このたびの令和6年能登半島地震において被災された皆様への、衷心よりお見舞いを申し上げます。また、今も避難生活を余儀なくされている方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
2023年の Web マーケティング業界は、とにかく ChatGPT などの生成 AI の話題が席巻した1年でした。一方で、世界的な動きとしては戦争やインフレが発生し、日本への影響として円安や資源高、人手不足などが表れ、とても動きの激しい年だったといえるのではないでしょうか。
現代は予測できない「VUCA(ブーカ)時代」と言われています。 VUCA とは Volatility(不安定さ)、Uncertainty(不確実さ)、Complexity(複雑さ)、Ambiguity(曖昧さ)の頭文字からなる造語です。
2023年初めにここまで AI の話題で持ち切りになったり、日本の円が一時150円を超えてしまったりするとは誰も予想しなかったでしょう。不確実さと複雑さは増すばかりという印象です。
しかし一方で、確定している未来も存在します。例えばオリンピックのような世界的イベントがおこなわれて世の中が盛り上がるのは確実ですし、LINE ヤフーの ID 連携なども確定的に進むでしょう。2024年も確定未来を意識しつつ、不確実に訪れる機会(チャンス)を最大に活かし、損失(ピンチ)は最小限にしていきましょう。
2023年の日本のネット広告費は、前年比112.5%の成長が予測されています。2022年の成長率は前年比で115.0%だったので、ほぼ同じ水準と捉えても問題ないでしょう。コロナ禍で瞬間的に伸び悩んだ2020年でも前年割れせずに右肩上がりの成長率がある点に、ネット広告市場の可能性を感じます。
それでは、2024年のネット広告費は一体どのくらいになるのでしょうか。上記のデータから、2018年から2022年のネット広告費の平均は115.36%であることが分かります。このことから、2024年は概ね112%から114%程度の堅調な成長に収まることが予想されます。
世界規模で見てみると、電通が発表している「世界の広告費成長率予測(2023〜2026)」が参考になります。世界規模でも、2024年の広告費成長率は4.6%となっているので、右肩上がりの成長率であることは間違いなさそうです。
その要因として考えられるのは、2024年に世界各地で開催される、影響力の大きいさまざまなイベントです。例として、UEFA 欧州サッカー選手権やパリオリンピック・パラリンピックといった大型スポーツイベント、世界情勢や経済への影響が大きいとされる米国の大統領選挙が挙げられます。これらのイベントにより広告出稿の機会が拡大することで、世界の広告費も拡大すると予測されています。
日本を含む世界のネット広告費が上がるということは、主要広告プラットフォームである Google や Meta の収益が上がることにも繋がります。その結果、プラットホームは広告関連への投資をいっそう推し進めるので、生成 AI を使ったクリエイティブ作成などのアドテクノロジー革新もさらに加速するでしょう。広告主側も広告パフォーマンスの良化や工数削減などにも繋がるため、さらに広告費を投じると予測されます。
2024年の日本の景気予測はかなり難しいですが、2023年10月時点で訪日客が2019年同月(コロナウイルス蔓延前)を上回ったり、旅行業や観光業がコロナ禍明けで大きく復調するなど、明るいニュースも舞い込んでいるので、2024年のネット広告は少なくとも堅調に拡大していきそうです。
2023年、マイクロソフトは堅調に業績を伸ばし、企業価値では Apple を上回る勢いを見せました。
◆ Microsoftが猛追
— 後藤達也 (@goto_finance) November 21, 2023
株式時価総額(企業価値)。世界1位はApple、2位はMicrosoftですが、いま両社が接近しています。ハードのApple、ソフトのMicrosoftともいえる米テック巨人。両者の過去と現在をコンパクトにわかりやすくまとめてみました
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業績の伸びに伴い、マイクロソフト広告の売上も伸びています。2021年の第4クオーターは検索広告のみで23.4億ドルだったのに対して、2023年の第3クオーターは、検索広告とニュース広告を合わせて30.5億ドルまで上がっています。これは、Web ブラウザ「Edge(エッジ)」や検索エンジン「Bing(ビング)」のシェア拡大によるものだと考えられます。
また、マイクロソフトの躍進の背景には、生成 AI に対する野心的な取り組みがあったとも考えられます。
マイクロソフトは生成 AI の可能性に早くから目を付けていました。2023年2月には、Bing の検索結果に生成 AI による回答を組み込み、世界に衝撃を与えました。
このような挑戦的な試みができた理由には、検索エンジン市場における Bing の立場が大きく関わっていたと考えられます。以前まで検索エンジンといえば Google が圧倒的なシェアを持っていて、Bing は10%前後でした。
