リスティング広告を運用するなかで、「キーワード挿入機能」という言葉を耳にしたことはありませんか?キーワード挿入機能は、あらかじめ設定した検索キーワードに合わせて特定のキーワードを広告文に自動で追加できる機能で、クリック率の改善や運用の効率化につながるものです。
ただ、「便利そうだけど使い方がよく分からない」や「設定方法が不安で試せていない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、キーワード挿入機能の基本から設定方法、効果を最大化するためのポイントまで徹底的に解説します。また、混同されがちな「広告カスタマイザ」との違いについても解説します。
初めて使う方でも安心して導入できるよう、成功事例や注意点も詳しく紹介するので、ぜひ最後までご覧ください!
キーワード挿入機能とは、Google 広告などのリスティング広告における広告見出しや説明文、表示 URL のパスに、ユーザーが検索に使用して広告表示につながったキーワードが自動で追加される機能です。
例えば、さまざまな商品を取り扱う EC サイトや求人サイトで、膨大な量のキーワードすべてに対応した広告文を作るのは現実的ではありません。しかしキーワード挿入機能を使えば、1つの広告ですべてのキーワードの関連性を上げることができます。
ただし、ユーザーの検索語句は必ずしもキーワードと一致するとは限らないのでご注意ください。
シューズショップの EC サイトの場合を例に考えてみましょう。
まず、キーワードの挿入コードを作成します。今回は、キーワードが長すぎる場合にデフォルトで「お買い得商品」という文言が出るよう、以下のように設定します。
キーワードの挿入コード:{Keyword:お買い得商品}
また、この広告文が入っている広告グループには次のキーワードが設定されているとします。
このとき、ユーザーの検索クエリと反応するキーワード、表示される広告見出しは次のような関係になります。
ユーザーの検索クエリ ↓ 反応するキーワード |
表示される広告見出し |
---|---|
ランニングシューズ 安い
↓ ランニングシューズ |
ランニングシューズを今すぐチェック!特別セール開催中! |
スポーツシューズ 通販
↓ スポーツシューズ |
スポーツシューズを今すぐチェック!特別セール開催中! |
アウトドアシューズ
↓ ウォーキングシューズ |
お買い得商品を今すぐチェック!特別セール開催中! |
「ウォーキングシューズ」の場合は広告見出しが文字数制限をオーバーするため、デフォルト設定されている「お買い得商品」が挿入されます。
ここで注意しなければいけないのは、キーワード挿入機能は広告見出しや広告文に「キーワード」を挿入するものであって、検索クエリが挿入されるわけではないということです。
キーワード挿入機能とよく比較される機能が広告カスタマイザです。いずれも広告を動的にカスタマイズする機能ですが、その仕組みや目的には明確な違いがあります。
それぞれの特徴を理解し、適切な場面で使い分けましょう。
キーワード挿入機能 | 広告カスタマイザ | |
---|---|---|
仕組み | 広告見出しや広告文の一部に キーワードをそのまま挿入する |
キーワードに合わせて任意の 文字列を挿入する |
事前準備、 工数 |
簡単なコードを記入するだけで 利用できる 工数:10分程度 |
キーワードごとに表示させる 広告テキストデータの準備が必要 工数:数時間~数日 |
目的 | 手軽に媒体からの広告文の評価を 上げる |
より柔軟にキーワードごとの広告文の出し分けをする |
広告カスタマイザについては、こちらの記事でも解説していますので、ぜひチェックしてください。
キーワード挿入機能は、広告の関連性を高めてクリック率や成果の向上を狙える一方で、使い方を誤ると逆効果になることもあります。
ここからは具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのか見ていきましょう。まず、メリットは以下の4つがあります。
キーワード挿入機能を使用すると、ユーザーが検索したクエリに応じて広告文が動的に変更されるため、検索意図に合った広告を表示できます。
例えば、「ランニングシューズ」と検索したユーザーに対し、そのキーワードを含む広告が表示されれば、「自分の求めている商品が見つかりそう」と思われやすくなります。これにより、広告の関連性が高まるだけでなくクリック率の向上が期待できます。
Google 広告の広告文には「広告の有効性」という独自の指標があります。この指標は、以下の3つによって評価されます。
