運用型広告

マイクロコンバージョンを導入すべき?導入に迷ったときの判断基準や注意点を解説

こんにちは、小島です。今回の記事では、広告運用における「マイクロコンバージョン」について取り上げます。

自動入札が主流となった現在、「マイクロコンバージョン」という言葉を聞く機会も増えています。一体、マイクロコンバージョンとは何なのか、またどんな場合に使用して、どんなメリットやデメリットがあるのかなどを説明していきます。

広告運用の際にマイクロコンバージョンを導入するか迷っている方や、設定方法が分からない方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

なお、今回の記事では「コンバージョン」にまつわる言葉が多く出てくるので、以下のように言葉を使い分けて説明します。

  • 最終コンバージョン=「最終コンバージョン」
  • マイクロコンバージョン=「マイクロコンバージョン」
  • 最終コンバージョンとマイクロコンバージョンを含む概念全体=「コンバージョン」
  • マイクロコンバージョンとは?

    マイクロコンバージョンとは、最終的なコンバージョンに到達する前の、中間のコンバージョンのことです。ユーザーがコンバージョンに至る前に通過するであろうページや行動をコンバージョンポイントとして設定します。

    マイクロコンバージョン(イメージ)

    ご存知の通り、最終コンバージョンのコンバージョンポイントは、サイトの目的によって変化します。EC サイトの場合は購入完了ページの表示、会員登録を目的とするサイトの場合は会員登録完了ページの表示などが良い例です。

    また、広告運用とは最終コンバージョンに至りやすいキーワードやランディングページ、ユーザーの特徴などを把握し、コンバージョンをより獲得しやすくなるよう注力することです。つまり、広告運用にとってコンバージョンは航海における「海図とコンパス」のようなもので、これがないとどう進むべきか全く分からなくなるくらい重要なものなのです。

    そして、ランディングページ内でこの最終コンバージョンに至りやすい通過点が分かれば、そこをマイクロコンバージョンのコンバージョンポイントに設定し、結果を判断する材料の一つにするのも理にかなっています。

    キーワードマーケティングでコンバージョンポイントとしているもの

    キーワードマーケティングでもマイクロコンバージョンを設定しており、以下のようなものをオウンドメディアのコンバージョンポイントとして設定しています。

    • メールマガジンの登録数
    • ホワイトペーパーダウンロード数
    • 無料の広告パフォーマンス診断申し込み
    • セミナーのお申し込み数
    • オウンドメディア経由での商談数

    参考:運用型広告におけるコンバージョン(CV)とは?覚えておくべき種類やCV数を増やすために必要な考え方|キーマケのブログ

    さらに重要になってきたマイクロコンバージョン

    最近の広告運用では自動入札が主流になっており、管理画面上のコンバージョンの重要性が非常に増しています。

    話は少しずれますが、従来、管理画面上のコンバージョンは成果指標として使われてきました。「決められた予算内でコンバージョン数を最大化すること」が最重要課題となる広告運用のなかで、運用結果としてのコンバージョン数は「成果そのもの」として扱われることが多かったのです。

    今でも「コンバージョン数●●件以上」と管理画面上のコンバージョン数を運用の成果とし、成果目標としてオーダーされることが多いです。このように「成果指標としての(管理画面上の)コンバージョン」という認識は、今でも多くの方の共通認識となっています。

    しかし、自動入札が主流となっている時代においては、管理画面上のコンバージョンは、これとは別の認識で重要になってきています

    というのも、自動入札で推奨されている入札戦略は「コンバージョンの最大化」です。これは管理画面上のコンバージョンに基づいて、キーワードごとの入札価格が調整されていく入札戦略のため、管理画面上のコンバージョンが非常に重要なのです。

    しかし、ビジネスの種類によっては管理画面上のコンバージョンが発生しにくい場合もあります。こういった場合、マイクロコンバージョンを設定することで、自動入札にコンバージョンのデータを多く送ることができ、効果を促進できるようになるのです。

    マイクロコンバージョンのメリットは?どんな場合で使うべきか?

    ここからは、マイクロコンバージョンを設定するメリットを元に、マイクロコンバージョンはどんな場合に設定すべきかを説明していきます。

    そもそも、マイクロコンバージョンを設定するメリットとは?

