Web 広告を運用していると、コンバージョン数を増やすために媒体の追加が必要となる場面があります。商材やサービスによって優先順位は前後するものの、Google 広告や Yahoo!広告、SNS 広告に拡大した後は、独自の配信面やターゲティングを持つ DSP 広告もサービス次第では選択肢として考えられます。
ただ、種類が多い DSP 広告はどれを選べばいいか悩む方も多いのではないでしょうか。そもそも DSP とはどんなものなのかピンとこない方もいるかもしれません。
この記事では、DSP の概要から代表的な国産 DSP の1つである Logicad(ロジカド)について解説します。Logicad の特徴や配信の流れや注意点を説明するので、DSP 広告の選定でお悩みの際には参考にしてみてください。
Logicad とは、各種ポータルサイトやニュースサイト、アプリなどを配信面に持ち、認知から興味・関心、比較・検討、購入・申込まで、ユーザーの状態にあったターゲティングが可能な DSP(Demand Side Platform:デマンドサイドプラットフォーム)です。
ソニーグループの SMN 株式会社が展開する国産の DSP なので透明性が高いことや初期費用無料であることなどが特徴です。
DSP(Demand Side Platform:デマンドサイドプラットフォーム)とは、広告出稿側(広告主)のためのプラットフォームで、広告効果の最大化を支援する機能を持ったツールやサービスを指します。代表的な DSP として、以下のようなものがあります。
各 DSP によって具体的な機能は異なりますが、共通するのは大量のデータを分析して、消費者に合わせた精度の高いターゲティングをおこなえる点です。DSP は、媒体選定や広告枠の買い付けなどをプログラムで自動化しているので、広告運用者の工数削減にも繋がっています。
DSP と対になるのが SSP(Supply Side Platform:サプライサイドプラットフォーム)で、広告枠を提供する側(メディア)の広告収益最大化を支援する機能を持ったツールやサービスを指します。広告が表示(インプレッション)されるたびに、接続された DSP の中から最も収益性が高い広告を自動で選択する役割を果たします。代表的な SSP として、以下のようなものがあります。
DSP と SSP が対になることで実現可能となるのが RTB(Real Time Bidding:リアルタイムビディング)です。RTB は、毎回のインプレッションごとにリアルタイムで入札をおこない、最も高い価格で入札した広告を配信する仕組みです。
また、DSP と混同されやすい言葉の1つが「アドネットワーク」です。アドネットワークとは、広告出稿が可能な媒体(Web サイトや SNS、アプリなど)を複数集めた広告配信ネットワーク、およびそれらの媒体に対して一括で広告配信する手法のことです。
複数の媒体へ広告を一括配信が可能なため、配信量を増やせるほか、広告掲載の手続きを簡略化できるメリットがあります。代表的なアドネットワークとして以下のようなものがあります。
Logicad は 基本的には CPM 課金型の配信形式です。CPM とは Cost Per Mille の略で、Mille は1,000を意味しており、広告が1,000回表示されたときの広告費を指します。広告が表示されると広告費が発生する料金形態となります。
また、目標 CPA や目標 CPC、上限 CPM の設定も配信メニューによっては可能です。
Logicad には、msn や goo といったポータルサイト、朝日新聞 DIGITAL や YOMIURI ONLINE といったニュースサイト、mixi 、にゃんこ大戦争といったアプリなど、さまざまな配信面があります。以下の画像は代表的な掲載面の一覧です。
Logicad では、サイト訪問者に配信するリターゲティングや、テレビ CM に連動したテレビ CM リアルタイム連動型広告など合計10種類があります。
認知度向上を目的として幅広く配信する「認知」から、潜在層向けにニーズ喚起を目的として配信する「興味・関心」、顕在層向けに購入や申し込みの後押しをする「比較・検討」、既存顧客向けに購入や申し込みを増やすことを目的とした「購入・申込」まで幅広くラインナップされています。
以下はそれぞれの配信メニューとできることの一覧です。認知と興味・関心、比較・検討、購入・申込の各フェーズに合わせて配信メニューを選びましょう。
配信メニュー名 | できること |
---|---|
Logicad DOOH | ・交通広告、屋外広告、商業施設などに設置されたデジタルサイネージの広告(=DOOH:Digital Out Of Home)の RTB 取引を実現 ・従来の OOH では実現出来なかったインプレッション(推定到達人数)の計測も可能 |
ブロード | ・ユーザーを絞り込まずに配信する手法 ・時間帯やエリア、配信先ドメインなどのチューニングによってキャンペーンを最適化 |
Logicad インバナー動画Ads | ・独自アルゴリズムを利用し、Logicad が接続している各 SSP 保有のバナー広告枠へ動画広告を配信 |
Logicad Video | ・「TVer」や「DAZN」、「ABEMA」など、視聴完了率の高い媒体の広告枠へ動画広告配信が可能なほか、「Spotify」や「radiko」の音声広告枠への音声広告配信も可能 |
オーディエンスターゲティング | ・ユーザーの Web サイト上における行動履歴を解析し、事前に全ユーザーの性別、年齢、興味カテゴリを推定して配信 ・特定の分野に興味・関心のあるユーザーセグメントを作成できるカスタマイズセグメントも使用可能 |
テレビ CM リアルタイム連動型広告 | ・CM が放映された情報をリアルタイムに検知し、放映後3~8分以内に地域・性別等がセグメントされた視聴者の PC・スマートフォンなどに対するしてネット広告を配信 ・テレビ CM の広告効果補完が可能 |
潜在顧客ターゲティング | ・人工知能「VALIS-Engine」と「Logicad DMP」を活用した、「広告主にとって優良顧客になることが見込まれる潜在顧客層」を高精度に抽出した配信 ・直接接触することが難しい潜在層をターゲティングすることが可能 |
