディアはあくまで目標(目的を具体的な数値にしたもの)を達成するための手段なのです。

オウンドメディアの更新に追われた結果、記事を発信することが目的になっているメディア担当者さんもときどきいます。しかし、こうなってしまうと一向に成果は上がりません。根本的に何が期待できて、デメリットには何があるかを十分理解してメディア運営をおこなっていきましょう。

1.広告費用を抑えてユーザーを集められる

オウンドメディア運営で期待できる効果として、広告費をかけずにオーガニック流入だけでユーザーを集められるのが、真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

競合が多いキーワードによってはクリック単価が数千円、数万円になるものもあると思います。たとえ、1クリック200円から300円であっても塵も積もれば山となり、莫大な広告費がかかります。

例えば弊社の場合、インターネット広告の運用代行をしているので、「Google 広告」や「Facebook 広告」などのキーワードは、広告をだしてお客様を呼び込みたいキーワードです。

しかし、キーワードプランナーで掲載された時の入札単価を見てみると、「Google広告」ではページ上部に広告を掲載する場合に最低でも362円、高額帯になると113,325円の入札単価が発生することが分かります。同様に「Facebook 広告」の入札単価は最低でも376円、高額帯になると951円の入札単価が発生することが分かります。

キーワードプランナー > 「Google広告」と「Facebook広告」の検索ボリュームと入札単価

広告の上部とは検索結果画面の検索窓のすぐ下の広告枠、下部とは、検索結果画面の次ページにいくボタンの上にある広告枠を指します。

Google 検索結果の「ページ上部の広告枠」と「ページ下部の広告枠」

そんなときでも「Google 広告」や「Facebook 広告」と検索するユーザーのニーズをおさえて、オウンドメディアで記事を書き、検索結果の上位を獲得できれば、広告費をかけずに自社にユーザーを呼び込むことができます。

Google 「Google 広告」の検索結果

弊社へお問い合わせするお客様で、初回接触がオウンドメディアだったという人が約半数いました。お客様が求める内容をしっかりと発信できれば、広告費をあまりかけずにユーザーを呼び込むことができるのです。

もちろん、広告費はかからないとは言え、制作費(記事執筆や画像作成など)はかかるので、「無料」ではできません。トータルコストを考えて、企画や作成を進めていくのが重要です。

2.長期的な資産になる

一度作ってしまえば、あとはリライトなどのメンテナンスを定期的におこなうだけで自社の長期的な資産になります。新規でコンテンツを作成するのは時間がかかりますが、作成後長い間、自社へお客様を呼び込んでくれることを考えるとトータルのコストパフォーマンスは良くなります。

しかし闇雲に作ってはいけません。長期的な資産になるコンテンツは、目標達成に繋がるものであるのが絶対条件です。どうやって目標達成に繋がるコンテンツを作るかは、失敗例と対処法の項目で詳しく説明します。

3.潜在顧客へナーチャリングができる

ナーチャリングとは、育成することを指します。ここでいう潜在顧客とは将来お客様になってくれるだろう人、全てを意味するので見込み客も含め潜在顧客と呼びます。

潜在顧客はまだ自社の商品やサービスを知らなかったり、知っていても詳しく理解してなかったりします。そんな状況なので、まずは会社のことや商品、サービスを知ってもらう必要があります。

みなさんも何か商品やサービスを購入する時に、利用シーンやスペック、価格などを調べて、他社製品と比較してから、ようやく購入を検討する段階まで進むかと思います。その際に見るサイトはどんなものがあるでしょうか。

おそらく、「〇〇でおすすめの TOP10」などのキュレーションメディアや個人のブログ記事、Instagram などの SNS 投稿があると思います。

オウンドメディアでも、商品やサービスそのものや、おすすめの使い方、自社でしか語れないポイントなどを紹介することで、お客様の理解と信用を得ることができます。公式サイトであればなおさらです。

すぐに購入や契約にならないまでも、定期的な発信で情報を刷り込むことで、いざ購入や契約をするタイミングで検討の対象になります。徐々に潜在顧客の頭の片隅に自社の情報をインストールしていくことで、最終的な目標達成に繋がるのです。

弊社でも、1ヶ月前に記事を見たお客様にお問い合わせをいただき、契約に繋がったケースもあります。

オウンドメディア運営のデメリット

ここまで読むと、オウンドメディアの良さが伝わり、さっそく明日からでも始めたい!と思ってくれた人もいるのではないでしょうか。しかしうまい話には裏があります。オウンドメディアでも同じで、もちろん良いことばかりではありません。