検索エンジンの王者である Google は社会インフラとして世の中から期待され、検索結果のあり方に対して保守的な姿勢を取らざるを得ない状況だったと思われます。そのような状況で、マイクロソフトはいわばチャレンジャーのような立場で、AI 搭載という大胆な検索結果の提供を始めました。
結果的に話題にもなり、検索エンジンのシェアも徐々に増やし、2023年12月時点では18.11%にまで増加しました。Google には及びませんが、Yahoo! のシェアを追い越しているのには驚きますね。
また、Google はいまだに広告収入が収益の大部分で、とくに検索広告からの収益が広告全体のうち70%以上を占めています。会社の大部分を占める収益の源である検索結果において、広告へのマイナス影響があるかもしれない大胆な動きはしにくく、慎重になるしかなかったと考えられます。
参考:Alphabet Announces Third Quarter 2023 Results
Google も検索結果に生成 AI を使った回答を掲載し始めましたが、結果としてマイクロソフトの後を追うような形になってしまいました。
参考:生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介|Google Japan Blog
現在、マイクロソフトは「OpenAI」の子会社である営利法人 OpenAI Global, LLC の株式49%を保有し、さらにクラウドサービスである「Azule」も所有しています。
広告プラットフォームを持つ媒体としては Google や Meta が圧倒的なシェアを誇りますが、上記のような背景を考慮すると、マイクロソフトがかなり有利な状況であることは間違いなさそうです。むしろ2024年はさらに勢いを加速させ、マイクロソフトが主導権を握りそうですね。
2023年は生成 AI の話題も多く、広告プラットフォームにも影響を与えてきました。既に Google と Meta は生成 AI によるクリエイティブの自動作成機能の追加を発表しています(2024年1月4日現在、日本では未実装)。
Google は、P-MAX キャンペーンに見出しや説明文、画像などを自動で作成する機能を搭載すると発表しています。
参考:Get creative with generative AI in Performance Max|Ads & Commerce Blog
Meta は複数の広告面に合わせて画像を自動で拡張する機能や、商品の背景画像を自動で作る機能、広告テキストのバリエーションを考えてくれる機能を発表しています。
データを用いた自動化技術は以前からネット広告運用で取り入れられていましたが、主な活用の場は入札やターゲティングの領域でした。生成 AI は文章や画像を作れるので、今後は広告プラットフォームで機能が実装・アップデートされていくのは間違いないでしょう。
しかし、生成 AI によって生成されたクリエイティブが人間の作成するクリエイティブよりも良い成果を上げるかどうかは、まだまだ疑問の余地があります。
なぜなら、入札やターゲティングなどは Google や Meta が所有するデータを用いればすべて完結できますが、クリエイティブ作成は媒体が所有するデータだけで完結せず、広告のランディングページや広告主が訴求する商品内容、事業内容のデータを必要とするからです。
生成 AI が作ったクリエイティブが、ランディングページや広告主の商品、事業内容とかけ離れていたら、仮にクリック率は上がったとしてもコンバージョン率は下がってしまいます。
いくら生成 AI が優秀だと言っても、ランディングページや企業のサイトに記載されていないことはクリエイティブに盛り込めません。
何らかの形にはしてくれるかもしれませんが、優良誤認などのトラブルが発生し責任問題になってしまうことは容易に予測できます。それらを考慮すると、Google や Meta の生成 AI による広告クリエイティブ作成は、かなり制約のある中での発展になるでしょう。
今後、生成 AI によるクリエイティブ自動化の波が強まることは間違いありません。しかしその影響の鍵となるのは、情報源になるランディングページです。そのため、クリエイティブの影響力を上げたいのであれば、そもそもの商品力や訴求力を高めるしかないでしょう。
しかし、クリエイティブ作成を丸投げとまではいかずとも、少ない労力でラフ案やたたき台を作成するという点で生成 AI は大いに重宝されるでしょう。工数削減のために生成 AI を活用していく方向は、地味ですが確実に成果に結びつくと考えられます。
生成 AI ツールの代表は ChatGPT と言えるでしょう。しかし2023年後半の調査においても、ChatGPT のような生成 AI を仕事に利用しているビジネスパーソンの割合はわずか20%弱という結果が出ています。
ところが、この調査の母集団を我々の業界であるネット広告運用や制作に絞り込むと、生成 AI の利用率は40%前後というデータもあります。
