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品質スコアを上げるためにやるべき3つのこと。広告ランクとの違いも解説

川手 遼一

R&D室 室長

川手 遼一

更新日:2024.06.12

運用型広告の世界において「品質スコア」と「広告ランク」は誤解されやすい概念ではないでしょうか。よく区別できていないままこれらの言葉を使っていませんか?

広告掲載順位や掲載の有無を決める広告ランク(Yahoo! 広告の場合はオークションランク)は入札単価だけで決まるものではありません。

入札単価以外にもオークション時の広告の品質、広告ランクの下限値、オークションにおける競争力、ユーザーが検索に至った背景、および広告表示オプションなどの広告フォーマットの見込み効果が広告ランクの算出には用いられます。

参考:広告の掲載順位とランクの仕組み|Google 広告ヘルプ

しかしながら管理画面には「広告ランク」はもちろんのこと「オークション時の広告の品質」についても情報が無いためか、管理画面上に記載されている「品質スコア」が誤って解釈され「品質スコアが低い=広告ランクが低い」といった誤解がされがちです。

また広告ランクはリアルタイムに算出される数値であるため、管理画面上で確認することができません。品質スコアに関しても、Googleが「品質スコアは有用な診断ツールだが、主要パフォーマンス指標(KPI)ではない」と公表しているにも関わらず、品質スコアを KPI として設定してしまうという話もよく聞きます。

そもそも品質スコアとは狙って上げるものではなく、本来は様々な取り組みをおこなって自然と上がっていくものなのです。この記事では品質スコアとは何か、もしも低いときはどのような対応すればいいのかを解説していきます。

品質スコアとは?

品質スコアとは Google 広告上の広告やキーワード、ランディング ページの品質を表す指標です。同様の意味で Yahoo! 広告では品質インデックスと呼ばれています。

品質インデックスは、品質スコアと異なり「広告の品質を10段階で評価する指標」を基準に算出された数値ですが、「キーワードに対応する広告やランディング ページの品質を示す」という役割を果たす点においては同じものであると考えることができるため、この記事では同じものとして取り扱います。

品質スコアの公式ヘルプページの記載をまとめると、下記の通りです。特に重要なのが「オークション時の広告ランクの算出に品質スコアは使用されない」という点です。

  • 品質スコアは「リアルタイムの広告ランク」を示す指標ではない
  • オークション時の広告ランク算出に品質スコアは使用されない
  • 品質スコアは広告の品質10段階でアカウントの各キーワードに振り分けられる
  • 品質スコアの構成要素は「推定クリック率」「広告の関連性」「ランディング ページの利便性」の3つ

品質スコアはオークション時の広告ランクの計算には使用されない

では、オークション時の広告ランクの計算には使用されない品質スコアをどのように扱えばいいのでしょうか。

弊社では品質スコアは公式ヘルプにも記載ある通り「参考値」であると捉えています。つまり飲食店で例えるならば「飲食店全体の素晴らしさ」を点数化したものが広告ランクであり、「口コミ投稿型のグルメサイトの点数」が品質スコアのようなものではないかと考えています。つまり広告の品質=品質スコアではないのです。

公式ヘルプに記載ある通り、あくまでも品質スコアは1指標です。ただ広告の品質と品質スコアは共通する部分があるので、品質スコアが良化すると広告の品質も良化する場合があります。

品質スコアが低い時の対応

再度確認ですが、品質スコアを構成する要素は Google のヘルプページによると以下の3つです。

  • 推定クリック率
  • 広告との関連性
  • ランディングページの利便性

基本的に Yahoo! 広告も同じ要素を改善することによって品質インデックスを高めることに繋がります。

品質スコアが低い場合、オークション時の広告ランクが低くなっている可能性もあります。競合との広告オークション上の競り合いにおいて、クリック単価が高くなっていたりインプレッションシェア損失率が高くなっているなどの不利な状況になっていると考えられます。

品質スコアは広告ランク算出に活用される広告の品質の目安、参考値としての側面があるため、品質スコアを参考に対応していくことが重要です。その結果、オークション時の広告ランクそのものが良化する可能性があります。

弊社では品質スコアは1指標として取り扱い、例えばサイト上での取り扱い商材の関連性が高いキーワードの品質スコアが3以下など著しく低い場合、その時点でのクリック単価やコンバージョン率などを加味しつつ、以下3つの取り組みを行うことがあります。

