運用型広告

【弊社の新人研修を公開】リスティング広告のキーワードの選び方(基礎編)

リスティング広告の配信の際に、コンバージョン数・率、配信費用の面で影響のでてくるキーワード選定で悩む方も多いのではないでしょうか。費用対効果の良いキーワード、まだ配信していないが自社にあったキーワードなど選定するのに時間がかかるかと思います。

今回の記事では、リスティング広告初心者のために、弊社で実施している基本的な研修をもとにキーワードの選び方について解説したいと思います。まずは基礎となる考え方を身につけて実務に活かしましょう。

キーワードとは

リスティング広告におけるキーワードとは、広告主が広告管理画面で登録するフレーズを指します。一方で検索語句は、ユーザーが検索し、広告が掲載された単語や単語の組み合わせです。

登録しておいた語句に関連性がある際に広告は表示されます。この関連性は単純に同一語句ではない類義語なども含まれます。設定などにより表示されるか否かは異なります。

また Google 広告、Yahoo!広告のヘルプページではキーワードとは以下のように説明されています。

キーワードとは、ユーザーが検索している語句と広告を一致させるために使用される単語やフレーズです。

キーワードについて|Google 広告ヘルプ

キーワードは、広告主様が宣伝したい商品やサービスに関連する語句で、広告グループに登録します。インターネットユーザーが探している情報と登録キーワードとの関連性が高いと、広告が表示されます。

キーワードを作成する|Yahoo!広告ヘルプ

また検索語句については、Google 広告では検索語句、Yahoo!広告では検索クエリーと名称が異なりますが、意味は同じものとして扱われています。

本記事では名称を「検索語句」で統一します。なお、2013年までは Google 広告でも「検索クエリ」が使われていました。

参考:Google Adwords、「検索クエリ」→「検索語句」など7つの用語を変更|Markezine

キーワードの選び方

キーワード選定に関する考え方は様々ですが、弊社では研修を通して学ぶことで運用者によって考え方の差がでないようにしています。ここからは、弊社の新人向け研修の内容をベースにキーワードの選び方を解説します。

キーワードの選び方の手順は、大きくわけて4つになります。

1.ヒアリング

広告運用をおこなうにあたって、まずはヒアリングを実施します。自社サービスのことや、競合サービス、エンドユーザーのことをより深く知るために欠かせないステップです。

ヒアリングの場では、主に3つのことをうかがいます。実際には目標値の合意などもおこないますが今回は主旨とズレるため省略します。ヒアリング前にお客様のと話し合って決めるべきことは以下の記事で詳しく説明しています。

▼広告運用開始前に決めておくべき合意事項

自社で広告運用をされている方の場合、サービス理解が深いが故に、ついヒアリングを飛ばしてしまうかもしれませんが、改めて考えていただければと思います。

1-1.自社サービスについて

そもそもサービスを理解していないと良い広告、成果の出るキーワード選定はできません。そのサービスはどんなもので、だれがターゲットとなって、どこに強みがあるのか、逆に弱みとなる部分はあるのかなどをうかがいます。

たとえば、ソファを取り扱っている家具屋さんがあるとします。ソファを販売する会社の担当者に以下の質問をすると、回答としてこのようなものが得られるのではないでしょうか。

質問回答
サービスの具体的なターゲットは?・20代、30代の男女
・引っ越しや模様替えでソファの購入を検討
競合他社と比較したときの強みは?・1万円から購入可能な価格帯
・最大5種類の素材から選べるカバーの材質
Web と来店の割合は?・Web 3割、来店7割

ここでポイントなのは、より具体的に回答をもらうことです。数字が出る部分は極力数字にしましょう。

「来店が多い」よりも「来店7割」、「価格帯が幅広い」も「1万円から購入可能な価格帯」など。具体的な訴求ポイントをいかに引き出せるかがその後の広告文の出来にも影響します。

1-2.競合サービスについて

競合サービスについて深堀をします。いま意識しているサービスはどこなのか、そのサービスと比較して優位な点、逆に劣っていて押し出さないほうがいい点などをうかがいます。