このような現象が起こる要因として、ネット広告運用における AI の利用率の高さが考えられます。もともと自動入札などで AI を利用していたことで、既に AI が身近な存在となっていたため、生成 AI の普及が始まってもあまり抵抗なく受け入れられたのです。
また、そもそもネット広告運用の仕事は、キャッチコピーの考案といったテキスト操作を日常的な業務にしているので、いわゆる ChatGPT へのプロンプト入力(生成 AI への指示)にも抵抗が少ないのでしょう。
ただし、残りの約60%の人々はネット広告運用の仕事に従事していても生成 AI を使っていないという事実もあります。このことから、生成 AI を業務に利用する難易度は、想像よりも高いと言えそうです。
ここまでの内容を踏まえると、2024年以降はどのような展開になっていくのかが気になるところだと思います。直接的か間接的かを問わず、ネット広告の仕事に関わりがありそうな生成 AI は以下のようなものがあります。
ただし、いずれのツールも、使いこなせるようになるには難易度が高いのが正直なところです。
2023年10月、LINE と Yahoo! は一つの会社に統合され、LINE ヤフー株式会社となりました。日本のネット広告の主要媒体である LINE と Yahoo! が統合されたことは、2024年のネット広告の動向に大きな影響を与えそうです。
大きな動きとして、LINE における「LINE Search(Web 検索)」が「Yahoo! 検索」に飛ぶようになり、月間の検索数が大幅に増加しています。
参考:月間検索数が約1億増加!LINE とヤフーの統合がもたらす、Yahoo!検索広告の新たな可能性|MarkeZine
検索数の増加は、検索広告のクリック数増加やコンバージョン数増加に繋がるので、広告主や広告運用者にとっては嬉しいニュースですよね。
さらに近年はサードパーティクッキー廃止の流れから、ファーストパーティデータ、つまり自社データを大量に持っている企業が有利となっています。
今回の統合でメディアやコマース、Fintech、メッセンジャー、AI、通信などの領域で幅広くユーザーのファーストパーティデータを使えるようになりました。その結果、一社だけでは太刀打ちできなかった Google や Meta にも対抗できそうな雰囲気を感じさせます。
PayPay の購買データ、LINE 公式アカウントのデータなどが統合されることで、サードパーティクッキーに頼らずとも精度の高い情報を持ち、かつ広告露出量の大きい媒体となれるわけです。
参考:LINE、ヤフーの統合がマーケに与える影響 3つのポイントで徹底解説:日経クロストレンド
LINEヤフーは、現在 LINE と Yahoo! でそれぞれ別に存在する広告プラットフォームを、2025年に統合させることを発表しています。
Yahoo!広告・LINE広告は2025年を目指して、プラットフォーム統合を行います!✨
— LINEヤフー for Business (@lycorp_biz_jp) October 2, 2023
広告効果の改善はもちろん、運用工数の削減やコミュニケーションの改善、接触ユーザーの解像度アップなど様々なメリットをご提供していきますので、ご期待ください!☺️#LINEヤフー pic.twitter.com/eebbcqVnu9
これらを考慮しても、2024年もより効果的な広告メニューの革新が進むことでしょう。
サードパーティクッキー廃止の流れを受け、近年のネット広告業界では、どのように情報を取得し活用していくかが注目されています。特に2024年に意識しておきたいのがリテールメディアです。
リテールメディアとは、小売店や流通業者、EC 事業者などが媒体となって提供しているメディアを指します。よく見るものとして、小売店の店舗に設置されているデジタルサイネージが挙げられます。
リテールメディアは、メディアを持つ企業が所有する消費者の購買データやアプリなどの行動ログを利用するので、購買行動に繋がりやすいのが特徴として挙げられます。
サードパーティクッキー廃止により、ファーストパーティデータを大量に保持している企業が有利になるのは前述の通りですが、その結果としてネット上の媒体だけではなく、小売業の実店舗に応用しようとする流れになっているというわけです。
小売業者のファーストパーティーデータは宝の山
引用元:ファーストパーティーデータで実現するリテールメディアの未来戦略|Criteo
ファーストパーティーデータはウェブサイトオーナー、つまり小売業者が直接収集・所有するデータのため、サードパーティークッキーにつきもののプライバシー関連の問題とは無縁です。また、クリーンで信頼性が高く、情報量も豊富です。そしておそらく最も重要なのが、多くのブランドの主要なオンライン小売チャネルにおけるPOS(販売時点の)データだということです。
小売業にとっては、今まで活用していなかった購買データを広告として活用し、収益源を増やすことができるので、リテールメディアの活用はチャンスといえます。この流れはすでに2022年に始まっていて、2023年にもさまざまなリテールメディアが立ち上がっています。