Valis 類似 / Valis 拡張 | ・独自開発した人工知能「VALIS-Engine」を使用したリアルタイムの類似配信と、拡張配信をおこなう ・コンバージョンしたユーザーに類似するユーザーへのアプローチや、外部 DMP(Data Management Platform:データマネジメントプラットフォーム)のセグメント拡張が可能 |
類似ユーザー | ・独自アルゴリズムによって算出された既存顧客(訪問ユーザー、購入ユーザー)との類似度を指定して広告配信 ・見込み度が高い新規顧客へのリーチやサイト誘導が可能 |
リターゲティング | ・サイト訪問者に対して配信配信 |
ダイナミッククリエイティブ | ・サイト訪問者に対して、興味関心が高い広告クリエイティブを自動的に生成して広告配信 |
ここからは Logicad の特徴を3つに絞って紹介します。
Logicad は配信メニューの幅広さが特徴の1つとして挙げられます。10種類の配信メニュー(商品メニュー)があり、リスティング広告運用者にもお馴染みのリターゲティングはもちろん、デジタルサイネージ広告と連携し屋外広告や交通広告の配信までできます。
テレビ CM と連動した広告の配信だけでなく、動画広告として TVer や DAZN、ABEMA などの人気のプラットホームへの配信も可能です。幅広い配信メニューがあるので、認知から獲得まで Logicad だけできます。
Logicad は画像やテキストなどクリエイティブの準備さえ終われば、日々の配信調整などの運用は不要です。Logicad にいる担当者に予算と目標などを伝えれば、細かい調整をおこなってもらえます。例えば、セール期間中や特定の時間帯だけ入札を強めることも可能です。
また成果が悪化した場合は改善提案もしてくれたり、予算増額時や配信メニュー追加の際には、シミュレーション作成も依頼できます。Google 広告や Yahoo!広告、SNS 広告に比べて少ない工数で運用できるのが特徴です。
Google 広告ではパーソナライズド広告ポリシーにより、リマーケティング配信がおこなえない業種もあります。医薬品やダイエット商材、クリニックなどの業種は、リマーケティングリストがユーザーのプライバシーに関わるためです。
規約に反しない商品やサービスかつ、ランディングページの審査を通過した場合、Logicad では医療系広告のリターゲティング配信が可能です。
ここからは Logicad を配信するまでの流れを解説します。同時に進行できる作業もありますが、おおまかな流れは以下の通りです。
配信実績が無い場合、まずは代理店契約を結ぶ必要があります。こちらのフォームからお問い合わせしてみましょう。
配信実績がある場合は、営業担当の方がいると思うので、新規アカウント開設希望である旨を連絡します。連絡の際は、ランディングページの URL も添えて掲載可否の申請を依頼します。
最短2営業日程度で結果の連絡が来ます。掲載が可能な場合は、アカウント開設に進みます。掲載不可の場合は、否認理由を確認した上でランディングページを修正する必要があります。
アカウント開設作業は Logicad 側で対応してもらえます。アカウントを開設するに必要な情報は、広告主社名、商材、媒体名(ここでは Logicad)、メニュー名、配信開始日、配信終了予定日、KPI、申込金額(予算)などです。事前に用意しておくといいでしょう。
アカウント開設が終わったら、タグの設定をします。Logicad 側で発行されたタグが送られてきたら、リターゲティングタグを全てのページに、コンバージョンタグはサンクスページに設置します。
次に、配信するクリエイティブの入稿準備をします。入稿作業は Logicad 側で対応してもらえるため、画像やテキストなどのクリエイティブの情報を共有します。
Logicad の担当者から共有された入稿用のテンプレートに従って、テキストや画像、URL などを入力します。準備ができたら入稿依頼をします。入稿規定については公式資料を確認しておきましょう。
キャンペーンの作成や設定も Logicad 側で対応してもらえます。キャンペーンの作成が完了したら担当者から連絡が来ます。設定内容に問題がないか管理画面で確認しましょう。問題がなければその旨を担当者に連絡します。あとは配信開始を待つのみです。
配信開始作業も Logicad 側での対応となります。配信開始連絡があったら、問題なく配信できているか管理画面で配信実績を確認しておきましょう。
一般的な DSP 広告同様、Logicad の担当者が運用するため、高頻度での調整は難しくなります。さらに Logicad は広告主側で設定の変更ができず、予算の変更や広告の停止など全て担当者に依頼して作業してもらう必要があります。
また、Google 広告や Yahoo!広告 のように、地域別のデータや配信面別のデータを管理画面上で自由に確認することができません。確認したいデータがあれば都度担当者にレポート共有をお願いする必要があります。
ただ、クリエイティブごとの成果を見て新しいクリエイティブを追加したり、Logicad 担当者と相談して地域ごと、配信面ごとの調整をおこなうこと自体は可能です。まったく調整ができないわけではないので、まずは欲しい情報のレポートを共有してもらえないかを、担当者に相談してみましょう。
Google 広告に比べてコンバージョン単価が高くなりやすい DSP 広告が多い中、Logicad は比較的コンバージョン獲得も得意な媒体です。
また Google 広告では難しい医療系商材のリターゲティングが、Logicadであれば配信可能な場合もあります。コンバージョン獲得目的で初めて DSP 広告にトライする方や、医療系商材のリターゲティング広告の配信ができずに困っている方は Logicad の配信を検討してみてください。
マーケティング
2016年12月にキーワードマーケティングに入社。九州佐賀支社初期メンバーとしてオペレーションセンター立ち上げを補佐。オペレーション業務に従事した後、2017年2月頃より運用業務を担当し始め、2017年に東京本社へ異動。テクノロジーに強い運用者を目指して奮闘中。好きなコピペはミキプルーン。
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