2004年に創業された Facebook は、現在もユーザー数を伸ばしている主要 SNS です。Facebook の MAU(Monthly Active User=月間アクティブユーザー)は25億5,000万人なので、世界の約30.2%の人が使っているサービスということになります。
参考:Facebook Reports Fourth Quarter and Full Year 2019 Results|Meta
今回はその Facebook や Facebook ファミリーと呼ばれる、Instagram、Messenger に出稿できる広告についてお伝えいたします。
広告出稿時の料金や費用がかかる仕組み、広告の種類や目的はもちろん、参考にしたい広告例も含めご紹介いたします。
Facebook 広告とは、主に以下の4つの掲載先に配置される広告を指します。
Audience Network(オーディエンスネットワーク)とは、 Facebook の審査を通過したサードパーティのアプリやサイトのことで、代表的なものにニュースアプリの Gunosy や飲食店情報サイトの食べログがあげられます。
日本での Facebook の MAU は 2,600万人(2019年7月時点)、Instagramは 3,300万人(2019年6月時点)と、人気のプラットフォームということもあり、広告を配信して効果が期待できる SNS だと言えます。
参考:CNET Japan|フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」–独占ロングインタビュー
参考:Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破|Metaについて
ここからは Facebook 広告が優れていると言われる理由の一つでもある、ターゲティング精度について説明させていただきます。
Google や Yahoo! といったプラットフォームや Twitter などの SNS 広告と異なる点を3つに絞って紹介いたします。
実名登録制で、基本的なプロフィール情報(年齢、性別、住んでいる地域など)はもちろんのこと、勤務先、趣味までを登録することができます。
また、興味のあるコンテンツ(いいねやシェアをしたもの)やその人がチェックインした場所までも情報としてもっているので的確なターゲティングが可能になります。
恋愛ステータスは Facebook がサービスとしてできあがったときに既にあり、創業当初から個人の情報が他の SNS よりも充実していたということがわかります。
この記事を読んでいる方の中にも、他のサイトのサービスやアプリを使うときに「Facebook でログインをする」を選択したことがあるのではないでしょうか。
これまでのブラウザごとの Cookie でトラッキングする方法であると、使用しているデバイス(スマートフォンやパソコン、タブレット)に Cookie が保存されます。しかし、異なるデバイスでアクセスしたときには、以前の情報は引き継がれず、その人が何をみたのかがわかりません。
ですが、Facebook ログインを使用していると、全て Facebook の ID で情報をもっているので、一個人あたりの情報が分散することなく、ストックすることができるのです。
ユーザーの興味関心を横断的に収集することができるため、広告配信時のターゲティング精度を非常に高めることができます。
Facebook 広告の「広告の目的」は主に3つにわかれています。3つの中でもどんな行動を促すのかによって細かくメニューはわかれています。こちらについては後ほど「目的によるキャンペーンの種類」で詳しく説明いたします。
Facebook 広告では「認知」「検討」「コンバージョン(購入)」という購買の3つのステップでユーザーに違ったアプローチをすることができます。
認知であれば、動画広告で繰り返し広告の配信をおこない、ユーザーへ情報を届けます。すぐにコンバージョンにつながらずとも、次のステップの検討や最終的なコンバージョンに繋がる可能性を高めることができます。
また、検討段階の広告では、ページへのいいねや投稿へのエンゲージメントを高めることができ、商品やサービスの魅力を伝えることができます。
具体的には商品のカルーセル広告などがあげられます。多くの商品をユーザーに見せることができるので、コンバージョンにより近づけることができます。もちろん検討段階以外でもカルーセル広告を使用する場合もあります。
コンバージョン目的の広告は、商品の購入はもちろんですが、来店数の増加も促すことができます。
広告の種類は、Instagram や Facebook Messenger も含め様々です。次に名称や特徴をまとめました。目的によって、選べる広告の種類は限られています。
写真(イラストも可)もしくは動画とテキストを組み合わせた投稿で、ウェブサイトへの誘導や商品・サービスの認知度を高めたいときに用いると効果的です。
特にウェブサイトへの誘導を促す場合は、一連の静止画広告を配信するほうがより効果的であるとの検証結果が Facebook の公式ページからも発表があります。
また、動画付きの投稿は、写真よりもリアルな商品・サービスの魅力を伝えることができます。動画を用いることでブランド認知度向上に繋がった事例に LTGAMES GLOBAL のプロジェクトがあります。
