2008年からキーワードマーケティングに在籍し、15年以上広告運用に携わっている小島です。
これまで保険診療(耳鼻科や皮膚科など)や自費診療(インプラントや美容外科など)の病院・クリニックの広告運用に携わっています。経験上、インターネットにおける医療広告(病院・クリニックの広告)は難しい面もあるものの、適切に対応すれば効果は出るものだと実感しています。
医療は身体に関わるので、広告には厳然たるルールが定められています。ルールに従い、医療広告を理解した運用ができれば、Web 広告による集患は可能です。
今回の記事では、私が医療広告の運用に携わった経験をもとに、医療機関(病院・クリニックなど)の広告について、概要や媒体ごとに定められているポリシーの解説、Web 広告を出すときの方針を保険診療と自費診療(自由診療)の2つのパターンに分けて紹介します。
医療における広告は原則禁止されています。しかし、一部の条件を満たすことで限定的に広告の掲載が認められているものもあります(限定解除)。以下は医療広告での禁止事項とその詳細です。
医療広告で禁止されているもの | 詳細 |
---|---|
広告が可能とされていない事項の広告 | ・専門外来:「リウマチ」や「アトピー」などの専門外来(保険診療や健康診査等の広告可能な範囲であれば、「糖尿病」や「花粉症」などは可能であり、専門外来を一律に禁止はしていない) ・死亡率、術後生存率 ・未承認医薬品 |
虚偽広告 | ・「絶対安全な手術です!」などの医学的根拠や調査方法の提示がないものや、加工や修正をした手術前後の写真など |
比較優良広告 | ・他の病院や診療所と比較して自院が優良とする旨の広告 ・「No.1」や「日本一」などの最上級表現も禁止 ・「芸能人も〇〇医師を推薦!」などの著名人と関連する旨の広告も禁止 |
誇大広告 | ・施設規模や人員配置、医療内容などを誇張する広告 ・広告での表示価格が、複数箇所施術した場合の1箇所あたりの費用である広告や、小さな注釈があっても常識的に見落とす可能性があるもの ・出術や処置などの効果や有効性を強調するもの ・伝聞や科学的な根拠が乏しいもの |
患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談 | ・患者自身の体験や家族などからの伝聞に基づく主観的な体験談 ※ 個人運営の Web サイトや SNS、口コミサイトなどへの投稿は依頼しているなどの誘引性がない場合は広告に該当しない |
治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等 | ・手術処置前後の写真やイラストのみで説明が不十分なものの掲載 ※ ただし、治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明があれば掲載は可能 |
公序良俗に反する内容の広告 | ・わいせつ、もしくは残虐な図画や映像又は差別を助長する表現など |
その他 | ・「◯円キャンペーン実施中」や「◯◯治療し放題プラン」などの費用を強調したり、「無料相談申込みの方は〇〇をプレゼント」などの医療内容と関係ないことでの誘引、ふざけたもの・ドタバタ表現による品位を損ねる内容の広告 ・他法令又は他法令に関する広告ガイドラインで禁止される内容の広告(医薬品医療機器等法や健康増進法、景表法不正競争防止法に該当するもの) |
限定解除は、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)」に記載のある①~④の要件を満たす必要があります(③と④は自由診療のみ)。例えば、特定の語句(ガン治療など)を検索したときに、意図的に広告を表示するようにした場合、限定解除の要件を満たしていないと判断されます。
2 広告可能事項の限定解除の具体的な要件
引用元:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)
広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④のいずれも満たした場合とする。 ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
なお、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)によると以下の2つを満たす場合、広告に該当すると記載されています。
誘引性は、情報発信されているものを見て、何か有益なことが起こることを期待して行動を起こすかどうかで判断されます。
なお、①でいう「誘引性」は、広告に該当するか否かを判断する情報物の客体の利益を期待して誘引しているか否かにより判断することとし、例えば新聞記事は、特定の病院等を推薦している内容であったとしても、①でいう「誘引性」の要件を満たさないものとして取り扱うこと。
引用元:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)
医療広告ガイドラインは40ページ弱の内容ですが、医療広告を検討しているのであれば、一度自分の目で確認しておくことをおすすめします。
なお、医療広告ガイドラインは医療法改正などのタイミングで変更されることが多いため、厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」も定期的に確認するといいでしょう。
医療広告ガイドラインによる医療広告の定義は、患者に対して受診などを誘いかけること、医療行為や歯科治療をする者の氏名もしくは名称、病院名、診療所名が特定可能なもの、どちらかもしくはどちらも満たすものとしています。以下は医療広告ガイドラインにおける「広告」の定義です。
