Google ディスプレイ広告と聞くと、真っ先に思い浮かぶターゲティング方法は「リマーケティング」ではないでしょうか?実際に配信したことがある広告運用者であれば、成果もよく利用しやすいターゲティング方法であるのがわかるかと思います。
しかし、それ以外のターゲティング方法は使ったことはあるものの、成果には繋がらなかった経験がある方も居るかと思います。
同じように悩んでいた中で、「購買意向の強いセグメント」を使い、リーチの拡大や低い単価でコンバージョン数の増加ができた事例や、基本的な説明や特徴、似ているターゲティング手法である興味関心ターゲティングとの違い、成果を出すためのコツを紹介します。
コンバーション数の頭打ちを感じている運用担当者や自社のマーケティング担当者の方は、この記事を参考に是非「購買意向の強いセグメント」を使った広告配信を検討してみてください。
購買意向の強いセグメント(購買意向の強いユーザー/インタレスト カテゴリ マーケティング)とは、特定のテーマに対して、積極的に情報収集したり、比較したりしているユーザーへのターゲティング方法です。テーマは大項目で23個あり、さらにその下に小項目も多数あります。
ディスプレイ広告のターゲティングで有名な「リマーケティング」は過去にサイト訪問したセグメントですが、購買意向の強いセグメントはサイト訪問の有無は関係ありません。
また、似たものに「アフィニティ」というものがありますが、アフィニティは興味や関心、習慣などで括られていてまとめられたリストなので顕在層よりも潜在層に近いセグメントです。対して、購買意向の強いセグメントは顕在層に近いものです。
また、購買意向の強いセグメントは、設定したオーディエンスセグメントごとにコンバージョンが何件獲得できたかなどの配信実績が確認できます。
購買意向の強いセグメントは、Google 側で用意されているもので、広告主が自由にリスト作成することはできません。しかし Google が蓄積したデータをもとに作ったリストなので精度は高く、広告運用者が想定していなかった層へのアプローチのきっかけにもなります。
広告運用者が想定しなかった層へのアプローチが期待でき、魅力的である一方で、大項目だけでも23個、さらにその下に小項目も多数あるので、オーディエンスセグメント選びに迷ってしまうかと思います。しかし、適したオーディエンスセグメントに配信できれば、低単価でコンバージョンを増やすこともできます。
ここでは語学商材で、一見ミスマッチにも思えるセグメントに配信して成果を出せた事例を紹介します。
検索広告でのコンバージョン数が頭打ちになっていましたが、購買意向の強いセグメントを配信することでこの課題を解決することができました。購買意向の強いセグメントのコンバージョン単価は、リマーケティング広告の約2倍ですが、全体のコンバージョン増加に貢献しているのがわかると思います。
広告形式 | コンバージョン単価 | コンバージョン数 |
---|---|---|
Google 検索広告 一般名詞 | ¥8,641 | 2487.4 |
Google ディスプレイ広告 リマーケティング | ¥5,456 | 291.16 |
Google ディスプレイ広告 購買意向の強いセグメント | ¥10,084 | 238.46 |
ちなみに、この事例では1ヶ月ほどで最適化が進み、直近ではコンバージョン単価は Google 検索の一般名詞と同じぐらいまで良化しています。
Google の公式ヘルプページでは、商品の購入を前向きに検討している見込み顧客や、サイト訪問していないユーザーの獲得にも効果的だと記載があります。
購買意向の強いユーザーのリストは多くの広告主に役立ちます。たとえば、広告主が次のことに関心を持っている場合は、このリストを活用できます。
掲載結果:近く商品やサービスを購入することを前向きに検討している見込み顧客や、アイテムについて納得のゆく提案があれば大いに購入したいと考えている見込み顧客に広告を表示するには、このリストを使用できます。
引用元:購買意向の強いユーザーのターゲティング|ディスプレイ&ビデオ 360 ヘルプ
目標到達プロセスの中期段階のマーケティング:商品を購入する可能性が高いもののブランドまでは考えていない可能性がある人々に広告主のメッセージを伝えるには、このリストを使用できます。
リマーケティング:既存の自社リストに登録している以外のユーザーにも広告を表示して総コンバージョン数を増やしたい場合は、このリストを使用できます。
しかし、ただ購買意向の強いセグメントを使うだけでは成果は見込めません。ここからは実際の配信からわかった6つのコツを紹介します。
商材に該当するセグメントだけでなく、コンバージョンしたユーザーの傾向からもセグメントを選んでみましょう。
Google 広告の管理画面の「コンバージョンしたすべてのユーザー」からユーザーが、購買意向の強いセグメントのどのテーマにマッチしているのかを確認しましょう。
確認するために、まずは Google 広告の管理画面にログインして、画面右上にある「ツールと設定」をクリックし、「オーディエンスマネージャー」を選びます。
次に「データの分析情報」の画面左上にある「分析対象のセグメント」で「コンバージョンに至ったすべてのユーザー」を選びます。
画面を下にスクロールすると、関連性の高い購買意向の強いセグメントを確認できます。「インデックス」の数値が高いほど、コンバージョンが期待できます。
上記の例の場合、購買意向の強いセグメントのテーマは、一見ターゲットとは無関係そうなものもあります。しかし、低単価でコンバージョン数が増やせるものが眠っているの可能性があるのです。
