マーケティング

取扱高4.4倍を実現!Web広告代理店がインサイドセールスを導入して良かったこと

2019年2月、弊社初のマーケティングチームが発足し、THE MODEL 型の組織体制にリニューアルしました。当時、マーケティング施策によって継続的にリード(見込み顧客)が獲得ができたものの、セールスチームとの連携がうまくいかず、受注に繋げることに課題がありました。

そこで、インバウンドで発生したお問い合わせを着実に商談に繋げるため、インサイドセールスチームを立ち上げました。いわゆるナーチャリングと呼ばれる、見込み顧客の育成活動を担うことで、マーケティングチームとセールスをつなぐ架け橋になりました。

現在はナーチャリングはもちろん、お問い合わせへの対応やセミナー参加者へのアプローチもインサイドセールスがおこなっています。

この記事では、弊社でインサイドセールスを導入して得た成果とインサイドセールスの役割、メリット&デメリット、成果を上げるための7つのポイントを紹介します。また、マーケティングやインサイドセールスを説明するうえでよく使われる用語集もあわせて掲載したので参考にしてください。

インサイドセールスを導入する前の課題

弊社ではインサイドセールスの導入前、テレアポ中心の営業活動をおこなっていました。それまでやり取りがない企業への架電のアポイント率は低く、アポイント数を稼ぐには架電数の増加に専念することが必要でした。正直、当時のセールスメンバーは架電数やアポイント数などの目標に疲弊してしまい、離職が続く状況でした。

当時の体制で、組織の成長に貢献できるか疑問に感じた COO の瀧沢が、2018年12月頃からセミナーやカンファレンスで情報収集を始め、注目を集めていた THE MODEL の導入を検討するようになりました。

前提として THE MODEL とは、営業プロセスを4つの段階に分け、顧客が自社の提供する商品やサービスに満足してもらえるようにするセールスフォースが提唱した仕組みです。4つの営業プロセスには、マーケティングとインサイドセールス、外勤営業、カスタマーサクセスがあります。

画像引用元:「The Model」(ザ・モデル)とは?概念と実践をSalesforceが分かりやすく解説|セールスフォース・ジャパン

2019年に、THE MODEL を自社にあった形で運用することがマーケティングチームとセールスをつなぎ、自社の事業成長に繋がると確信し、本格的にインサイドセールスチームが発足しました。

キーワードマーケティングにおける「インサイドセールス」とは?

インサイドセールスの在り方は、企業や業界によって異なります。まずは一般的なインサイドセールスの業務内容や役割について説明し、その後に弊社での考え方を具体的に紹介します。

一般的なインサイドセールス

一般的にインサイドセールスとは、電話やメールなどの非対面活動を通して見込み顧客との商談機会を創出する営業活動を指します。企業や住居に訪問して対面でヒアリングや提案するスタイルと異なり、自社や自宅にいながら見込み顧客へアプローチします。

また、見込み顧客への電話やメールの他に、手紙やアウトバンドコール(見込み顧客以外に対しておこなう電話)などを活用することもあります。

インサイドセールスは顧客状況のヒアリングだけではなく、顧客に役立ちそうな情報も共有しながら見込み顧客との関係性を構築し最適なタイミングで商談を提案することで顧客の満足度を高めます。インサイドセールスが商談の創出に専念し、商談の担当者と役割を分けることで、ミスやトラブルの防止策にもなります。

キーワードマーケティングにおけるインサイドセールス

弊社では、一般的に担当が分けられている「リード獲得」と「商談機会の創出」の2つの役割をインサイドセールスが担っています。組織の規模や業務の効率化などの観点から、2つの役割を持つ体制にしてます。

インサイドセールスは、マーケティングチームがブログや SNS 経由で獲得したリードとセミナー開催を通してリードの獲得に取り組んでいます。それらのリードに対して、電話やメールでのヒアリング、セミナーの案内などの営業活動で商談化し、商談担当へ引継ぎます。

