リードジェネレーションとは、見込み顧客(リード)を創出することを指します。新規顧客を増やしていくにはまずリードを獲得するところからはじまります。
しかし、リードを獲得するにはどんな方法があって、どういう流れでどういうことに気を付けたらよいか分からない人もいるのではないでしょうか?
この記事では、リードジェネレーションの概要をはじめ、意味が似ている言葉との違い、キーワードマーケティングで実施したことがあるリードジェネレーションのための9つの施策と注意点や失敗談について解説します。リードジェネレーションについて理解したい人はぜひ参考にしてください。
目次
リードジェネレーションとは、見込み顧客を創出することを指します。見込み顧客とは、自社の商品やサービスに興味を持ち、将来的に購入や契約をしてもらえる可能性がある人のことです。
例えば、キーワードマーケティングがおこなっているリスティング広告の配信もリードジェネレーションのための施策に該当します。オウンドメディアと MA(マーケティングオートメーション)を活用したリスティング広告で、問い合わせ数3倍、リードのアポイント率を倍にすることに成功しました。記事の後半では、この取り組みの詳細と結果も紹介します。
リードジェネレーションに似ている言葉として、リードナーチャリングとリードクオリフィケーションがあります。
リードナーチャリングは、見込み顧客が商品の購入やサービスの契約をしてくれるよう意欲を高めることを指します。SaaS を提供している BtoB 企業であれば、インサイドセールスによる継続的なアプローチが該当します。
リードクオリフィケーションは、リードナーチャリングによって意欲の高まった見込み顧客からさらに購入や契約の可能性が高い顧客に絞り込むことを指します。先ほど例に挙げた BtoB 企業であれば、顧客データの分析から優先度を付けるスコアリングを利用しておこなわれることが多いです。
また、リードジェネレーションからリードクオリフィケーションまでの3つの流れをデマンドジェネレーションと呼びます。
リードジェネレーションにはさまざまな施策がありますが、はじめてリードジェネレーションに取り組まれる方はどれから手を付けてよいか分かりにくいと思います。
施策を選ぶときの参考になるよう、これまでキーワードマーケティングが実施してきた施策を解説します。
Web 広告とは、インターネット上に掲載される広告のことです。代表的なものに、検索エンジンの検索結果に表示されるリスティング広告や、ブログやニュースサイトなどの広告枠に表示されるバナー広告が挙げられます。
リードジェネレーションに取り組むうえでは、Google 広告と Meta 広告から検討するのがおすすめです。
Google 広告は、世界でもっとも使われている検索エンジンである Google の検索結果をはじめ、YouTube や Gmail、Discover に広告を掲載できる媒体です。
Google 広告がおすすめの理由は2つあります。1つ目は日本における検索エンジンのシェアの7割以上を占めるからです。Google は世界だけではなく日本でも高い検索エンジンのシェアを誇っており、2022年時点でパソコンでは73.0%、スマートフォンでは78.8%のシェアを獲得しています。
使っているユーザーが多いということは見込み顧客も多くいる可能性が高い検索エンジンのため、リードジェネレーションを検討するうえでおすすめの広告媒体です。
2つ目の理由は、検索結果に広告を掲載できるリスティング広告が使えるためです。リスティング広告は、検索窓に入力された語句に対して広告を掲載できるため、欲しいものを能動的に探しているユーザーに広告が出せる点から、リードジェネレーションにおすすめです。
Meta 広告は、Meta 社が提供する Facebook や Instagram、Messenger に広告を掲載できる媒体です。
Meta 広告がおすすめの理由にはターゲティングの精度の高さと、リードジェネレーションに適した広告メニューがあることが挙げられます。
Facebook は実名登録制のうえ、年齢や性別だけでなく、勤務先や出身地といった詳細なプロフィールや、場所のチェックイン、「いいね」やシェアをした投稿といった多くのユーザー情報を保持しています。このような情報をもとに精度の高いターゲティングをおこない、見込み顧客を狙い撃つような広告配信が可能なため、おすすめの広告媒体です。
また、Meta 広告にはリードジェネレーションに適した「リード獲得広告」という広告メニューがあります。
リード獲得広告は、Facebook のフィード上にメールアドレスなどのリード情報を入力するフォームを表示させる広告です。氏名やメールアドレスといった、ユーザーが既に Facebook に登録している情報があらかじめ入力された状態になっており、入力の手間が少なく、コンバージョン率が高いことが特徴です。