この事例では、ゲーム独自の機能を強調し、注目を集める動画広告を作成したほか、インフルエンサーがゲーム内で宝箱を開けるといったゲームプレイを実演する様子を取り上げています。結果として、ユーザー獲得のみのキャンペーンと比較して広告費用対効果が2倍になっただけでなく、ブランド認知度が2%向上するという成果を達成したとのことでした。
参考:LTGAMES GLOBAL: Facebook広告の成功事例|Meta for Business
ストーリーズ形式の広告はユーザーにアクションを促すことができるので、ウェブサイトへの訪問、店舗への訪問を促すことができます。
どのようなブランドのストーリーズに最も関心があるか質問された利用者のうち、52%の人は簡単にすぐわかるストーリーズを、50%の人は新商品の紹介を、46%の人はアドバイスを提供するストーリーズを見たいとそれぞれ回答しています。
引用元:ストーリーズ広告: スピーディーで臨場感あふれるフルスクリーンのモバイル広告を作成する|Meta for Business
上記の Facebook がおこなった調査によると、ストーリー形式の広告を見た半数以上の人がわかりやすい広告、新商品の紹介を求めていることがわかります。企業がストーリー形式の広告を用いる場合は、この2点をおさえてクリエイティブの作成をおこなうことが重要です。
Messenger では Facebook Messenger のアプリのチャットタブもしくは、Messenger 上部のストーリー部分に表示され、広告をタップすると指定のサイトへの誘導やユーザーとのメッセージスレッドを作成することも可能です。
広告メッセージを使って、問い合わせへの回答や商品の購入を促すことができます。Messenger 広告をうまく使っている企業に HERMES があげられます。以下は HERMES のMessenger 誘導広告の一部です。
左から順にメッセージのやりとりから自社ECサイトへ繋げるためのクイズを出題しています。こちらは Messenger 内で盗まれたアクセサリーの犯人を探し出すという物語があり、質問に答えていくとユーザーは HERMES 独自の世界観に惹き込まれていきます。
最終的には HERMES のアクセサリーを見るという項目が表れ、公式サイトのアクセサリーページに遷移する仕様になっています。
ユーザーの注目を自社の商品に集める広告になっており、SNS 上で話題になりました。
複数の商品や1つの商品の様々な側面を紹介したいときに役に立つのが、カルーセル広告です。
1つの広告で最大10件の画像や動画を追加することができ、それぞれに別のリンクを付けることが可能です。複数の選択肢や同じ商品でも異なる魅力的なポイントを紹介できるので、通常よりもクリック率(CTR)が高まる傾向にあります。
Facebookカルーセル広告とは?特徴と効果的な使い方、設定方法までを解説|株式会社キーワードマーケティング
Facebookのカルーセル広告では、最小2枚から最大10枚の画像や動画の設定が可能です。画像、動画ごとに CTA ボタンを設定できるので複数の商品を扱っているECサイトや、1つの商品で様々な推しポイントがあるものにはピッタリの広告です。デメリットや設定方法も詳しく記載したのでぜひご覧ください。
スライドショー広告では、動画広告よりも簡単に、かつ少ない費用で商品やサービスのストーリーを伝えることができます。
動画広告のおよそ1/5の容量なので、読み込みスピードが早く、接続環境が悪い場合でも比較的スムーズに表示されます。
文字や画像を組み合わせ説明することができるので、複雑な商品説明や利点を紹介する時に最適です。
商品の詳細情報を伝えることに優れているコレクション広告は、先ほど紹介したカルーセル広告と似ていますが、メインビジュアル1つと4つのサブビジュアルで構成されている点が大きく違います。
メインビジュアルの詳細をサブビジュアルの4枚で説明したり、メインビジュアルに関連するものをサブビジュアルとして用いて、ブランドのイメージを伝えるような構成も人気がある広告クリエイティブです。
【EC担当者必見】Facebookコレクション広告とは?クリック率3倍の事例と誰でも分かる設定方法|株式会社キーワードマーケティング
クリック率を3倍にしたFacebookのコレクション広告の事例と、初心者でもできるようになる丁寧な設定方法の解説あり!入稿規定やメリット、デメリットも紹介しています。
ここからは上記の広告種類を選んだ後に、ユーザーへアクションを促すために設定できるものを2つ紹介します。Facebook 広告の管理画面では広告の形式の中に内包されています。
プレイアブル広告は、アプリインストールを促す広告です。実際のゲームプレイ中のデモ画面を動画で見せることができ、最後には App Store または Google Play ストアへ誘導する CTA(Call To Action)を設置できます。
実際にアプリをダウンロードする前に、ゲームの内容やプレイしたくなる要素をみせることができるので、アプリインストールの回数を伸ばしたい時に利用すべき広告です。
インスタントエクスペリエンスは、モバイルデバイスで広告をタップすることでフルスクリーン表示になる仕組みです。ブランドや商品、サービスを視覚的に訴求することができるので、よりリアリティのある情報を届けることができます。
