Google 広告を配信する上で、ほとんどの方がコンバージョンを作成するでしょう。
コンバージョンを設定する際に管理画面にでてくる「アトリビューションモデル」ですが、モデルごとの違いや自分が選ぶべきものが何かを理解できているでしょうか。デフォルトの「データドリブン」のまま設定を進めてしまっている方もいるのでは・・・?
この記事では、各アトリビューションモデルの特徴とどんな時にどのモデルを使えばよいのか、初めて広告配信をする場合はどのモデルがおすすめなのかを解説していきます。
まず「アトリビューション」とは、ユーザーがコンバージョンを達成するまでにたどった複数の要素に対し、各要素に貢献度を割り当てることを指します。
広告経由によるコンバージョン達成において、直接ではなくともコンバージョンに寄与している要因があり、その要因に対して貢献度を割り当てようという考えがあります。これがアトリビューションモデルの基本となる考え方です。
弊社の広告運用代行サービスを例に考えてみましょう。コンバージョンを「運用代行の申し込み」とすると、コンバージョンまでには様々な経路が考えられます。
以下はその経路の一例です。
アトリビューションという考え方や計測ができなければ、最終的なコンバージョンにつながった検索語句「キーワードマーケティング」だけが評価されることになります。
ただ、直接コンバージョンにつながっていないとはいえ、知人からの紹介、記事、自社名以外の検索語句もコンバージョンに貢献しているはずです。
ここまでで、コンバージョン経路ごとに評価を割り振る「アトリビューション」という考え方のイメージはつかめたかと思います。では、広告運用におけるアトリビューションモデルとはなんでしょうか。
アトリビューションモデルとは、「どの広告 or どのキーワード」に「どの接点(メルマガや広告など)」に「どの程度」の貢献度を割り振るかを決めるルールのことです。
直接コンバージョンにつながった経路に多く割り振ったり、すべての経路に均等に割り振ったり、6つのモデルが存在します。
アトリビューションモデルができた背景には、消費者行動の多様化や企業の商品・サービス情報の届け方が増えたことも要因として考えられますが、広告運用の視点で言うならば、Google 広告の最適化のために必要であると考えられます。
Google 広告の最適化の質を高めるためには、ユーザーの多くの情報を与える必要があります。コンバージョン経路の最後のみを評価するだけでは、ユーザーのコンバージョンに至るまでの動き(経路)を情報として蓄積できません。
コンバージョンの経路の最後以外のユーザーの動きも、データとして Google に提供することで、より精度の高い最適化を図ることができます。結果として、コンバージョン数の増加につながります。
アトリビューションモデルには種類があり、どれを選ぶかで迷いますが、モデルの選択がパフォーマンスにも関わってくるので適切な選択が必要です。このようにパフォーマンスにも影響を与えるアトリビューションモデルが近年、Google 広告の最適化の精度があがったこともあり、重要度が増してきました。
アトリビューションモデルには主に6種類あり、以下の名称となっています。なおデータドリブンは、Google 広告でのみ選ぶことができるモデルになっています。
まずはヘルプページをもとにアトリビューションモデルの基本的な使い分けと説明をし、その後で各モデルの特徴や違いなどを詳しく解説します。
ヘルプページを見ると、6つのアトリビューションモデルの使い分けとして「成長戦略」という指標が書かれています。
成長戦略には、最も慎重や最も成長志向などがあります。慎重であれば、ビジネスの成長を徐々に拡大していくようなフェーズの企業や商品・サービスです。
一方、成長志向であれば、見込み客を多く獲得し、一気にビジネスの拡大を狙っているような企業や商品・サービスと言えます。これを踏まえた上で各アトリビューションモデルの詳しい説明をしていきます。
ラストクリックモデルとは、コンバージョン経路で最後にクリックされた広告とそれに対応するキーワードだけに貢献度を割り当てるモデルです。
直接コンバージョンに貢献したキーワードや、広告を重視したい場合にこのモデルを使います。
広告配信を始めたばかりで、どんなキーワードを配信したらいいのかわからない、どんなキーワードで成果が出るのかわからないということであれば、このラストクリックモデルを使用してよいでしょう。
続いてのファーストクリックモデルは先ほどのラストクリックとは真逆で、コンバージョン経路で最初にクリックされた広告とそれに対応するキーワードだけに貢献度を割り当てるモデルです。
