運用型広告の配信をしていると、コンバージョンの頭打ちやコンバージョン単価の高騰に悩まされた経験が一度はあると思います。
コンバージョンが獲得できないのに広告費ばかりが発生することに悩む方も多いでしょう。このような課題を解決できるのが、成果が発生したときにのみ広告費用が発生するアフィリエイト広告です。
今回は、アフィリエイト広告の仕組みやメリットとデメリット、実際にアフィリエイト広告を配信する方法を紹介します。
アフィリエイト広告とは、広告経由で発生した成果に対して、紹介したユーザーに報酬が発生する広告形態のことです。このことから成果報酬型広告とも呼ばれます。
アフィリエイト広告と混同されやすい言葉に「アフィリエイト」がありますが、これはアフィリエイト広告とほぼ同じ意味で使用されることが多いです。あえて分けると、「アフィリエイト」はブログや SNS アカウント、メルマガ、ホームページといったアフィリエイト広告を掲載する場所を指すことが多いです。
運用型広告との最大の違いは、費用がかかる仕組みです。通常の運用型広告では、インプレッション課金型であれば広告を掲載するだけで、クリック課金型であれば広告経由でサイトに流入するだけで金額の負担が生じます。一方、アフィリエイト広告は、成果が発生しなければ広告主側に金額の負担が発生しません。
アフィリエイト広告で費用が発生するまでの流れは、大きく3つの要素で成り立っています。まず、広告主が商品やサービスを紹介するユーザー(以下、紹介者)に依頼して、Web サイトに広告を掲載してもらいます。紹介者が運営する Web サイト上で、消費者が商品やサービスを購入すると成果が発生します。広告主は、こうして発生した成果に応じて、紹介者に報酬を支払うのです。
しかし、広告主が紹介者を選定したり、紹介者に案件を一つ一つ直接依頼したりすることは難しいため、ASP (Affiliate Service Provider)と呼ばれる、広告主と紹介者を仲介する企業に依頼することが主流となっています。
アフィリエイト広告の課金方式は、主に4つあります。現在主流となっているのは商品やサービスの購入による成果報酬型です。それ以外にも、広告がクリックされることで報酬が発生するクリック報酬型や、表示されることによって報酬が発生する表示報酬型、広告を掲載する期間に応じて報酬が発生する固定報酬型があります。
課金方式 | 報酬が発生するタイミング |
---|---|
成果報酬型 | 商品やサービスの購入が発生 |
クリック報酬型 | 広告のクリック |
表示報酬型 | 広告の表示 |
固定報酬型 | 特定の期間広告を掲載 |
アフィリエイト広告は成果が発生したときにのみ費用が発生するため、広告主からすると費用対効果がよく低リスクな印象があります。しかし一方で、近年話題になっている虚偽広告や誇大広告が掲載されてしまうリスクもあります。
以下で、アフィリエイト広告のメリットとデメリットを紹介するので、よく読んで理解しておきましょう。
アフィリエイト広告の主なメリットは以下の2つです。
アフィリエイト広告は成果地点を自由に決定できることがメリットといえます。例えば、英会話スクールの生徒を募集する場合、成果地点を体験レッスンの予約にするのか、それともスクールの入会にするのかは広告主が選択できます。
また、その成果に対してどのくらいの報酬を支払うかも決めることができます。そのため、クリック課金型の広告と比較して赤字になりにくいともいえるでしょう。
ただし、成果地点を厳しく設定してしまうと紹介者に掲載してもらえないリスクが高くなるので、注意が必要です。成果地点や成果報酬については、 ASP に相談して決めることをおすすめします。
最初に定めた成果条件を満たしていなければ、成果の否認ができます。成果の否認をすれば、広告費用を払う必要がありません。
例えば、同一人物からの注文の重複やそれに伴う返品、明らかな悪意を持った大量注文などは否認することが可能です。成果の否認ができるかどうかの基準は ASP によって条件が違うので確認しておきましょう。
アフィリエイト広告には、メリットだけでなくデメリットもあります。今回は配信を検討する際に特に確認しておくべきデメリットを3つ紹介します。
紹介者は成果報酬を目当てで広告やメディアに掲載する記事を作成します。そのため、広告主側が意図しないような虚偽の情報や、大げさな表現を含んだ広告を掲載するケースがあります。
2021年には「肌からシミが数日で消える」などと掲載していたアフィリエイト広告の不当表示について、消費者庁が景品表示法または消費者安全法にもとづき、措置をとる事例がありました。
虚偽広告や誇大広告はブランドや企業のイメージに大きな影響を与えてしまうので、十分に気を付ける必要があります。
アフィリエイト広告は成果が出るまでに最低3か月以上かかるといわれています。なぜなら、紹介者に広告を掲載するためのコンテンツを準備してもらう必要があるからです。
最近では動画や SNS にアフィリエイト広告を掲載してもらうケースも増えているため、コンテンツによっては短い準備期間での広告配信や成果獲得も期待できます。しかし、原則としてアフィリエイト広告はすぐには成果が出ないことを理解しておきましょう。
ASP との契約には固定費が必要です。また、アフィリエイト広告を掲載したからといってすべての商品、サービスで成果が出るとは限りません。
そのため、成果がほとんど出ずに固定費用未満の利益しか手に入らないケースもあります。