法第2章第2節「医業、歯科医業又は助産師の業務等の広告」の規定による規制の対象となる医療に関する広告の該当性については、次の①及び②のいずれの要件も満たす場合に、広告に該当するものと判断されたい。
① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
引用元:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)|厚生労働省
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
実際の広告物としては、Web 広告はもちろん、チラシやパンフレット、ダイレクトメール(DM)、ポスターや看板、アドバルーン、新聞、雑誌、不特定多数の人向けの説明会や相談会、キャッチセールスなども規制の対象です。
本指針第2の1において、広告の定義を示しているところであるが、広告の規制対象となる媒体の具体例としては、例えば、次に掲げるものが挙げられる。
【具体例】
引用元:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)| 厚生労働省
ア チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
イ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの
ウ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの
エ 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)
オ 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの
医療広告ガイドラインでは、サイト(ホームページ)も広告の一部として評価されます。そのため、広告経由でユーザーが訪れるページ(ランディングページ)も規制の対象です。
例えば、サイト内のドクターの経歴に「〇〇専門医」といった表記を入れるとします。しかし、専門医を名乗るのであれば、認定団体の名称を資格名と一緒に示す必要があるので、「〇〇専門医」だけではガイドラインに抵触します。これは「医療広告ガイドラインに関する Q & A」の A 3-5に明記されています。
A3-5 「広告可能な医師等の専門性に関する資格名等について」(平成 25 年 5 月 31 日付けの医政総発 0531 第 1 号医政局総務課長通知)において広告が可能となっている資格名等について広告可能です。なお、広告に当たっては、「医師○○○○(××学会認定××専門医)」のように、認定団体の名称を資格名とともに示す必要があります。また、専門性の資格については、各関係学術団体により認定されるものですので、例えば、「厚生労働省認定○○専門医」等の標記は虚偽広告、単に「○○専門医」との標記は誤解を与えるものとして誇大広告に該当するため、広告できません。ただし、認定医や指導医などについて、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。なお、研修を受けた旨や専門性に関する医療広告の取り扱いについては、今後、検討予定です。(関連:Q2-21、Q3-6、Q3-7)
引用元:医療広告ガイドラインに関する Q & A| 厚生労働省(平成 30 年 8 月作成)
医療広告ガイドラインは、Web 広告に関しても例を用いて詳しく解説されています。Web 広告に関する記載は2007年頃から始まりました。
分かりやすい例が「医療広告ガイドラインに関する Q & A」に掲載されています。例えば、2017年の医療法等改正法の成立を受けた、バナー広告の取り扱いに関する記載が以下のものです。
Q1-7 インターネット上のバナー広告の取り扱いは、法改正に伴って変わったのでしょうか。(P.2,32)
A1-7 バナー広告に医療機関の名称が記載されているなど特定性がある場合は、広告に該当するため、医療法及び医療広告ガイドラインで認められた広告可能事項に限って、広告可能です。
なお、従前はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトはバナー広告と一体的に取り扱うこととされていましたが、改正医療法施行後はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトであっても、リンク先の医療機関のウェブサイトは患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトになりますので、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。
引用元:医療広告ガイドラインに関する Q & A | 厚生労働省(平成 30 年 8 月作成)
医療広告ガイドラインでは、街中で目にする看板も規制の対象と明示しています。Web 広告やテレビ CM、新聞広告は、代理店が間に入り厳格なチェック体制を敷いているため、問題は起こりづらいです。
しかし、看板広告ではうっかり医療広告ガイドライン違反を起こしてしまうことがあります。
例えば「〇〇病院 透析センター」と書かれた看板広告は街中で見かけることもありそうですが、医療広告ガイドラインに違反した内容です。病院や診療所は正式名称のみが広告に使用できるので、医療機関の正式名称に病名やその他の文言を追記することは禁止されています。