既にアメリカではリテールメディアの市場規模が6兆円となり、「2024年の広告業界はリテールメディアが牽引する」という予測もあります。世界的なアフターコロナの流れで、人が外に出ている傾向も後押ししているのでしょう。
参考:世界の広告「24年は5.3%増」リテールメディアがけん引、英 WPP 系|日経クロストレンド
小売業の広告主としては、ネット上でも店舗でもどちらでも購買してもらえる方が効率が良いでしょう。ネットで買い物する場合は、店舗での購買よりも顧客単価が3割程度低いというデータもあります。
参考:ネットショップの客単価が実店舗の客単価よりも3割ほど安い理由|竹内謙礼の「ネットショップ運営」
特に EC において、2024年は Google や Meta、LINE ヤフー、TikTok などのオンライン媒体だけではなく、同時にリテールメディアへも広告を配信する流れが加速するかもしれません。
ただし、各企業のリテールメディアが独立した広告媒体およびプラットフォームとして乱立すると、広告主としては配信先が分散されすぎて思ったような効果が出なかったり、管理や分析に人的コストがかかりすぎてしまったりするデメリットがあります。
そのため、リテールメディアを起点として、LINE ヤフーのような大手企業同士の統合などが今後起こるかもしれません。
2023年10月、ステルスマーケティング(ステマ)は景品表示法違反となりました。実際は広告なのに、一般消費者が広告であると判別できないものが規制の対象になるといった内容です。
参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁
ステマが禁止されたことによって、YouTube や Instagram で活躍するインフルエンサーが堂々と「これは案件(広告主から宣伝を依頼されている)なんですけど」や「案件をいただきました」などと発信するようになりました。これによって、フォロワー側も「案件(広告)」であることを理解したうえでコンテンツを見ることが当たり前になっています。
例えば、YouTube を中心に PC 関連の情報を発信している「パソコン博士 TAIKI」さんも、「Notion のコンテンツを配信していたら広告宣伝の案件が来ました!」と堂々と宣言しています。
お金をもらっているから宣伝していることは分かっているものの、この人が良いと言っているのだから買ってみようという層が一定数いるわけですね。実際、私も TAIKI さんの動画を見て Notion に有料課金しました。
ステマ禁止によって、広告であることが明確にされながらも視聴者に受け入れられる流れができてきたといえます。このことでインフルエンサーマーケティングは健全化して、むしろ市場拡大に繋がっていくのではないでしょうか。
インフルエンサーマーケティングは、2023年の市場は741億円、前年比120%の見通しです。2027年には2023年比約1.8倍の1,302億円になると予測されています。
インフルエンサーマーケティングは情報発信する側に編集権限があるという点で、広告というよりは PR の領域に近いです。しかし2024年は、ネット上でより注目されるマーケティング手法になっていくことは間違いなさそうです。
動画広告の市場は年々右肩上がりで、2021年から2024年の予測を比較すると倍近くにまで上昇しています。この流れは2024年も続き、9,000億円近くの市場になると予測されています。
中でも TikTok や Instagram のリールを代表するような、スマホに向いた縦型のショート動画が毎年伸び続けていて、ネット上のあらゆる視聴者の可処分時間がここに流れていることが予想されます。
TikTok は、2024年には YouTube の広告収入を超えるという予測もあり、動画市場においては完全に YouTube の脅威となっています。もともと、YouTube はパソコン上で閲覧していたという背景もあり、横長画面に適した動画のプラットフォームでした。現在ではテレビ画面で YouTube を閲覧する機会も増えたので、TikTok のようにスマホ向け縦長動画に振り切ることはできない事情があるのです。
ショート動画が今後伸びることが間違いないとしたら、動画広告を取り巻く状況は2024年以降どのように変化していくのでしょうか。
縦長ショート動画は短時間であることが一般的なので、これまでの YouTube 動画広告のような広告の挿れ方は難しいですよね。そのため、今後は動画広告という形だけではなく、インフルエンサーと収益の分配をしやすくするような仕組みが増える可能性があります。
既に、TikTok には「TikTok Shop」という機能があり、インフルエンサーが商品を販売しやすくなる仕組みを構築しています。
参考:TikTok が正式にコマースサービスを開始し、直接販売が可能に|DIGIDAY
日本国内においても縦長動画のコンテンツが増え続けるのは間違いなさそうですが、従来のテレビ CM のような広告のあり方はマッチしにくいでしょう。そのため、ネット広告における動画広告の主流は、インフルエンサーを巻き込んだものへと変化していきそうです。