    マイクロコンバージョンを設定するメリットは、広告運用の精度が上がることです。

    これは運用に必要な「コンバージョン」というデータを、最終コンバージョンのみ設定している場合と比べて多く得られることに起因しています。とはいえ、何でもかんでもマイクロコンバージョンを設定した方が良いのかというと、そうではありません

    例えば、1日に商品が何個も売れるような EC サイトで「購入」をコンバージョンポイントに設定している場合、管理画面上の最終コンバージョンが1日に何回も付くことになります。こういった場合はマイクロコンバージョンを設定するまでもなく、最終コンバージョンだけでコンバージョンに関するデータをしっかりと得られます。

    なので、あえてマイクロコンバージョンを設定する意味はありません。詳しくは後ほどお伝えしますが、不要なマイクロコンバージョンの設定はデメリットを生み出してしまいます。

    マイクロコンバージョンは最終コンバージョンが発生しにくい場合におすすめ

    メリットとその背景から分かる通り、マイクロコンバージョンを設定した方が良いケースは、端的に言えば「管理画面上で最終コンバージョンが発生しにくい場合」です。

    個人的には、1ヶ月に30件以内しかコンバージョンが発生しない場合には、マイクロコンバージョンの設定を検討します。

    おすすめの商材

    ここでは、マイクロコンバージョンの設定に向いている「管理画面上で最終コンバージョンが発生しにくい商材」の例を3つ紹介します。ぜひ自社の商材と照らし合わせて、マイクロコンバージョンを設定すべきか検討してみてください。

    • 高額商品
    • 来店型ビジネス
    • EC

    まず高額商品を扱うビジネスの場合は、商品のそもそもの販売数が多くないことが普通です。したがって、最終コンバージョンもなかなか発生しません。

    次に来店型のビジネスの場合は、インターネット上で購入までのプロセスが完結しません。顧客が店舗に足を運んで、はじめて購入に至るためです。

    サイト内にも、問い合わせフォームやスマートフォンでタップできる電話番号など、コンバージョンポイントとすべきところがある場合はあります。しかし、電話やフォームの送信をしてから来店する決まりになっていなければ、購入に直接絡まないポイントを最終コンバージョンに設定しても、あまり意味がありません。

    このような場合は、マイクロコンバージョンを適切に設定して管理画面上のコンバージョン数を増やすことで、広告運用に貢献するデータを作り出すことができます。

    さらに上記のような「管理画面上で最終コンバージョンが発生しにくい」ケースではないのですが、いわゆる EC でもマイクロコンバージョンを利用した方がよい場合があります。

    最近では自社サイトだけで EC 運営をおこなうケースは少ないと思います。例えば Amazon や楽天など、モールでのショップも運営しますよね。そのうえで、お客さまの利便性を考え、自社サイトからモールへの導線を作ったりします。

    こういったケースの場合、自社サイトからモールへ移動した時点でコンバージョン計測はできなくなります。しかし移動した先のモールで購入される可能性もあるので、モールへの送客をマイクロコンバージョンに設定することは有意義です

    マイクロコンバージョンを誤用してしまう場合もある

    ここまで見てきたように、適切なマイクロコンバージョンの設定は、効果的な広告運用に対して非常に有効です。しかし、マイクロコンバージョンのコンバージョンポイント設定が適切ではなかった場合はどうでしょうか。

    冒頭でお伝えした通り、コンバージョンは広告運用においての「海図とコンパス」です。そのため設定したマイクロコンバージョンが的外れなものであった場合、この「海図とコンパス」の正確性が極端に低下します。結果として、マイクロコンバージョンの設定が広告運用をミスリードすることに繋がり、広告の成果も落ちてしまうのです。

    マイクロコンバージョンの設定のポイントについては、簡単に「正解」が出せるようなものではありません。ですから「仮説→設定→検証」を繰り返して、よりよいマイクロコンバージョンを常に探る必要があります。

    マイクロコンバージョンが誤作動する場合も

    マイクロコンバージョンに限らずですが、コンバージョンは誤作動を起こしたり、悪用されたりしてしまう場合もあります

    この「悪用」とは、コンバージョンが発生しないようなキーワードで検索して広告をクリックし、サイト内で「電話番号のタップ」の最終コンバージョンや、特定のページビューをコンバージョンポイントとしたマイクロコンバージョンなどを発生させ、コンバージョンに関するデータを乱すというものです。