  1. クリック率・推定クリック率の関係性を理解し、魅力的な広告を作成する
  2. ユーザーの意図を的確に汲み取った広告を作成する
  3. ランディングページを最適な形にする

1.クリック率・推定クリック率の関係性を理解し、魅力的な広告を作成する

Google の公式ヘルプページでは、推定クリック率とクリック率を以下のように定義しています。

  • クリック率:広告のクリック数を表示回数で割った値
  • 推定クリック率:特定のキーワードに対して表示された広告がクリックされる可能性を示すキーワードのステータス

特に重要なのは推定クリック率とクリック率の関連性です。以下は、クリック率を說明する Google 広告ヘルプの引用です。

クリック率が高い広告は、ユーザーにとって有益で関連性が高いという意味になります。クリック率は、広告ランクを決定する一要素であるキーワードの推定クリック率にも影響します。クリック率の良し悪しは、宣伝内容や広告の掲載先ネットワークに左右されます

クリック率とは|Google 広告ヘルプ

つまりクリック率は、推定値である推定クリック率にも影響を与えます。

単純にクリック率が低すぎる場合、より良い広告にしていくことでオークション時の広告の品質が向上します。その結果クリック率があがり広告パフォーマンスが良化します。

ただし闇雲に AB テストをして、クリック率をあげていくという場当たり的な広告運用をしていけばいいというものではありません。

そもそもクリック率の高い広告は大抵の場合、ユーザーが魅力的に感じる何かを備えています。「ユーザーが広告を見た際に魅力的に感じるかどうか」という視点で広告を作ることができるかが大事になります。

2.ユーザーの意図を的確に汲み取った広告を作成する

品質スコアの構成要素には「広告との関連性」と書かれているため、キーワードと広告の関連性を引き上げようとし、ランディングページ内の指定のキーワード数を増やそうとすることがあるかもしれません。

しかし本来のユーザーの意図を汲み取っていない広告ができてしまう可能性も十分にあります。

「広告との関連性」は公式ヘルプで下記のように記載されています。

このステータスは、キーワードと広告内のメッセージがどの程度合致しているかを示します。具体的には、広告主様のキーワードを使用した検索で表示される広告が、ユーザーが探している内容と直接関係しているかどうかなどです。

広告の関連性|Google 広告ヘルプ

特に「ユーザーがどんな情報を求めているか」については深く考えることが必要となります。例えば実際にコンバージョンが発生した検索語句を確認して、自然検索結果や競合の広告文を見る事で「ユーザーが求めてる情報は何のなのか」を理解するのがいいでしょう。

ユーザーの検索したいこと・知りたいことの延長線上にあること・大きく外れた訴求でない情報を広告に用いることにより、ユーザーがより求める広告を出稿することにつながります。

またその点を意識して広告文を作り込んだ上でも、実際に広告配信してみると思った以上に成果が出ないことはよく起こります。

その場合、実際にコンバージョンした人の話を聞き、広告文を考えるのが有効です。コンバージョンした人に直接「どのようなメッセージに惹かれたのか」をヒアリングする方が、データを細かく分析して PDCA サイクルを回していくよりもよっぽど効率が良いのです。

40名のコンバージョンユーザーに話を聞き、コンバージョン率を良化させた話

コンバージョンされた方と対話する事で、実際多くの情報を集めることができ、それらをベースに仮説を立てることができました。特に今回はその中で得ることができた情報と、実際にそれを使ってランディングページ改善をおこなった事例をご紹介します。

3.ランディングページを最適な形にする

ランディングページの利便性に関してはよく「ランディングページの読み込み速度」がよく代表例としてあげられます。これはGoogleが掲げる10の事実の中で「3. 遅いより速いほうがいい。」を挙げている影響によるものと考えられます。

しかしながら、大事なのは読み込み速度だけではなく、ランディングページにおけるユーザーが求める利便性すべてが対象となります。

特に以下5つに関しては、Google が公式ヘルプ上に記載している評価項目としてあげています。これらの項目を満たしていないものがある場合、それらの項目を満たす形に改良をおこない、最適なアクションが必要となります。

1.関連性が高く、有用で独創的なコンテンツを提供する

「ユーザーにとって有益で関連性が高いかどうか」という点は前述した通り、 非常に重視されています。そのため関連性が低く、またコンテンツに独創性がない場合は当然ランディングページとして不適切という形で評価されてしまいます。

