広告運用やサイト改善において、上記のように特定のユーザーアクションを計測したい、もしくはトリガーにしたいというケースは多いと思います。
ただ同時に、計測の実現にはサイト修正が発生し、外注費などの相応のコストが必要であることを考えると気軽にはできないといったことも多いのではないでしょうか。実はそういった場合でも、GTM を使うことで、次のような計測が可能であることをこの記事でご紹介します。
今回は上記のようなお悩みを持っている方へ、是非活用してほしい Google タグマネージャー(以下「GTM」) の設定方法についてお伝えします。
この記事では以下の3つの計測方法についてご紹介したいと思います。(※各設定方法へクリックすると飛べるようになっています。)
GTM とは Google が公式で発表しているタグ管理ツールです。GTM は誰でも無料で使用することができ、各ページごとに難しいタグを設定する必要がなく、一度設定してしまえば、追加で後から各ページの HTML の変更をせずに任意の計測をおこなえるのが利点です。
タグとトリガーの基本的な考え方は以下の通りです。
トリガー | 「どこで/どうしたら」などのタグを配信するタイミングを設定するもの |
タグ | コンバージョンタグ、リマーケティングタグ、Google Analytics のイベントなどの各種計測タグ |
この記事では、主にトリガーの設定と Google Analytics でのイベント計測の方法を解説します。
GTM を使った、Google, Yahoo!, Facebook, Twitter, Criteo, LINE でのコンバージョン計測についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【2019年最新版】GTMを使った、Google、Yahoo!、Facebook、LINEの広告コンバージョン計測方法|株式会社キーワードマーケティング
主要なインターネット広告媒体のコンバージョン計測タグをGoogleタグマネージャー(以下「GTM」と呼びます)を使って設定する方法を説明します。
本記事でトリガーの設定のコツを掴むことで、コンバージョン計測の幅がぐっと広がりますよ。
トリガーの設定を始める前に、本記事で使用する組み込み変数を有効にしておきましょう。変数は状況によって変わる値で、データを保持しておく箱とイメージしておく良いでしょう。
組み込み変数と呼ばれる既にある変数を有効にし、指定の文字列がクリックされた回数を計測します。今回使用するのは「Click URL」になります。
1.左側にある「変数」をクリック、ユーザー定義変数の「新規」を選択
2.右上の「+」をクリック
3.組み込み変数の設定で「Click URL」にチェックをつける
これにより変数に「Click URL」が追加されました。今回は「Click URL」だけを有効にしましたが、他にも必要であればチェックをいれ有効にしてください。例として一部変数を表にまとめました。
変数 | 作用 |
---|---|
Page URL | ヒットした時点の URL を取得 |
Referrer | ヒットした時の参照元を取得 |
Page Hostname | ヒットした時のドメイン名を取得 |
次に、組み込み変数にはない変数「ユーザー定義変数」を設定します。今回はファイル拡張子を用いて、pdf のダウンロード数を計測するための変数を作成します。
1.左側にある「変数」をクリック、ユーザー定義変数の「新規」を選択
2.右上の鉛筆マークをクリック
3.変数タイプは「自動イベント変数」を選択
4.変数タイプは「要素 URL」、要素タイプは「ファイル拡張子」を選択
組み込み変数にはない、ファイル拡張子という変数が作成されました。
さてここからは、先ほど作成した変数を用いて、トリガーとタグの設定をおこなっていきます。
電話ボタンは多くの場合、< a href=”tel:XX-XXXX-XXXX” >という形式で HTML に記述されているため、サイト内の “tel” という文字列を含むリンクのクリック数を計測する設定をおこなえば電話ボタンのクリック数(≒電話をかけた人数)を計測することが可能になります。
※正確には電話ボタンがタップされた回数の計測となるため、誤タップ等で実際の架電数とはズレが出ます。
