もし自社の商品やサービスがテレビで紹介されるとなったら、どんな準備をしたら良いのでしょうか?
普段おこなっている SNS のオーガニック投稿やネット広告とは異なる形での露出になるので、具体的に何をしたら良いのか分からず、プロモーション方法に頭を悩ませるマーケターや広告運用者の方も多いはずです。しかし、テレビで紹介されるチャンスを逃すわけにはいきません。
以前お客様から「今度ウチの商品がテレビで紹介されます!」と喜びの連絡をいただきました。その時に「せっかくなので、XXX や YYY をやってみましょう!」と普段とは一味違う追加提案をし、実施すると、成果も良くなり大変喜ばれたことがあります。
そこで今回は、テレビ放送が決まった際に、やっていて良かったことや、やっておけば良かったことをまとめてみました。テレビ放送が決まったなら、この記事を参考に準備してみてください。
メディア(テレビや雑誌、SNS など)の紹介が検索広告に与える影響はどれくらいなのでしょうか?まずは実際の数値から見ていきましょう。以下は toC 商品を扱っている企業が、テレビで取り上げられた際の Google 検索広告の配信結果です。
テレビで紹介された日と前週の同じ曜日(日曜日)を比較すると、会社名での検索広告の表示回数が5倍まで増加しています。また広告だけなく各 SNS などの影響もあり、売上も2倍にまで増加しました。
テレビ番組名とセットでの検索などでも広告表示したりするため、コンバージョン率は下がる傾向にはあるのは注意しておきたいポイントです。下記の例でもコンバージョン率は通常時の半分以下になっています。
Google検索 | 表示回数 | CV数 | 売上 | CV率 | CPA | ROAS |
---|---|---|---|---|---|---|
前週の日曜日(通常時期) | 2,029 | 25 | ¥100,422 | 3.88% | ¥109 | 3751.57% |
テレビ放映された日曜日 | 14,351 | 65 | ¥210,438 | 1.50% | ¥292 | 1105.44% |
変化率 | 707.21% | 265.71% | 209.55% | 38.63% | 267.64% | 29.47% |
テレビで紹介されると検索広告、及び企業の売上に好影響があることが分かりましたが、具体的にどのような影響があるかを、3つに分けて説明します。
商品名やサービス名、会社名といった単語は、指名キーワードや指名検索、ブランド名、固有名詞と呼ばれます。この記事では「指名キーワード」と記載して説明します。
テレビなどの紹介で指名キーワードの検索数は3倍から5倍へと跳ね上がることがあります。以下は先ほど紹介した例の同商品が、同時間帯(日曜夜7時半)にテレビで紹介されたときの検索数を相対的に表した Google Trends のデータです。通常時の4倍超にもなり、瞬間的に検索数が増加しているのが分かります。
ただし、同じような有名テレビ番組で平日9時ごろに紹介された BtoB ビジネスの場合は、検索数は増えませんでした。このことから、基本的には toC ビジネスのほうがテレビ紹介の影響を大きく受けやすいと言えそうです。
検索する前から本来ランディングページで伝えることを、既にテレビを通して知っているためコンバージョンしやすい傾向にあります。
ただし、買う気はないけどとりあえず調べてみたという人も同時に含まれるので、コンバージョン率は下がり、やや CPA は高くなる傾向にあります。
テレビの放映後24時間ほどの極短時間で影響が現れ、それ以降については、ほぼ影響は見受けられないことが多いです。ただし、SNS でバズが起こったものであれば数日かけて緩やかに影響が持続することもあります。
上記のグラフでは、テレビで放映された20時から21時がピークとなっており、通常時の4倍コンバージョンが発生しています。しかし日をまたぐと落ち着いてしまいます。そのためテレビ放映直後が最大のチャンスなのです。
ここからはメディア紹介の効果を最大化するコツを紹介します。まずは自社サイトに呼び込む話からスタートし、サイト内での改善策、サーバーや受注体制について注意すべきポイントを紹介します。
テレビ番組では指名キーワード(商品名やサービス名など)が繰り返し呼ばれ、テロップでも表示されて印象に残るので、検索数がグッと増えます。
そのためユーザーが検索したときに漏れなく自社サイトへ来てもらえるように、リスティング広告を出稿しましょう。
Google AI Blog では、検索広告を停止した場合、検索広告経由で獲得できていた訪問者の89%は、自然検索で代替できないと主張されています。
そのため、たとえ自然検索で1位を獲得していても検索広告を出すことをおすすめします。
またリスティング広告を出しておかないと、競合企業の広告が表示されてしまい、競合へ流出してしまう可能性があります。
