運用型広告を配信しているとお客さまから「指名キーワードでの検索広告を出すべきか」とよく聞かれます。弊社としては、指名キーワードでの広告出稿を推奨しています。この記事では、指名キーワードで広告を出すべきなのかという理由を4つに分けて説明します。
また万が一、予算やその他の事情で指名キーワードでの広告を配信しないと考えている方のために、機会損失を防ぐための「一部だけ指名キーワードで広告配信をする方法」を提案したいと思います。
指名キーワードとは、会社名やサービス名のことを指します。ブランド名や固有名詞と呼ばれることもありますが、この記事では「指名キーワード」で統一して説明していきます。
弊社キーワードマーケティングの指名キーワードでの検索例として「株式会社キーワードマーケティング」という単体のキーワードや「株式会社キーワードマーケティング 評判」などの会社名プラス他のキーワードでの検索が挙げられます。
指名キーワードでも一般的なキーワードと同じように Google や Yahoo! の検索広告を出稿することが可能です。
以下のキャプチャは「Google 広告」と検索したときの検索結果で、自然検索1位は Google 広告のページです。しかし、Google 社は「Google 広告」という指名キーワードに対して検索広告を出稿しています。
このようにたとえ、自然検索で自社サイトが1位表示できていたとしても、Google 社のように指名キーワードで検索広告を出しておくべきだと、弊社は考えています。なぜなら、指名キーワードで検索広告を出さないことで機会損失が発生する可能性があるからです。
考えられる機会損失は以下の4つです。それぞれ詳しく説明していきます。
Google AI Blogによると、検索広告を停止した場合、検索広告経由で獲得できていた訪問者の89%は、自然検索で代替できないという調査が発表されています。この調査から検索広告と自然検索の両方で上位を取れているとユーザーを的確に自社のサイトへ誘導することができそうだと分かります。
そして自社が自然検索で1位であっても、競合企業がその上に表示される広告枠に配信しているとしたら、競合サイトにユーザーが流れてしまう可能性が高いと考えられます。
オフラインで例えると、自分の店の前で競合他社がビラ配りをしているようなイメージです。自社の指名キーワードでの検索なのに競合他社へ流れてしまうのは避けたいですよね。
自然検索で1位に出したいページが、思うように1位にならないときにも検索広告は有効です。
指名キーワードで検索されたときに、狙ったサイトのページが1位にならないこともありますが、そうした場合には、流入させたいサイトのページをリンク先にして検索広告を出すことで、ユーザーを意図したページへ遷移させることができます。
自然検索では、検索結果画面に表示される見出しや説明文は、ページのタイトルタグやディスクリプションタグで設定することができます。ただし前述したとおり、変更したページがすぐに上位に掲載されないことがあります。
しかし検索広告であれば、ほぼリアルタイムで変更ができ、反映されます。これを応用することで、今売りたい商品やサービス、期間限定ページを検索広告で出すことができます。
テレビで放映されたものや今だけタイムセールをおこなっているものの訴求が例として挙げられます。
以下は、2021年7月21日に掲載されていたジャパネットたかたさんの検索広告です。梅雨が明けて夏到来の時期で、エアコンのテレビ販売をしていた日でした。
検索広告の見出しは「(公式)ジャパネットたかた – ジャパネット厳選、イチオシ商品」ですが、テレビを見たユーザーが検索してくることも見越して、エアコンの商品ページをリンク先に設定していました。
よく見ると説明文も、「最新モデル」や「工事費無料」、期間限定を伝える「8/31迄。」というテレビで商品を見たユーザーに対して訴求内容を合わせているようでした。
BtoC ビジネスだけでなく、BtoB ビジネスでも同様に期間限定ページへの誘導をおこなっていた良い例を紹介します。
以下はセールスフォースさんの指名キーワードでの検索広告です。広告の内容は、直近で開催するイベントページへの集客でした。時期によって指名キーワードの検索広告でも、自社サイトの TOP ページだけでなく、狙ったサイトのページに遷移させることができるのも良い点です。
単純に競合他社への流出を防ぐだけでなく、自社のマーケティング活動に合わせてカスタマイズできるのは検索広告ならではですね。
指名キーワードでの検索広告を出していないと、アルゴリズムアップデートなどで自然検索の順位が落ちたときに流入数が大きく減ってしまいます。
アルゴリズム変動による順位変動は、自分たちでコントロールすることができないので、流入数を担保する意味でも検索広告を出しておく価値はあります。
また弊社キーワードマーケティングのように、指名キーワードが一般名詞で構成されている場合には、特に自然検索結果の順位を上げるのが大変です。その場合でも検索広告であれば、比較的安定してユーザーの目に触れる機会を増やすことができます。
これだけの機会損失をカバーできるのであれば、指名キーワードでも検索広告を出した方がいいですよね。
様々な機会損失を踏まえたうえで、それでも指名キーワードでの広告出稿は控えたいと思うのであれば、一部の時間帯だけ配信したり、特定のユーザーを除いて配信したりするという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?
