2008年からキーワードマーケティングに在籍し、以降15年以上広告運用に携わっている小島です。今回は Amazon 広告の概要を説明します。
実は3年前の2021年にも同様の記事を書いたことがあります。3年ならそんなに変化がないのではないかと思われる方もいると思いますが、Web 広告の世界は3ヶ月前の常識が通じなくなる世界です。できる限り情報をアップデートした方がよいとの思いから、2024年の今もう一度 Amazon 広告についてお伝えしようと思い立ちました。
2020年までの破竹の勢いはないものの、今でも Amazon は伸び続けています。Amazon の日本事業の売上は260億200万ドルで前年比6.6%増です。
Amazon に商品を出品していながら、まだ Amazon 広告の出稿をしていない方は、ぜひこの記事を読んで広告出稿の第一歩を踏み出してみてください。まだ Amazon に商品を出品していないけれど、物販をやっている方も、この記事で Amazon 広告の世界観に触れてみてください。
▼ 代表登壇!キーワードの検索数を増やす新手法『検索創出型マーケティング』について、セミナー開催 詳細を確認する
Amazon 広告とは、Amazon が提供している広告などを含んだプロモーションに関するツールの総称です。
Amazon 広告は、基本的に Amazon に出店、出品されていることが前提であるため、Google 広告や Yahoo! 広告のように広告代理店が簡単に出稿提案できないのが現状です。
そのため代理店からすると提案しづらい、もしくは運用できる担当者を育てづらいと思われがちですが、Amazon 広告の出稿自体は決してハードルの高いものではありません。
技術的には、Google や Yahoo! で検索広告を設定、運用した経験が少しでもあれば、すぐに始められます。
今まで Web 広告を出したことがない会社が、最初に広告出稿すべき媒体の定番は、今でも Google 広告や Yahoo! 広告の「検索連動型広告」です。しかし、物販をしていて Amazon に出品している場合は、Amazon 広告も優先度が高い媒体だと私は考えています。
ここでは Amazon 広告を出稿するべき理由として、以下の3つを紹介します。
ご存知の通り、Amazon は世界最大級のオンライン小売りプラットフォームです。数百万のユーザーが、Amazon のオンラインモールで日々商品を探しています。
Amazon 広告を利用することで、広範な基盤に直接アクセスし、商品やサービスを効果的に紹介できます。
Amazon を訪れるユーザーは、すでに何かを購入する意図を持っていることが多いです。したがって、Amazon 広告は購買意欲の高い顧客にリーチするには絶好のツールといえます。
また、Amazon はユーザーの購買履歴や検索履歴、および興味関心などに関する膨大なデータを持っています。そのデータをもとに「誰に」広告を見せるかをターゲティングできるので、非常に効率よく広告を配信できます。
さらに Amazon では、通常ログインをして買い物をするため、ユーザーがどのページを見たか、何を検索したか、何を買ったかなどの行動データを直接集められます。そのため、昨今のサードパーティ Cookie 規制の影響を受けることなく、広告の表示回数やクリック数、コンバージョン数などを取得でき、広告運用の精度も高められます。
サードパーティ Cookie の規制に関する内容はこちらもご覧ください。
2024年1月からGoogle ChromeでサードパーティCookieが順次廃止に。広告への影響と運用者として意識することとは|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
2023年末、Google Japan はブラウザ「Chrome」でのサードパーティ Cookie を段階的に廃止すると発表しました。
Amazon の検索結果画面では、売上が高い商品ほど上位に表示されます。
売上には広告経由か否かは関係がないので、Amazon 広告で売上を上げることで、検索結果画面での掲載順位も上昇します。検索結果画面での順位が上昇すると、検索経由での売上も上がるので、これだけでも Amazon 広告をやるべき大きな理由になると思います。
Amazon 広告にはさまざまな種類があります。また、Amazon は広告に力を入れているので、その種類は日々変化しています。
分類 | 種類 | フォーマット | 課金方式 | 掲載面 |