しかし、より正確に計測するには、コールトラッキングツールの導入が必要となり、導入コストもランニングコストも発生するので、直ぐに設置することは難しいかと思います。
電話ボタンのタップ件数に対する実際の架電数の割合は、おおよそ40%から50%前後になる傾向があります。もちろんボタンの設置箇所などにより変動はあります。
あまりにも乖離が大きい場合は、誤タップを誘発しやすい箇所にボタンが配置されていないかなどを見直す必要があります。
1.左側にある「タグ」をクリック
2.右上にある「新規」をクリック
3.下部「トリガー」をクリック
4.トリガータイプは「リンクのみ」を選択
5.「タグの配信を待つ」にチェックを入れると、ダウンロードリンクをクリックされた時に、ページの遷移を指定した時間だけ一時停止させることができます。
この設定によって、タグが配信される前にページ遷移することがないため計測漏れを防ぐことができます。リンククリックなどをトリガーにタグを配信する場合はチェックを入れることをオススメします。
ここまでで、どの URLからの電話発信で計測するかの設定が終わりました。次に、このトリガーとタグを紐付けます。
1.タグの設定をクリック
2.タグタイプは「Google アナリティクス:ユニバーサルアナリティクス」を選択
3.トラッキングタイプは「イベント」、カテゴリ、アクションは任意の単語で設定する(ある程度サイト内での共通言語を使用することをおすすめします)
ラベルは「{Click URL}」にし、「このタグでオーバーライド設定を有効にする」にチェックをいれ、非インタラクションヒットは「真」にし、最後にトラッキング ID を入力
※トラッキング ID の確認方法
Google アナリティクスの「管理」→「トラッキング情報」→「トラッキングコード」で確認できます。
4.「プレビュー」で確認し、動作確認がとれたら、バージョン名を入力、「公開」をクリック
これで無事に計測ができるようになりました。
たとえば、通常の場合、サイト経由で資料をダウンロードした件数を計測するとなると、有料のトラッキングツールの導入や対象となる資料のリンクがある各ページにコンバージョンタグを埋め込む作業が必要になってきます。
Google、Yahoo! はそれぞれタグが異なるので、別々にタグを発行し、正しい順序でタグを組み合わせなければなりません。正しい組み合わせでないと、計測ができないこともあるので、かなり神経の使う作業になります。
また、対象となるページ数が多ければ多いほど、作業時間は増えるので、一から設定を行なうとすれば、骨の折れる作業になるでしょう。
この大変な作業を行わず、同様の計測をおこなえ、かつ圧倒的な時間短縮をはかることができるのが GTM なのです。
ファイルのダウンロードは、クリックされたリンクの拡張子が “pdf” であれば計測するという条件(=トリガー)で設定をおこないます。
1.左側にある「タグ」をクリック
2.右上にある「新規」をクリック
3.下部「トリガー」をクリック
4.トリガータイプは「リンクのみ」を選択
5.「タグの配信を待つ」にチェックを入れ、「Page URL」、「正規表現に一致」「.*」と記入
※「.*」は、何でも良い文字列という意味の正規表現です。
「一部のリンククリック」を選択、プルダウンメニューは、「ファイル拡張子」を「含む」し、入力欄には「pdf」と入力する
ここまでで、どんな条件のときに計測をするかの設定が完了しました。次はこのトリガーをタグと紐付けます。
1.タグの設定をクリック
2.タグタイプは「Google アナリティクス:ユニバーサルアナリティクス」を選択
3.トラッキングタイプは「イベント」、カテゴリ、アクションは任意の単語で設定する(ある程度サイト内での共通言語を使用することをおすすめします)
ラベルは「{Click URL}」にし、「このタグでオーバーライド設定を有効にする」にチェックをいれ、非インタラクションヒットは「真」にし、最後にトラッキング ID を入力
※トラッキング ID の確認方法
Google アナリティクスの「管理」→「トラッキング情報」→「トラッキングコード」で確認できます。
4.「プレビュー」で確認し、動作確認がとれたら、バージョン名を入力、「公開」をクリック