1-3.ターゲットについて

自社や競合の情報ももちろん大切ですが、最終的にサービスを利用するユーザーについて理解を深めることがもっとも重要です。

いまの顧客層を情報をなるべくたくさん聞き出しましょう。男性と女性どちらが多いのか、年齢はどれくらいなのか、利用のきっかけなどが挙げられます。

20代~30代が多いことやターゲットの置かれている状況など、聞き出した情報をもとにリサーチをしてさらに深堀していきます。

2.リサーチ

リサーチと言ってもシェアを奪い合う競合に関する調査と、ユーザー目線にたった調査である1次情報や1.5次情報収集があります。

2-1.競合調査

複数の競合サービスのサイトを閲覧し価格や納期、サイト内でうたっている強みを一覧化したり、サービス名を検索してどんな表現の広告文を配信しているのか確認します。

2-2.1次情報、1.5次情報収集

1次情報や1.5次情報収集のためにおこなっていることは主に以下のようなものがあります。

  • 自分で購入して使用
  • 社内や身近な人でターゲットユーザーとなりえる人へのヒアリング
  • Yahoo!知恵袋や教えて goo で検索
  • Twitter、Instagramなどの SNS で検索
  • Amazon、楽天などでレビューの収集
  • 競合サービスのサイトからレビューの収集
  • 広告主から実際のユーザーの声をもらう
  • 広告主のお客様に会ってインタビューの実施

自分自身がターゲットであることが一番いいのですが、参考となるデータが1つでは数も心もとないですよね。

そこでおすすめしたいのが、実際のユーザーの声をそのままもらうことです。お客様の声や商品レビュー、アンケートなど、生の声をたくさんもらうことをおすすめします。生の声をもらうことで得られる気付きも多くあります。たとえば、以下のようなお客様の声をもらえたとします。

  • 以前購入したお店よりも納品が早い
  • (サービス名称「〇〇」だが)「△△」という名称で呼んでいる
  • プレゼントで購入した

これらのユーザー目線の情報を知ることができれば、以下のような対策が考えられます。

  • 納期の訴求を強める
  • 「△△」という検索結果で広告を配信
  • プレゼント訴求やクリスマスシーズンに配信を強化

Google 広告のヘルプページでも、効果的なキーワードを追加するには、ユーザー目線は大切だと記載があります。

自分がその商品やサービスを探す立場であればどのような単語で検索するか、ユーザーの目線に立って考えることが重要です。

効果的なキーワードの選び方|Google広告ヘルプ

3.軸となるキーワードの決定

家具を販売しているニトリの「ソファ」を例に考えてみましょう。ニトリでソファを購入する可能性があるユーザーはなんと検索するでしょうか。

どんな検索語句があるか考える際には、6種類をベースに考えていくとよいでしょう。一緒に例もあげたのであわせてご確認ください。

キーワード選定における6つの分類例:ニトリのソファの場合
1.固有名詞ニトリ ソファ
2.商品・サービスそのものソファ、ファブリックソファ
3.悩みソファ 疲れない、ソファ へたり
4.代替品座椅子、ローチェア
5.周辺テーブル
6.タイミング引っ越し 家具、上京 家具

なお、予算によっては1と2だけ配信するパターンもあります。商材によってはそもそも3から6が存在しないパターンもあります。

まずは1と2のキーワードを優先して考えるのがよいでしょう。上記で説明した6つ以外に、金額、ユーザーがおかれている状況などもあります。

軸となるキーワードの集め方

前述の1次情報、1.5次情報収集と重なる部分もありますが、軸となるキーワードは以下の方法で探してみてください。

  • 競合サイトを参考にする
  • キーワードプランナーで関連キーワードを見つける
  • 質問サイトで商品・サービスを検索して見つける
  • EC サイトのレビューから探す
  • 言い換え語句を探す
競合サイトを参考にする

他社のソファの通販サイトを見ると「布製ソファ」「レザーソファ」など、ソファにもいろいろな分類があります。分類から素材から探す人もいるというのが予想できます。

IKEA オンラインストア:ソファカテゴリ
キーワードプランナーで関連キーワードを見つける

Google キーワードプランナーを用いて、商品・サービスに関連するキーワードを収集することも可能です。キーワードプランナーに関する詳細はこちらのブログを参考にしてみてください。