電話やメールでのヒアリングでは、お客様の広告運用に関する配信状況や代行サービスの検討状況を伺い、お客様が抱えている課題を明確にします。お客様の悩みや課題の解決策は、自社運用か代理店運用かによって変わってきます。

もし自社運用でお困りごとがあれば、課題解決のヒントとなる広告相談会やセミナー、もしくはインハウス支援サービスを案内します。

代理店運用で悩みごとがある場合も同様に、広告相談会やセミナーなどを案内しますが、さらに踏み込んで、現状の広告の成果を弊社の運用者がみて、その結果を踏まえて弊社が提供できることを提案します。

お客様の状況によって弊社が提供できる内容も変わるため、お客様の立場で考えられるようになるまでヒアリングをおこない、適切な解決策を案内しています。

また定期的に Web 広告や Web マーケティングのトレンドに沿ったテーマでのセミナーを開催しています。セミナーの開催でナーチャリングと同時に継続的に新規のリード獲得が可能になります。

セミナーにおいてインサイドセールスは、テーマ選定やターゲット、話す内容を登壇者とすり合わせ、当日の運営まで担当します。自社以外の企業様と共同開催することもあり、他社の担当者と同様の手順で準備を進めます。

セミナー後にはアンケートも実施し、セミナーを通じて弊社のサービスに関心を寄せていただいた方に架電やメールでアプローチします。改めて、お客様の意向を確認しながら関心度に合わせて、サービスや関連情報を提供します。

獲得したリードを商談へ繋ぐ役割を担いつつ、インサイドセールス自らリード獲得の動きもしていくことで、リードの枯渇を防止できます。

インサイドセールス導入でアポ獲得率30%

2019年12月にインサイドセールスとフィールドセールス、マーケティングチームで構成したマーケティング部に編成し直しました。従来のセールスチームでは、リードやアポの獲得から商談までを一気通貫してやっていたため、アポ獲得率はアプローチをかけたお客様のうち1%でした。しかし新体制になり、インサイドセールスがアポ獲得までを担当することになり、アポ獲得率は約30%まで向上しました。

また新規受注案件の広告取扱高は、2019年度から2020年度にかけて約4.4倍になりました。もちろんこの取扱高はインサイドセールス以外にも、広告運用メンバーの貢献もあります。

また、スタッフの業務に関する意識や姿勢にも変化がありました。従来の体制では、短期的な数値目標に追われていましたが、新体制では中長期的な視点で成果を追うため、「今何をお客様に提供するべきか」という前向きな思考に変化していきました。数値的な変化とあわせて、関わるメンバーの働き方にも影響が出たことも THE MODEL を意識したインサイドセールスチーム導入の成果といえます。

インサイドセールスで成果をあげるために必要な7つのこと

弊社では、インサイドセールス導入前後の2019年度と2020年度比で、新規受注案件の広告取扱高が4.4倍になりました。営業の効率化によって、メンバーの商品やサービスへの理解が深まり、フィールドセールスの提案内容や、広告運用メンバーの施策やクリエイティブの幅も広がりました。

ここからは成果につなげるために、インサイドセールスがおこなったことを具体例を挙げて紹介します。

1. 問い合わせ後は、必ず10分以内の対応

まずは基本中の基本、問い合わせへの対応は必ず10分以内でおこなうこと。10分以内に対応すると、架電した際に担当者の方が出る確率が高くなることはもちろん、問い合わせた内容を具体的に覚えているので話もスムーズに伝わります。さらに素早い対応で仕事に向き合ってくれると好印象を持ってくれる可能性もあります。

そのため問い合わせ後10分以内、遅くとも1時間以内に一度電話を掛けておきましょう。問い合わせ内容と担当者名、所属会社、過去のやり取りを確認してから電話を掛けることで、円滑なコミュニケーションができます。

すぐに電話できない場合は、電話をかけるタイミングをメールで伝えましょう。お客様から来た問い合わせを確認して、対応する姿勢であることを伝えられます。

2. ヒアリングシートを作成し、必要な情報をまとめて聞く

問い合わせ直後に電話が繋がっても、行き当たりばったりの質問では必要な情報を聞くことができず、何度もお客様にヒアリングする機会をいただくことになります。また、たどたどしい対応では相手の不安が募り、今後の取り引きに影響が出ることもあります。

せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、お客様に聞くことをまとめたヒアリングシートを作成しておきましょう。

問い合わせからわかる内容は事前に埋めておき、確認と補足のための電話であることを伝えるとスムーズなヒアリングになります。

弊社の場合、問い合わせした経緯や現在の広告配信の状況、予算感、配信開始時期などをヒアリングして、弊社で対応可能な内容か確認しています。

ヒアリング後は、必要であれば関連したブログ記事を送ったり、その場で回答できないことは運用担当者に聞いたりして、お客様が抱える不安な点をできる限りなくすようにしています。

ヒアリング項目質問例ポイントや注意点
問い合わせした経緯お問い合わせいただいたきっかけをお伺いしてもよろしいですか。・答えやすい雰囲気を作り、温度感を高められるような返答を心掛ける。
・例)現状に不満を持っている方には「弊社だと、そのお悩みを解消できます」など。
サイト URL の確認広告の遷移先にしたいページをお伺いしたいのですが、コーポレートサイトから飛べますか。・コーポレートサイトから飛べない場合は、検索結果に出るか聞く。
・検索結果にも出ない場合、ヒアリング後にメールで送ってもらう。
Web 広告の実施状況/媒体代理店で運用中/自社で運用中/未実施など、Web 広告の実施状況を教えていただけますか。また、媒体は何を使用していますか。・問い合わせ背景を探り、ニーズを把握する。
・弊社で取り扱う媒体かも確認する。
月額広告費現状の広告費はおいくらですか。また、ご依頼いただく際の、月額広告費はどれくらいですか。月額広告費は運用手数料、消費税を含みますか。・提案範囲の見当をつけるため、予算規模を確認する。
・具体的な回答を貰えない場合は、50〜100万円など範囲で回答をもらう。
広告運用の開始希望時期弊社で広告運用をさせていただくとなった場合、いつから広告運用の開始を希望されますか。・弊社で対応可能な開始時期か確認する。
会社名・代表番号弊社と契約となった場合、会社名は『〇〇』、本社住所は『〇〇』、代表者名は『〇〇』様でよろしいでしょうか?・グループ企業、子会社、海外本社などが契約先になる場合もあるため、項目ごとに確認する。
ニーズ改善したい部分はどこでしょうか。代理店に求めることはありますか。代理店を決めるうえで重視していることはありますか。・ニーズや課題はお客様自身も認識、言語化できていないことが多いため、いくつかの質問を繰り返してニーズや課題に気づいてもらい合意する。

3. セミナーの定期開催でリード獲得すべし

弊社では、リードに対するアプローチと、そのアプローチ先もインサイドセールスが作り出しています。ただ待っているだけではお問い合わせの数は増えないので、定期的にセミナーを開催しリード獲得に繋げましょう。

架電なしで自然に問い合わせが発生していても、やがてリードが枯渇してしまう可能性もあります。SEO のアップデートによる自然検索の順位の下降や、サービス優位な競合の出現による見込み顧客が流出など、予想外の理由でリードの獲得ペースが落ちることも考えられます。

リードの枯渇を事前に防ぐためにも、能動的なリード獲得への対策が必要です。特に自社サービスに関連した内容のセミナー開催であると、獲得したリードから確度の高い見込み顧客を見つけられる可能性があります。

セミナーのポイントは、開催を目的とせずその後にアプローチ可能なリードを獲得できるかまで想定してセミナーを企画することです。集客できるセミナーのテーマもですが、その先のアプローチやアポ獲得、商談、契約後のことを見据えることを意識しましょう。

4. 失注リードへの再アプローチは時期を見計らう

過去に失注したリードへのアプローチ時期はよく見計らいましょう。全てのリードが成約に繋がるわけではなく、タイミングや条件が合わずに失注になるものも少なくありません。

