運用型広告は、ユーザーの一次情報や市場から得たデータをもとに、渾身の広告を作成してからがスタートです。広告作成後はデータや市況を見て、細かい調整をおこなっていくことになります。広告運用で目指すのは、自社で定めた目標(売上やコンバージョン数など)の達成です。
しかし目標を達成したからといって終わりではありません。目標を達成しているから現状維持で OK!と考えるのは、事業の成長機会を逃す危険があるので非常にもったいないです。
今回の記事では、広告を運用して、自社で定めた目標を達成している方に向けて、成果が出ているときにこそ、やるべきことをお伝えします。
現状維持というのは衰退への1歩です。現状維持と判断したら、会社の成長は止まります。今は目標が達成できていても、今後も継続して達成できるという保証はありません。なぜなら、広告の掲載結果は日々変化するものだからです。
広告配信システムには、毎週のように新しい機能が実装されたり既存機能の仕様変更が発生したりしています。たとえば2021年でいうと、「絞り込み部分一致の廃止」や「画像表示オプションの追加」、「パフォーマンス最大化キャンペーン(P-MAX)の追加」などがありました。
細かな変更でいうと何十個とありましたが、2022年も拡張テキスト広告の廃止をはじめ、広告配信システムは変化する予定です。
広告の目標を達成できていないときは、成果を出すため短期的な問題解決に取り組む必要があります。短期的な目標を達成できていないのに、中長期的な施策もおこなうのは困難です。
短期的な取り組みとして「入札単価の変更」や「広告文の追加」、「キーワードの調整」、「ターゲティングの改善」などがあります。まずは目の前の目標を達成するためにこのような取り組みをするかと思います。
一方で余裕のある時におこなう中長期的な施策には、「新しい集客方法」や「サイト制作」、「商品開発」などがあります。目標を達成しているときにこそ、短期と長期で必要な施策を実施することが重要なのです。
ここからは広告で成果が出ている時だからこそやるべき施策を紹介していきます。とは言っても、「サイト制作」や「商品開発」などは、市場調査や外部への依頼などが必要で時間がかかります。まずは既存の広告をもとにできる施策をおこなっていきましょう。
手動入札で検索広告を出している場合は、キーワードの入札単価を、ディスプレイ広告の場合は、ターゲティングで設定している個別の入札単価を上げることを考えましょう。
現在の入札単価が相場と比べて低い場合は、入札単価を上げることで広告の表示機会が増えることが期待できます。入札単価を上げることでクリック数が増えて、コンバージョン数が増加する可能性があります。
入札単価を上げる調整を、掲載結果を見て継続しておこなうことにより、成果の最大化に繋がる可能性があるわけです。入札単価を上げるのが心配な場合は、一気に上げずに少しずつ調整していけば問題ありません。
現在の入札単価が100円以下であれば、10円から20円ずつ上げましょう。ディスプレイ広告の場合は、更に少ない金額(5円から10円ほど)でも問題ありません。検索広告の場合は、推定入札単価(ページ上部)も参考にすると良いでしょう。
入札単価を上げるキーワードやターゲティング優先度は、コンバージョンが獲得できているものからおこないます。また、地域やデバイス、ユーザー属性(年齢、性別)別で成果が出ていれば、入札単価調整比を上げることも検討しましょう。
いま手動入札で設定している場合は、自動入札に挑戦してみるのも良いでしょう。広告主が調整するよりも、多数のシグナル(性別、所在地、デバイス、検索語句など)を考慮して単価を調整する自動入札は、手動入札よりも良い成果が期待できます。
Google 広告の場合、まずは、コンバージョンに繋がる可能性が高いクリックに対して、入札単価が引き上げられる「拡張クリック単価」にしましょう。
拡張クリック単価は、コンバージョンに繋がる可能性が高い(または低い)と判断した場合、入札単価を自動的に調整します。手動入札の設定をもとに自動入札を利用できるので、初めて自動入札を取り入れる方にオススメです。
自動入札にすると、急に広告費が上がるようなパフォーマンスに大きな変動が起きることもあります。ただ、拡張クリック単価は他の自動入札と比べると起きにくいです。この点からも、自動入札を導入するときは拡張クリック単価からがオススメです。
毎日1回以上のコンバージョンが発生している場合は、「目標コンバージョン単価」や「コンバージョン数の最大化」も検討できます。