これを防ぐためには、事前にアフィリエイトに強い ASP へのヒアリングをしたり、競合他社の状況を調査したりすることが重要です。
アフィリエイト広告に掲載するサイトは、大半が個人向けのサイトです。そのため、 BtoB の商材よりも BtoC の商材の方が成果を上げやすい傾向にあります。
特にダイエットや育毛商材などのいわゆる「コンプレックス商材」は、実店舗で購入するハードルが高いことから、アフィリエイト広告で取り扱うことが多いです。
また、このような商材は口コミや評価が重視されるので、アフィリエイト運営者のレビューも加わることによって成果がより出やすくなります。
アフィリエイト広告の配信には、広告主以外に ASP と紹介者が関わっています。広告主とメディアが直接交渉・掲載するケースは少なく、ASP を仲介して交渉をおこない、掲載まで進めていくのが特徴です。
ここではアフィリエイト広告の配信における ASP、紹介者のそれぞれの役割や特徴を解説します。
ASP は、広告主とメディアの効果的な連携を促進するための役割を担っています。両者の間に立って正しく報酬が支払われるよう、効果計測の設定や管理などもおこないます。
また、成果や改善につなげるためのデータ解析やレポート提供もおこない、広告主が効果的にアフィリエイト広告を掲載できるよう支援する役割を担っています。
以下は複数ある ASP 企業のうち、代表的な3社について表にまとめたものです。初期費用や月額費用も掲載しているので、自社に合った企業を選びましょう。
ASP | 初期費用 | 月額費用 | 特徴 |
---|---|---|---|
A8.net | 50,000円 (税抜) | 37,000円(税抜) ※スタンダードコース | ・国内最大規模のASP ・導入実績24,000社以上 |
Value Commerce | 55,000円 (税込) | 55,000円(税込) | ・アフィリエイト運営の サポートが手厚い |
もしもアフィリ エイト | 無料 | 無料 | ・初期コストを抑えて 開始できる |
アフィリエイト運営者はブログや Web サイト、SNS などを運営して広告を掲載しています。
また、広告は Web サイト上のコンテンツとして掲載される場合もあるため、広告主から依頼された商品やサービスに関する広告や記事の作成などもおこなっています。
ここからはアフィリエイト広告を掲載する方法を、6つのステップに分けて紹介します。
アフィリエイト広告を始める際に重要なポイントとなるのが ASP の選定です。各社の特徴や料金形態、運用方針などを見極めて選定し、契約しましょう。
同じ ASP の会社でも得意な業種やジャンル、実績が違うので、この時点で自社の商材との相性を確認しておくことが重要です。
ASP の選定と契約が完了したら、アカウント登録と初期設定をおこないます。
ASP によって違いはありますが、アカウント登録完了から出稿審査なども含めて、実際の出稿まで2週間から1か月程度かかるので、広告掲載を始めたいタイミングから逆算してアカウント登録を進めましょう。
出稿審査が完了したら、決められた期日までに初期費用を入金しましょう。
初期費用がない ASP や、初期費用と同時に初月の月額費用を支払う ASP もあるので、契約時に併せて ASP に確認することをおすすめします。
ここからは、アフィリエイト広告を掲載するための準備について解説します。
まずは虚偽や誇大広告を防ぐため、広告やコンテンツを掲載する際のルールやガイドラインを作成しましょう。
特に美容商材やコンプレックス商材、金融商材は注意が必要です。
ルールやガイドラインを作成する際には、消費者庁が公開している「景品表示法関係のガイドライン」をはじめ、過去のアフィリエイト広告に関する事例なども参考にすることをおすすめします。
ルールやガイドラインが完成したら、次は広告素材の準備にとりかかります。アフィリエイト広告に設定する商品またはサービスのランディングページの URL をはじめ、広告クリエイティブに使用する商品の写真など、広告配信に必要となる素材を準備しましょう。
配信開始後も ASP と連携をとりながら運用状況を確認しておきましょう。
広告主もデータを見ながら広告素材の変更などの改善に向けた準備を進めることが重要です。
運用型広告とアフィリエイト広告は、似ているようで異なる広告形態です。
アフィリエイト広告は、報酬型の配信なので潤沢な資産がなくてもはじめることができます。そのため、サービスの提供を開始したばかりでも検討しやすく、アフィリエイト広告をきっかけに認知が一気に広がったり、人気になったりした商品やサービスがいくつもあります。
しかし、特徴や特性について詳しく知らずに配信を開始してしまうと、利益の損失やブランド毀損など大きなダメージを受けてしまう可能性が高いです。
自社の商品やサービスにマッチするかどうか、どの ASP に依頼するか、十分な下調べをおこなって導入を決めましょう。この記事が、アフィリエイト広告の導入について検討するきっかけになれば嬉しいです。
広告運用 コンサルタント
大阪の広告代理店で1年ほど勤務し、2021年1月に広告事業部に中途入社。SNS広告の運用が好き。趣味は読書とアウトドア好きな友達に連れて行ってもらうキャンプ。
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