キーワード挿入機能を使うことによって、この「キーワードが広告見出しに追加されているか」の評価を上げ、広告の有効性を上げることができます。
複数のキーワードに対応した広告を個別に作成するのは時間と労力がかかりますよね。しかし、キーワード挿入機能を活用することで1つの広告で対応できます。
例えば、「ランニングシューズ」「ウォーキングシューズ」「スポーツシューズ」といった商品カテゴリごとの広告文をそれぞれ作成する必要がなく、管理の手間を大幅に削減できます。
広告作成の効率化により、ほかの重要な運用タスクにリソースを割けるのも大きなメリットです。
キーワード挿入機能は、ユーザーの検索クエリに即した広告文を自動的に生成するため、よりユーザーに「自分のニーズに合った広告」と感じてもらいやすくなります。
この「パーソナライズ感」がユーザーの興味を引き、結果的にクリック率やコンバージョン率の向上につながることがあります。
特に、地域名や商品名などの具体的なキーワードを挿入することで、広告がユーザーにとって「特別感」を持つ内容に変わる点が強みです。
主なデメリットは以下の2つです。ただし、これらのデメリットは事前に対策をしておくことでスムーズにキーワード挿入機能を使うことができるので、対処法も確認しておきましょう。
キーワード挿入機能を使用する際、登録したキーワードやユーザーの検索クエリによっては、文法的に不自然な広告文が生成されることがあります。
例えば、「ランニングシューズ 激安 東京」といった複数の名詞が掛け合わされたキーワードが、以下の広告見出しに挿入されたとしましょう。
{Keyword:お買い得商品}を今すぐチェック!
この場合、以下のように文脈にそぐわない表現になり、ユーザーに違和感を与える可能性があります。
ランニングシューズ 激安 東京を今すぐチェック!
このような状況を防ぐためには、広告文のテンプレートを慎重に設計し、デフォルトテキストを適切に設定することが重要です。
リスティング広告の見出しや説明文には文字数制限があるため、挿入されるキーワードが長すぎると、広告が思ったとおりに表示されない場合があります。
例えば以下の広告見出しの広告が、「超軽量防水ランニングシューズ」などの長いキーワードで配信されたとしましょう。
{Keyword:お買い得商品}を今すぐチェック!特別セール開催中!
この場合、キーワードをそのまま挿入すると文字数制限をオーバーしてしまうため、キーワードではなくデフォルトで設定したテキストが挿入されます。
お買い得商品を今すぐチェック!特別セール開催中!
せっかくキーワード挿入機能を使っているのに、どのキーワードでも表示される見出しが同じ・・・ということにもなりかねません。
この問題を回避するには、文字数を考慮してキーワードを設定するか、キーワード挿入機能の前後のテキストを削るなどの対応が必要です。
キーワード挿入機能は Google 広告や Yahoo! 広告、Microsoft の検索広告で設定できます。また、設定方法はいずれの媒体でも同様です。
ここでは Google 広告と Microsoft 広告の画面で紹介します。
キーワード挿入機能を試してみたい媒体の画面を触りながら、一緒に設定していきましょう。
検索広告の広告文はいくつかの要素で構成されています。そのうち、キーワード挿入を設定できる箇所は以下の通りです。
なお、ビジネス名やサイトリンクなどの各種オプションには設定できません。
キーワード挿入機能を使用するには、以下のような特殊なコードの記述が必要です。
{Keyword:お買い得商品}
{}はコードの記述範囲を指定するものなので必ず記述しましょう。広告文の中に追加したこの{}の部分にキーワードが挿入されます。
「Keyword:」の後にはデフォルトで表示する文言を記述します。キーワードによっては広告文に挿入された際に全体の文字数をオーバーしてしまう場合があります。デフォルトの文言は、そうした場合に代替フレーズとして挿入されます。
また、Google 広告と Microsoft 広告の広告管理画面では、広告作成画面で「{」だけ入力するとガイドが現れます。案内に沿ってスムーズに作成することができるため、これを活用するのもいいでしょう。
手軽に使用することのできるキーワード挿入機能ですが、設定時には注意も必要です。
例えば、キーワードに「ランニングシューズ」と「ランニングシューズ 安い」を登録している広告グループがあるとして、下記のような広告文を作成するとどうでしょうか?