前述のステマ規制だけでなく、2023年は景品表示法の改正案が閣議決定され、故意の不当表示に対する罰則規定が強化されました。この法改正に関する情報は、EC 事業者はもちろん、広告運用を任される代理店などに所属する方も確認が必須となる内容です。以下の「ネットショップ担当者フォーラム」のまとめ記事が非常に分かりやすいので、まだ把握していない方はぜひご一読ください。
参考:【景品表示法の改正案まとめ】故意の不当表示に100万円以下の直罰規定|ネットショップ担当者フォーラム
また、Google 広告における身元確認(本人確認)が進み、広告を出している主体が誰かをすぐに明らかにできる仕組みなども整備されました。
Google広告の身元確認(本人確認)をやってみた。必要書類と手続きまとめ
広告主が実在する会社であることを証明し、広告の信頼性と透明性を高め、広告をより良いものにしていく取り組みであるGoogle の「身元確認(本人確認)」。突然メールが来ても安心してください、この記事で説明したとおりに書類の提出をおこなえば何ら問題ありません。キャプチャを用いてわかりやすく解説したので参考に設定を進めてください。
一方、有名人になりすました投資詐欺広告や、「サポート詐欺」といわれる問題のある広告がネット上に掲載されるなど、2023年にむしろ深刻化した問題もあります。そのため、ネット広告の法規制強化は、2020年以前より一貫して強まっている流れですが、この傾向は今後もさらに続くことは間違いないでしょう。
ただしこれは、ネット広告を含めたインターネット上が健全化していく流れなので、ステマの規制によって案件宣言が通常化し、インフルエンサーマーケティングがむしろ堂々とやりやすくなった経緯もあるように、誰にとっても良いことだと思われます。
2024年以降も広告主、媒体、代理店などの支援会社が、広告を掲載するうえでの法令順守や倫理観のあるネット広告の掲載に、真剣に向き合っていく必要があるでしょう。
2023年8月、Google は SGE(Search Generative Experience)を発表しました。SGE は、ユーザーの検索した内容に対して生成 AI が解答する機能です。
参考:Google Japan Blog: 生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介|Google Japan Blog
例えば、2023年12月におこなわれた、ボクサー・井上尚弥選手のタイトルマッチの試合内容について聞くと、Google の AI は以下のような回答をしてくれます。
このような内容は、もちろん検索結果のニュースサイトをたくさん見れば分かります。しかし「どのような内容だったのか、ざっくりと知りたい」というニーズを満たしたいときに、生成 AI はまるでニュースサイトを横断して重要なポイントだけ凝縮したかのような気の利いた回答をしてくれます。これはこれでとても重宝しますよね。
ちなみに私はこの模様を現地で観戦していたのですが、試合内容の経過などはとても正確ですし、「どんな試合内容だったか」を友人に聞かれたらまさにこんな回答をするだろうなといった、人間が語っているかのような内容です。
SGE が目指しているのは、人間が回答しているかのような体験だと考えられます。その点では日々進化し続けるであろうことは間違いありません。ただし、2023年2月に Bing へ生成 AI が搭載されたときのようなインパクトは残せていないように感じます。
しかし、SGE はまだ発展途上のはずです。Google は SGE による検索結果が表示される際に、検索広告をどのように表示させるか、さまざまなテストをしています。
参考:Google の SGE は検索広告の上と下のどちらに表示されるのか?|海外SEO情報ブログ
Google にとって検索広告は極めて重要な収益源なので、SGE の導入が進んでも検索広告のクリックが減少しないような工夫は間違いなくしてくると考えられます。
SGE のような生成 AI による検索結果表示は2024年以降も進むでしょう。しかし、現状の検索広告への大きな影響はないと考えてよさそうです。
2024年も、まったく予測ができない不確実な年になることは間違いないでしょう。
しかし、サードパーティクッキーの廃止など今後確定している未来もまた同時に存在します。ピンチは最小限に抑え、チャンスを最大限に活かし、変化に向き合って頑張っていきましょう。
代表取締役会長
2003年、Googleアドワーズが日本でサービスを開始した直後より、検索キーワード広告とランディングページの実践・研究を行い、その成功理論を書籍『1億稼ぐ検索キーワードの見つけ方』で発表、5万部以上のベストセラーとなる。 キーワードマーケティングでは、設立時から延べ千社以上のアカウントを診断およびコンサルティングしており、現在は上場会社や成長率の高いベンチャー企業に対する広告運用代理事業を拡大している。
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