ここからは Facebook 広告が配信される場所を各プラットフォームに分けて紹介します。配置される面は4つあります。それぞれ特徴もあるので、広告配信時には、自社のターゲットにあうプラットフォームを選択しましょう。
Facebook ではフィード、インストリーム動画、右側広告枠、インスタント記事、Marketplace、ストーリーズ、リールに表示されます。PC 版ではフィードと右側広告枠のみになり、反対にモバイルでは右側広告枠は表示されません。
皆さんの中でも日常的に使用している人は多いのではないでしょうか。Instagram も Facebook 広告として配信することが可能です。
Instagram ではフィードとストーリーズの間に広告が表示されます。フィードでは5投稿に1回、ストーリーズでは3ユーザーごとに1回の頻度で広告が表示されます。ただし、ストーリーズの場合は自分がフォローしている人が連続でストーリーズを投稿している場合は、広告の表示頻度は異なります。(2020年4月時点。)
Messenger のアプリのチャットタブとストーリーズの間に表示されます。こちらの広告枠は、2020年4月現在、米国、カナダ、オーストラリア、フランスでは使用できません。
Audience Network は Facebook が提携しているサイトやアプリに配信される広告枠です。
米国で靴下のEコマースを展開する Bombas は、広告配置の選択肢に Audience Network を加えたことで、、広告費用対効果が20%向上し、顧客獲得単価は13%の減少、売上は前年同期比で69%増加しました。
Facebook というプラットフォーム以外にも他のモバイルアプリで配信しリーチ数を伸ばした結果だということがわかります。
参考:Audience Network: モバイルアプリにFacebook広告を表示|Meta for Business
ここまで、広告の目的と広告の配信される箇所について説明しましたが、目的によって最適な配信位置は異なります。
Facebook 公式ではマーケティングの目的に対応した広告配置を表にして発表しています。
Facebook 広告のターゲティングには、地域、性別、年齢などの基本的な設定と、カスタムオーディエンスもしくは類似オーディエンスという2つのターゲティング方法があります。
基本的な設定の中には、言語や友達とのつながり、ユーザーの興味関心なども含まれます。
ここからは、カスタムオーディエンスと類似オーディエンスの特徴とできることについて説明していきます。
カスタムオーディエンスでは、自分が持っているデータか Facebook がもっているデータをもとにターゲティングが可能です。
自分のデータを使用する場合、顧客の電話番号やメールアドレスをまとめたカスタマーリストやウェブサイトの訪問データ、アプリアクティビティと呼ばれるアプリ起動もしくはアプリの起動中に購入した商品データ、店舗への電話や来店情報などのオフラインアクティビティデータを準備する必要があります。
一方で、Facebook のデータを使用する場合、Facebook もしくは Instagram から活用できるデータを用いてオーディエンスの設定をおこないます。
Facebook のデータには以下のようなものがあります。
Facebook や Instagram で何かしらの接点を持っている場合、こういったデータも使ってターゲティングすることも可能です。
また、カスタムオーディエンスは1つの広告アカウントで最大500種類作成することができます。そのため、商品やサービスをいくつかのパターンに分けてターゲティングの設定をすることが可能です。
【画像で解説】Facebook広告のカスタムオーディエンスとは?仕組みや種類、設定方法まで
「限定的なターゲット設定」と「広いターゲット設定ができるFacebook広告のカスタムオーディエンス。活用例と実際の設定方法をFacebook広告マネージャの画面を用いて解説します。
類似オーディエンスとは、カスタムオーディエンスのリストに入っているユーザーと似ているユーザーへリーチできるターゲティング方法です。
既に作成してあるカスタムオーディエンスをもとに作成することができ、指定した地域の人口の中で、1%から10%で設定することができます。1%に近づくほど、類似度が高い設定になります。
Facebook 広告はユーザーへ表示する広告をどのようなものにするかを、同様のターゲティングをしている広告主との間でオークションを実施し決めています。
オークションでは広告の価値が高いもの(=ユーザーと広告主両者へ最も利益を生み出すもの)が勝ちます。そのオークションで決まる価値は以下の3つによって決定します。
推定アクション数と広告の品質によって、ユーザーへの広告の関連度が決まり、より少ない予算で成果をあげられるようになります。広告の関連度については、Facebook 公式の「広告関連度診断」を参考にしてみるとよいでしょう。
ここまで、Facebook 広告の種類や配信面、ターゲティング方法を説明させていだきました。次は、目的によって使いわけるキャンペーンについて解説いたします。
キャンペーンは「認知」「検討」「コンバージョン」という3つのステップで分けられていて、その中でも全部で11個のキャンペーンが存在します。認知、検討、コンバージョンの目的によって選べるキャンペーンは異なります。
自社の目的によって選択するキャンペーンは精査する必要があり、各企業の事業フェーズや商品・サービスの購買決定要因がどこにあるかを理解した上で選ぶ必要があります。