---|---|---|---|---|
スポンサー広告 | スポンサープロダクト広告 | 検索広告 | クリック課金 | Amazon 検索結果 商品詳細ページ |
スポンサーディスプレイ広告 | ディスプレイ広告 | クリック課金/ インプレッション課金 |
Amazon 内外 | |
スポンサーブランド広告 | ディスプレイ広告 | クリック課金/ インプレッション課金 |
Amazon 検索結果 | その他 |
Amazon DSP | ディスプレイ広告/ 動画広告/音声広告 |
形式と掲載枠によって異なる | Amazon 内外 | |
デバイス広告 | ディスプレイ広告/ 動画広告 |
形式と掲載枠によって異なる | Fire TV、 Prime Video など |
|
ストリーミング TV | 動画広告 | インプレッション課金 | Twitch、 Prime Video など |
|
オンライン動画 | インプレッション課金 | Twitch、 IMDb.com など |
||
スポンサーブランド動画広告 | クリック課金 | Amazon 検索結果 | ||
スポンサーディスプレイ動画広告 | クリック課金/ インプレッション課金 |
Amazon 内外 | ||
スポンサー TV 広告 | インプレッション課金 | Freevee、 Twitch など |
||
Amazon Live | 無料(製作費は別)/ 詳細は要問い合わせ |
Amazon 内外 | ||
音声広告 | 音声広告 | インプレッション課金 | Amazon Music、 Twitchなど |
|
カスタム広告 | オンラインオフライン問わずさまざま | 不明 詳細は要問い合わせ |
Amazon 内外 |
Amazon 広告は、広告主自身で出稿できる広告と、Amazon のスタッフに依頼して出稿する広告の2種類に大きく分類できます。
広告主自身で出稿できる広告は「スポンサー広告」と呼ばれており、一般的に Amazon 広告といった場合はこちらを指すことが多いです。この記事では「スポンサー広告」の「スポンサープロダクト広告」と「スポンサーディスプレイ広告」、「スポンサーブランド広告」の3つについて掘り下げます。
広告名 | 概要 |
---|---|
スポンサープロダクト広告 | Amazon で検索した場合の検索結果画面や 関連する他社の商品詳細ページに表示される広告 |
スポンサーディスプレイ広告 | Google、Yahoo! などのディスプレイ広告と同様、 設定したターゲティングに基づきさまざまな場所に表示される広告 |
スポンサーブランド広告 | ブランドや複数の商品の認知度を上げるための広告で、 広告は主に商品検索結果の上部に掲載される |
スポンサープロダクト広告は、主に Amazon で検索した場合の検索結果画面に表示される広告です。Google 広告や Yahoo! 広告の検索連動型広告と似ており、設定したキーワードで検索されると表示される広告です。
検索結果の横や下部、場合によっては関連する他社の商品詳細ページなどにも表示されます。
表示される広告は商品詳細ページに入力されている情報から作成されます。表示された広告をクリックすると、その商品の商品詳細ページに飛ぶ仕組みになっています。
スポンサープロダクト広告のターゲティング方法は「キーワードターゲティング」で、以下の2種類があります。
ターゲティング | 概要 |
---|---|
マニュアルターゲティング | Google 広告や Yahoo! 広告の検索広告同様、 広告を表示したいキーワードを個々に設定する |
オートターゲティング | ・キーワードを個々に設定しないターゲティング方法 ・商品詳細ページの情報(特に商品名)に関するキーワード が検索されたときに広告が表示される |
一般的なディスプレイ広告同様、スポンサーディスプレイ広告は、設定したターゲティングに基づきさまざまな場所に表示される広告です。
スポンサープロダクト広告と同じく、広告は商品詳細ページに入力されている情報から作成されます。広告をクリックすると商品の詳細ページに飛ぶ仕様も、スポンサープロダクト広告と同様です。
スポンサーディスプレイ広告では、以下の2種類のターゲティングが利用できます。
ターゲティング | 概要 |
---|---|
コンテキストターゲティング (旧:商品ターゲティング) | 設定したカテゴリーや商品、類似商品のページに 実際にアクセスした顧客に対して広告を表示する |