    特に「コンバージョンの最大化」などの自動入札を設定している場合、そのようなコンバージョンしないキーワードに広告予算が自動的に割り振られてしまう可能性があります。

    こういったケースを避けるためには、こまめに検索語句をチェックし、人の目でおかしなキーワードでコンバージョンが増えていないかをチェックする必要があります

    マイクロコンバージョンで失敗しないための3つのポイント

    このように諸刃の剣のようなマイクロコンバージョンですので、コンバージョン数が少ないからといって闇雲に設定してしまうのは危険です。

    ここではマイクロコンバージョンを設定するにあたり、考えなければならないポイントを3つ紹介します。

    1. そもそも、マイクロコンバージョンの設定が本当に必要か
    2. 運用において必要なデータが得られるか
    3. どこをコンバージョンポイントとするか

    1. そもそも、マイクロコンバージョンの設定が本当に必要か

    目安として、1ヶ月あたりのコンバージョン数が30件以内の場合は、マイクロコンバージョンの設定がおすすめです

    ただし、過去の経験や知識からコンバージョンを獲得しやすい媒体やキーワードが分かっている場合は、あえてマイクロコンバージョンを設定しないこともあります。

    例えば、ほかの方が運用していたアカウントを引き継ぐ場合は、コンバージョンが少なくても、過去データとの期間比較性を重視し、当面そのままの設定で運用することもあります。

    また、クリック単価が高い業種の場合は、前述した「悪用」の危険性が高くなってしまいます。悪用を避けるためにマイクロコンバージョンの設定を見送ったり、自動入札を使用しなかったりもします。

    2. 運用において必要なデータが得られるか

    マイクロコンバージョンを設定するか決める際には、マイクロコンバージョンの設定によって運用に十分な量のデータが得られるかも確認する必要があります。

    そもそも、コンバージョンのデータは多ければ多いほどよいというわけではなく、必要なデータがそろっているかどうかが重要です。マイクロコンバージョンのデータに最終コンバージョンが埋もれてしまうような場合は、マイクロコンバージョンの設定はすべきではありません。

    3. どこをコンバージョンポイントとするか

    マイクロコンバージョンを設定することが決まったら、どこをコンバージョンポイントとするかを決定しなければなりません。

    まずサイト内の来訪者の行動を分析し、最終コンバージョンに至るまでに通過する重要なページがあるかどうかをアクセス解析などで探ります。ユーザーが最終コンバージョンの前に通過するページがあれば、そこをコンバージョンポイントとしてマイクロコンバージョンを設定しましょう

    この方法でマイクロコンバージョンのコンバージョンポイントとすべきところが見つからなかった場合には、「ページビュー」をマイクロコンバージョンのコンバージョンポイントとします。

    コンバージョンポイントを検討する際は、GA4の「ファネルデータ探索」で、主要となっているコンバージョンはどれかを判断しましょう

    コンバージョンポイントのページに検討がつかないときは・・・

    コンバージョンポイントのページに検討がつかない場合は、よくあるユーザーアクションを元に考えてみることをおすすめします

    そもそもですが、サイトのトップページ以外でユーザーがよく見るページは「料金」と「会社概要」のページです。マイクロコンバージョンのコンバージョンポイントとして設定する場合は、これらのページのページビューを設定しましょう。

    特に「会社概要」は最後のひと押しとして会社の信用度を見ようとしている場合が多いので、高額な商材を扱っていてコンバージョンが少ない場合におすすめです。

    また、来店型ビジネスの場合には「アクセス」のページがよいでしょう。実際にアクセス解析などで確認しても、来店予約の前には「アクセス」のページが見られていることが多いです。

    マイクロコンバージョンの設定方法と設定後の注意点

    マイクロコンバージョンを設定する際には、最終コンバージョンより小さいコンバージョン値を設定し、自動入札などで利用される場合に、相対的に最終コンバージョンの価値が下がらないようにしましょう

    具体的には最終コンバージョンのコンバージョン値が1,000だった場合は、マイクロコンバージョンのコンバージョン値を300くらいに設定します。この値は仮のものなので、運用を進めながらマイクロコンバージョンの貢献度に応じて修正していきましょう。