以下のキャプチャのように、リスティング広告は自然検索よりも先に表示されるので、クリックされやすい傾向があります。
もしリスティング広告を出していなかったら、テレビで紹介された商品やサービスと勘違いして競合サイトへ流出する可能性があります。
もし事前に、指名キーワードで競合他社の広告が表示されていると分かった場合には、その企業に紳士協定の申し込みをしましょう。
紳士協定は、お互いに指名キーワードを除外する取り決めのことです。具体的な文面に悩まれる場合は、以下の記事にサンプルがあるので参考にしてください。
自社の名前やサービスで検索するとライバルの広告が!その理由と対処時のポイントを解説(依頼時に使える文例あり)
実は、自社名や自社のサービス名でライバルの広告が出稿されているケースの多くが、意図しない広告出稿です。 リスティング広告の仕様上、登録しているキーワードと部分的に一致していると判断されると広告が出稿されてしまうため、たとえば「キーワードマーケティング」という言葉で検索されると、「キーワード」「マーケティング」といったキーワードで登録されている広告が表示されてしまいます。
リスティング広告では、リンク先ページを自由に設定することができるので、テレビ番組で興味を持ったユーザーを、テレビで紹介された特定の商品ページに遷移させることができます。
商品だけでなくその製造元が特集されることもありますが、その場合には会社名での検索も増えます。会社名を検索した場合、一般的に自然検索結果は公式通販サイトの TOP ページが表示されます。
しかしテレビで紹介されたときの会社名の検索は、(その会社が作っている)テレビに出ていた商品を購入したい人も多いと考えられます。
自然検索のようにサイト TOP へ誘導してしまうと、テレビで観た商品がどこにあるのか分からず、迷ってコンバージョンしないということになりかねません。したがって、ユーザーを最短経路でコンバージョンに結びつけるために、リンク先は直接その商品ページに誘導すると良いでしょう。
では、どのようなキーワードでリスティング広告を出したら良いのか、1語で構成される単体キーワードと、2語以上で構成される掛け合わせキーワードに分けて解説します。
テレビで紹介される商品・サービスの名前、会社名といった指名キーワードは必ず登録しておきましょう。
たとえば iPhone がテレビで紹介されるとしたら、商品名の「 iPhone 」や会社名の「 Apple 」は単体でキーワード登録しておきましょう。具体的な型番「 iPhone 14 pro 」などもあると良いでしょう。
また、商品名は覚えられなかったけど、一般名称および番組内呼称ぐらいは頭に残っている方もいます。そうした方のために、一般名称も配信強化しておくのが良いです。iPhone であれば「スマホ」や「スマートフォン」、「携帯電話」などです。テレビ放映が終わってもパフォーマンスが良ければ、これらのキーワードは停止しなくても大丈夫です。
ほかにも、テレビ番組名で検索して商品を探す人がいるので、番組名も単体でキーワード登録しましょう。3日から5日ぐらい経過したら、もはやテレビ紹介の影響は皆無に近いので、こちらのキーワードは停止します。
最後に、出演者も重要なキーワードです。例えば、番組にゲスト登場するアイドルのイチオシとして、その商品が紹介されるのであれば、アイドル名だけ記憶して商品を探す人も出てくるからです。こちらもパフォーマンスが良ければ、キーワード停止しなくても大丈夫です。
掛け合わせキーワードとは「(商品名)( 通販)」や「(商品の一般名称)( テレビ番組名)」のような、複数の語句からなるキーワードのことを指します。わざわざ複数の語句を入力しているため、その情報を強く求めていると考えられ、コンバージョン率は高くなる傾向があります。
この掛け合わせキーワードは、「(指名キーワード)( 通販)」や「(指名キーワード)( テレビ番組名)」ぐらいの掛け合わせキーワードは登録しておくようにしましょう。
あまり検索されなそうなニッチなものは、掛け合わせキーワードとして登録不要です。代わりに指名キーワードを単体で登録し、マッチタイプにフレーズ一致や部分一致を使用することで、幅広い検索語句を網羅することができます。
配信後の話ですが、実際に配信された語句を確認して、コンバージョンしていなければ除外キーワード登録を検討しましょう。
Google 広告にログインして、画面左から「検索キャンペーン」を選択します。画面左にある「キーワード」をクリックして、「検索語句」を選びます。すると、表示期間での検索語句が一覧で表示されるので、費用の降順で確認して、無駄な配信になっている検索語句を除外しましょう。
ユーザーはテレビで観たものを探して検索してきます。その検索語句は、社名や商品名、番組名などさまざまですが、どんな検索がされても表示される広告で「あなたがテレビで観たものはこれだよ!」と分かるようにしましょう。