そのため、ユーザーが広告で見かけた資料をダウンロードしたいと思ったときにも、Facebook のフィード上で情報の入力が簡単に完結できるため、CVR も高くなりやすく Meta 広告の中でもリードジェネレーションにおすすめのメニューと言えます。
KPI(重要業績評価指標)ではリードを CV(コンバージョン)と置いて、CV 数や CPA(顧客獲得単価)を設定しましょう。
ウェビナーとは、オンラインでライブ配信されるプレゼンテーションや講義形式のイベントです。専門知識やノウハウを提供することが一般的です。
ウェビナー開催には、参加したいと思ってもらえるテーマの選定が重要になります。ユーザーが関心のあるトピックや業界でホットな話題、自社独自のノウハウをもとにしたテーマを選びましょう。
KPI には、ウェビナーの参加者数やアンケートの回答数、参加後の問い合わせ数などを置くとよいでしょう。
テレアポは、電話を使用して直接見込み顧客とコンタクトを取り、サービスに関する情報を提供して、関係を築くことを指します。
テレアポは、入念な事前準備が成功の鍵を握ります。むやみに電話しても自社のサービスに関係がなかったり、二ーズがなくリードにつながらない可能性が高いため、架電先のルール決めや話す内容の整理、テレアポ後のフォローアップの準備などを事前にしておきましょう。
KPI には、アポイント数や架電数、架電率、着電率などを置くとよいでしょう。
ダイレクトメールを使用して、企業や製品に関する情報を直接顧客や見込み顧客に送付することもリードジェネレーションの手法の一つです。この手法では、メール以外にも手紙やパンフレット、カタログなどを送付することもあります。
ダイレクトメールで大切なのは、ユーザーにメリットを提供することです。単に企業や製品を紹介するだけでは、ユーザーがメリットを感じられず、リード獲得にもつながりません。例えば、キーワードマーケティングであれば30分の無料コンサルを特典で付けています。
KPI には、メールであれば開封率やメール内のリンククリック数を設定するのがおすすめです。パンフレットやカタログなどオフラインの媒体であれば、QR コードをメールに載せるなどしてサイトへの流入数を図る方法もあるので、流入数を KPI としてもよいでしょう。
企業が製品やサービスを展示し、自社のサービスをプロモーションする展示会も、リードジェネレーションの手段の一つといえます。
展示会でリードを獲得するには、展示会の選び方以外にもブースやノベルティを工夫して目立たせて立ち止まってもらえるような場所を選ぶなど、見込み顧客と会話できる機会を最大限作る工夫が必要です。
KPI には、名刺の交換数や展示会後のアプローチによるアポイントの獲得数を置くとよいでしょう。
オウンドメディアは、企業や組織が顧客に向けて情報を発信するために所持している媒体です。Web マーケティングにおいては会社で運営しているブログや Web サイトを指すことが多く、この記事が掲載されているブログもオウンドメディアです。
掲載する情報を自由にコントロールできるため、潜在層から準顕在層まで広くアプローチできます。リードジェネレーションにおいては準顕在層のユーザーが調べそうなキーワードをテーマにしてコンテンツを作るのがおすすめです。
KPI には、資料請求やメルマガ登録などハードルの低い CV や、ページビュー数、UU(ユニークユーザー)数、コンテンツの作成数などを置きましょう。
オウンドメディアの効果などについては、こちらの記事もご覧ください。
オウンドメディアとは?期待できる効果とよくある7つの失敗要因|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
オウンドメディアとは、自社で所有するメディアであれば全て含まれ、コーポレートサイトやサービスページ、ブログ形式のサイトなどが例として挙げられます。役割は主に5つで、商品・サービスで悩みの解消(=購入、契約)、ブランディング(≒認知)、既存顧客との関係構築、見込み顧客の創出、採用です。
ペイドメディア(有料媒体)は、一括見積もりサイトや比較サイトなどを指します。メディアに有料で資料を掲載して、ダウンロードしてもらうことでリード獲得を狙えます。特徴として、特定の業界に特化した媒体や BtoB 向けなどの媒体があるため、狙った業界や業種にアプローチしやすい点があります。また、無料で掲載できて、リードごとに課金される成果報酬型の媒体もあり、リードジェネレーションをはじめやすい点も特徴です。
有料媒体への掲載を成功させるポイントは、ターゲットにあった媒体を選定することです。事前に媒体資料を取り寄せて確認したり、営業担当とミーティングをしたりして掲載する媒体を決めましょう。