Q5-5 医療機関の名称に併せて、「○×医院 糖尿病クリニック」、「〇×病院 ○○センター」は、広告可能でしょうか。(P.8,16)
A5-5 病院や診療所の名称については、正式な名称のみを広告可能であり、「○×医院 糖尿病クリニック」、「〇×病院 ○○センター」のように医療機関の正式名称に併せて広告することはできません。 ただし、法令の規定又は国の定める事業を実施する病院又は診療所であるものとして、救急救命センター、休日夜間急患センター、総合周産期母子医療センター等、一定の医療を担う医療機関である場合又は当該医療機関が当該診療について、地域における中核的な機能、役割を担っていると都道府県等が認める場合に限り、「〇×病院 ○○センター」と広告可能です。
引用元:医療広告ガイドラインに関する Q & A | 厚生労働省(平成 30 年 8 月作成)
一部の例外を除き、看板広告に載せる内容もここまで細かく定められています。
厚生労働省が定める「医療広告ガイドライン」を大前提としたうえで、各広告媒体によって定められた医療広告のポリシーもあります。厚生労働省に加えて各媒体のポリシーにも従わないと Web 広告は配信できません。
Google 広告、Yahoo!広告の医療広告に関するポリシーは、それぞれ特徴があります。そのすべてを紹介することはできませんが、意識していないとうっかり違反してしまいそうな項目をピックアップして紹介します。
ちなみに Yahoo!広告では、そもそもディスプレイ広告で広告の主体者情報(名称や連絡先など)を明記しないと広告の掲載ができません。そのため院長の学歴や職歴、病院やクリニックの所在地、連絡先など、いわゆる「会社概要」にあたる記載がないとポリシー違反となります。
参考 : 1. 広告の主体者の明示【第9 章1.関連】| Yahoo!広告ヘルプ
Google 広告のポリシーで特徴的な規制は以下の3つです。
リマーケティング広告とは、一度サイトに来たユーザーに対して表示する広告です。リマーケティングは「パーソナライズド広告」の一種で、「健康」に関するサービスをおこなっている医療機関は利用できない広告となっています。
健康(パーソナライズド広告の場合)
次の個人の健康に関するコンテンツが含まれます。・身体的または精神的な健康状態(疾病、性に関する健康、長期的な治療や管理を必要とする慢性的な健康障害を含む)
・慢性的な健康障害の治療や管理のための商品やサービス、処置(市販薬や医療器具を含む)
・身体のプライベートな部位(性器、腸、泌尿器など)に関係する健康問題
侵襲的な医療処置(美容整形を含む)
・心身の障害(ユーザーの主な介護者に向けたコンテンツを含む)例: 糖尿病や関節炎などの慢性的な健康障害の治療、性感染症の治療、うつや不安といったメンタルヘルスに関する問題の相談サービス、睡眠時無呼吸症状に対応する医療器具(CPAP 装置など)、イースト菌感染症向けの市販薬品、自閉症児支援に関する情報
引用元:パーソナライズド広告 | Google 広告ポリシーヘルプ
また、Google 広告は FDA(Food and Drug Administration : アメリカ食品医薬品局)によって規制されている薬品に関する規制が厳しいです。規制を受ける具体的な薬品名は「処方薬|Google 広告ポリシーヘルプ 」に掲載されています。この中の薬品名が自社のサイト内にあると、ポリシー違反となる可能性があります。
例えば「ボトックス治療」は一般的な治療ですが、「botox」の文言があるだけでポリシー違反になる可能性があります。
さらに、最新医療技術の一部もポリシー違反になる可能性が高いです。
実証されていない試験的な医療の宣伝。
例(すべての例を網羅するものではありません): バイオハッキング、DIY による遺伝子組み換えキット、遺伝子治療キット細胞治療または遺伝子治療の宣伝(当局の承認の有無を問いません)。
引用元:実証されていない試験的な医療に関するポリシーの更新内容(2021 年 4 月)| Google 広告ポリシー ヘルプ
例(すべての例を網羅するものではありません): 幹細胞治療、細胞治療(幹細胞以外)、遺伝子治療および類似の形式の再生医療、多血小板血漿
Yahoo!広告は、医療広告ガイドラインに沿った内容のサイトや広告でないとポリシー違反になり、広告出稿できない可能性が高いです。
実際、Yahoo!広告のヘルプにも具体的に「医療法および医療広告ガイドラインで規定されている内容を遵守していること」と記載されています。
(3) 医療法および医療広告ガイドラインで規定されている内容を遵守していること
引用元:医療機関 | Yahoo!広告
医療機関に関する広告を行う場合、医療法および厚生労働省が定める医療広告ガイドラインの内容をご確認いただき、法令等を遵守した広告作成を行ってください。
したがって、少しでも病院・クリニックの優位性を語った文言があると、ポリシー違反として広告を出稿できない可能性があります。掲載不可の表現も公式ヘルプページに記載があります。以下は参考になる事例と理由をヘルプページから引用したものです。
事例 | 理由 |
---|---|
10万人以上の方が当院へご相談いただいています。 | 外来患者数等の広告をするには当該患者数に係る期間を暦月単位の併記が必要 |
2週間で90%の患者で効果がみられます。 | 個々の患者の状態により結果は異なるため掲載不可 |
当院は県内一の医師数を誇ります | 人員配置の優位性について県内の病院と比較しているため掲載不可 |
