商品やサービスを販売するウェブサイトからスーパーの掲示板まで、いたるところで目にする「お客様の声」は、言い換えれば、企業の商品やサービスに対する顧客の評価です。そんな「お客様の声」は、これから購入や契約を検討している顧客にとって、非常に価値のある一次情報です。
企業がアンケートやインタビューで「お客様の声」を集めているのをよく目にしますが、それを上手く活用できているかは企業の担当者次第です。
そこで今回は、「お客様の声」を集めることの必要性や集めるときのポイント、効果的な見せ方までを余すところなく紹介します。今後のマーケティング活動のヒントにしてもらえれば幸いです。
企業のマーケティング活動に「お客様の声」が必要な理由は3つあります。
「お客様の声」は、実際に商品やサービスを買ったり、使ったりしたことがある人の声なので、まだ検討中の見込み顧客にとっては、自分が知らない、知りたい情報の宝庫です。そのため、たとえ些細なものであっても、見込み顧客からすると安心感に繋がる可能性が高い情報です。
「お客様の声」は、見込み顧客が商品やサービスを選ぶときの判断基準にもなります。判断基準には「価格」や「ブランド」、「納期」、「立地」などがありますが、その一つに「第三者評価」があります。
「第三者評価」にもいろいろあり、公式機関の認定証やメディア掲載、そして「お客様の声」があります。「お客様の声」には「商品にどのような特徴があるのか」や、「実際使って効果があったのか」という情報が含まれるため、商品やサービスをまだ利用したことがない人が、利用するイメージを抱きやすい情報となります。
「お客様の声」は見込み顧客への参考情報になるだけでなく、商品やサービスの改善にも活用できます。お客様の感想全てが好意的なものだとは限りません。なかには不満や厳しい意見もありますが、お客様が抱えている課題や問題点を知るきっかけにもなります。
「お客様の声」に不満や要望があったら、改善のチャンスです。「お客様の声」には、顧客が商品やサービスに求めていることが反映されているため、企業は顧客ニーズにあわせて戦略を立てることができます。「お客様の声」は、企業のマーケティングを改善するための情報になるのです。
「お客様の声」は、商品やサービスの具体的なイメージができるものを集めるようにしましょう。そのために必要なポイントを8個紹介します。
最初に「お客様の声」を集める対象者を明確にしましょう。今後のお客様にとって参考になる情報は、実際に商品やサービスを購入や契約した人です。それらの人が「お客様の声」を集めるべき対象者になります。
情報を集めるときには、「購入した商品」と「性別」、「年齢層」、「職業」、「購入履歴」、「購入時期」、「利用状況」や「利用頻度」を明らかにすると価値ある情報になります。
「お客様の声」を集めるときは、誰もが納得できる公共性のある理由付けがあると回答してもらいやすいです。
例えば、小児歯科が虫歯治療を受けた方にアンケートをとる場合、「虫歯のない子供を増やし、子供の笑顔を守るための治療サービスの改善アンケート」なら、同じ子供がいる親は熱意をもってアンケートに答えてくれることが期待できるでしょう。
アンケートやインタビューで「お客様の声」を集めるときは、購入前と購入後や、体験前と体験後の話を聞きましょう。導入前後の話を聞くことで、お客様が導入前に感じていた問題や課題、導入に至った背景や期待を知ることができます。
そして、商品やサービスの導入により、問題や課題がどう解決したのかを知ることもできます。商品を利用することで、お客様の状況の変化を確認でき、見込み顧客も使用イメージを抱きやすくなるので、導入前後の話を聞くようにしましょう。
アンケートを依頼するときに回答例も一緒に掲載すると、回答の仕方をイメージしやすくなります。
例がないと、簡素で味気ない内容になったり、アンケートが返ってこない可能性もあります。回答例はアンケートの質だけでなく、回答率を上げることも期待できます。
広告運用に関する講座の場合 | 回答例 |
---|---|
NG 例 | 受講して勉強になりました。分かりやすかったです。 |
OK 例 | 講座では検索広告の基礎から事例を含めて解説してくれたので分かりやすかったです。私は検索広告を出すのが初めてですが、管理画面を映して操作方法を説明してくれたので、迷うことなく広告を出すことができました。 広告運用も管理画面でチェックするポイントから分析する手順まで丁寧に説明してくれたので勉強になりました。初心者の私でも問題なく広告運用に取り組めています。ありがとうございました! |
ただ、インタビュー形式で聞く場合は、最初から例を出さない方がよいでしょう。なぜなら具体例を伝えると、誘導尋問になってしまう可能性があるからです。インタビューで例を出すのは、顧客が回答の仕方に困っているときがよいでしょう。
クーポンやポイントを回答のお礼として用意すると、回答率の向上が期待できるうえに、回答意欲を高めることにも繋がります。お礼は、アンケートやインタビューに対応してくださった方への感謝の気持ちです。できる限り用意しましょう。
回答率を上げるために締め切りを設定しましょう。締め切りを設定しなかった場合、「回答しなくてもいいか」という気持ちになり、回答率が下がってしまうことも考えられます。
締め切りは少し余裕を持たせて、1週間程度設定するとお客様の負担が減り、ゆっくりと時間をかけて回答してもらえます。