    GTM を導入している場合は「10秒以上滞在したら発火」のように、ページの滞在時間なども考慮して条件をつけるのもおすすめです。

    こういった設定を実際に運用しながら、何度も仮説と検証を繰り返してアップデートしていきましょう。

    マイクロコンバージョンを設定したら、必ず検証

    マイクロコンバージョンのコンバージョン値や発火条件などとともに、そもそもマイクロコンバージョンのコンバージョンポイント自体も絶えず検証する必要があります

    検証の際には、マイクロコンバージョンを含めたコンバージョン全てのコンバージョン値と、販売数や来店者数などの管理画面に現れない実際の成果指標の相関をとって検証します。

    個人的な感覚で申し訳ないのですが、相関値が0.4以上あれば、マイクロコンバージョンの設定は合格ラインかなと感じています。逆にそれ以下、もしくは負の相関の場合は、マイクロコンバージョンのコンバージョンポイントを含めて、新たに仮説を立てて設定をしなおします。

    なお、マイクロコンバージョンを設定したうえでコンバージョンの期間比較をおこなう際、最終コンバージョンだけを選んで比較することを忘れないようにしましょう。追加設定したマイクロコンバージョンの分も含めて比較しないように注意が必要です。

    「マイクロコンバージョン」に限らず、広告運用をするなら専門用語はできる限り覚えておくとよい

    マイクロコンバージョンという言葉は、Web マーケティングに携わる人くらいしか認知していないような専門用語です。そんな言葉ではあるものの、広告運用に関わるのであれば覚えておいた方がよい言葉でもあります。

    広告運用担当者になるためには、まず膨大な専門用語を覚えなければなりません。覚えなければならない用語は広告運用に関するものだけでなく、Web マーケティングに関わるものや経営的な指標などもあります。こうした用語を覚えていないと、他の担当者や上司などと連携も難しく感じてしまうことがあります。

    今回取り上げた「マイクロコンバージョン」も、私が運用の仕事を始めた頃にはなかった専門用語です。ただし、始めた当初からその「技術や考え方」はあったため、誰かがその「技術や考え方」に対して名前を付けたのでしょう。

    膨大かつ日々追加される専門用語の全てを完全に暗記する必要はありませんが、その言葉が指し示す「技術や考え方」については、しっかりと自分の血肉として実際に運用で活用できるようになりたいものですね。

    なお、広告の専門用語について知識を深めたい方は、リスティング広告に関する用語や略語をまとめた以下の記事も併せてご覧ください。

    【ブクマ推奨】リスティング広告用語&略語まとめ!業界初心者へ向けて分かりやすく解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

    リスティング広告に関わる用語と略語の意味をまとめました。広告の種類や混同しやすいCPCやCPA、各種ターゲティング名も網羅!業界初心者の方はブックマーク推奨です。

    運用型広告の成果にお悩みなら、1,300社以上の支援実績があるキーマケに相談してみませんか?

    運用型広告の成果にお悩みなら、1,300社以上の支援実績があるキーマケに相談してみませんか?
    日々広告を運用している広告運用者がシミュレーションを作成し、商材に合った媒体や配信メニューをご提案します。運用開始後は、東京本社と九州佐賀支社の分業体制により、ミスのない安定した運用とすばやい施策立案・実行を可能としています。

    運用型広告の運用について相談する

    メールアドレスをご登録いただきますと、ブログの更新情報などをお届けいたします。

    メールアドレスをご登録いただきますと、ブログの更新情報などをお届けいたします。
    「わかりにくいこと」を「わかりやすく」をモットーに、すべての記事を実際に広告運用に関わるメンバー自身が執筆しています。ぜひ無料のメールマガジンに登録して更新情報を見逃さないようにしてください!

    メールマガジンの登録はこちら

    記事を書いた人

    小島 元
    小島 元

    広告運用 コンサルタント

    慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

    広告アカウント診断(無料)も実施中
    私たちの分析力・提案力をお試しいただけます

    広告アカウント診断(無料)も実施中
    私たちの分析力・提案力をお試しいただけます

    広告アカウント診断(無料)も実施中私たちの分析力・提案力をお試しいただけます