オーディエンスターゲティング | 購入や閲覧履歴など Amazon 上での行動履歴を元に、 関連性の高いユーザーグループ(オーディエンス)に対して 広告を表示する |
スポンサーブランド広告は、商品検索結果のさまざまな場所に掲載される広告です。
ブランドや複数の商品の認知度を上げるために用いられる広告で、他社の商品詳細ページなどに表示されることもあります。
特に検索結果の上部に表示される広告は目立つため、効果は非常に高いです。
表示された広告をクリックすると、登録したストアか、登録した複数商品のページに飛びます。
スポンサーブランド広告では、以下の2種類のターゲティングが利用できます。
各ターゲティング方法は前述したのでここでは割愛します。
3つのスポンサー広告の中で何から始めるか迷ったら、出稿までの準備が一番簡単で売り上げに直結するスポンサープロダクト広告から始めましょう。
Amazon には膨大な数の商品が出品されています。Amazon のサイト利用者は商品を購入する目的でサイトを訪問し、高い確率で検索をします。
Google や Yahoo! 同様、掲載順位上位の商品が人の目につきやすく、上位にあればあるほど売上が伸びます。スポンサープロダクト広告は検索結果の上部にも表示されるため、購入に繋がりやすいのです。
現在はスポンサープロダクト広告に出稿する競合も増えているので、数年前と比較して競争率が高くなっていますが、それでも十分採算に合う広告の出稿が可能です。
スポンサープロダクト広告を出稿して、Amazon 広告の管理画面に慣れたら、スポンサーディスプレイ広告などほかの広告メニューにも挑戦しましょう。
ここでは、スポンサー広告3種の検討にあたっての3つの前提と、出稿方法の概要をお伝えします。さらにそれぞれの詳細についての記事へのリンクも紹介します。
まずは Amazon 広告を出稿して採算が取れるのか、どれくらい効果が得られそうかを検討しましょう。
検討する際は、ある程度の予算と期間を確保してテスト出稿してみるのが、早く正確な予測の一助となるのでおすすめです。
例えば1個1万円の商品を販売している場合、広告費として使えるのは1個2,000円程度だと思います。そこで3万円の広告テスト予算を確保し、実際に広告出稿してみると、採算が取れるかどうか、またどの程度の販売数の増加が見込めるのかが分かります。
Amazon スポンサー広告の場合、いつでも広告の一時停止ができるので、手軽にテストできます。テストで広告出稿をおこなってみて、CPA や ROAS が許容範囲内に収まるようであれば、本格的に出稿するのがよいでしょう。
通常、Web 広告ではどの程度予算がかかり、どの程度コンバージョンが取れるかの予測は難しいですが、Amazon 広告ではこうしたテストを気軽にできる強みがあります。媒体の強みを生かして、自社の商品との相性を見ながら検討しましょう。
Amazon スポンサー広告を出稿するには、以下の3点が必要となります。
アメリカで利用されているベータ版機能を除き、現在、Amazon スポンサー広告を出すためには Amazon に出品していることが必要です。
ただ、「小口出品」の場合には出稿できません。広告出稿できるのは「大口出品」の場合のみです。
もし小口出品で登録している場合は、大口出品に切り替える必要があります。手続きはこちらのページからおこないましょう。
スポンサー広告を出稿する際には、商品が「おすすめ商品」になっている必要があります。おすすめ商品になっていないと、商品詳細ページで表示されるカートが他社のものになってしまいます。
おすすめ商品についての詳細はこちらのページでご確認ください。
Amazon ではお客様の利益を第一に考えるため、たとえ自社で製造販売している商品でも、他社より価格が高い場合や評価が低い場合は「おすすめ商品」から外れてしまいます。
そして、そのような商品は広告を出せません。どうしても広告出稿したいのであれば、販売価格を下げるなどの対策が必要です。
スポンサーディスプレイ広告とスポンサーブランド広告の場合は、大口出品での出品に加えて、「ブランド登録」が必要になります。
ブランド登録には、該当商品やブランドに関する商標登録をしていることが必要です。
ブランド登録の具体的な登録方法はこちらのページに詳しく記載されているので、ご参照ください。
上記の条件を満たせば、Amazon スポンサー広告は出稿可能です。ただ、出稿前にすべきことが2点あります。