失注リードには、定期的なアプローチで再提案の機会を伺いますが、やみくもにアプローチしても双方の時間の無駄となってしまいます。失注理由を踏まえて、再アプローチする時期を設定しましょう。

例えば、コンペで競合に負けたのであれば、契約更新のタイミングを狙って連絡します。決算の都合上で失注したなら、来期の予算を検討する時期を狙って再度連絡します。

見込み顧客が成約に繋がる可能性が高い時期と低い時期があるので、適切な時期を見定めてアプローチしましょう。この適切な時期を見定めるためには、失注後1~3ヶ月後に連絡を取り、その後の状況を聞きつつ、次回動きがありそうな時期を聞くなどの対応がいいでしょう。

成約に繋がらなかったからと連絡を一切取らないのではなく、お客様のためにできることがないか探す姿勢で取り組みましょう。

5. CRM ツールで顧客情報を一元管理

インサイドセールスは、さまざまなステータス(リード獲得後の新規、ヒアリング予定、ヒアリング済み、アポ確定など)のお客様の予定を管理します。そのため情報を一元管理できるように CRM ツールを用いるといいです。次回のアプローチ内容や時期を忘れないように、要点を整理し記載しておきましょう。

ヒアリングした内容や問い合わせ時に入力してもらった情報、予算や共有されたデータなども一元管理できるのが CRM の良さです。

また、次回アプローチ日を ToDo リスト化することで、アプローチの抜け漏れを防止できます。

弊社のセールスチームでは「情報は資産である」と徹底的に周知していて、誰でも確認できるように CRM ツールを利用して記録や情報を共有しています。

6. KPI は商談創出数と課題の特定率に置く

インサイドセールスによって効率的な営業活動ができているか評価するポイントとして、商談数と商談からの成約率、課題の特定率の3つがあります。これらを KPI に設定してインサイドセールスの役割を果たせるよう設計します。

成約数の最大化が営業の最終的な目標になりますが、商談がなければ成約は生まれません。そのための商談数を増加させることが、インサイドセールスのミッションです。現状の商談からの成約率を算出し、目標成約数から必要な商談数を割り出して設定しましょう。成約率を求める式は以下の通りです。

  • 成約率の式:商談数÷成立商談数
  • 必要商談数の出し方:成約率÷商談数

商談数が多くても、成約見込みが高い商談が少ないと効率的な営業活動とは言えません。アプローチする過程で、商談に繋げる適切なタイミングを判断する必要もインサイドセールスにはあります

そのために「顧客の課題を正確に汲み取れているか」を意識しましょう。顧客の悩みや困りごと、取引先に求めていることを把握できれば、商談に繋げるべきか判断しやすくなります。

インサイドセールスがヒアリングした内容に間違いがないか、商談担当が顧客に確認して課題を特定できているか検証しましょう。

7. 自社商材を理解する

見込み顧客との関係を築きながら商談の機会を作るインサイドセールスには、自社の商品やサービスの理解も必要です。お客様に提供できるもの、解決できる課題の理解がなければ適切な案内ができず、効果的に機能しません。

アプローチ時に提供サービスの範囲や事例も話せると、相手に検討余地があるかその場で確認でき、スピード感のあるコミュニケーションを印象付けられます。

インサイドセールス導入のメリット&デメリット

インサイドセールスの導入を検討している企業にとっては、インサイドセールスが存在することで組織にどのようなプラスの影響があるのかが気になるポイントだと思います。そこで、弊社がインサイドセールスを導入したことで得られたメリットと、導入する上でデメリットを紹介します。

メリット① お客様の状況にあったアプローチで商談に繋げる

まず1つ目のメリットとして挙げられるのが、商談に繋がりやすい適切なタイミングでアプローチが可能になる点です。弊社のインサイドセールスは、商談に繋げるまでが担当なので、お客様の状況を把握し必要なタイミングで電話やメールなどで連絡を取っています。

