2008年からキーワードマーケティングに在籍し、以降10年以上広告運用に携わっている小島です。
最近、「生成 AI」という言葉をよく聞くようになりました。ChatGPT がリリースされて以来、「生成 AI」は一種の流行語のようになっていますよね。
私もさまざまな生成 AI を試している最中ですが、画像や動画を自動生成する AI は単純に遊びとして使っても楽しいものです。いろいろな生成 AI に課金しているため、お小遣いが減ってしまうのが悩みのタネではありますが・・・。
仕事である Web 広告の分野でも、さまざまな場面で AI が使われています。今回はその中でも Google 広告の「レスポンシブ広告」で使用できる「自動作成アセット」について紹介します。
「自動作成アセット」は、ランディングページや既存の広告、広告グループのキーワードなどに基づいて、レスポンシブ検索広告の広告見出しや説明文を自動で追加する機能です。
2023年12月現在、英語とスペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、日本語、オランダ語の8ヶ国語に対応していますが、2024年中にその他の言語にも展開されるようです。
参考 : 自動作成アセットについて | Google 広告ヘルプ
「自動作成」という名称は付いているものの、レスポンシブ広告そのものは手動で作成する必要があります。「自動作成アセット」は手動で作成したレスポンシブ広告に、自動で広告見出しや説明文を追加してくれる機能です。
なお、Google 広告には「自動生成アセット」という別の機能もあります。こちらは動的サイトリンクや動的構造化スニペットなどを自動で生成する機能なので、混同しないように注意してください。名称の違いが「作成」と「生成」だけなのでややこしいですが、機能が異なるのでしっかり区別しましょう。
参考 : Google 広告における「自動生成アセット(旧:広告表示オプション(自動))」とは | PPC-LOG
また、自動作成アセットは今後生成 AI を使用したものにバージョンアップしていくようです。生成 AI によってアセットが作成されるようになると、さらに多くの広告見出しや説明文を自動で作成してくれる機能になりそうですね。
参考 : AI 駆動の検索広告向けツールを使って創造性を高める | Google 広告ヘルプ
自動作成アセットを利用するメリットには、主に以下の3点があります。
以下で、それぞれについて詳しく解説します。
自動作成アセットは運用担当者が気付かなかった広告見出しや説明文を自動で追加してくれるので、よりクリックされる、もしくはコンバージョンをもたらす広告見出しや説明文が見つかる可能性があります。
この場合、当然ですが、自動で作成された広告アセットのデータを、既存の広告アセットのデータと比較して検証する必要があります。
自動作成アセットが作成する広告アセットは、ランディングページや既存の広告、広告グループのキーワードなどに基づいて作成されます。検索語句と広告、ランディングページのそれぞれで用いられる情報に一貫性が生まれることで、これら3つの関連性が改善される可能性が高まります。
ランディングページと既存の広告、キーワードの3つの関連性が高まれば、ユーザーにとって有益な広告であると Google に判断してもらいやすくなります。そのため広告の表示回数やクリック数といった、コンバージョンに至るまでのパフォーマンスも高まる可能性があります。
広告運用担当者は日々、より効果の高い広告を探すために、仮説に基づいて広告見出しや説明文を追加し、テストして検証するといったことをおこなっています。
自動作成アセットを使用すれば、この広告見出しや説明文の追加が自動でおこなわれます。
完全に「これ」というアセットを出したい場合を除いて、アセットの数が多ければ多いほど、効果的なアセットの組み合わせを見つけやすくなります。その追加作業を自動でしてくれるわけですから、自動作成アセットは運用担当者に重宝される機能だといえます。
自動作成アセットにはメリットが多い半面、その仕様上注意すべき点が1つあります。
自動作成された広告見出しや説明文は、必ずチェックしましょう。中には「広告として表示したくない文言」が入ってしまっている可能性があるためです。
例えば過去に50%オフセールを実施したキャンペーンで自動作成をおこなった場合、既存の広告などを参考に自動作成がおこなわれた結果、現在は実施していない「50%オフ」などの文言が新たに作成した広告に混ざってくる可能性があります。こういったものは目で確認し、手動で削除する必要があります。
確認する際は管理画面左のメニューバーから「広告とアセット」をクリックし、「広告」を選択します。レスポンシブ検索広告が表示されたら、広告文下の「アセットの詳細を表示」をクリックしましょう。
「アセットのソース」の欄に「自動作成」と表示されているアセットが、自動作成アセットで作成されたアセットです。
自動生成されたアセットのうち表示させたくないものは、一番左の緑色の丸印をクリックして「削除」に変更することで削除できます。
自動作成アセットの設定方法は簡単です。
自動作成アセットはキャンペーン単位で設定するので、まずキャンペーン一覧から自動作成アセットをオンにしたいキャンペーンを選択しましょう。以下のように、キャンペーン配下の広告グループなどが表示されたら、画面左のメニューバーにある「設定」をクリックします。
表示された画面で「自動作成アセット」の欄の右側の「∨」マークをクリックして内容を展開します。
開いた「自動作成アセット」の設定画面で「有効」のラジオボタンをクリックします。
注意書きが表示されるので、読んだうえで問題がなければ「有効にする」をクリックしましょう。
自動作成アセットの設定画面に戻り、「保存」ボタンをクリックすれば設定は完了です。
設定が完了したら、レスポンシブ広告の「アセットの詳細を表示」をクリックして、アセットが自動作成されているかを確認しましょう。「自動作成」とアセットソースに記載があるものが、自動作成アセットにより追加されたアセットです。
なお、稀に設定をおこなっても自動作成アセットが作成されない場合もあります。根拠となる文献がないため確証はありませんが、医療分野などのいわゆる「YMYL 分野」のキャンペーンの場合は自動作成されないようです。
2023年12月現在で、自動作成アセットを使用してアセットを追加すると、それまでに登録した広告の文言が追加されることが多いように感じます。
そのため、自動追加されたアセットも既視感があるものが多い印象です。
他のキャンペーンに手動で登録したアセットなども追加されることがあるので、追加されたアセットをしっかり確認することが必要です。
最後に、自動作成されたアセットの評価方法と、評価の際の注意点について紹介します。
ご存知の通り、Google 広告の管理画面上では、レスポンシブ広告の各アセット別の実績は「何回表示されたか」しか表示されません。そのため、追加された個々のアセットを評価することは難しいです。
このため、自動作成されたアセットはレスポンシブ広告自体のデータを「期間比較」で評価することになります。
自動作成アセットを有効にした日付を記録しておいて、その前後で CPC やコンバージョン率を比較しましょう。そして、もし追加したことでパフォーマンスが落ちているのであれば、追加したアセットを削除して元に戻すことをおすすめします。
今回は Google 広告の自動作成アセットを紹介しました。
最近、Web 広告周りでは生成 AI を使った新しい機能が次々と発表されています。特に今後はクリエイティブを自動で作成するような機能が追加されていくと考えられます。
自動で作成されるクリエイティブは何らかの根拠に基づいて作成されているはずです。そのため、もしかしたら担当者自身が気付かなかったポイントをフォローしてくれる可能性もあります。
経験上、新しい機能は全てが「当たり」ではありません。ですが「当たり」の機能だった場合、他の人たちが使い始めるまでの間は大きくパフォーマンスを上げることができるので、億劫にならずにどんどん試していきましょう。
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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