初回接触したキーワードや広告を重視している場合は、こちらのモデルがよいでしょう。ただし、優先的にファーストクリックを導入しているという話は聞いたことがありません。
例えば新規ユーザーを獲得するため、ビッグキーワードと呼ばれるキーワードやディスプレイ広告で認知向けの広告を新たに追加した場合、それらの貢献度を知るためにファーストクリックで動きを見てみたいということであれば、このモデルは適しているかもしれません。
しかし、わざわざファーストクリックモデルにしなくとも、広告管理画面内のモデル比較レポートや、Google アナリティクスでも確認することができるので、あえて選ぶ必要はなさそうです。そのため優先的に導入している人が少ないのかもしれません。
減衰モデルでは、コンバージョンにより近い経路に多くの貢献度を割り当てます。
すべての経路を評価したいが、直接コンバージョンにつながった経路をより重要視したい場合には減衰を選びます。
また、ラストクリックに最も近く、その他の経路を加味して評価するモデルなので、関係者に対しても説明しやすいのが特徴です。
先ほどの例のように「広告代理店」「リスティング広告 代理店 費用」「キーワードマーケティング」という順番で検索されるとしたら、コンバージョンに向かって検討度合いが上がっていくのがわかります。
線形モデルはコンバージョン経路で発生したすべての経路に貢献度を均等に割り当てます。初回接触も途中の接触も、直接の経路もすべて等しく評価したい場合にはこのモデルがよいでしょう。
先ほどの検索語句の例で考えると違和感があるかもしれませんが、すべてのユーザーが先ほどのような経路をたどるのかをイメージするとわかりやすいかもしれません。
「代理店 費用」「代理店 おすすめ」この2つのうち、どちらを後に検索するかはユーザーごとに異なり、その時ほしい情報によって左右されるかと思います。
また、一度「キーワードマーケティング」と検索したとしてもその場ですぐコンバージョンせず、「広告代理店 おすすめ」「Facebook広告 運用」などといった検索語句で改めて検索するかもしれません。
そのため全ての経路を均等に評価する線形というモデルもあります。
接点ベースモデルでは、コンバージョン経路の最初と最後の両方の経路にそれぞれ40%の貢献度を割り当て、最初と最後以外の経路に残りの20%を均等に割り当てます。
直接コンバージョンにつながった経路と初回の経路は同じくらい重要だと考えている場合には、こちらのモデルがよいでしょう。
途中の検索語句の順番はユーザーごと、状況ごとに異なり、順位付けはあまり意味がないということを考えると、接点モデルは線形モデルと減衰・ファーストクリックのハイブリッドといえるかもしれません。中間の順番はさまざまですが、初回と最後は重視したいという考えになります。
Google 広告にはデータドリブンというアトリビューションモデルがあり、コンバージョンを作成する際は、ほとんどの場合、デフォルト設定になっています。
データドリブンは、過去のデータに基づいて貢献度を割り当てます。5つのモデルのように数値化されているわけではなく、アカウントに蓄積された大量のデータをもとに、キャンペーンの目的などに基づいて「よい」と判断された広告、キーワードに貢献度を割り振られます。
データドリブンアトリビューションはほとんどのコンバージョンアクションに対応していますが、種類によっては利用できなくなることもあります。
「サポート対象ネットワークで 30 日以内に 300 回以上のコンバージョンと 3,000 回以上の広告インタラクション」を満たさず、「過去 30 日間でサポート対象ネットワークでの広告インタラクション数が 2,000 回未満に減少」もしくは「コンバージョン アクションのコンバージョンが 200 回未満」の場合、アラートが表示されます。
アラートが表示されても、一向にデータ量が低い水準のままだと、「ラストクリック」モデルに切り替わってしまいます。
コンバージョン アクションの種類によっては、サポート対象ネットワークで 30 日以内に 300 回以上のコンバージョンと 3,000 回以上の広告インタラクションが必要な場合があります。このようなタイプのコンバージョン アクションのデータドリブン アトリビューションの使用中に、過去 30 日間でサポート対象ネットワークでの広告インタラクション数が 2,000 回未満に減少するか、コンバージョン アクションのコンバージョンが 200 回未満になると、このモデルの利用を継続できなくなります。この水準以下にまでデータ量が減少するとアラートが表示され、その後 30 日間にわたり引き続きデータ量が低い場合、該当のコンバージョン アクションは「ラストクリック」アトリビューション モデルに切り替わります。