目標コンバージョン単価は、設定した目標 CPA 以下でコンバージョンを最大に獲得できるように入札単価を調整します。そのため、目標 CPA がある場合は、目標コンバージョン単価から始めてみるのも良いです。
ただ、設定する目標 CPA が相場よりも低すぎると、広告が表示されにくいこともあります。その場合は、「コンバージョン数の最大化」を検討しましょう。
コンバージョン数の最大化は、キャンペーンに設定した予算を使い切ることを目指し、コンバージョンを最大化するよう自動的に入札単価を調整します。
注意したいのは「予算を使い切ってしまうこと」です。現在、使用している広告費がキャンペーンに設定している予算よりも低い場合、予算を変更した上で、コンバージョン数の最大化に変えることを検討してください。
広告配信で成果が出ているときは、配信結果のデータも多く取れ傾向が分析しやすくなります。そのためデータをもとに新たな広告クリエイティブ(広告文)を追加することも検討しましょう。
広告配信した結果を確認すると、コンバージョンしたキーワードやターゲティング、性別や年齢、地域が分かります。検索広告の場合は、ユーザーの検索した語句も確認できます。
また、市場動向や顧客ニーズなども時間に余裕のある時に確認してみましょう。お客さんへ直接ヒアリングをしたり、アンケートを取ったりすると今まで見えてこなかった事実が見つかるかもしれません。
配信した結果やお客様の生の声を参考に、今までの切り口とは異なる広告クリエイティブを追加してみましょう。
広告の形式には、テキストや画像、テキストと画像を組み合わせたもの、動画などがあります。現在の広告で使用している形式とは異なる形式の広告を追加することを考えましょう。新しい形式を追加することにより、広告の表示機会が増え、クリック数やコンバージョン数が増える可能性があります。
ただ闇雲に追加すれば良いということではありません。検索広告で使っている広告の形式が拡張テキスト広告だけの場合は、レスポンシブ検索広告を追加しましょう。
ディスプレイ広告の形式は媒体により異なりますが、画像やテキストだけの形式の広告しか登録していない場合は、画像とテキストを組み合わせて表示するレスポンシブディスプレイ広告やカルセール広告を追加することを検討してみましょう。
検索広告を出している場合、コンバージョンの実績が出ているキーワードを対象に、マッチタイプの異なるキーワードを追加することを考えましょう。
Google で1日におこなわれる検索の20%は過去90日間に1度もおこなわれたことのない検索と言われています。さまざまな検索に合わせて広告を出すために、マッチタイプでカバーしていくのが良いでしょう。
成果が出ているキーワードのマッチタイプがフレーズ一致であれば、部分一致のキーワードを追加します。今のキーワードが完全一致であれば、フレーズ一致のキーワードを追加できます。
キーワードが複数ある場合、「どのキーワードから追加するか」で迷うときは、最も成果が出ているキーワードを対象に追加するのがオススメです。
広告を出す目的がコンバージョンであれば、目標 CPA 以内でコンバージョンの数を獲得できているキーワードから優先して追加します。
追加したキーワードの入札単価は、もとにしたキーワードの入札単価よりも低めにしても大丈夫です。追加したキーワードによる掲載結果に不安があれば、もとにしたキーワードの半分以下の金額で開始してみるのが良いでしょう。
広告の掲載結果をもとに、ターゲティングを広げることも考えてみましょう。現在設定しているターゲティングに関連あるものがあれば追加を検討します。まずは同じ市場やジャンルの商品・サービスに関するターゲティングがないかをチェックしてみましょう。
たとえば、Google 広告の場合、設定しているターゲティング「ネイルケア商品」で成果が出ていたら、「アイメイク」や「フェイスメイク」、また、「メイク、化粧品」を設定することを考えます。
ターゲティングを追加するときは必ず、広告を出したい人が「どんな悩みを抱えているか」や「どんな情報を求めているか」、「どんな課題を解決したいのか」などを考えましょう。ニーズを具体的にしてから適したターゲティングを追加します。
今出している広告を参考に、各媒体のまだ使用していない機能を試してみるのも良いでしょう。
検索広告であれば、動的検索広告やショッピング広告があります。動的検索広告は、サイトの情報に基づいて、広告の表示対象となる検索語句が設定され、広告の見出しを自動的に生成して配信する機能です。