Googleキーワードプランナーとは?意外な使い方と代替ツール完全まとめ

キーワードプランナーとは、コンテンツ作成や広告配信のためのキーワードを見つけたり、キーワードごとの月間検索数(検索ボリューム)を確認したりすることができるツールです。SEOコンテンツや広告配信時のキーワード選定やユーザーニーズの分析に役立てることができます。また、キーワードプランナーの代替ツールを無料/有料にわけて紹介します。

質問サイトで商品・サービスを検索して見つける

Yahoo知恵袋、教えてgoo のようなユーザー投稿型質問サイトで、商品・サービスそのものを検索してみましょう。実際に検索してみると、どんな悩みが寄せられているのか、代替品としてなにがあるのかがわかります。

Yahoo!知恵袋「ニトリ ソファ」での検索結果
EC サイトのレビューから探す

Amazon や楽天などの EC サイトのレビューから購入者が良かったと感じた点や購入時の気になったことなどを探してみましょう。

レビューの中には「購入を検討しているが、年明けがいいのか」「布製と革製どちらがいいか」など、ユーザーが購入を検討した状況がわかります。

言い換え語句を探す

ソファの場合は言い換える言葉がなかなかないですが、サイト制作などの場合、「作成」や「作り」などの言い換えた言葉で検索するユーザーもいるでしょう。Web 上で類語検索が可能なので調べてみましょう。

画像引用元:類語辞典・シソーラス・対義語

ここまで説明した方法である程度の軸キーワードが決定するかと思います。ニトリでソファを購入するか迷ってる人を例にすると、以下のような検索語句やニーズがあると考えられます。

検索語句検索ニーズ購入の可能性
二人掛け ソファ ニトリ
二人掛け ソファ 2万円
ニトリの二人掛けソファを探している
2万円程度の二人掛けソファを探している
高い
二人掛け ソファ二人掛けソファを探している比較的高い
ソファ へたりソファがへたってしまったので対処方法を調べている低い

購入の可能性=コンバージョン率と考えると、検索語句によってコンバージョン率に差が生まれることがわかります。

コンバージョン率が高いキーワードから優先して配信をおこない、コンバージョン率が低いキーワードは費用をかけすぎてコンバージョン単価が上がりすぎないようにする必要があります。そのために、軸となるキーワードを決め、キーワードの軸1つに対し、キャンペーンを1つ作成し、管理します。

4.キーワード収集

軸となるキーワードが決まったら組み合わせるキーワードを収集します。軸となるキーワードだけでいいのではないかと思われるかもしれませんが、先ほどのソファの例で考えてみてください。

A さん、B さん、C さんがそれぞれ以下の検索語句で検索しているとします。

  • A:ソファ へたり
  • B:二人掛け ソファ
  • C:二人掛け ソファ 2万円

この中であれば、よりコンバージョン確度が高いのは C さんと言えます。A さんの場合、持っているソファがへたってしまったと考えられます。新しいソファの購入につながるかもしれませんが、修繕方法を調べているのかもしれません。

B さんと C さんの検索語句からはどちらも二人掛けソファを探していることがうかがえます。加えて C さんの場合は「2万円」と具体的な予算も決まっているので、B さんよりコンバージョンの確度は高いと言えるでしょう。

なので、A さんの検索語句よりも、コンバージョン率が高そうな B さんや C さんの検索語句で広告配信を積極的におこなったほうがよいと考えられます。そのために軸となるキーワード以外にも、複合キーワードの登録が必要だといえます。