この購買意向の強いセグメントで広告を配信した結果は以下の通りです。リマーケティング広告がコンバージョン単価 5,456円なのに対して、1番成果の出ている購買意向の強いセグメントだと5,257円と良いパフォーマンスでした。
ターゲティング | インデックス | 関係性 | コンバージョン単価(円) |
---|---|---|---|
リマーケティング | – | ◎ | 5,456 |
購買意向の強いセグメント(教育) | – | ◎ | 8,459 |
購買意向の強いセグメント(教育) | 6.1x | ◯ | 9,478 |
購買意向の強いセグメント(ビジネスサービス) | 5.6x | △ | 7,320 |
購買意向の強いセグメント(教育) | 4.4x | △ | 5,267 |
購買意向の強いセグメント(就業状況) | 3.7x | △ | 8,065 |
購買意向の強いセグメント(アパレル、アクセサリ) | 3.1x | △ | コンバージョンなし |
成果の出ているセグメントは、語学そのものではなく、「コンバージョンに至ったすべてのユーザー」との関連性が高い(=インデックスの数値が高い)と表示されたものでした。
一見、商材と無関係に思えるセグメントだったため、データの分析情報を見ていなければ、配信することはなかったでしょう。
ほかにも4案件ほど配信していますが、いずれも同様の成果が出ているので、インデックスの数値が高いものは成果がでる可能性が高いと言えそうです。
購買意向の強いセグメントは、Google ディスプレイ広告で設定するのが良いでしょう。Google 検索でも配信することができますが、検索数が限られているため、広告枠が限定的になるでリーチが増えづらくなります。
一方で、Google ディスプレイ広告は、広告枠が無数にあるのでリーチを確実に増やせます。
ディスプレイ広告だと、リマーケティング以外で成果が出しづらいと思われる方もいるかもしれませんが、購買意向の強いセグメントは見込みの高いユーザーがまとめられたリストなので、比較的コンバージョン単価は低く、コンバージョンを獲得できます。
購買意向の強いセグメントは「モニタリング」ではなく「ターゲティング」で設定します。モニタリングで設定するとセグメントだけでなく、そのほかの無関係のユーザーにも広告が表示されるからです。
たとえば、サイト訪問した人だけに配信した場合は、サイト訪問者のセグメントをターゲティングで設定する必要があります。モニタリングで設定してしまうと、サイト訪問していない人にも配信がされてしまいます。
コンバージョンしやすい購買意向の強いセグメントに限定することで、コンバージョン単価を抑えられるので、「ターゲティング」で設定をしましょう。
弊社では、「最適化されたターゲティング」をオンにした場合、コンバージョン単価が上がるケースが何件かありました。そのため、「最適化されたターゲティング」をオフにすることを推奨しています。
実際に BtoB 向けのビジネスサービスを、Google ディスプレイ広告で配信した結果を紹介します。設定したセグメントでは140,548円で4件のコンバージョンが獲得できましたが、最適化されたターゲティングだと89,443円を使用でコンバージョンは0件という結果でした。
消化金額(円) | コンバージョン(件) | |
---|---|---|
セグメント | 140,548 | 4 |
最適化されたターゲティング | 89,443 | 0 |
購買意向の強いセグメントを使うと、比較的コンバージョンしやすそうな「人」にアプローチできます。さらに、コンテンツターゲットを掛け合わせることで、コンバージョンしやすそうな「とき」だけ広告表示を限定できるようになり、無駄なクリックをなるべく防ぐことができます。
先ほどの語学商材の例でいえば、語学に関するサイトや YouTube チャンネルにだけ広告表示するイメージです。
設定するキーワードは、検索広告を配信している場合は、コンバージョンした検索語句をそのままキーワードとして設定すると良いでしょう。
配信歴が長く、検索語句が大量にある場合は、あまり厳選せずにすべて設定しても問題ありません。配信後にパフォーマンスが悪いものを停止していきましょう。
自動入札を使うと、年齢・性別や所在地から、曜日・時間帯、デバイス、ブラウザ・OS など、様々なシグナルを掛け合わせて成果が出るパターンを学習し、入札が最適化されていきます。また、広告の管理画面で確認できないシグナルも最適化に使用されます。
具体的には「閲覧したページ数」や「閲覧した商品の金額」、「コンバージョンプロセスにおける現在地」、「過去にアクセスした他のサイト」など、ユーザーのサイトでの行動などです。
購買意向の強いセグメントで配信する場合でも、より精度の高い入札、最適化ができるように、自動入札を用いましょう。
長く検索広告やリマーケティング広告を配信しているとコンバージョン数が頭打ちになることがあります。そんなときは、今回のコツを押さえて、購買意向の強いセグメントを配信してみると、全体のコンバージョンをボリュームアップさせることができるでしょう。
ディスプレイ広告は検索広告などに比べて、すこし難易度が高いですが、その分だけ価値のある広告メニューなので、ぜひチャレンジしてみてください!
広告事業部 マネージャー
2016年4月に新卒入社。入社10カ月で代表滝井直属の広告運用チームに異動。 入札調整や広告文作成から、サイト改善提案まで代表から直接指導を受ける。 toB/toC比率は半々で、アプリ広告も担当。特に好きな媒体はFacebook広告。 海外旅行が好きで、アメリカ横断経験あり。趣味は服映画ヨガアート猫もろもろ。
あなたの広告アカウントを無料診断します
広告アカウント診断詳細なお見積りをご希望の方はこちら
お問い合わせ支援事例などをまとめたサービス紹介資料はこちら
サービス資料のダウンロードはこちら