質の高い医療サービス/経験豊富な医師/確かな技術/高い技術 | 主観的な表現であり、客観的な根拠が明示できるものではないため掲載不可 |
副作用のない治療法/安全な手術です | 客観的事実であるという証明ができないため掲載不可 |
今なら○円でキャンペーン実施中 | キャンペーン価格の表示により費用を強調しているため掲載不可 |
お手頃価格 | 価格について強調するような文言は掲載不可 |
治療の実績や客観的な根拠が示せない表現、価格に関する表現など、一般的な広告と同様に記載してしまいそうなものも、ポリシー違反になるので気をつけなければいけません。
ここまで厚生労働省の「医療広告ガイドライン」と媒体ポリシーについて詳しく説明しました。これらを理解したうえで、Web 広告を出すときの方針を紹介します。
広告の方針は保険診療か自費診療(自由診療)かによって異なります。ただし、どちらの場合でも、ユーザーに自院の存在を知ってもらうために広告を出すということを理解しなければいけません。
なぜなら、腹痛でもインプラント治療でも、検索結果の一番上に表示されない限り、サイトにたどり着ける人はごくわずかです。そのため広告で自院をアピールしなければいけません。
ここから保険診療と自費診療(自由診療)の場合に分けて、広告出稿の方法をお伝えします。
診療単価の低い保険診療でも広告を出す意義はあります。広告にかかる費用(広告費)は、1回の診療単価との比較ではなく、自院の存在を知ってもらうための費用と考えるべきだからです。
1回の診療で得られる単価だけで考えれば、広告費の分だけ利益をあげるのは難しいでしょう。しかし通院が必要な診療であれば、複数回通院してくれたり、他の方におすすめしてくれたりすることもあるでしょう。
医療広告でもマーケティングでも、「LTV(Life Time Value)」を意識することが重要です。LTV は顧客生涯価値とも訳され、ユーザー1人あたりがサービスや商品を利用している期間内に、企業にもたらす利益の合計を表します。
LTV(ライフタイムバリュー)とは。意味や計算方法、利益を最大化させる考え方を解説
顧客生涯価値とも訳されるLTV(ライフタイムバリュー)とは、ユーザー1人当たりがサービスや商品を利用している期間内に企業にもたらす利益の合計のことです。計算方法や運用型広告での重要性を解説します。
1回にかかる診療費が少なくても、かかりつけの病院として通ってもらえた場合、1人の患者が支払う診療費は大きくなります。
医療機関の広告は「とにかく自院を知ってもらう」ことが重要です。Web 広告の多くは競合との入札によって決まるため、LTV で考えると費用対効果が低い場合もありますが、まずは通院可能範囲にいる人にできるだけ自院のサイト、自院の存在をアピールしていきましょう。
広告費にかけられる予算が少ない場合でも、Google 広告の P-MAX 広告で有効に集患できた例などもあります。P-MAX 広告は入札・ターゲティング・配信先をキャンペーンの目標に合わせて自動で設定してくれるキャンペーンなので、自動的に最適化し、コンバージョンを獲得します。
病院・クリニックが提供する、あるサービスの広告配信で P-MAX 広告を使った結果、通常の配信よりも1.5~2倍のコンバージョン数が獲得できました。
自費診療の場合は商圏の設定範囲がポイントになってきます。定めた商圏でいかに競合より優位に立てる広告を作れるかが鍵です。
医療広告でも美容外科やインプラント、レーシックなどは、競合も多く厳しい市場でもあります。したがって、自費診療で広告出稿する場合は、競合の多さからクリック単価が高騰することや、コンバージョン率が下がってしまうことを覚悟する必要があります。
医療広告ガイドラインなどの知識がある人がサイト制作や広告運用を担当するのであれば、ガイドライン違反や各媒体のポリシー違反について恐れる必要はありません。
広告出稿のポイントは商圏範囲の設定です。患者の絶対数が少なく、かつ競合が少ない診療メニューであれば、日本全国を商圏と定めてもいいでしょう。
競合が多い診療メニューなら、自院周辺5 km の範囲で広告を出稿し、テストマーケティングのようなことをして商圏を見極めていく必要があります。
なお、ネット広告において保険診療と大きく異なるのは、自費診療の場合、サイトやネット広告のタイトルに「自費診療」である旨、また治療にかかる標準的な費用(もしくは最低金額と最高金額)の表記が必要となる点です。
参考 : 12. 医療機関│Yahoo!広告ヘルプ
一般の企業のサイトや広告と異なり、医療機関はいろいろと規制がかかります。ただ、考え方を変えればこの規制は特に問題となるものではありません。
医療広告に限らず、広告の目的を「集患して売上を作りたい」ではなく「より多くの方の悩みを解決するお手伝いがしたい」に設定し、結果的に後から売上がついてくると考え方を変えてみてはいかがでしょうか。
広告はあくまで自院の存在を知っていただくための手段とし、日々の治療を通じて信頼を得ていけば、おのずと集患はできます。自費診療系はこの考えだけでは難しいところもありますが、基本はお客様のためにできることを考えるのが最優先です。
医療広告を出すことは特に難しいことではありませんが、やはり時間と手間はかかります。日々の診療に向き合いつつでは難しいことも多いかと思われるので、広告の出稿は信頼できるパートナーとしての代理店に任せることを視野に入れてもよいかもしれません。
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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