広告を運用するとなると考えるべきこと、決めるべきことは無数にあり、それぞれ商品やサービスを理解して確認していかなければいけません。
上記のようなことをアカウント作成時に考えるかと思います。ただ、それよりも優先して考えなければならないのは広告運用をするときに基準となる指標です。
指標にすべきものもいくつかありますが、初めて広告を出される方を対象に、広告費の決定や日別の予算にも関係のある目標 CPA についてこの記事で解説していきます。
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広告を出して得られるデータには、広告の表示(インプレッション)やクリック数、CTR(クリック率)などがあります。そんなデータの中の1つに CPA(顧客獲得単価)があります。
CPA(Cost Per Acquisition)は、購入や問い合わせなどのコンバージョン1回を獲得する単価を指します。広告運用をするときは、指標に CPA を選ぶことが多くあります。
Google 広告や Yahoo! 広告などの運用型広告を出すときは、購入や問い合わせ、資料請求などのコンバージョンを主に目的にします。目的が決まれば、その目的を具体的な数字で表す目標を決めることができます。
コンバージョンが目的なのであれば、コンバージョンに関する目標を設定しましょう。1回あたりのコンバージョンを獲得する単価を目標として定めると広告の良し悪しを判断しやすくなります。
目的がコンバージョンのとき、1回あたりのコンバージョンにいくら広告費を使ってもいいことはないですよね。そのため、広告アカウントを構築する前に必ず、「1回あたりのコンバージョンを◯円で獲得する」といった目標 CPA を決めるのが重要です。
広告運用は目的思考で取り組むことが大事です。コンバージョンが目的のときは、まずコンバージョンに関するデータに注目します。
注目するデータは、使用した広告費と広告費を使って獲得したコンバージョン数、コンバージョン1件あたりに使った広告費である CPA の3つです。
CPA は Google 広告だと「コンバージョン単価」と呼ばれます。コンバージョン単価が目標 CPA より低いときは良い結果といえますよね。
ただ、目標 CPA よりコンバージョン単価が高い場合は、そのまま広告を出し続けると赤字になるので、広告を改善しなければなりません。
どれだけクリック率が高くて、平均クリック単価(広告1回のクリックの平均単価)が低くても、目標 CPA よりコンバージョン単価が高いままだと結果は悪いとの判断になります。
もちろん、平均クリック単価やクリック率も大事な指標です。例えば、コンバージョン単価が高くなる原因の1つは平均クリック単価の高騰なので、平均クリック単価は高いよりは低い方がいいです。
ただ、最優先で見るデータではありません。インプレッション数やクリック率、平均クリック単価などのデータは、広告費、コンバージョン数、CPA に問題があるときに確認しましょう。
目標 CPA は、物販のような「サイトで売上が発生するビジネス」と、サービス業のような「問い合わせや資料請求をしたのちに売上になるビジネス」で決める方法が異なります。
コンバージョンが購入の場合は、広告をクリックして訪れたサイトで売上が発生します。サイトで売上が発生するビジネスでまず求めるのは「限界 CPA」です。
限界 CPA は、コンバージョン1回に対して出せる最大の広告費になります。収支はプラスマイナスゼロのような状況です。
これだと利益が出ないので、「なんのために広告を出しているんだ・・・」となりそうですよね。そのため、限界 CPA は目標にしません。限界 CPA から逆算して目標 CPA を決めます。
限界 CPA は、商品単価から原価を引いた金額です。例えば、商品単価が10,000円で、原価が7,000円の場合は、限界 CPA が3,000円になります。
客単価ですが、リピート(定期購入)が前提のビジネスは、リピートを考慮した単価で計算しましょう。
原価は、商品を生み出すのに使ったお金のことです。原価に含まれるのは、材料費、人件費、光熱費などありますが、原価にどの費用を含むかは業種業態や、会社によっても異なります。
原価がどの範囲まで及ぶか分からないときは、商品(ビジネス)に詳しい上司や社長に確認しましょう。
限界 CPA が求められたら、限界 CPA の中で広告費としていくらを使うかを考えます。以下の2つを考えて計算してみるといいでしょう。
利益として残したいお金と経費を決めたら、限界 CPA からそれらの金額を引きます。限界 CPA から、利益として残したいお金と経費を引いた金額を目標 CPA とするわけです。
例えば、商品の販売価格が5,000円、限界 CPA が3,000円、利益として残したいのが1,000円、経費として使うお金が500円の場合、目標 CPA は1,500円になります。