お客様が検討段階であれば、いきなり営業担当に繋げるのではなく、お悩みや課題にあわせて、あえて資料の提供で終わることもあります。サービスの契約終了が1ヶ月後や半年後、1年後といった場合であっても、CRM に記録を残しておき、セミナーの案内や役立ちそうなブログ記事、媒体公式からのリリース情報などをメールで送り関係性を保ちます。

このように本当にお客様のためになることを続けていき、お客様が求めるタイミングになったときに初めて商談の場を提案させていただきます。時間や手間は掛かるかもしれませんが、インサイドセールスが主担当としているからできることです。

お客様にとって一番いいタイミングで商談ができ、それまでに状況やお悩みなどを十分にヒアリングできているので、確度が高いアポイントになるのもいい点です。

メリット② 成約までのスピード向上

2つ目のメリットは、成約までのスピードが上がることです。インサイドセールスは、リードへのアプローチ段階で商談化するべきか選別をおこなっているため、成約確度の低いリードはすぐに商談化しません。そのため商談担当にパスするお客様は、一定以上の成約の可能性がある方のみです。確度が高いアポであり、お客様からのヒアリング内容も十分にあるので、成約に繋がりやすくなります

企業によって営業フローは異なりますが、弊社はインサイドセールスと商談担当を分ける分業型の体制です。先述のようにインサイドセールスが商談化前のリードに対応することで、商談以降のスピード向上に繋がります。

メリット③ 商談担当の負担軽減

営業業務を分担することで、商談担当の負担軽減になるメリットもあります。商談化したが成約とはならなかったリードにインサイドセールスがフォローに入ることで、商談担当は現在進行中の商談に集中できます。

成約の見込みがあり商談化したものの、競合とのコンペで負けたりタイミングが合わなかったという理由で成約に至らないこともあります。時期を改めて再提案することで成約に至るケースもあるため、インサイドセールスは定期的なアプローチは欠かさずおこなっています。

もし、商談担当がその全てに対応した場合、商談とアプローチでリソースがひっ迫してしまう恐れがあります。進行中の商談の準備が間に合わない、定期アプローチができず成約機会を逃してしまうという可能性もあるため、インサイドセールスが成約にならなかった案件の管理を担っています。

デメリット① 社内理解を得るための労力がかかる

インサイドセールスを導入したばかりの企業では、取り組みに対して社内理解を得られない場合もあります。インサイドセールスはメリットが多い役割である一方、社内スタッフがすぐに効果を実感するのは難しいかも知れません。

これまで1人で対応していた業務を分担していることや、効果が表れるのに長い時間が必要だからです。

実際に私自身が別の部署にいるときは、インサイドセールスが社内に存在している程度しか認識していませんでした。自身の経験からですが、密に連携を取らない部署だと、そのような反応が多いのではと思います。そのような中、社内理解を得ながら浸透させていくには労力が必要です。

弊社でも取り組みを始めた頃は社内理解が及ばない時期もありましたが、意識的に社内に情報を発信することで、徐々に存在感が増してきました。特に商談担当とインサイドセールスに対しては、セールス部長から「インサイドセールスはアポを取る部隊ではなくお客様のニーズに応じて商談すべきか判断するチーム」と伝え、役割が異なる2つのチームで商談、成約を勝ち取るという意識付けをおこないました。

インサイドセールスを導入すると、社内理解のための全社的な意識改革の対策にリソースを割く必要があるかもしれません。しかし、導入初期に社内理解への浸透に徹底的に取り組むと、早期に社内理解も得られる可能性も大いにあります。

デメリット② 人材確保の調整が必要、採用コストがかかる

体制を変更してインサイドセールスを導入するには、もちろん調整や増員などのコストもかかります。商談を担当しているチームや他部署からの抜擢、、社外からの採用、いずれにしてもリソース調整や採用コストが必要になります。

社内での部署異動で対応する場合は、業務の引き継ぎやタイミングの調整が必要です。他部署からの移動に限らず、インサイドセールス編成のために新しく体制を変更する場合には避けられない段階です。