1.運営のノウハウが必要

オウンドメディアの運営には、業界やコンテンツへの知識やトレンド、SEO やサイト制作に関わること、ディレクションなど幅広いスキルが必要になってきます。

これまでメディア運営に関わったことがない人からすると、何から始めて、何を決めなければいけないかが分からないと思います。自社に経験者がいない場合、まずは外部の支援会社を頼るのも良いでしょう。

経験のあるメディア担当者を採用するのもいいですが、転職市場にあまり多くいなかったり、自社に合わなかったりすることも考えられます。なので、外部のアドバイスを取り入れつつ自社にノウハウを貯めていくのが、スタートとしては無難です。

本や記事などで、オウンドメディア運営のコツがまとめられているので、基本的なことは参考にしつつ、自社に合った方法を構築していくと最終的な目標達成に繋がります。

支援会社と二人三脚で運営をおこなう過程で、自社に合った運営方法や課題が見つかってくるかと思います。そこから編集者の採用やサイトのデザイン変更を考えていくと、段階を踏んで着実に成果の出るオウンドメディアが作れます。

補足ですが、よくオウンドメディアの失敗例で「サイトのデザインに凝りすぎている」が挙げられているのを見ますが、あまり直接的な関係はないと思います。デザインに凝ったから、目標達成できないということに因果関係はないからです。(よほど導線設計が下手ではない限り・・・)

2.効果を感じるまでに時間がかかる

ノウハウを貯めていくのにも、時間がかかりますが、1番もどかしいのは「効果を感じるまでに時間がかかること」です。

期待する効果で説明した、広告費を抑えてユーザーを呼び込むことの裏返しにはなりますが、オウンドメディアの場合、正しい方法でコンテンツを作っても効果を実感するまでにある程度の時間が必要です。

例えば弊社でのオウンドメディアでも、記事を作って検索結果上位を取れるまでも1ヶ月から3ヶ月かかり、そこからお客様が記事を見てお問い合わせをして、商談になり、やっと契約に繋がります。記事の企画から考えると、最速でも3ヶ月から4ヶ月かかっています。これは順調に進んだ場合に限っての試算です。

記事の校正や執筆、編集が遅れたらその分後ろ倒しになり、記事を公開しても上位を取れなければお客様との接触機会すらありません。商談が思うように進まなかったら、契約にも繋がらないので、明確な効果を感じることもできません。

数多くのハードルを乗り越えた結果、オウンドメディアの効果を感じることができます。そのため、オウンドメディアをやると決めた意思決定者や企業の代表はこの点を理解して、目標設定をおこなわなければいけません。

くれぐれも「オウンドメディア立ち上げて1ヶ月経つけど、問い合わせ増えないね。」などは言わないように(笑)。

オウンドメディア運営でよくある失敗と対処法

ここからは、オウンドメディア運営でよくある失敗とその具体例を挙げつつ紹介し、対処法もあわせてお伝えします。オウンドメディアの立ち上げを考えている企業の代表や、マーケティング部長はもちろん、現在運営していてい鳴かず飛ばずの状況にいる担当の方はぜひ参考にしてみてください。

1.オウンドメディアのコンセプトが決まっていない

まずはオウンドメディアのコンセプトを決めましょう!なんとなくオウンドメディアが良いと聞いたから始めるのではなく、オウンドメディアを通して何を成し遂げたいかを明確にしましょう。オウンドメディアの役割で紹介した5つを少し柔らかくしたものをイメージするといいかもしれません。

弊社の場合「わかりにくいをわかりやすく」と「役に立つ」、「面白い」をコンセプトとして、業界内でトップメディアを目指し、お客様のためになる情報発信を心がけています。

コンセプトがあると、表現方法や、施策の優先度などを決める時の指針になり、ブレのないオウンドメディア運営が可能になります。例えば、代表がその場の勢いで「〇〇がやりたい!」と言ったとしても、コンセプトに合っているか、合っていないかで判断できるので、現場の人間は動きやすくなるはずです。

まず1番初めにオウンドメディアのコンセプトを決めてから動き出しましょう。コンセプトの変更は一定期間経過したら良いと思いますが、変更が多いと一貫性のないメディアになるので注意が必要です。

2.目標を設定しない見切り発車

目的を具体的な数字に落とした目標を決めずにオウンドメディアを始めたら、何をもって成功か失敗かの判断がつきません。まずは自社が目指すべきものをはっきりさせ、具体的な数値目標を設定しましょう。