「有用で独創的なコンテンツ」とは、ユーザーが求めているコンテンツが適切な形で設置されつつ、それがオリジナリティあるものかどうかという点にあります。

例えばユーザーが比較する事を望んでいないのにも関わらず比較サイトの広告を配信したとしてもそれはユーザーにとって有用ではありません。

比較サイトで、世に出回っている情報をまとめただけのものをコンテンツとして提供しているだけだと、オリジナリティあるものではないと判断される可能性が高いでしょう。

2.ビジネスの透明性を確保し、サイトの信頼性を高める

ビジネスの透明性や信頼性を高める取り組みとしてあげられる代表的なものが、企業概要ページのコンテンツを充実させることです。

例えば店舗や会社の連絡先情報はもちろん、電話番号、メールアドレス、資本金の明記などが挙げられます。B to B、B to C 問わず、ユーザーにとって必要な情報を記載することは安心してサービスを利用することに繋がるのでとても重要です。

3.モバイル デバイスやパソコンで簡単に操作できるようにする

少し分かりにくいので補足をすると、これは「どんな環境においてもユーザーにとって使いやすいサイトにする」ということです。

サイトを開いた際に操作性に難があったり、初見では目的のページやコンテンツの閲覧が困難な構造になっていると低く評価されてしまう可能性があります。基本的なユーザビリティを意識したランディングページであることが求められます。

4.ランディング ページの読み込み時間を短縮する

広告のリンク先ページの読み込み時間が長い場合、特にモバイルユーザーが離脱してしまう可能性が高まります。

モバイルサイトのほとんどの訪問者は、ページの読み込みに 3 秒以上かかると離脱してしまいます。それでも、ほとんどのモバイルサイトは読み込みに平均19秒もかかっているのが現状です。

Accelerated Mobile Pages(AMP)について|Google 広告ヘルプ

ランディングページの画像コンテンツなどを軽くするほか、AMP の使用も視野に入れて考える必要性があります。AMP とは AMP HTML 仕様に沿って作成された、モバイルウェブサイト閲覧を高速化することを目的としたオープンソースプロジェクトです。

通常は、ランディング ページの読み込みが速いほどコンバージョンの獲得数が多くなり、AMP を使用すれば読み込みの速いページを作成できます。スムーズですばやい読み込みが可能な AMP のランディング ページに切り替えれば、多くの場合で利便性が大幅に向上します。ランディング ページの利便性は、品質スコアと広告ランクを左右する重要な要素です。

Accelerated Mobile Pages(AMP)について|Google 広告ヘルプ

AMP の使用は技術面でハードルが高い場合もあるかと思いますので、まずは必要以上にコンテンツを詰め込んだ重たいページにしないことが、最適な広告のランディングページを設計する上では必要となります。

5.サイトを高速にする

「4.ランディング ページの読み込み時間を短縮する」とあわせて、ランディングページ以外のページを含むサイトそのものを高速化するのも必要です。

Googleは「サイトを高速化する」に関しては下記ツールの提供をおこなっており、下記「Test My Site 」というツールを使うことにより読み込みスピードがどのような状態であるのかを確認する事が可能です。

弊社公式サイトのテスト結果

また表示後にフィードバックを受けることが可能です。

フィードバック内容と改善方法

ユーザー視点の広告が結果的に品質スコアをあげる  

品質スコアは広告ランクと混同され、非常に誤解されやすい概念です。しかし品質スコアを正しく理解することが出来れば、パフォーマンスには直接的に働きかけずとも、より良い広告成果を自然と出すことに繋がってくるはずです。

そもそも「なぜ入札価格ではなく広告ランクによって広告掲載順が決まるか」と言えば、ユーザーにとって有益で関連性が高い広告が掲載されるようにするためです。

入札単価を引き上げれば掲載順位が上昇するのであれば、リスティング広告における広告主にとっての公平性が存在しないことになります。それではシステムとしては機能不全に陥ってしまいます。

Google も「品質スコアはこう使って欲しい」と考えコンテンツを用意しています。これらからも媒体側の意図を読み取り、適切な向き合い方で広告作成をしていくことが大切です。

この記事で紹介した3つの取組みで、ユーザーのためになる広告作成をして、結果として品質スコアの良化、広告ランクの向上につなげていきましょう。

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記事を書いた人

川手 遼一
川手 遼一

R&D室 室長

1年半ほどのインターンを経て2016年4月に新卒入社。営業チーム、広告運用チームを経験。BtoC、 BtoB、有形、無形商材問わず50社以上の広告運用に携わる。Yahoo!広告が好き。趣味はオーディオ、読書。

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