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オーディエンスシグナルとは?P-MAXの成果改善につながる機能を事例付きで紹介

Google 広告の P-MAX キャンペーンは、成果が出ることが多いからと、今や多くのアカウントで導入されています。しかし、運用者が配信内容を詳細に確認、調整できないことから、広告のコントロールが難しいのもまた事実です。

おそらくこの記事を読んでいる方にも、P-MAX キャンペーンでうまく成果を出せず、悩んでいる方が多いのではないでしょうか?そうしたときに役立つのが、この記事で紹介する「オーディエンスシグナル」です。

この記事では、オーディエンスシグナルがどういったものかをはじめ、ターゲティングやオーディエンスセグメントとの違い、設定するメリット、設定方法などを解説します。

オーディエンスシグナルとは

オーディエンスシグナルとは、P-MAX キャンペーンにおいて、Google の機械学習が「このユーザー層に配信すると成果が出そう」と判断する際に参考にするデータです。

オーディエンスシグナルを活用するメリットとして、Google の自動化機能がコンバージョンに至る見込みの高いユーザーを発見しやすくなり、P-MAX キャンペーンの機械学習期間を短縮でき点が挙げられます。

また、Google がコンバージョン見込みの高いユーザーを発見しやすくなることで機械学習の精度も向上し、CPA の良化も狙えるというメリットもあります。

ターゲティングとの違いは「設定した属性のユーザー以外にも広告が出るか」

オーディエンスシグナルは、ディスプレイキャンペーンなどで見られる「ターゲティング」とは性質が異なります。

具体的な例として、「25歳から34歳」というユーザー属性をターゲティングとオーディエンスシグナルでそれぞれ設定した際の配信先を見てみましょう。

設定箇所配信されるユーザー
ターゲティング25歳から34歳のユーザーのみに配信される
オーディエンスシグナル25歳から34歳のユーザーだけでなく、それ以外の年齢のユーザーにも配信される

ターゲティングでは設定した属性のユーザーのみに広告が配信されるのに対し、オーディエンスシグナルでは設定した属性のユーザー以外にも広告が配信されます

これは、ターゲティングは設定したユーザーのリストに対して広告を配信するのに対して、オーディエンスシグナルはあくまでも広告配信の際に参考にするデータであるためです。

オーディエンスシグナルで設定できる項目

オーディエンスシグナルでは「広告主様のデータ」、「興味/関心と詳しいユーザー属性」、「ユーザー属性」を設定できます。各項目で何を設定できるかは、以下の表の通りです。

「広告主様のデータ」で登録できる顧客リストは csv 形式での登録が必要なので、登録を考えている場合はあらかじめ準備しておきましょう

管理画面上での分類 何を設定できるか 設定できるデータの例
広告主様のデータ
  • 広告対象の商品やサービスを
    過去に利用したユーザーのデータ
  • 顧客になる見込みが高い
    ユーザーのデータ
  • 実際に使用している
    顧客リスト
  • 管理画面上のコンバージョンユーザーのリスト
  • 興味/関心と
    詳しいユーザー属性
  • 広告対象の商品やサービスと
    関連性の高い興味関心
  • 顧客に近しいライフイベント、
    ユーザー属性
  • 購買意向
    (例:ビジネスサービス、
    不動産、アパレル・アクセサリなど)

  • ライフイベント
    (例:引っ越し、結婚、
    転職など)

  • 詳しいユーザー属性
    (例:就業状況、住宅所有
    状況など)

  • アフィニティ
    (例:テクノロジー、旅行、
    美容・健康など)

  • カスタムインタレスト
    (例:コンバージョンした
    キーワードや検索語句、
    その他自身で設定したもの)
  • ユーザー属性 顧客に近しいユーザー属性
  • 性別
  • 年齢
  • 子どもの有無
  • 世帯収入(日本を含む一部の国でのみ利用可能)
  • P-MAX キャンペーンで設定できるオーディエンスシグナルの具体例