商品名で検索する人は、その商品を求めているので、その商品名を広告文に入れることでクリック率の向上が期待できます。
見出しなどの目立つ部分に入れることで、自分が探している商品がある公式サイトだと認識してもらえ、迷わせることなく自社サイトに誘導することができます。
競合も同じように見出しにキーワードを入れていた場合は効果が弱まってしまいますが、競合対策として、さらに「公式」と広告文の見出しにしっかり入れると良いでしょう。
番組名で検索されたときには、直接的に番組名を使用せずに、間接表現を用いて暗示するようにしましょう。テレビ番組名などの商標登録されたものを広告文に入れると審査に落ちてしまうからです。
テレビで使われた言い回しと、広告クリエイティブでの言い回しを揃えて表現の統一をしましょう。テレビ内で聞いたものと同じだと思ってもらうことで、広告をクリックしてサイトに流入してもらえる確率を高めることができます。
たとえば、テレビで「有機野菜」として紹介されるなら、広告クリエイティブでも「オーガニック野菜」ではなく「有機野菜」と記載すべきでしょう。
ここまででリスティング広告をしっかり出すことができるようになったので、テレビを観てコンバージョンする気満々になった人々を、漏れなく自社サイトに呼び込めるようになったはずです。
そのユーザーたちをテレビに連動した商品ページに誘導することで、テレビ紹介の影響を最大化できます。
テレビに写った宣材写真と同じものを使用したり、呼称もテレビとサイトで統一しておきましょう。テレビで観たものとイメージが一致しないと、「類似商品のサイトに入ってしまった」と勘違いされ、よく読まれずに離脱されてしまう可能性もあります。
商品ページには「お昼の人気番組で紹介いただきました」などの、商標登録されたものを使用しない文章を入れましょう。
ただし、テレビ番組のキャプチャについては、Google のポリシーに「著作権で保護されたコンテンツの取得、コピー、アクセスを可能にする不正なサイト」とあるように認めてもらえません。したがって、広告も審査落ちするため、キャプチャ掲載は控えてください。
テレビで観た商品をユーザーが一番買いたいと思っている瞬間は、放映後すぐです。時間が経つと熱は冷めてしまうため、「やっぱり買わなくていいか」や「申し込まなくていいか」となりかねません。
したがって、テレビ紹介のインパクトを最大限売り上げに繋げるためには、その場で買ってもらう、申し込んでもらう必要があります。
CTA(Call To Action)ボタンは「購入」や「申し込み」などのユーザーへ対して行動喚起をおこなうものを指します。
テレビで紹介された商品のページでは、資料請求などの遠まわしなものにはせずに、購入や申し込みを CTA ボタンに設定しましょう。とにかくすぐに買えるように、申し込めるようにという方針です。
ただし、今すぐに買うべき理由を作ってあげる必要があるので、「テレビ紹介記念24時間限定セール」といった期間限定の割引や特典、また在庫数に限りがあることの訴求などはセットでおこなう必要があります。
いくらリスティング広告などで頑張って流入を増やしても、受け皿となるサイトでしっかりとコンバージョンに繋げることができなければ無駄になります。
そして、サイトのファーストビューなどでいくら魅力的に商品やサービスを紹介しても、どこから買えるのか・申し込めるのかが分からなければ、ユーザーはコンバージョンしたくてもできません。
僕もよくありますが、たくさんの項目がある申込フォームを入力していたのに、2回も3回もエラーになってしまうと、面倒くさくなり、結局コンバージョンしなくなります。こうしたことにならないようにフォームの最適化などは事前におこなっておきましょう。
また CTA ボタンがページ下部にしかなければ、購入方法が分からないと困るユーザーも出てくるので、CTA ボタンの配置にも注意してみましょう。
リスティング広告でばっちりキーワードを登録できたら、予算設定や入札戦略も見直しておきます。
指名キーワードだけでなく、一般名称でも検索数は増える傾向にあるため、検索キャンペーン全体で、予算設定と入札戦略は見直しましょう。
予算設定とは、そのキャンペーンで1日あたりいくらまで使用するのかという上限設定のことです。上限が低すぎると、あっという間に予算を使い切ってしまい、広告が表示されなくなってしまいます。
Google 広告では、コンバージョンが獲得しやすい日には、消化金額が設定した予算に達しても停止することなく、配信してくれるようになっています。
したがって、ある程度チャンスを逃さないようになってはいますが、検索数は確実に増えるので念のため通常時の2倍以上の金額は設定しておくと安心です。
入札戦略については、自動入札を使っている場合は特に調整不要です。手動入札の場合は、オークションで競合他社に負けないように、直近14日での平均クリック単価の2倍から3倍ぐらいまでの金額で入札価格を設定しておくと、機会損失なく表示できるでしょう。