「お客様の声」は詳細なほど説得力が増します。いい感想をお客様からいただいたら、ランディングページにへの掲載許可を確認しましょう。ランディングページに掲載された「お客様の声」は、見込み顧客の安心感に繋がります。
「お客様の声」には個人情報やプライバシーに関する情報が含まれているため、掲載する許可を必ずとりましょう。
「お客様の声」をランディングページに掲載する場合、10件以上集めることを目指しましょう。質もですが量も大事です。ページに掲載する声は10件以上あると、顧客の存在が伝わります。また数を集めることは、内容に偏りがないようにする視点でも大事です。
「お客様の声」をもとに商品やサービスの改善をおこなうとき、2、3件では少ないです。市場にあるごく少数の声を拾っているにすぎないかもしれないからです。集めた声から傾向を把握するためにも、「お客様の声」の数はできるだけ多い方がよいです。
集めた「お客様の声」は、ランディングページ(サイト)やチラシ、パンフレットに掲載したり店舗に掲示したりと、さまざまな場面で見せることができます。ここからは効果的な「お客様の声」の見せ方のポイントを4つ紹介します。
「お客様の声」は、信ぴょう性が高まるように掲載することが大切です。そのためには「属性データ」と「リアル感」を意識した掲載を意識しましょう。
属性データは、お客様の個人情報やプライバシーに関わる情報のため、必ず了承を得て掲載してください。属性データには、お客様の「名前」と「性別」、「年齢」、「職業」、「肩書」、「会社名」に関する情報などがあります。
さらに、お客様の写真も可能であれば掲載しましょう。属性データや写真があると、実在する人物の声だと示すことができます。
集めた「お客様の声」は、「リアル感」を出すためにできるだけそのまま載せましょう。誤字脱字を修正するような編集は OK ですが、あまりに編集箇所が大きいとリアル感がなくなり、信ぴょう性が失われる可能性があります。
一人一人の性格は、言葉や表現に出ます。「お客様の声」をそのまま掲載した方がリアル感が出ます。つまり、実際に商品を利用した、サービスを体験したことが伝わるのです。リアルな感想を掲載する方が、商品に対する評価の信ぴょう性が高まり、効果も期待できます。
集めた「お客様の声」は、単純に羅列するだけではもったいないので、見込み顧客の不安解消や、購入の後押しになりそうな声を優先的に掲載しましょう。
例えば、ホームページ作成ソフトを販売する企業の見込み顧客の不安が「初心者にも使えるか」というものだった場合、「お客様の声」に掲載したい内容は、「パソコンが苦手でもホームページを公開できた」ことや、「操作が簡単で作業に困らなかった」のような声です。そういった「お客様の声」があることで、見込み顧客の不安解消に繋がり、購入の後押しになります。
購入の後押しになる声を優先的に掲載しつつ、最近のものから優先して掲載しましょう。「お客様の声」は時間の経過とともに変化することがあります。市場(顧客)のニーズや欲求は時代により変わる可能性があり、過去の欲求は、今の時代のニーズを反映していない可能性もあります。
過去に集めた声を今の見込み顧客に出しても、安心感に繋がらないかもしれません。
また、過去の声を参考に商品やサービスを改善している場合、時代錯誤になってしまうこともあります。過去に集めた声は、今のマーケティングで使えないこともあるのです。掲載した「お客様の声」を定期的に見直して、いつでも時代にあったものを掲載できるよう追加や削除するようにしましょう。
掲載する「お客様の声」は、情報の偏りがないかを確認して掲載しましょう。同じような内容ばかりを掲載するのではなく、できるだけ多様な声を掲載しましょう。
例えば、見込み顧客が商品を購入する判断基準は「価格」や「サポート内容」、「スピード感のある顧客対応」など、人によってさまざまです。
どのお客様にとっても参考になるよう、幅広い内容にしましょう。価格について評価している声ばかりを掲載するのではなく、サポート内容やスピード感のある顧客対応を評価している声も掲載します。これにより偏りがない掲載を実現できます。
「お客様の声」は、運用型広告やランディングページに掲載するためだけに使う情報ではありません。他にもパンフレットや店頭への掲載、商品やサービスの改良に活かすこともできます。
そして、「お客様の声」から新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあるのです。お客様のポジティブな声でスタッフの意欲が高まりビジネスが活性化する、なんてこともあるかもしれません。企業のマーケティング活動のさまざまな場面で使える情報なのです。ランディングページへの掲載のためだけでなく、ビジネス全体で活用してください。
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全国400社以上の研究会員の運用型広告・マーケティングコンサルティングを担当。養成講座では500人以上を教育。コンサル・講師・執筆業から、広告運用代行、ホームページ制作、システム開発まで担当。自社ビジネス成長のための製品開発、販売をする実践家でもある。自他ともに認める変わり者。徳島県出身。
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