    設定したオーディエンスシグナルは、保存も可能

    また、設定画面の「オーディエンス名」箇所では登録したオーディエンスシグナルのセットを保存できます。

    オーディエンスシグナルを保存しておくと、新しくアセットグループを作成するときに保存済みのオーディエンスシグナルを読み込むことができるので便利です。

    P-MAX キャンペーンの設定画面「オーディエンスシグナル」箇所の一番下から設定できる

    オーディエンスシグナルは、基本的に設定するのがおすすめ

    オーディエンスシグナルは、P-MAX キャンペーンを配信する際には基本的に設定するようにしましょう。これは上述のように P-MAX キャンペーンの機械学習期間を短縮できたり、CPA の良化も狙えたりとメリットが大きいためです。

    また、設定するシグナルは実際の顧客情報にできるだけ近い「広告主様のデータ」をおすすめします。

    特に設定が推奨されるのは「広告主様のデータ」

    オーディエンスシグナルは P-MAX キャンペーンにおいて、広告をどの配信面に出すかを判断する際に用いられます。こうした特性から、設定する項目は実際の顧客情報に近いものがおすすめです。

    具体的には、管理画面上で「広告主様のデータ」に分類されるシグナルを設定するとよいでしょう。

    • 実際の顧客リスト
    • 管理画面上のコンバージョンユーザーのリスト

    コンバージョンのデータがもともと少ない場合や、顧客リストの活用が社内的に難しい場合には、「興味/関心と関心と詳しいユーザー属性」や「ユーザー属性」を設定しても問題ありません。

    ただし、「興味/関心と詳しいユーザー属性」や「ユーザー属性」には、実際の顧客以外のユーザーの情報が多く含まれる点はあらかじめ理解したうえで利用しましょう。

    「広告主様のデータ」の設定で顧客リストを使うときは慎重に!

    オーディエンスシグナルで設定できる項目のうち、顧客リストはユーザーのメールアドレスや電話番号など個人情報が含まれるもののため、慎重に管理する必要があります。代理店に広告配信を依頼している場合でも、できるだけ広告主が直接リストをアップロードするようにしましょう

    Google 広告ポリシーヘルプ「カスタマー マッチのポリシー」にもある通り、広告代理店が顧客リストを用いてオーディエンスシグナルを設定する場合は、広告主のプライバシーポリシーで、顧客データを共有していることをあらかじめ明記する必要があります。

    プライバシーポリシーに明記するより前に収集したデータはオーディエンスシグナルの設定に使えないため、まずはプライバシーポリシーがどの程度整備されているかを確認しておきましょう。

    なお、プライバシーポリシーの整備が必要な場合は、「プライバシーポリシーとは?Web 担当者なら知っておきたい書き方や基本知識を解説」の記事もご覧ください。

    広告費はそのままに売上を前年比21%増加!ToC 向け EC の事例

    ここでは、オーディエンスシグナルを設定することにより、成果を良化できた ToC 向け EC の事例を紹介します。

    まず、この事例の配信に使用したオーディエンスシグナルは以下の通りです。

    • 顧客リスト(中でも直近高額な購入をしたユーザーのみ)
    • 管理画面上のコンバージョンに至ったユーザー
    • YouTube 視聴ユーザー(購入者向けのコンテンツを多く配信していたため)

    以下の表はこの商材について、オーディエンスシグナルを導入する2023年までの成果と、オーディエンスシグナル導入後の2024年の成果を比較したものです。

    項目/年2021年2022年2023年2024年
    広告費¥25,400,000¥25,300,000¥26,600,000¥26,700,000
    売上¥59,800,000¥67,400,000¥70,100,000¥85,400,000
    ※顧客情報保護のため、実際の運用結果に一部改変を加えたうえで掲載しています。

    オーディエンスシグナルを使用することで、広告費は前年から横ばいにも関わらず売上を前年の約21%増やすことに成功しました。2024年より前の3年間と比べると、費用対効果が上がっていることも見て取れますね。

    オーディエンスシグナルの設定方法

    ここからは、実際にオーディエンスシグナルの設定方法を解説します。

    設定自体は以下の2ステップでできます。実際の管理画面の画像も載せながら解説するので、ぜひこの記事を読みながら設定してみてくださいね。

    ▼オーディエンスシグナルの設定2ステップ
    1. 管理画面上でリストのアップロードや作成をおこなう
    2. 管理画面上でオーディエンスシグナルを設定する

    1. 管理画面上でリストのアップロードや作成をおこなう

    顧客リストやコンバージョンユーザーのリストを設定する場合は、管理画面上での設定の前に、あらかじめ管理画面上でリストの作成やアップロードを済ませておく必要があります。