社外で募集する場合でも、求人掲載のコストや面接対応などの人的コストもかかり、採用後も自社文化やサービス理解を深める教育をしなければなりません。

導入を決めてもすぐには稼働できず、さまざまな調整やコスト面を踏まえて導入タイミングを考慮する必要があります。

デメリット③ ツール導入の手間、コストがかかる

円滑なインサイドセールス運営には、CRM や MA ツールなどの導入も検討しなければいけません。同じ機能のツールでも豊富な種類があるため、最適なものを選択をするために検討期間を長く見積もっておく必要があります。

必要であれば、検討中のツールの商談担当の方との打ち合わせも交えながら、機能の有無や利便性、求めているサービスに対応しているかを検討することもあるため、比較だけでも時間を要することがあります。

また、有料のツールを導入する場合は、コストパフォーマンスを踏まえた選定や社内稟議の必要もあるかもしれません。人材確保と同様にツールを導入する際も、検討期間を踏まえて実装するという前提で考える必要があります。

インサイドセールスで使う用語

インサイドセールス業務では、専門的な用語を多く使用します。社内外のどんなシチュエーションでも対応できるよう確認しておきましょう。分からない単語を調べると時間がかかります。一度で見返せるように以下の用語集を活用し、スムーズな内容理解に役立てていただければと思います。

リード

商談機会を獲得できる可能性がある見込み顧客のこと。セミナー申し込みやホワイトペーパーのダウンロード時に、情報入力のフォームを設置することでリード情報の取得が可能です。企業名・個人名・電話番号・メールアドレスを最低限取得しておくと連絡が取りやすいです。

アプローチ

リードに対して電話やメールでコミュニケーションを図り、商談機会の獲得へ向けて働きかける行動のこと。相手の状況や悩み、困りごとを伺いながら、適切なタイミングで商談の提案を持ちかけることが理想です。

適切なタイミングの予測のため、過去のアプローチ内容は記録しておきましょう。記録したアプローチ日時、話した内容、相手の状況などを参考に、今後のアプローチの日程決定や話す内容を検討して次のアプローチに繋げます。

アポイント

アプローチによって獲得した商談やヒアリングの機会のこと。当日円滑に進行できるよう、アプローチ時に日時、対話方法を取り決め、やり取りする内容を共有しておきます。また、アポイント前日や当日にリマインドの連絡を入れておくといいです。

クロージング

ビジネスの場での「顧客との成約」や「成約までの商談」のこと。英語の「Close」に由来し、 直訳では「締めくくる」という意味です。成約までに顧客の満足度条件を確認したうえで、契約内容のすり合わせ、合意を得る必要があります。

このプロセスが踏めていないと、成約後のトラブルになりかねません。特に、金額面や契約者情報、提供するサービス内容は丁寧に認識をすり合わせましょう。

ナーチャリング

成約に至っていないリードにアプローチし、成約の段階まで引き上げていく顧客育成のこと。リードはすぐに成約するわけではなく、情報収集や検討段階の方も多いです。

リードがすぐ成約しなかったからと諦めず、継続的にアプローチをして成約まで引き上げていきます。成約数の拡大には、リードの獲得と並行してリードの育成も必要です。

ハウスリスト

マーケティング活動や営業活動で集めたリード情報が記載されたリストのこと。企業が保有するリード一覧のようなものです。リード情報に加えて、アプローチ実績、ナーチャリング状況を可視化してハウスリスト全体の傾向が確認できると、インサイドセールスがやるべきことも明確になります。

例えば、成約段階に近いリードが多ければ、新規リード獲得に向けた施策の実施、アプローチできていないリードが多ければアプローチの強化、というように今後の動きを策定できます。

ACW(After Call Work/アフターコールワーク)/平均後処理時間

顧客や見込み顧客との電話後におこなう対応記録の入力や、相手からの依頼内容への対応に要した平均時間のこと。コールセンターでは特に重要視される指標の1つです。ACW の改善は、生産性の向上を意味します。例えば、架電件数を目標値として置いている場合は、ACW の改善は必須です。