サイトに基づいて生成されるので、テキスト情報が充実しているサイトは検討してみると良いでしょう。またショッピング広告は、検索結果に商品情報を画像付きで掲載できる広告なので、物販をされている方は検討してみてください。
ディスプレイ広告は、現在設定しているターゲティングと異なるターゲティングで集客することが検討できます。たとえば、Google 広告でキーワードやトピックターゲティングを使って広告を出している場合、「オーディエンス」のターゲティングを考えてみると良いです。
キーワードやトピックは、広告が掲載される場所をもとに設定するターゲティングですが、オーディエンスは、広告を出す人の興味関心や行動をもとに設定するターゲティングです。これまでアプローチできていなかった人に広告を出せる可能性があります。
最後に新しい媒体での広告配信にもチャレンジしてみましょう。現在、Google の検索広告だけを出している場合、次は Yahoo! の検索広告が検討できます。また、Google 広告のディスプレイ広告を出されている方は、Yahoo! のディスプレイ広告を検討しましょう。
それぞれの媒体には、同じターゲティングもしくは、似たようなターゲティングが実装されていることもあります。
たとえば、Google 広告には、オーディエンスのターゲティングに「ビデオカメラ」がありますが、Yahoo!広告のオーディエンスカテゴリーにも「ビデオカメラ」があります。同じようなターゲティングがあれば、別媒体のターゲティングを使うことも考えてみてください。
媒体は他にも、Facebook 広告、Twitter 広告、LINE 広告などがあります。想定するターゲットにアプローチしやすい媒体から選ぶのが良いです。そのためにも、各媒体が提供するターゲティング機能を学びましょう。そして、Google 広告、Yahoo!広告以外の媒体で集客する仕組みを作ることにも挑戦してください。
広告以外でできることとしては次のようなこともあります。
広告の掲載結果を見て、継続して改善に取り組むことは必至です。ただ、コンバージョンが起こるのはランディングページです。そのため、ランディングページを改善してコンバージョン率を上げることも重要です。
ランディングページでのコンバージョン数が増加した場合、次に広告以外の集客に取り組むことも考えたいです。オンラインでいうと、Twitter や Facebook などの SNS での集客や、SEO 施策が挙げられます。
また集客する手段はオンライン広告だけではありません。DM やチラシ、看板などによるオフライン広告を使った集客もあります。
ネット広告を中心に使う企業が増えたこともあり、オフライン広告の単価が下がっていることもあります。オフライン広告はフリーペーパーや、デジタルサイネージ、ポスターなどもあるので、興味ある方は調べてみると、自社に合ったものを見つけられるかもしれません。
そして売上を上げる対象を新規顧客だけに絞って考えるのも止めましょう。既存顧客をフォローする仕組みを改善することで、今よりも売上が上がるかもしれません。
顧客維持や顧客満足度向上のための取り組みをしましょう。そこで考えたいのは、既存顧客の悩みや願望を解消することです。
既存顧客の声は、広告やマーケティングを改善する上での財産と言えます。商品開発、サービス改良する上でも欠かせない情報です。そのため、既存顧客にヒアリングやアンケートを取ることも、余裕ある今のうちに実施しましょう。
現状維持で安心するのではなく、成果が出ている今だからこそ、未来のために広告の準備をしていきましょう。
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最新&実用的な運用型広告のノウハウを学び、実践する研究会です。相談、コンサルティングも対応。広告の問題やマーケティングの悩みを電話やZoomで相談できます。
執行役員/インハウス支援室長
全国400社以上の研究会員の運用型広告・マーケティングコンサルティングを担当。養成講座では500人以上を教育。コンサル・講師・執筆業から、広告運用代行、ホームページ制作、システム開発まで担当。自社ビジネス成長のための製品開発、販売をする実践家でもある。自他ともに認める変わり者。徳島県出身。
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