    新規で顧客リストをアップロードする場合は、管理画面の「ツール」から「共有ライブラリ」内の「オーディエンスマネージャー」を選択します。画面左側にある青いプラスマークボタンを押し、プルダウンから「顧客リスト」を選択してアップロードしましょう。

    ツール > 共有ライブラリ > オーディエンスマネージャー
    ※参考:顧客リストを作成する|Google 広告ヘルプ

    コンバージョンユーザーのリストを作成する場合は、管理画面内の「管理者」から「アカウント設定」を選択します。「カスタマーマッチ」の欄を開き、「コンバージョンタグ」内の「コンバージョンベースの顧客リストを有効にする」を選択しましょう。

    下にスクロールして右下の「保存」をクリックすれば、作成完了です。

    管理者 > アカウント設定 > カスタマーマッチ
    ※参考:コンバージョン ベースの顧客リストをセットアップする|Google 広告ヘルプ

    2. 管理画面上でオーディエンスシグナルを設定する

    リストの作成が完了したら、いよいよ設定です。

    まず、Google の広告管理画面でオーディエンスシグナルを設定したい P-MAX キャンペーンを選択し、画面左側のメニューから「アセットグループ」を選択します。

    キャンペーン > 任意の P-MAX キャンペーン

    P-MAX キャンペーンで設定しているアセットグループ一覧が表示されるので、オーディエンスシグナルを設定したいアセットグループの「シグナル」箇所をクリックしましょう。

    遷移した画面で「オーディエンスシグナル」の項目を開きましょう。

    「オーディエンスシグナル」の項目内で、任意のデータを設定します。

    「広告主様のデータ」にあたる顧客リストやコンバージョンユーザーのリストは、「広告主様のデータ」欄にある「データを追加」をクリックして設定します。

    「検索」タブでは、「データを検索」箇所で設定したいオーディエンスセグメントを検索できます。

    「閲覧」タブでは、任意のオーディエンスシグナルを表示される一覧から探せます。いずれのケースでも、設定したいオーディエンスシグナルの項目にあるチェックボックスにチェックを入れることで選択できます。

    また「その他のシグナル」箇所をクリックすると、「興味/関心と詳しいユーザー属性」と「ユーザー属性」のシグナルを設定できます。

    全て設定が完了したら、画面左下にある「保存」ボタンをクリックして、オーディエンスシグナルの設定は完了です。

    オーディエンスシグナルを設定しよう

    P-MAX キャンペーンの成果を良化させるにあたり、オーディエンスシグナルの設定は必要不可欠です。既に P-MAX キャンペーンを導入している方は、この機会にぜひ設定してみましょう。

    P-MAX キャンペーン自体を導入していない方は、これを機会にぜひ P-MAX キャンペーンの配信にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

    古川

    キーワードマーケティングでは以下のように P-MAX キャンペーンに関する情報や設定時に気を付けたい5つの「落とし穴」についても紹介しています。
    P-MAX キャンペーンについてもっと深く学びたい方は、ぜひこちらも読んでみてくださいね。

    ▼P-MAX キャンペーンの入門にピッタリの記事はこちら

    Google 広告のP-MAXキャンペーンとは?新機能や配信事例、成果を引き出すポイントを解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

    P-MAX キャンペーン(パフォーマンスマックスキャンペーン)とは、入札やターゲティング、配信先をキャンペーンの目標に合わせて自動で設定してくれるキャンペーンです。

    ▼P-MAX キャンペーンの設定時に気を付けたい5つの「落とし穴」とは?

    そのP-MAX、設定は完璧?運用者が見落としがちな5つの落とし穴を紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

    P-MAX には、ほかのキャンペーンと仕様が違う部分、いわゆる設定の「落とし穴」があり、成果が悪化する要因になっているケースがあります。この記事では、P-MAX の設定でミスが出やすい5つの「落とし穴」と、その対策を解説します。

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    記事を書いた人

    古川 雄大
    古川 雄大

    広告運用 コンサルタント

    2021 年入社。大学では理工学部に所属し、制御工学を専攻。また、陸上競技部(短距離走)で活動。キーワードマーケティング入社後、広告事業部に配属される。趣味は海外ドラマ鑑賞と小説を読むこと。おしゃれなカフェや居酒屋に行くことが好き。

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