BANT(バント)

主に BtoB 営業で使われるヒアリングのフレームワークで、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の頭文字を取ったもの。

予算が確保できる状態か、決裁権は誰なのか、相手や企業は必要性を感じているか、具体的な導入時期が決まっているかといった観点でヒアリングをして成約見込み度を判定します。

BDR(Business Development Representative)

手紙やアウトバンドコールを活用して商談機会を創出する新規開拓型のインサイドセールスのこと。ターゲットとする企業を選定し、戦略的にアプローチをかけます。自社が取引したい企業へのアプローチのため、成約に繋がると自社に大きく影響します。

CRM(Customer Relationship Management)

「顧客関係管理」と訳され、顧客との関係を一元的に把握すること。一元管理を実現する「CRM システム」や「CRM ツール」がありますが、今ではシステムやツールを含めて CRM と呼びます。

FS(Field Sales/フィールドセールス)

インサイドセールスが創出した商談で、見込み顧客に具体的な提案をする営業部隊のこと。非対面活動のインサイドセールスに対して、顧客に訪問して営業活動をおこなうことからフィールドセールスと呼ばれます。時代の変化とともに、社内からビデオ会議などで商談するフィールドセールスも増えています。

MA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)

マーケティング活動を一元的に管理、実施する手法のこと。CRM と同様にツールも存在し、それらも含めて MA と呼ばれます。MA ツールの活用により、多岐にわたるマーケティング活動の一部を自動化でき、担当者はクリエイティブな部分など人の手が必要な業務に注力することで効率化を図ることができます。

MQL(Marketing Qualified Lead)

マーケティング活動で獲得したリードのこと。自社にとって質のいいリードと言い換えられます。例えば、セミナーやイベント開催で収集した情報をもとに、自社商品やサービスに関心があって、将来的に成約に繋がる可能性があると判断されたリードが MQL に該当します。これらのリードに対してインサイドセールスがアプローチし、商談創出へと繋げます。

OS(Online Sales/オンラインセールス)

オンライン上で対応する営業を指します。訪問型のフィールドセールスに対し、オンラインセールスは契約締結までを全てオンライン上で対応する営業部隊です。新型コロナウイルスの影響以降、一気に普及しました。

SDR(Sales Development Representative)

リードに電話やメールで商談機会を窺うインサイドセールスのこと。既に問い合わせや資料ダウンロードなどの行動を起こしているリードにアプローチをかけるため、「反響型」とも呼ばれます。BDR に対してリードの成約見込みが高く、商談に繋げやすい傾向があります。

SFA(Sales Force Automation/セールスフォースオートメーション)

「営業の自動化」を意味する営業活動を支援する手法やツール、システムのこと。商談の開始から成約までの進捗状況を集約して管理することで、属人化の防止、営業活動の進捗の可視化といったメリットがあります。

SQL(Sales Qualified Lead)

アプローチの過程で、商談化できる見込みが高いと判断されたリードのこと。マーケティング活動によって MQL を創出し、インサイドセールスによるアプローチを経て SQL になります。SQL となれば商談、具体的な提案、成約へと繋げていきます。

インサイドセールスによって営業活動を効率化

従来のテレアポを中心とした営業活動は、クロージングまで一人で担当するということもあり、属人化が課題となっていました。ただ、THE MODEL を導入したことで、アポイント率や離職率は改善されました。

顧客のニーズが複雑化している現在、セールスが顧客へ提供する価値体験によって売上への影響も左右されるのではないでしょうか。各企業におけるセールスの在り方においても期待が高まっていることでしょう。その期待に応えるための解決策としてインサイドセールスを導入し、営業活動を効率化していきましょう。

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記事を書いた人

秋元 航平
秋元 航平

マーケティング

2019年4月に新卒で入社後、研修を経て運用チームに配属。toB、toC等の案件を担当した後、セールスチームに異動となる。趣味はお笑いと観賞(研究?)と謎解き。特に好きな芸人は東京03とバナナマン。

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