出すか出さないかの二元論ではなく、一部だけでも配信して、少しでも機会損失を減らすのはどうでしょう。ここからは、具体的にどのような選択肢があるのかを紹介します。
特定の曜日や時間帯だけは機会損失が大きくなるようなビジネスの場合、スケジュール設定して配信してみるのはいかがでしょうか。
BtoB ビジネスであれば、ターゲットの就業時間が平日の9時から17時までの時間帯が多いため、その業務時間内にコンバージョンが付きやすい傾向があります。BtoB ビジネスならば、この時間帯だけでも配信してみるのも良いでしょう。
ゴールデンタイムのテレビ番組などで、商品・サービスが紹介されたときは、検索数が一気に増えます。そういったタイミングは千載一遇のチャンスなので、広告を配信し、類似商品・サービスを提供する他社への流入を防ぎ、検索ユーザーの獲得を狙いましょう。
ただし、コンバージョン数や売上はグッと増えますが、興味本位のユーザーも多く流入する可能性があるので、コンバージョン単価や ROAS などの費用対効果は悪くなるかもしれません。
テレビであれば放送中から放送終了後の1時間ぐらいまでがピークで、長くても2日以内には影響がほぼなくなってしまいます。
広告で獲得していきたいユーザーとは異なる層を除外することで効率化を図ることもできます。求職者や既存顧客への配信を控えるなどの手法を紹介します。
採用目的の広告でない限り、求職者からのクリックは避けるべきです。以下の対策で、無駄なクリックを防ぐことができます。
例えば、弊社であれば「キーワードマーケティング 年収」や「キーワードマーケティング 求人」などの検索クエリは、求職者である可能性が高いと考えられます。
「年収」や「求人」などのキーワードを除外キーワード登録することで、求職者に広告を表示させないようにすることができます。採用関連のキーワードは他にも「転職」「中途採用」などもあるので、いくつか登録してみるのをおすすめします。
除外方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
広告運用フェーズ別の「除外キーワードの考え方」とは?マッチタイプの使い分けや4つの注意点を解説
除外キーワードとは、特定のキーワードで検索された時に広告を表示されないようにする機能です。除外キーワードを活用すると無駄な広告配信を減らすことができ、結果的にCPAをさげることができます。自社の商品・サービスのフェースによって異なる考え方があるので、あわせて確認してみてくだい。
見込み客は商品・サービスの詳細ページ、会社概要ページを見ることはあっても、採用ページまで見ることはなく、採用ページを訪問するのはほぼ求職者の可能性が高いでしょう。
採用ページを閲覧したユーザーのリマーケティングリストを作成して除外設定するだけで OK です。これで求職者の除外は完了です。
検索キーワードに採用関連のテキストが含まれず、採用ページも未訪問の場合は、年齢ターゲティングで除外することができます。
Google 広告では18歳から24歳までの一括除外となりますが、この年齢層で広告を非表示にできます。なお、Yahoo! 検索広告では年齢でのターゲティングができません。
特に有名企業であるほど、採用関連の検索が多く含まれるようになってくるので、しっかりと対応していきましょう。
新規顧客の獲得を目的とした広告配信の場合、既存顧客に対しては広告表示させないことも検討すると良いでしょう。具体的なアクションとしては以下が挙げられます。
たとえば「Salesforce ログイン 」などの検索クエリは、既にサービスを利用中のユーザーと想定されるので、新規獲得のための広告を配信しても無駄になってしまいます。なので、「ログイン」や「log in」というキーワードの除外をしましょう。
新規顧客はログインページを訪問することはないため、ログインページ訪問ユーザーはリスト化して除外するのも良いでしょう。
ログインページと同様に、サンクスページの訪問者をリスト化して除外するのも有効です。サンクスページを訪問するということはコンバージョンしているのとほぼ同義なので、今後再び検索広告を見せなくてもいい対象と言えるでしょう。
ただし、リピーターなど複数購入される可能性がある商材は例外なので注意が必要です。
先述の採用関連キーワードや既存顧客リストの除外の他にも有効な施策は以下の4つです。
細かなものもありますが、少しずつの改善の積み重ねで、効率的な配信も可能になります。
サービス提供エリアが限られる場合、その商圏に絞って配信すると良いでしょう。良いサービスほど噂は広まり、日本各地で検索されることになるので、対象地域のみを設定して無駄をなくしましょう。
地域ターゲティングの詳しい設定方法は以下の記事で解説しています。
【Google&Yahoo!】地域ターゲティングの設定方法と初心者が勘違いしやすい4つのこと|株式会社キーワードマーケティング
GoogleとYahoo!で設定可能な地域ターゲティングの設定方法と勘違いしやすい4つの落とし穴をわかりやすく解説しています。地域ターゲティングを使いこなして自社の商圏のお客様を効率よく獲得していきましょう!
自社スタッフのクリックを防ぐために、オフィスの IP アドレスからの検索では広告を表示しないようにしましょう。この施策は Google 広告のみ可能で、Yahoo! 検索広告ではできません。
上場企業であれば、投資家からの検索も一定数あります。「株価」などのキーワードを除外することで、そういった広告の目的から外れる検索に対して費用発生を防げます。
例えば、弊社の他にキーワードマーケティングという SEO 会社さんが存在していたとすれば「SEO」などの自社の商品・サービスと関係ないキーワードを除外することで、「キーワードマーケティング SEO」などの、自社を求めていない検索意図での表示を防ぐことができます。
自然検索1位であれば、広告を出さなくても機会損失がないのではないかと思われるかもしれません。しかし、実際は多かれ少なかれ機会損失が必ず起きてしまいます。
もしかしたら、たかが1クリックの損失かもしれませんが、その1クリックで数十万円~数百万円の売り上げを失う可能性もあります。
指名キーワードで検索してくれるユーザーは、自社に興味を持ってくれている見込み客です。したがって、コンバージョン意欲が高いので、しっかりと指名キーワードで検索広告を出して機会損失を防ぎましょう。
広告事業部 マネージャー
2016年4月に新卒入社。入社10カ月で代表滝井直属の広告運用チームに異動。 入札調整や広告文作成から、サイト改善提案まで代表から直接指導を受ける。 toB/toC比率は半々で、アプリ広告も担当。特に好きな媒体はFacebook広告。 海外旅行が好きで、アメリカ横断経験あり。趣味は服映画ヨガアート猫もろもろ。
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