広告運用をしていて、以前お客さまからこのようなご相談をいただきました。
自社の Google 検索広告のクリック単価が上がっているようで…
しかも、この前「〇〇」と検索してみたときに、ずっと1位で表示されていたはずの自社広告が2位になっていて、競合 A 社の広告が1位に表示されていたんですよね。
A 社は広告の配信を強めてきているのでしょうか?
ご相談内容から、状況的に競合の A 社は配信を強めていそうです。しかし本当にそうなのか、また強めているとしたら、いつ頃からなのかは、データをもとに判断しないと分かりません。そのような時に、お客さまに対して納得感を持って理解してもらうために Google 広告の「オークション分析」を用いて説明してみましょう。
この記事では、Google のオークション分析について、表示される指標の説明から、使用してできることを分かりやすく解説します。
オークション分析とは、Google の検索広告とショッピング広告における競合企業との掲載結果の比較ができるデータのことです。
同じオークションに参加している競合企業の広告がどれぐらい表示されているのか、最上部に表示されている割合はどの程度か、自社よりも上に表示されることが多いのかなどを確認できます。オークション分析は以下のような画面で確認することができます。
オークション分析の確認方法は、Google 広告の管理画面にログインし、画面左に表示されている「キャンペーン」から「オークション分析」をクリックすると見れます。
オークション分析レポートは、当日分をリアルタイムで確認することはできません。
オークション分析の指標には、普段使っている広告の管理画面ではあまり見ないものなので、まずは各指標の説明をします。なお、Google の検索広告のみ見れる指標もあるので、あわせて確認してください。
表示 URL ドメインとは、広告がインプレッションを獲得した際に、その広告に表示される URL のことです。どのようなサイトが競合しているのか確認することができます。
インプレッションシェアは、広告が表示される可能性のあった機会に対して、実際に広告が表示された割合を表しています。0%から100%までの間で表示されて、100%に近ければ近いほど表示されていることになります。
例えば、インプレッションシェアが60%の場合、表示機会が100回あれば60回表示できているということを意味します。
ここで出てくる「表示される可能性」とは、ターゲット設定や承認状況、品質スコアによって決まるようです。また、インプレッションシェアが10%を超えない場合には「10%未満」とだけ表示されます。
広告の重複率は、自社の広告と競合企業の広告が同時に表示された割合です。重複率が50%の場合、表示回数の半分はその競合企業と同時に表示されたことになります。
重複率が高ければ高いほどクリック単価の高騰などに影響してきます。
競合企業の広告と自社の広告が一緒に表示されて、かつ競合企業の広告が自社のものよりも上位に表示された割合を上位掲載率と呼びます。
つまり、各企業の上位掲載率が高いほど、自社の広告が下に表示されてしまっていることになります。
ページ上部表示率とは、検索結果のページ上部(オーガニック検索結果の上)に表示された割合を指します。
広告枠がそもそも検索結果の上部に表示されないときもありますが、広告枠があれば1個から4個の広告が表示されます。そのうち何位に表示されたかは問わず、ページ上部に表示されたかだけをカウントします。
例えば、表示回数が10,000回で、ページ上部表示率が80%であれば、8,000回はオーガニック検索よりも上部に表示されたということになります。
ページ最上部とは検索結果ページ上部の広告枠における1番上の位置を指し、ページ最上部表示率とはその1番上にどれぐらい表示されたのかという割合です。
先ほどの「ページ上部表示率」と似ていますが、こちらの最上部表示率は、広告枠の1番上に表示されたときのみが対象という違いがあります。
優位表示とは、自社の広告が他の企業の広告よりも上位に掲載されている状態、もしくは自社の広告のみが表示されている状態を指します。優位表示シェアとは、この優位表示できた割合になります。自社にとっては、この数値は高いほど好都合と考えて OK です。
例えば、以下の状態の時に、自社の広告は B 社よりも優位表示できていますが、A 社に対しては優位表示できていません。
また仮に、競合 C 社がいた場合、C 社は広告掲載できていないので、C 社に対して自社の広告が優位表示できているということになります。
普段オークション分析を使っていない方からすると、どのようなことができるのかイマイチ分からないかもしれません。できることをまとめると以下の2つになります。
分析を始める上で、競合企業に目を向ける前に、自社の状況を俯瞰して確認することが重要です。オークション分析では、自社の状況を大きな枠組みで確認することができます。
自社のインプレッションシェアは何%なのか、オーガニック検索結果よりも上部に表示することができているのか、その中でも1位に表示できている割合はどれぐらいかを確認しましょう。
例えば、自社のページ上部表示率が10%であれば、そもそもオーガニック検索よりも上に表示することすら、ほとんどできていません。
その場合、入札価格を引き上げたり、広告クリエイティブを改善したりすることで、上部に表示できるようになるかもしれません。
競合企業の動向を追うことができ、さらには時系列で確認することもできます。期間を指定してデータが見れるので、いつ頃から競合企業がインプレッションシェアが高くなったか、重複率が上がってきたのかなども確認可能です。
Google 検索広告のクリック単価が上がった場合には、クリック単価の変動とあわせて、オークション分析レポートも時系列でチェックしてみてください。
競合企業の動向チェックに使えるオークション分析ですが、競合企業のありとあらゆるものがチェックできるわけではありません。なので、オークション分析の数値とともに確認したほうが良いこともここで説明します。
オークション分析では、競合企業の表示 URL しか確認できず、競合企業の広告クリエイティブはどのようなものか、どういったキーワードで出稿しているのかまでは分かりません。なので、広告のプレビューと診断ツールを使って競合企業のクリエイティブや出稿キーワードを確認してみましょう。
Google 広告の管理画面「ツールと設定」、「広告プレビューと診断」から指定の検索語句の広告をプレビューで確認することができます。
オークション分析を用いることで、数値をもとに競合企業の出稿状況を把握することができます。実際の検索結果を見せるだけでなく、オークション分析レポートの数字をもとに説明することで、お客さまは納得感を得られるようになります。
広告運用をおこなっている担当者の方は、お客さまから「今月クリック単価が高くなっているが、この要因は何か」と質問された時には、オークション分析の数字を確認して、報告すると良いでしょう。
例えば、クリック単価が上がったという事実があった時に、重複率を確認してみると前月よりも上がっていたら、競合が入札を強化している可能性があると言えるでしょう。
単純な経験則での説明よりも、実際のデータに基づいて説明することで、お客さまも納得した上で、次に打つ施策の話に耳を傾けてくれるはずです。
同じメッセージを伝えるにしても、お客さまや上司は数値化されていないと納得しにくいものです。お客さまや上司の時間を無駄にするだけでなく、運用担当者であるみなさんの時間も無駄にしないためにも、競合状況をお伝えするときにはオークション分析のデータとともに説明するようにしましょう。
競合企業の動向は数値で出回ることが少ないため、競合要因の分析を推測で進めることが多くなってしまいがちです。
しかし、オークション分析レポートであれば精度が高く、納得感のある分析が可能になります。いつでも手軽に確認できるので、積極的に活用してみてください。
広告事業部 マネージャー
2016年4月に新卒入社。入社10カ月で代表滝井直属の広告運用チームに異動。 入札調整や広告文作成から、サイト改善提案まで代表から直接指導を受ける。 toB/toC比率は半々で、アプリ広告も担当。特に好きな媒体はFacebook広告。 海外旅行が好きで、アメリカ横断経験あり。趣味は服映画ヨガアート猫もろもろ。
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