自社のビジネスやブランド、サービスへの認知度を高めたい場合使用します。ブランド認知度アップのキャンペーンはユーザーの中でも関心を示しそうなユーザーに広告を届けることができます。
新しい商品やサービスを広めたい場合に使用し、予算の中でできる限り多くの人に広告が見てもらえるように配信します。
Web サイトやアプリ、Messenger スレッドなどのリンク先への遷移を促すために使用します。また、モバイルアプリやデスクトップアプリにアクセスを促す、アプリエンゲージメントを高める際にも有効なキャンペーンです。
投稿へのいいねやコメント、シェア、イベントへの参加をしてもらう目的で使用します。またクーポンの使用をユーザーに促すこともできます。
文字通り、アプリのインストールを促します。iOS デバイスの場合には App Store へ、Android の場合には Google Play Store へ誘導する仕組みになっています。
製品発表や舞台裏の映像などの動画を配信し、ブランド理解を得るために使用します。検討段階にいるユーザー層へよりリアリティのある動画広告で印象づけることが可能になります。
広告主のブランドや商品、サービスに興味をもっているユーザーへ広告を配信し、セールスリードと呼ばれる、氏名や電話番号、メールアドレスといった情報を得ることができます。
商品やサービスの購入やそれに関する問い合わせのために Facebook Messenger や WhatApp、もしくは Instagram のダイレクトメッセージの利用を促す目的で使用します。
コンバージョン項目の「コンバージョン」では、商品の購入はもちろん、支払い方法の追加やウェブサイト、アプリでの何かしらのアクションの実行を促すキャンペーンです。
カタログ販売では、広告配信設定の際に商品やサービスのカタログを作成し配信します。複数の商品やサービスを見せることができるので、e コマースや宿泊施設、旅行、賃貸物件、自動車などを紹介することができます。
実際に店舗への来店を促すキャンペーンがこちらです。Facebook が指す店舗とは、レストランやジム、サロンなどのビジネスがおこなわれる所在地のことです。
地図や道順の表示などのオプションも使用することができます。
Facebook 広告の費用は基本的にはインプレッション課金と呼ばれるCPM(Cost Per Mille)を採用しています。ですが、一部のキャンペーンではクリック課金(CPC:Cost Per Click)を選ぶこともできます。
目的 | キャンペーン | 課金方式 |
---|---|---|
認知 | ブランド認知度アップ | CPM |
リーチ | CPM | |
検討 | トラフィック | CPM / CPC |
アプリインストール | CPM / CPC | |
動画再生数アップ | CPM / ThruPlay ※1 | |
リード獲得 | CPM | |
投稿へのエンゲージメント | CPM | |
メッセージ | CPM | |
コンバージョン | コンバージョン | CPM |
カタログ販売 | CPM / CPC | |
来店数の増加 | CPM |
※1.ThruPlay とは、動画の再生完了数もしくは15秒以上の再生により料金が発生する課金方式です。
広告に用いた動画が15秒以下だった場合は、動画が最後まで再生された場合に課金され、15秒以上ある動画の場合は15秒以上再生されたら課金の対象になります。
Facebook の広告クリエイティブは、各配信面や広告の種類によって画像サイズ、テキストの文字数が異なります。
画像やテキストの注意点については以下のページで紹介しているので是非ご確認ください。
参考:広告画像のテキストについて|Metaビジネスヘルプセンター
Facebook 広告ライブラリとは、Facebook、Instagram、Messenger、Audience Network で掲載中の広告を検索し、見ることができる機能です。
企業名を入力することで、Facebook 広告で現在掲載している広告を見ることができます。広告テキストや CTA (Call to action)と呼ばれるユーザーへの行動喚起の仕方までもが確認できます。
企業名やサービス名をいれても、Facebook ページしかでてこない場合は、Facebook 広告を現在配信していない、もしくは一度も配信したことがないということになります。
クーポン付きの広告はクーポンが非表示になっているなど、インプレッションやクリック率に影響が出ないようになっています。
参考:広告ライブラリ
Facebook 広告はユーザー情報をもとにした正確なターゲティングで広告を配信することが可能です。
Google、Yahoo! 広告を運用していて、まだまだ予算に余裕がある方や他の媒体でチャレンジしてみたいという方は是非お試しください。
マーケティング/編集長
2019年9月に編集者として入社。新卒は求人広告営業、その後は記事執筆・編集、採用を含むバックオフィス業務をやっていました。お弁当男子(おべだん)としてTikTokにてバズり中。見た目の割にトレンドには敏感。沖縄観光と都内の居酒屋に精通しているイケイケドンドン、少し心配性なオオクボです。
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