これで無事に計測ができるようになりました。
前述の2つは要するにリンクのクリック計測でしたが、少し毛色がちがうところでは、特定の要素が閲覧された回数も計測することができます。
たとえば、1ページ完結タイプのランディングページで、かつフォームも同一ページ内にある場合は、フォームのあるページには飛んでいるものの、フォームを見て離脱しているのか、そもそもフォームにたどり着いていないのか分からないかと思います。
そんな時にも使えるのが GTM なのです。
この記事では分かりやすくするために弊社サイトの記事の執筆者名が表示されたか否かを例にして説明いたします。
GTM を使うと、HTML 要素の ID やクラス名を参照し、指定した ID やクラス名が見つかった際にタグを発火させるトリガーをつくることができます。
今回は、執筆者情報の書かれた要素を検知したいので、HTML ソースから執筆者情報の要素が特定できる部分を探します。
1.左側にある「タグ」をクリック
2.右上にある「新規」をクリック
3.下部「トリガー」をクリック
4.トリガータイプは「要素の表示」を選択
5.トリガーの設定は以下の通り
サイト内の ID から計測するので ID を選択します。
要素セレクタは、さきほどの「writer」を入力します。
起動タイミングについては、ID なので「1ページにつき1度」を選択します。同一ページ内に同様の要素が複数回ある場合は、「1要素につき1度」や「各要素が表示されるたび」を適宜選び設定してください。
視認の最小割合は、その要素(今回は執筆者名)が何割表示されたら、1カウントとして計測するかを設定するものです。今回は執筆者名となっていて短い範囲なので設定は不要ですが、ページ全体にまたがるものを計測する場合はこちらの値を設定する必要があります。
発生場所で指定の URL がある場合は「一部の表示イベント」を選択し、指定の URL を入れましょう。今回はサイト全体で計測をおこなうので「すべての表示イベント」にします。
ここまでがトリガーの設定になります。最後に変数とトリガーをタグに紐づけていきます。
1.タグの設定をクリック
2.タグタイプは「Google アナリティクス:ユニバーサルアナリティクス」を選択
3.トラッキングタイプは「イベント」、カテゴリは任意の単語で設定する(今回は、カテゴリ:blogEvent、アクション:writer_name)
ラベルは、先ほど作成した変数の「{Click URL」を選択、非インタラクションヒットは「真」、最後にトラッキング ID を入力
※トラッキング ID の確認方法
Google アナリティクスの「管理」→「トラッキング情報」→「トラッキングコード」で確認できます。
4.下部のトリガーは「ライター名計測」を選択
5.「プレビュー」で確認し、動作確認がとれたら、バージョン名を入力、「公開」をクリック
これでライター名を検知する計測方法の設定ができました。どこまで到達しているのかを測れて、離脱ポイントを把握することができます。要素を入れ替えることによってフォームにたどり着いているのか、そもそもどこで読まれなくなってしまっているのかも分かるようになります。
GTM さえ導入しておけば、今回ご紹介した例はもちろん、他にもかなりのデータが自由に計測が可能になります。
ただし、GTM を用いた計測に限ったことではありませんが、意図したとおりに計測ができているかの検証の徹底と、意図していないところでズレが発生するリスクがあることには気を付けなければなりません。
論理的に正しい仮説を立てたとしても、それが誤ったデータに基づいていれば、結論も誤ったものとなってしまいます。
数字にとらわれすぎることなく、定性的な評価もうまく取り入れて考えることが効率的な改善につながっていくのではないでしょうか。
マーケティング
2016年12月にキーワードマーケティングに入社。九州佐賀支社初期メンバーとしてオペレーションセンター立ち上げを補佐。オペレーション業務に従事した後、2017年2月頃より運用業務を担当し始め、2017年に東京本社へ異動。テクノロジーに強い運用者を目指して奮闘中。好きなコピペはミキプルーン。
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