オウンドメディアの目標設定は、最終的な目標と、立ち上げからの期間によって変えていくと良いと思います。初期段階の目標設定で、記事の本数をおき、徐々に体制が整ってきたら PV(ページビュー)数や、ユーザー数、UU(ユニークユーザー)数などの Google Analytics で確認できる数値にしていきます。

本数や PV 数が満足する数字になってから、コンテンツ経由のコンバージョン数や率を目標として設定するのが健全です。

オウンドメディア運営開始当初は、ユーザーに見られているかが重要だと考え、PV 数を目標としてしまいがちです。しかし立ち上げたばかりだと、サイトの力(ドメインパワー)や知名度がなかったり、記事の質がイマイチだったりしてなかなか思ったように PV 数は上がりません。

そこで、立ち上げ半年から1年目は、運営体制を整えることを目標とし、定量目標を記事の公開本数や納品本数におくことをオススメします。それだけでいいの?と思われるかもしれませんが、むしろ公開本数だけでも運営体制を整えながら達成するには厳しいことです。

公開本数や納品本数がコンスタントに達成できたら、次の目標設定をしていきましょう。

3.コンテンツ数が少ない

オウンドメディアを始めたとしても、コンテンツ数が少ないと成果を感じるまで時間がかかり、途中で更新を断念してしまうかもしれません。もちろんコンテンツ数が多ければ良いというわけではないですが、一定の数は用意する必要があります。

なぜ一定数以上のコンテンツが求められるかは、理由が2つあります。まず1つ目の理由は、「Google などの検索エンジンから、そのジャンルの情報が掲載されているサイトとして認識してもらうため」です。

数個のコンテンツ(記事や動画など)だけでは、なんのサイトなのか、どんな情報が掲載されているのかが Google 側から分かりづらくなってしまいます。そのため、一定数以上のコンテンツを作成し、どんなサイトなのかをハッキリとさせる必要があります。Google 検索の仕組みについてはこちらのページをご覧ください。

2つ目の理由は、「コンテンツ数を積み上げることによって、質の高いコンテンツが分かってくるから」です。

サイト内のコンテンツが増えると、Google Analytics などを使った分析で人気コンテンツの傾向が分かってくるのはもちろんのこと、肌感覚でもコンテンツの良し悪しが判断できるようになってきます。

オウンドメディアを始めるにあたって「量は質を凌駕する」ことがあり得ると思います。

最初から質の高い記事を作成し、少ない記事数で検索上位を取っているサイトも稀にありますが、それは今まで他のメディアなどで培ったコンテンツの知見があるからです。

コンテンツ数を増やすことがオウンドメディアの成功には不可欠です。記事であれば、まず1年から2年間で100本公開を目指して運営してみましょう。

4.定量的にユーザーニーズを捉えられていない

いくらコンテンツの数を増やしたとしても、そもそものテーマ(≒キーワード)が雑に決めていたら見てくれる人は増えません。コンテンツ数が大事とは言いましたが、ユーザーが求めるものを理解し、それに合ったコンテンツを作ることも並行しておこなっていかなければいけません。

ユーザーが求めるもの=質が良い記事というわけではなく、ここでいうユーザーが求めるものとは、定量的にニーズがあるものを指します。定量的にニーズがあるかは Google キーワードプランナーで、検索語句(≒検索クエリ)の月間平均検索数で調べられます。

キーワードプランナーで月間検索数を調べた結果

キーワードプランナーの具体的な使用方法はこちらの記事で解説しているので、よろしかったらご覧ください。

例えば月に1,900回検索される「Amazon 広告」と月に30回しか検索されない「Web 広告 予算」でそれぞれ記事を作って検索結果の上位を獲得しても、前者の方が検索からの流入が多いのは明らかです。

今回の例では、まだキーワードプランナーで月の検索回数を調べて、30回でもニーズがあるのが分かっているので、微々たるものですが流入が見込めます。しかし、オウンドメディア運営で失敗する企業は、ツールを使って調べてないことすらあります。

まずはユーザーニーズを定量的に考えられる「月の検索回数」を調べて、記事のテーマ(≒検索語句)を選んでいきましょう。

5.ユーザーの生の声をコンテンツに反映できていない

先程の失敗例「定量的にユーザーニーズを捉えられていない」と似ていますが、ユーザーのニーズは、月間検索回数以外にも知る方法があります。

月間検索回数ももちろん重要ですが、ニッチな商品やサービスであるとピッタリと合う検索語句を見つけるのが難しいことがあります。その場合は、Yahoo! 知恵袋で自社商品やサービスに関連する悩みを見たり、自社のアンケートなどでユーザーの生の声を確認したり、Twitter や Instagram でエゴサーチをしたりしましょう。