Amazon 広告では、広告そのものが商品詳細ページ内の情報から作られることもあります。また、広告をクリックした先のページも商品詳細ページです。
ですから、Amazon 広告で成果を出すためには、この「商品詳細ページ」をしっかりと作成することが重要です。
特に「商品名」は重要です。「商品名」に入力された情報は検索の際にもっとも重要視されるため、「商品名」の部分には商品の名称以外にもメーカー名やスペックなども詳細に入力しましょう。
商品詳細ページから作られる広告でも「商品名」は一番目立つので、できる限りわかりやすく、詳細に入力すべきです。
当然の話ですが、広告出稿する Amazon アカウントに広告運用を担当する方がログインできるようにする必要があります。
こちらは Amazon セラーセントラルの「設定」から権限管理ができます。
Amazon 広告の出稿方法はシンプルです。Google 広告や Yahoo! 広告を出稿したことがある方なら、すぐにやり方は分かると思います。
スポンサープロダクト広告、スポンサーディスプレイ広告、スポンサーブランド広告それぞれの詳細な出稿方法については、それぞれ詳細に説明した記事をご紹介します。
記事を見ながら設定をすれば簡単に設定ができると思うので、ぜひ自身で設定してみてください。
ベテランが解説!Amazonに出品しているならやるべき「スポンサープロダクト広告」の始め方|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
Amazonスポンサープロダクト広告は、主に Amazon の検索結果に対して表示する広告です。Amazon に出品しているなら誰しもがやるべき広告と言っても過言ではありません。設定方法を一から説明したので、Amazon に出品をしている方はこの記事をもとに、スポンサープロダクト広告を始めてみてください。
ベテランが解説!Amazon「スポンサーディスプレイ広告」とは。設定方法からターゲティングまで詳しく紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
Amazon のスポンサーディスプレイ広告とは、 興味関心や過去の行動データをもとにターゲティングをして配信するディスプレイ広告で、商品詳細ページやカスタマーレビュー、商品検索結果ページやおすすめ商品の下の広告枠など Amazon 内の掲載面はもちろん、外部サイトの Twitch や IMDb などのアドネットワークにも表示される広告です。
Amazonスポンサーブランド広告とは?始め方とターゲティング方法、カスタム画像の入稿規定まで|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
Amazon スポンサーブランド広告は、ブランドや複数の商品の認知度を上げるための広告で、商品検索結果の上下や、商品詳細ページなどに掲載されます。広告をクリックすると、登録したストアページか複数商品のページに飛びます。
Amazon は広告事業にも力を入れており、現在も次々と目に見えるアップデートをしています。そのため、ターゲティング精度など目に見えない部分についてもアップデートが続いていると推測できます。
お伝えしたように、物販をおこなっている会社で Amazon に出品しているのであれば、手を出さない理由がありません。広告出稿は簡単ですので、ぜひチャレンジしてください。
なお、広告運用を担当する方がいない会社や、すでに Amazon 広告を出稿していてもいまいち効果を実感できていない方は、キーワードマーケティングでも Amazon 広告の運用のお手伝いが可能です。その場合には、お気軽にお問い合わせください。
各種運用型広告のお問い合わせや無料の広告アカウント診断は、必須情報を入力の上フォームをお送り下さい。フォーム送信後、入力していただいたメールアドレスに返信メールが届きます。その後、翌営業日中に担当者からご連絡を差し上げます。
▼ 代表登壇!キーワードの検索数を増やす新手法『検索創出型マーケティング』について、セミナー開催 詳細を確認する
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
あなたの広告アカウントを無料診断します
広告アカウント診断詳細なお見積りをご希望の方はこちら
お問い合わせ支援事例などをまとめたサービス紹介資料はこちら
サービス資料のダウンロードはこちら