KPI には、リード数やペイドメディアからのセッション数などを置くのがおすすめです。
Facebook や Instagram、X(旧 Twitter)といった SNS を活用して企業や商品を宣伝することでリード獲得を狙います。自社ブログの更新情報やホワイトペーパーなどの情報発信を継続することが大切です。
提供しているサービスが BtoB であればビジネス利用の多い Facebook や Linkedin、BtoC であれば Instagram や X(旧 Twitter)など、自社のターゲットに応じてどの SNS から始めるかを決めましょう。
SNS\toB or toC | BtoB 向け | BtoC 向け |
---|---|---|
〇 | △ | |
〇 | △ | |
△ | 〇 | |
X(旧 Twitter) | 〇 | 〇 |
KPI として設定する指標は、フォロワー数や投稿のエンゲージメント(いいねやリポストの数)、SNS からのセッション数などがおすすめです。
PR とは、企業がそれを取り巻く個人や集団、社会との間に良好な関係を築いたり、維持したりするための考え方や活動を指します。身近なものでいえばプレスリリースや屋外広告、タクシーサイネージなどが該当します。
例えば、提供しているサービスが BtoB であればセミナーやカンファレンスの告知をプレスリリースで出したり、調査レポートを作成して公開し、ダウンロードの導線を用意しておいたりなど他の施策と組み合わせておこなっていくことでリード数増加の後押しとなるためおすすめです。
KPI に設定する指標は、メディア掲載数や SNS や口コミなどでの好意的な投稿数がおすすめです。
PR に関する詳細な解説は以下の記事に掲載しているので、併せて確認してみてください。
PRとは?定義や広告、プロモーションとの違いと具体的なPR施策例を徹底解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
PR(Public Relations:パブリックリレーションズ)とは、企業がそれを取り巻く個人や集団、社会との間に良好な関係を築いたり、維持したりするための考え方や活動を指します。ここで指す「良好な関係」とは、個人や集団、社会が共感したり、興味を持ったり、有益と思ったりすることなどが挙げられます。
リードジェネレーションにおける代表的な手法を解説しました。ここからはキーワードマーケティングでのリードジェネレーションの成功事例を紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
キーワードマーケティングではオウンドメディア「キーマケのブログ」を2019年に立ち上げました。
オウンドメディアを立ち上げたことで、問い合わせ全体のうち51.8%がブログを初期接点としてリードが発生し、問い合わせ数が約3倍増加しました。
また、リード数の増加だけではなく、オウンドメディアの立ち上げ前後で商談単価は250%、営業利益は258%アップしています。
このように、リード数も増えつつ、商談単価広告予算が高くよい見込み顧客との商談機会も増えたため、業績に大きなインパクトを与える施策となっています。
キーワードマーケティングではリードジェネレーションの一環でリスティング広告を運用していますが、リスティング広告の特性上、見込み顧客のリードだけではなく営業のお問い合わせもリスティング広告経由で発生してしまいます。
そのため、MA ツールのデータを用いて、キーワードごとに有効なリードの発生割合やアポイント率を算出して、キーワードの選定をおこないました。
以下はキーワードマーケティングの自社広告アカウントで配信した問い合わせ獲得目的の広告配信結果と、キーワード選定後のアポイント獲得率をまとめた表です。
期間 | 広告の CV 数 | アポイント数 | アポイント獲得率 |
---|---|---|---|
2022年11月~2023年2月 (キーワード選定前) | 30件 | 3件 | 10.0% |
2023年11月~2024年2月 (キーワード選定後) | 36件 | 7件 | 19.4% |
結果として、問い合わせ数を増やしつつアポイント率を上げることに成功しました。
キーワードマーケティングの事例を紹介しましたが、成果を出すためには事前準備や施策実施後の振り返りが必要不可欠です。
ここからはリードジェネレーションの成果を出すための具体的な流れについて解説します。
リードジェネレーションの手法を検討したり、目標を設定したりするためには現状の把握が必須です。