大事なのは、一次情報を取りにいくことです。オウンドメディアでコンテンツを作ろうとすると、担当者が「ユーザーは〇〇と思っているから、△△が求めていることだ!」と勝手にテーマを決めてしまうことがあります。

「ユーザー目線」や「ユーザーファースト」は便利で使ってしまいがちな言葉ですが、本当にユーザーのためになるコンテンツかを考えてみましょう。ユーザーの生の声に耳を傾けてコンテンツを作成しましょう。

6.流入経路を考えたコンテンツが作れていない

ここまでで、目標とテーマの話をしました。あとは作るだけ!と意気込んで始めるのも良いですが、作成前にメインでどこからの流入を期待するかを決めておきましょう。

流入経路は大きく分けて2つあります。1つ目は検索流入、俗に言う SEO を意識したコンテンツになります。検索結果の上位を取れれば長期的な流入が見込め、企業にとって大きな資産になります。

もう1つの流入経路は SNS が挙げられます。SNS からの流入は、主に Twitter や Facebook で数多くのいいねやリツイートを集めると、瞬間的に流入数が増加します。しかし、一時的な伸びで終わってしまうケースが多く、長期的に流入を確保することは稀です。

これ以外にも direct(直接流入)のような、ユーザー間でチャットツールを通して URL が共有された結果、流入することなどもあります。しかし、先に紹介した2つよりも数は少なくなるので、メインで取り上げるのは、検索流入と SNS からの流入としています。

検索流入の場合、作成するテーマで実際に検索し、他社の既存コンテンツよりも質の良いものを作成する必要があります。

質の良いものとは、情報の網羅性だけでなく、整理された見やすさや、ユーザーのインサイトを考えた内容、コンテンツの表現方法なども全て良いコンテンツです。検索結果で一番上に表示されるのが、動画なのか、記事なのか、それ以外なのかなども考えなければいけません。検索結果上位を模倣するだけのコンテンツを作るという意味ではなく、全てを加味して「ユーザーのためになるもの」を意識して作成しましょう。

SNS での流入を考える場合、記事内で「シェアしたくなる情報」を意識して盛り込みましょう。僕は、業界の著名人が Twitter や Facebook、メルマガで一言つけ加えてシェアしているのをイメージしながら執筆しています。

  • サクラサクマーケティングのねぎお社長さんが「本当に助かる良記事!」
  • 運営道のメルマガで森野さんが「かゆいところに手が届くとはこういうこと」

上記のようなイメージを持ちながら日々記事の執筆や編集に励んでいます。ここまで考えることができるのは、テーマ設定やユーザーの求めるものを明確にしているからだと思います。

7.社内の協力が不足

最後に欠かせないのが社内の協力です。今オウンドメディアの担当になっている方で、この問題で頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。コンテンツ作成のリソースがなかったり、外注費の予算が取れなかったり、すぐに成果が出ないのでオウンドメディアへの理解が得られなかったり・・・。

この問題を解決するのは、オウンドメディアをやる意思決定をした人(代表や役員、事業部長など)が、全社に何度も周知するしかないと思います。そもそも意思決定者が協力する姿勢やオウンドメディアへの理解がないと、困難な道のりをたどることになると思います。

今その状況でないのならば、オウンドメディアの勉強会に一緒に参加をして成功した企業の担当者の話を聞いたり、実際にコンテンツを作ってもらったりして、その結果を一緒に見て、体で理解してもらう必要があります。

よくある失敗から学び、オウンドメディアを成功へ導こう

ここまで紹介した失敗例のうち、1個でも当てはまりそうなものがあれば事前に対処しておきましょう。成果が出ないのには何かしらの理由があります。

今回紹介したものは、あくまで一般的によくある失敗例なので、他にも自社独自の課題があがってくるかもしれません。そんなときはコンセプトをもとに解決策を考え、他のオウンドメディア担当者はどうやって解決しているのかを SNS などで探してみると良いと思います。

次回の記事で弊社のオウンドメディアが成功した秘訣や、事前に準備していて良かったことなどを紹介したいと思います。ぜひ楽しみにお待ち下さい。

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記事を書いた人

大久保 翔太
大久保 翔太

マーケティング/編集長

2019年9月に編集者として入社。新卒は求人広告営業、その後は記事執筆・編集、採用を含むバックオフィス業務をやっていました。お弁当男子(おべだん)としてTikTokにてバズり中。見た目の割にトレンドには敏感。沖縄観光と都内の居酒屋に精通しているイケイケドンドン、少し心配性なオオクボです。

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