どれくらいを利益として残したいのか、経費として必要なお金がどれくらいか分からないときは、原価と同じく、ビジネスに詳しい方に確認してください。
物販の場合、広告を出すときは ROAS(Return On Advertising Spend)を目標にすることもあります。ROAS は、広告費に対してどれくらい売上をあげることができたのかを測る指標です。
ROAS は広告の費用対効果を表し、計算式は「広告経由の売上÷広告費×100」になります。ROAS の値は高いほど、広告の費用対効果が高く、広告の効率が良かったといえます。
ROAS はサイトで取り扱う商品が複数あるビジネスの場合、指標としてよく使われます。商品が1つだけであれば、コンバージョンごとに発生する売上は基本的に同じです。
一方で商品が複数ある場合、価格帯が異なることが多いので、コンバージョンごとに発生する売上も異なります。コンバージョンごとに売上が異なる場合は、CPA よりも売上を考慮する ROAS を指標とする方が正確な評価ができます。
しかし売上を考える必要があるので、広告運用初心者にとっては、初めから ROAS を指標にするのは難しいと思います。そのため、まずは CPA を目標にして広告運用をすると良いでしょう。
CPA を目標にした広告運用で成果を出せるようになったら、目標を ROAS にすることを検討してみてください。
コンバージョンが問い合わせや資料請求の場合、サイトで売上は発生しません。売上が発生するのは、問い合わせや資料請求をした人が商品・サービスを購入、契約したときです。
この場合も、サイトで売上が発生するビジネスと同じで、まずは限界 CPA を求めます。サイトで売上が発生しないビジネスの場合、計算するとき必要になるのが「成約率」です。
成約率は、問い合わせや資料請求した方を営業担当者などがフォローし、その結果、成約や契約できた割合です。
例えば、問い合わせが10回発生して5人が成約したら成約率は50%です。コンバージョンした人の中から何人が成約しているかを見て、成約率を決めましょう。
成約率を決めるときは「フォーム以外からのコンバージョン」も考慮しましょう。問い合わせであれば、フォームだけでなく電話やチャット、LINE の可能性もあります。フォーム以外の問い合わせも考えた上で成約率を求めましょう。
成約率がわからないときは、ビジネスに詳しい社長や上司に確認してみてください。広告運用を代行されている方は、クライアントさんに確認しましょう。
限界 CPA の計算ですが、まずは商品単価から原価を引きます。ここまでは、サイトで売上が発生するビジネスと同じですが、そのあとに成約率をかけて限界 CPA を求めます。
例えば、商品単価が20万円で原価が5万円、成約率が50%の場合、計算すると、限界 CPA は75,000円((200,000-50,000)×0.5=75,000)になります。
限界 CPA が求められたら、サイトで売上が発生するビジネスと同様、限界 CPA の中でいくらまで広告費として使えるかを考えましょう。限界 CPA から、利益として残したいお金と経費を引いた金額を目標 CPA にするわけです。
ここまで目標 CPA の決め方を説明しましたが、もし決めないとどうなるのでしょうか。
目標 CPA を決めずに広告運用してしまうと、管理画面に表示される数字を適切に判断できなくなるため、広告投資がギャンブルになります。
広告運用で大事なのは、広告配信した結果を見て、分析・改善に取り組むことです。目的がコンバージョンであれば、コンバージョンの視点での適した判断が求められるのです。
広告を配信した結果が良いのか悪いのか判断できないと、改善に向けて入札単価を変更したり、キーワードや広告を追加するアクションができなくなります。
広告運用の結果はお客さんや上司に報告しなければなりませんが、報告も曖昧になります。お客さんに「広告の成果はどうですか?」と質問されても適切な回答ができません。そのため、広告運用をはじめる前に、まずは目標 CPA は必ず決めましょう。
コンバージョン単価が5,000円の場合、目標 CPA が3,000円なら悪いという判断になり、目標 CPA が7,000円であれば良いという判断ができます。
自社で広告を出すときも、広告を運用代行するときも、広告を使って目的、目標を達成することを目指します。
目的がコンバージョンの獲得であれば、目標 CPA を決めることは必須です。目標 CPA がないと良い広告運用ができないので、目標を達成できず失敗に終わる可能性があります。
目標 CPA を決めるのには、原価や成約率などが必要となりますが、広告代理店の場合、原価や成約率は親しくならないと聞きにくいかもしれません。
そんなときは、この記事の内容をクライアントさんに説明し、原価や成約率を計算してもらうのも良いでしょう。
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