4-1.掛け合わせるキーワードを収集する

キーワードを収集するときに役立つツールをご紹介します。これらを使いキーワード候補を収集したあとはキーワードを分類します。

ラッコキーワード

ラッコキーワードは、サジェストキーワードの収集だけでなく、Yahoo! 知恵袋や Googleトレンドの情報までまとめて収集できるツールです。

ラッコキーワード「ニトリ ソファ」での検索結果

サジェストのキーワードはもちろん、Yahoo! 知恵袋などの Q&A サイトの結果や、Google トレンドまでまとめて確認することができます。

ラッコキーワード「Q&Aを見る」
ラッコキーワード「Google トレンド」

ここまででキーワードが出揃ったはずです。キーワードは以下のような基準で登録します。

コンバージョンの可能性高いキーワードの登録

まずは先ほどの6パターンに当てはまるコンバージョンの可能性が高いキーワードを登録します。しかし予算によっては配信はせず、オフにしておくキーワードもあるはずです。

コンバージョン見込みのないものは除外登録

次にコンバージョン見込みがないものは除外キーワード登録で対応します。過去に広告の配信実績がある場合は、当時の検索語句を見て関係のないものは除外をします。

また、商材として取り扱いがないものや価格帯が違いすぎるものなどは、あらかじめ除外しましょう。ただし除外しすぎると、機会損失が発生するため注意が必要です。以下の記事で除外キーワードの考え方や具体的な設定方法を記載しているので是非参考にしてみてください。

広告運用フェーズ別の「除外キーワードの考え方」とは?マッチタイプの使い分けや4つの注意点を解説

除外キーワードとは、特定のキーワードで検索された時に広告を表示されないようにする機能です。除外キーワードを活用すると無駄な広告配信を減らすことができ、結果的にCPAをさげることができます。自社の商品・サービスのフェースによって異なる考え方があるので、あわせて確認してみてくだい。

判断にこまるものは保留

判断に困るようなどちらともいえないものは一旦残しておきます。今後の配信実績によって精査していきます。

4-2.キーワード数の目安

ラッコキーワードなどのツールを使うと、かなりの数の候補が出てきてしまいます。しかし、予算の都合もあるのですべてを登録するのが難しい場合もあるかと思います。

そんなときのために、弊社の配信実績をもとに目安を算出しました。予算に対して登録するキーワード数の目安は以下のとおりです。ぜひ参考にしてみてください。

予算キーワード数
10万円以下50個以下
20万円以下50個から100個
50万円以下100個から300個
100万円以下300個から500個
100万円以上500個以上

なお、これらの数は登録するキーワードのマッチタイプを「絞り込み部分一致」で登録することを前提に考えています。

マッチタイプには部分一致、絞り込み部分一致、フレーズ一致、完全一致の4種類があります。同じキーワードでもマッチタイプによってまずは絞り込み部分一致で配信することをおすすめします。

キーワードのマッチタイプについて – Google 広告 ヘルプ

キーワードのマッチタイプは、Google 検索時にどのような検索語句で広告が表示されるかを左右する設定です。たとえば、「部分一致」を指定し

キーワードの追加方法

最後に、キーワードの登録方法をご説明します。登録する場合には前述のとおり、絞り込み部分一致で登録してみてください。

Google 広告での登録方法

Google 広告 > キーワード > 検索キーワード > +マークをクリック
キーワードの追加 > 保存をクリック

Yahoo!広告での登録方法

Yahoo!広告 > キーワード > +キーワード作成 をクリック
任意のキーワードを入力 > 決定 をクリック

効果的なキーワードを登録して広告効果を高めよう

いまから広告運用を始める方も、いまの成果に満足できていない方も、いまの成果に満足しているけどもっと伸ばしたいという方も、ぜひこの記事を参考に成果の出せるキーワードを選定しましょう。

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「わかりにくいこと」を「わかりやすく」をモットーに、すべての記事を実際に広告運用に関わるメンバー自身が執筆しています。ぜひ無料のメールマガジンに登録して更新情報を見逃さないようにしてください!

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記事を書いた人

そのはた
そのはた

広告運用 コンサルタント

2016年12月に九州の佐賀支社に入社。市役所でアルバイトしてたのに、気が付いたら広告運用を始めて、気が付いたら東京にいた人。新しい施策考えるのがすき、広告作成はもっとすき。絵心皆無のクリエイティブ担当。すきなものはカロリーと寝ること。

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