引用元:データドリブン アトリビューションについて|Google 広告 ヘルプ
それぞれの違いはわかったものの、もしも選択で迷ってしまったときには「ラストクリック」を選びましょう。
まずはラストクリックで設定し、コンバージョンにより近いキーワードや広告を評価して、広告運用に慣れてきたり、間接効果を計りたかったりした場合に他のモデルを選んでみましょう。
他のモデルを選択する際には、ラストクリック/ファーストクリック以外は、コンバージョン数が評価の割り振りの関係で小数点表記になり、少しわかりづらくなってしまうので注意が必要です。
線形/減衰/接点ベースの3つでどれを選んだらよいのかわからない場合は、新規顧客の獲得に積極的か、自社が市場においてマーケットリーダーか新規参入者か、業界内の競争は激しいか穏やかかをもとに決めましょう。
もし、新規顧客の獲得を目的とし、自社が新規参入者であり、競争が激しい業界であれば接点ベースを選択しましょう。反対に、既に顧客の獲得は落ち着き、マーケットリーダーになりつつある状況で、競争も激しくない場合は減衰でもよいでしょう。
マーケティングの目的を確認して、各モデルのうち何を選択すればよいのかを判断します。またマーケティングの目的と同時に確認した方が良いのが、現状のユーザーの動きです。
コンバージョンまでに複数の経路を経由しているユーザーが多いのか、初回接触でそのままコンバージョンするユーザーが多いのか、それによってラストクリックのままでよいのか、ラストクリック以外がよいのかを判断できます。
コンバージョンまでの経路は Google 広告の管理画面でツールと設定のアトリビューションから確認することができます。
コンバージョン経路を選択し、ディメンションをキーワードにすると、キーワード単位のコンバージョン経路を確認することができます。
複数の経路を経由しているユーザーの動きを見るため、フィルタ設定で経路の数を1より大きいとしています。
実際に弊社の例を見てみると、初回接触したキーワード「インスタ 広告 代理店」で最終的にコンバージョンにつながったのは自社名の「キーワードマーケティング」です。
この場合はラストクリックで計測していると「インスタ 広告 代理店」コンバージョンは0件ということになり、評価を誤ってしまい、最悪の場合、キーワード「インスタ 広告 代理店」を配信キーワードから除外してしまう可能性があります。
最後にアトリビューションモデルの設定方法をご案内します。複雑な設定は不要で、簡単に設定することができます。
コンバージョン作成のタイミングでアトリビューションモデルの設定が可能です。ツールと設定から「コンバージョン」を選択します。
コンバージョンのページで「+」ボタンをクリックし新規コンバージョンを作成します。
計測したいコンバージョンの種類に合わせてあてはまるものを選択しましょう。今回はウェブサイトを選択して進めます。
コンバージョン名などを設定していくと、1番下にアトリビューションモデルを選択できる場所があります。ここでアトリビューションモデルの変更をおこないましょう。その後は通常のコンバージョン作成の手順で進めていけば問題ありません。
デフォルトで データドリブンになっているため、必要に応じて変更しましょう。
また、すでに作成しているコンバージョンでアトリビューションモデルを変更することも可能です。その場合は作成済みのコンバージョン名をクリックし、編集画面に入りましょう。
青字の「設定を編集」から編集が可能です。
設定の1番下にある「アトリビューションモデル」から変更後のモデルを選択し、保存ボタンをクリック、最後に完了ボタンをクリックして変更が完了しました。
これまでラストクリックだけで広告の成果を見ていた方もいるのではないでしょうか。それぞれのモデルの特徴を知り、ラストクリック以外の選択肢が見えてきた方もいるでしょう。導入や変更も簡単なのでぜひラストクリック以外のアトリビューションモデルを利用してみてください。
広告運用 コンサルタント
2016年12月に九州の佐賀支社に入社。市役所でアルバイトしてたのに、気が付いたら広告運用を始めて、気が付いたら東京にいた人。新しい施策考えるのがすき、広告作成はもっとすき。絵心皆無のクリエイティブ担当。すきなものはカロリーと寝ること。
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