現状を把握せずにリードジェネレーションに取り組んだ場合、リードの件数自体は増えたものの商談化や受注に全くつながらなかったり、売上に貢献しなかったりということもあります。
各チャネル別の受注率や商談化率などを可視化して、どの手法から取り組むべきか見極めましょう。
新規事業の立ち上げ時やリードジェネレーションに取り組んでいない場合は、まずリード数を増やしたいということもあると思います。その場合は、効果が出るスピードが早い Web 広告やテレアポから検討するとよいでしょう。
紹介した9つの手法の中でも効果が出るまでのスピードの違いや潜在層に効果的な手法などは異なります。それぞれの特徴を理解したうえで手法を選びましょう。
リードジェネレーションの施策を実行に移す前には、必ず KGI(経営目標達成指標)に関連する KPI を設定しましょう。
例えば、受注件数を昨年の倍にするという目標が掲げられ、達成のために Web 広告でリード数を増やして受注件数を増やす施策を実行するとします。
このとき、リード数と直接的に関係のない広告の表示回数やクリック数を KPI に置いてしまうと、「広告は表示されるがリード数は増えていない」や「広告はよくクリックされるがリード数は増えていない」といった結果になりかねません。
施策を実行に移したら放置せず、施策が成功しているか、目標が達成できそうかを定期的に振り返りましょう。
定期的に振り返る機会を設けることで、改善案を考えられたり、成功していてもさらに伸びしろはないかを検討できたりします。
特にオンラインの施策は数値がリアルタイムで確認しやすく PDCA サイクルを早く回せるので、週次や隔週でミーティングをおこない素早く改善していくことが重要です。
リードジェネレーションに取り組むことで蓄積されたデータは、今後の施策立案に活かせる可能性があります。
例えば、Web 広告で今までアプローチしていなかったユーザー層の CVR が高かったり、テレアポで会話した見込み顧客から今まで想定していなかった二ーズを聞き出せることもあるでしょう。それらを参考に、新たな二ーズを満たせるホワイトペーパーを作成したり、セミナーを企画するなど施策を打ちながらデータを溜めたりして次の施策に活かしていくと、継続したリードジェネレーションが実現できます。
成功事例と成果を出すための手順を紹介してきましたが、リードジェネレーションに取り組むときの注意点があります。
最後に、読者のみなさんが失敗しないように、筆者の失敗談を交えつつ注意点をご紹介します。
今回リードジェネレーションの手法を9つ紹介しましたが、施策の内容によってはリードジェネレーション向きでなくなってしまうため注意が必要です。
例えば、ウェビナーの中でも他社と共催でおこなうウェビナーは自社と接点のない顧客に出会える可能性があるためリードジェネレーション向きです。しかし、少人数の勉強会のような顕在層に向けたテーマはリードナーチャリング寄りの施策となり、リードジェネレーション向きではなくなってしまいます。
手法の中でも施策によって得意領域の違いがあるため、何でもやってみるのではなく目的に応じて施策を立案するのが大事といえます。
施策を立案するうえでもちろんボトムアップで考え、今の施策を良くしていくことや穴になっている部分を塞いでいくのは大事です。ただ、ボトムアップの視点のみで考えてしまい、既存の施策の応用や焼き増しのような施策ばかりになってしまいました。
私自身、自社で運用しているリスティング広告のクリック率をあげるためのコピー改善や、ウェビナー参加者のアポ率を上げるためのアンケート改善などリード数は増やせる可能性はありつつも、細かい施策のみになってしまい、新たな施策にチャレンジできない期間がありました。
特に、中長期的な施策はトップダウンの視点を持って考えていかなければ良い施策は出てきません。大きくリード数を増やしていく必要があるタイミングでは、ボトムアップだけではなくトップダウンからも施策の立案をすることをおすすめします。
リードジェネレーションによりリードが増えることは、企業だけではなく顧客にとっても課題や悩みを解決できるサービスと出会える機会のためよいことではないかと考えます。
世の中にはまだまだ知られていないよいサービスや、これから新たに生まれてくるサービスがたくさんあることでしょう。
マーケティングの力で自社のサービスを求めている人とのきっかけを作り、Win-Win の関係を築きましょう。
マーケティング
2021年5月に広告事業部に中途入社。クライアントの広告運用やマネジメント、オウンドメディアの記事執筆などを約2年経験する。2023年9月よりマーケティング部へ異動。趣味はスマホゲーム、Vtuber、アニメ、競馬、お酒など。
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