ここまでで良いキーワード設定、良い広告クリエイティブ、良いページが出来上がりました。残りは最後の受け皿の確認です。
503エラーとは、同じタイミングでのアクセス数がサーバーの上限を超えてしまい、閲覧を制限している状態に表示されるエラーです。
テレビでの紹介があると、検索数は3倍から5倍になることもあるため、通常と同じ体制の場合、サーバーエラーの可能性も十分ありえます。
サーバーが落ちてしまうとページが見れなくなってしまい、せっかく広告で呼び込んだお客様を購入や申込みに繋げることができなくなります。
したがってアクセス増加を想定して、担当者や制作会社に事前に相談しておきましょう。
テレビで紹介された商品が、在庫切れにならないように事前に補充、発注しておきましょう。また、仮に在庫切れになった場合でもコンバージョンしてもらえるように予約フォームを設けるのも有効です。その際は、いつごろ発送予定なのかを明記するようにしましょう。
電話注文を OK としているのであれば、そちらの受電数も増えることが見込まれるので、体制の見直しをおこなう必要があるでしょう。
ただし、コロナ禍の現在は、海外からの輸入がスケジュール通りにいかず、在庫が十分に確保できないということもあり得ます。今すぐ売ることができなくても、近い将来に買ってもらえる工夫をしましょう。
具体的なアイデアとしては、在庫切れの際にもできる限り受注できるように、予約フォームなどを設けておくと良いです。もしくは「再入荷の連絡を受け取る」と記載したうえで、メルマガ登録や LINE 友だち登録ボタンを用意するのも有効です。
在庫が十分に確保できている状態では、こうした余計なボタンは排除してください。動線を増やせば増やすほど、購入ボタンがクリックされる確率は下がってしまうからです。
もしリマーケティング広告を配信していなければ、この機会にリマーケティング広告を配信してみましょう。そのためにサイト訪問者リストをすぐに使える形にするための仕組みを作っておきましょう。
どれほど良いページであっても、コンバージョン率が10%を超えることは少ないです。逆を言えば、そのサイト訪問者の9割以上は何も購入しないで離脱してしまいます。
したがって、そのような興味を持ってくれたユーザーを、興味を持った状態だけで終わらせないように、リマーケティング広告の配信に備えましょう。
リマーケティング広告をこれまでに配信したことがない方は、以下の記事を参考に配信準備を進めてください。
リターゲティングとリマーケティングって何が違うの?設定方法とポイントを詳しく紹介
リターゲティング、リマーケティングとは、サイト訪問・自社アプリのインストール・YouTube チャンネル登録や動画の視聴など、自社サイトを利用したことがあるユーザーに対して広告を配信し、再訪問を促す広告の配信手法です。Yahoo!やGoogleなど媒体によって呼び方は様々。配信実績と広告配信時の2つの懸念点、誰でも始められるようにキャプチャ付きで設定方法を解説してます。
SNS の公式アカウントがあれば「今度テレビで紹介されます」と告知しておきましょう。事前にできる限り多くの人にテレビを観てもらえれば、その分テレビ放映によるコンバージョンの増加が期待できます。
特に Twitter は拡散性の高いメディアになるので、積極的に「リツイートお願いします」や「#(指名キーワード)でつぶやいてください」と告知すると良いでしょう。
番組放映中には、可能であれば Twitter を開いて、番組を観てツイートしてくれた人にリプライを飛ばしたり、リツイートしてテレビ放映の影響を加速させましょう。
メディア紹介はボーナスタイムです。地方のローカルテレビなどでは影響があまりないこともありますが、お昼の情報番組やゴールデンタイムのバラエティなど、視聴率の高いテレビ番組ともなると、その影響力は凄まじいです。通常時の数倍注文が入ることも珍しくありません。
過去にテレビ紹介の恩恵を受けているからこそ、僕はお客様からテレビ放映のお話を聞いたときには、運用担当者としても腕の見せどころだと張り切ってしまいます。
この記事を参考に、運用担当者とうまく連携をとって準備すれば、テレビ放映の影響を最大化することができるでしょう。皆さんの参考になれば幸いです。
広告事業部 マネージャー
2016年4月に新卒入社。入社10カ月で代表滝井直属の広告運用チームに異動。 入札調整や広告文作成から、サイト改善提案まで代表から直接指導を受ける。 toB/toC比率は半々で、アプリ広告も担当。特に好きな媒体はFacebook広告。 海外旅行が好きで、アメリカ横断経験あり。趣味は服映画ヨガアート猫もろもろ。
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