▼キーワード挿入機能で作成した広告文
{Keyword:ランニングシューズ}売れ筋10選
▼表示される広告文
ランニングシューズ:「ランニングシューズ売れ筋10選」
ランニングシューズ 安い:「ランニングシューズ 安い売れ筋10選」
「ランニングシューズ」のキーワードが反映された広告文は「ランニングシューズ売れ筋10選」となり違和感はありません。しかし、「ランニングシューズ 安い」のキーワードが反映されると「ランニングシューズ 安い売れ筋10選」となるため、日本語として違和感が残ります。
広告グループ内のどのキーワードが挿入されても問題ないようにキーワード挿入機能の位置の調整や前後の文、またはキーワード自体の調整をしましょう。
▼調整例
「ランニングシューズ 安い」→「安い ランニングシューズ」
▼調整後に表示される広告文
「安い ランニングシューズ売れ筋10選」
このように調整することで、調整前の広告文よりは読みやすくなりました。また、新規のキーワードを追加する際にも注意しましょう。
実は、キーワード挿入機能は「Keyword:」の後のデフォルトワードを入れていなくても使用できます。しかし、このときキーワードを挿入して文字数がオーバーしてしまうとキーワード挿入機能部分は空欄になってしまいます。
前後に設定している広告文だけが表示されたり、広告文全体が空欄で表示されてしまったりする可能性もあるため、必ずデフォルトワードは設定するようにしましょう。
挿入するキーワードがアルファベットの場合、キーワード挿入機能の「keyword」の表記によって大文字小文字が変化します。
例えば、キーワードが「dark chocolate」の場合は、下記のようになります。
keyword の表記 | 表示されるキーワードの例 |
---|---|
keyword | dark chocolate |
Keyword | Dark chocolate |
KeyWord | Dark Chocolate |
KEYword | DARK chocolate |
特にブランド名や商品名には英語が含まれることも多いので、挿入するときは注意しましょう。
キーワードマーケティングで運用しているアカウントでキーワード挿入機能を利用し、実際に成果を上げた人材系広告の事例を紹介します。
キーワード挿入機能 あり/なし |
クリック率 | クリック 単価 |
コンバージョン率 | CPA |
---|---|---|---|---|
なし | 3.90% | ¥1,015 | 7.15% | ¥14,195 |
あり | 4.10% | ¥980 | 9.30% | ¥10,537 |
キーワード挿入機能を実装したことにより、広告の関連性を上げることに成功しました。ユーザーの興味をより惹きつけられるようになって、クリック率が上昇しました。
結果的にコンバージョン単価も4,000円程度下がっており、クリック率やクリック単価だけでなくコンバージョンにも良い影響を及ぼしていることがわかります。
キーワード挿入機能は、ユーザーの検索意図に合った広告文を動的に生成することで、クリック率や成果の向上が期待できる便利な機能です。
まずは小規模なキャンペーンでキーワード挿入機能を試してみて、広告文がユーザーにとって魅力的かつ自然に見えるかどうかをテストしてみましょう。運用を続けるなかでデータを分析し、必要に応じてキーワードやテンプレートを改善することで、より高い成果を得られるはずです。
キーワード挿入機能を活用し、ユーザーの検索意図に寄り添った広告を展開していきましょう!
広告運用 コンサルタント
2021年9月に中途入社。2019年からWebマーケティング業界に携わり、toB/toC問わず様々なサービス、商材の広告運用を担当。好きな広告媒体はGoogle広告。趣味は映画鑑賞、お笑い、深夜ラジオ。映画のサブスクを契約しすぎている。
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